宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党が最も恐れた自民党総裁は?

2008年09月10日 21時47分08秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代

 「民主党に勝てる総裁選び」を合い言葉に自民党総裁選が告示され、麻生太郎さんら5人が立候補しました。

 民主党内では、通常国会中から「福田さんが辞めたがっているようだ」「福田さんの目が安倍さんの末期と同じ目になっている」などと福田さんが辞任するとの観測が流れていました。いずれにしろ、「自民党は表紙(総裁)を変えてから解散総選挙に持ってくる」という認識は広く共有していました。

 ところで、「民主党が最も恐れた総裁」の候補がなぜか、きょう告示の総裁選に出馬せず、臨戦態勢の民主党に一服の安堵をもたらしました。

 「民主党が最も恐れていた総裁」候補とは、ナント!財務相→自民党政調会長→国土交通相の谷垣禎一(たにがき・さだかず)さんだったのです。

 「小沢民主党vs谷垣自民党」を仮定した仮のポスターを作ってみました。



参考エントリー)ポスター仕立て】自民党総裁選の投票の目安

では、上記エントリの中から、最終的に立候補した5人を並べてみます。



  

  

 どうでしょうか。

 実は盲点(イメージ・ギャップ)なのですが、谷垣さんは「今までの自民党総裁顔」をしていないのです。
 東大法卒→父(谷垣専一元郵政相)の世襲で衆院議員→保守本流・宏池会で頭角を現す→派閥領袖というコースを取りながら。

 谷垣さんは「官僚出身」という誤ったイメージがありますが、弁護士です。二世議員ですが、初代である父親が早く亡くなり、跡をとったという意味では小沢さんと似通った経歴です。

 小沢さん(岩手4区)も谷垣さん(京都5区)も地方部選出で選挙に強い。ともに初入閣前に衆院議院運営委員長をやりました。2人とも国家公安委員長をやっています。科学技術庁では小沢さんが政務次官、谷垣さんは長官を経験しています。自民党ではともに「総務局長」をやっています。

 小沢さんと谷垣さんは実に政治キャリアが似ているんです。

 地味だった谷垣さんは“加藤の乱”で、内閣不信任案に賛成票を投じようとする加藤紘一・宏池会会長に向かって「加藤先生ダメですよ、ひとりで突撃なんて。あんたは大将なんだから!」のせりふで一躍有名になりました。その後、加藤さんとは別れましたが、誠実なイメージは今でも残像としてあります。

 もう一度並べてみます。



小沢さんは66歳、谷垣さんは63歳です。



小沢さんは66歳、麻生さんは68歳(=9月20日誕生日)

 政治キャリアが似ていて、小沢さんより若く、コワモテでない「谷垣自民党」の出現が杞憂に終わり、民主党議員たちは安心して、地元に帰りました。

 政権交代を阻止する最後の秘策だった自民党総裁選ですが、5人が立候補するというお祭り騒ぎの中で、みずからチャンスを失いました。

 痛恨のミスをしでかした自民党には政権担当能力がないと断じるべきでしょう。

 ところで、なぜ谷垣さんが出馬しなかったかというと、麻生さんと同じ「福岡県選出・当選9回生」で犬猿の仲の古賀誠・宏池会会長が新総裁からの報復人事を恐れて、「麻生支持」を決めたからだそうです。何とも自民党らしいフィナーレです。

自民党総裁選告示、5氏が立候補届け出(読売新聞) - goo ニュース

 次期衆院選に臨む与党の「選挙の顔」を選ぶ自民党総裁選が10日告示され、麻生太郎幹事長(67)(麻生派)ら5氏が届け出た。

 国会議員票固めで優勢に立つ麻生氏を、他の4氏が追う構図となっている。総裁選では、経済政策に加え、安全保障政策などが争点となる。22日の両院議員総会で、衆参両院議員と都道府県連代表の投票により新総裁を選出する。

 立候補を届け出たのは、麻生氏のほか、小池百合子・元防衛相(56)(町村派)、与謝野馨経済財政相(70)(無派閥)、石原伸晃・元政調会長(51)(山崎派)、石破茂・前防衛相(51)(津島派)。

 総裁選に5人が立候補するのは、1972年に立候補制が導入されて以降、最多。女性議員の立候補は初めて。棚橋泰文・元科学技術相(津島派)は、推薦人20人を確保できなかった。

 立候補受け付けは午前11時から30分間、党本部で行われ、各陣営は20人の推薦人名簿などを総裁選管理委員会に提出。5氏はそれぞれ出陣式などに臨んだ。

 麻生氏の出陣式には国会議員125人と代理46人が出席し、投開票日の時点で投票権を持つ国会議員386人の44%に達した。麻生氏は「地方の格差をどうするか。ひとつひとつの声を大切にし、日本の底力を訴えたい。誰が民主党と戦うのかというのが一番(大事)だ」と語った。

 5氏の間では、2011年度に基礎的財政収支を黒字化する政府目標に関し、景気回復優先で先送りを容認する立場の麻生氏と、目標堅持を唱える与謝野氏ら4氏との違いが鮮明で、景気対策と財政規律のあり方が最大の争点となる


山岡国対委員長、「小泉劇場の二の舞にしたくない」「自民党の終焉の始まり」

2008年09月10日 20時42分47秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代
 民主党の山岡賢次国会対策委員長(衆院栃木4区比例)は10日、民主党に勝てる総裁を選ぶ自民党総裁選が告示されたことについて、国会内で山岡番記者団に、「自民党の自民党による自民党のためのお祭りショーだ」と指摘しました。

 そして、「小泉劇場の二の舞いにはしたくないというのが国民の本心だ。きょうの(総裁選の)幕開けは自民党の終えんの始まりだ」と主権者の声を代弁しました。

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政権渡すのが常道=「自民終えんの始まり」-民主(時事通信) - goo ニュース

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は10日午後、自民党総裁選に関し、都内で記者団に「憲政の常道を考えれば、首相が2代続けて政権を放り投げたのだから、野党に政権を渡し、すぐ衆院解散・総選挙をするのが筋だ。総裁選をするなら、国益を損なっていることへの反省の弁からスタートすべきだ」と批判した。その上で、「民主党は一致団結し、どういう国を築くか国民にしっかり伝えていく」と強調した。

 また、民主党の山岡賢次国対委員長は、国会内で記者団に「自民党の自民党による自民党のためのお祭りショーだ」と指摘。「小泉劇場の二の舞いにはしたくないというのが国民の本心だ。きょうの(総裁選の)幕開けは自民党の終えんの始まりだ」と述べた。

自民党総裁選告示、麻生候補が議員票の4割以上確保

2008年09月10日 13時39分02秒 | その他

 憲政史上初の問責総理である福田康夫さんの政権投げ出しに伴う自民党総裁選が10日告示されました。任期は来年9月までの1年間=福田さんの残り任期。

 自民党は“開かれた自民党総裁選”とうたっていますが、同日付の読売新聞朝刊は、麻生さんが既に議員票の4割以上を固め、他の4候補はいずれも1割未満だと伝えました。

 事実、自民党本部内で開かれた麻生陣営の出陣式には125人の国会議員本人が出席したそうです。これだけでも議員票32・4%を固めたことになり、告示日当日に麻生さんの当選が確実となりました。

 同日付のスポーツ報知によると、自民党清和会の丸川珠代参院議員(東京選挙区)が石原伸晃陣営への参加をめぐってしめつけられ、入院したそうです。夫の大塚拓衆院議員(比例東京ブロック単独、清和会)が明らかにしました。

 丸川さんの参院選の選対を石原事務所が務めた関係で、石原陣営が丸川さんを取り込んだそうですが、清和会本部や、小池陣営=清和会系中川グループ(上げ潮派)からしめつけられたもようです。大塚さんは「ただでさえ細いのに(今回の心労で)さらにやせてしまった」と心配顔だとしています。

 スポーツ報知は別の記事で、千葉7区で民主党“消えた年金3人衆”の一人で現職の内山晃(うちやま・あきら)さんに挑戦する自民党新人候補予定者の政治資金パーティーに政権投げ出しの先輩、安倍ちゃんがやってきたと報じました。

 安倍ちゃんは「あとわずか。私は先週の金曜日にポスターの写真を撮りました」と述べた上で、民主党代表選にふれ、「小沢さんの前に立ちすくんで誰も出ない。自由民主党と民主党の違いは何か。自由がないから民主党なんですよ。みなさん!」と相変わらずの馬鹿っぷりをアピールしました。

 安倍ちゃんと麻生候補は先日、2人が昨年から行きつけにしている銀座の高級飲食店で会談し、麻生内閣の外相などに関して話し合ったようです。

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自民総裁選告示へ、麻生氏が議員票4割固める(読売新聞) - goo ニュース

次期衆院選に向け、与党の「選挙の顔」を選ぶ自民党総裁選が10日告示され、22日の投開票に向けて選挙戦がスタートする。

 読売新聞が同党所属国会議員を対象に投票動向を調べたところ、麻生太郎幹事長(67)(麻生派)が議員票(386票)の4割強をすでに固め、優勢に立っていることがわかった。

 麻生氏のほか、小池百合子・元防衛相(56)(町村派)、与謝野馨経済財政相(70)(無派閥)、石原伸晃・元政調会長(51)(山崎派)、石破茂・前防衛相(51)(津島派)が立候補する総裁選では、経済政策に加え、安全保障政策をめぐり政策論争が展開される見通しだ。

 読売新聞が行った議員の投票動向調査によると、9日深夜現在、麻生氏を支持することが明確な議員が163人に達した。これは党所属議員の42%にのぼる。

 派閥別にみると、麻生派(20人)と二階派(16人)をほぼ固めた。さらに、伊吹派(28人)の約7割、高村派(15人)の約半数の支持も取りつけたほか、町村派(88人)、古賀派(62人)の約4割も麻生氏支持となっている。津島派(70人)、山崎派(41人)の一部も支持に回った。

 小池、石原、石破、与謝野各氏の支持は9日夜現在、いずれも1割に届いていない。小池氏は、町村派の一部や自民党山崎派の武部勤・元幹事長が率いる政策研究グループ「新しい風」のメンバーからも支持を得た。石原氏は所属する山崎派のほか、古賀、町村両派の一部も取り込んだ。

石原伸晃氏“最後の推薦人”は入院中の丸川珠代参院議員(スポーツ報知)
 
 自民党本部で総裁選への出馬会見をする石原伸晃元政調会長 自民党の石原伸晃元政調会長(51)が9日、党本部で会見し、総裁選への出馬を正式に表明した。推薦人の獲得に苦戦していた伸晃氏は、体調を崩し入院中だった丸川珠代参院議員(37)の署名を病床で得るなどして、何とか20人を確保。これで石原氏と麻生太郎幹事長(67)、石破茂前防衛相(51)、小池百合子元防衛相(56)、与謝野馨経済財政担当相(70)の5氏で「ポスト福田」を争う構図が固まった。総裁選は10日告示。22日の投開票に向けて本格的な選挙戦がスタートする。

 「20年前、父の石原慎太郎がした苦労を初めて分かった気がする」。会見の冒頭、伸晃氏は1989年の総裁選を戦った現東京都知事に自身を重ね合わせ苦笑した。

 「苦労」とは壮絶を極めた推薦人獲得合戦のことだ。出馬の意向を表明した4日には、立候補に必要な推薦人20人のめどが立ちながら、翌日には切り崩しにあったことを明かし、正式表明は告示前日にずれ込んだ。

 党関係者によると、8日になってようやく20人の署名が確保できる見通しになったという。しかし、またも激しい切り崩しを受け、その結果2人が脱落、18人になってしまった。がけっぷちに追い込まれた伸晃氏陣営では「最後の2人を中川雅治氏(参院議員)、丸川珠代氏にして何とかクリアした」(党関係者)という。

 頼みの綱となった丸川氏だが、実は体調を崩して入院中だった。6月に結婚した夫の大塚拓衆院議員(35)によると、7日夜からめまいがひどくなり、8日は病院で一泊。9日に帰宅したが、再び体調を崩して病院で点滴を受けたという。

 丸川氏に近い関係者によると、どうしても署名が欲しい伸晃氏陣営は8日夜、丸川氏の病室を訪問。病床の丸川氏から推薦人のサインを得たという。これについて伸晃氏陣営では、病室を訪れた事実はないとし「署名は大塚氏を介して受け取った」と説明している。

 丸川氏が体調を崩した原因は、推薦人獲得を巡る綱引きのプレッシャーだったという。昨年7月の参院選では、丸川氏の選対を伸晃氏の陣営が固めていた。伸晃氏は山崎派だが、丸川氏は大塚氏と結婚して夫婦そろって町村派入り。今回の総裁選には、町村派から小池氏が出馬。さらに丸川氏に参院選出馬を打診し政界入りのきっかけを作った安倍晋三前首相は麻生氏を推している。立候補者乱立の中で、各陣営に義理がある丸川氏は非常に難しい立場に置かれていた。

 丸川氏の事務所では「プレッシャー? そのようなことはありません。入院もしていない」と説明したものの、大塚氏は「ただでさえ細いのに(今回の心労で)さらにやせてしまった」と心配顔。11日には渋谷駅前で都連所属の国会議員と各候補が集まる演説会が開催されるが、そこに間に合うかも「微妙な状況」(大塚氏)という。

武部元幹事長、爆笑パフォーマンス…斎藤健氏パーティー(スポーツ報知)

 06年の千葉7区補選で敗れ、リベンジを期す自民党の斎藤健氏(49)のパーティーが9日、都内のホテルで開かれ、麻生太郎幹事長や中川秀直元幹事長らが駆け付けた。

 元キャバクラ嬢という経歴を持つ民主党の太田和美氏に敗れた要因とされる「最初はグー、サイトーケン」という謎のパフォーマンスを編み出した武部勤元幹事長も出席。「鉄人!サイトウケンだ。血沸き肉躍る」と激励。最後は「今日は歌も歌わず、ジャンケンもせずに壇上を降ります」と話すと、笑いが起こった。

 パーティーには、安倍晋三前首相も駆け付け、「(選挙まで)あとわずか。私は先週の金曜日にポスターの写真を撮りました」と臨戦態勢を強調。また民主党の代表選について「小沢さんの前に立ちすくんで誰も出ない。自由民主党と民主党の違いは何か。自由がないから民主党なんですよ。みなさん」と訴えていた。


太田昭宏さん、公明党代表選に再選めざし出馬表明

2008年09月10日 12時14分58秒 | 第170臨時会(2008年9月~12月)麻生兵糧攻め
[公明党代表選への立候補を表明する太田代表=公明党ウエブTV]

 公明党代表の太田昭宏衆院議員(東京12区)は9日の記者会見の冒頭、自ら発言し、自身の任期満了に伴う公明党代表選(16日告示)に立候補することを表明しました。23日の第7回党全国大会で投開票されます。現時点での立候補表明は太田さん一人で16日に無投票再選が決まる見通しです。

 太田さんは「選挙がいつあるか分からない」としながらも、第45回衆院選で「今、有している31議席は当然確保し、議席増に力を注ぐ」と語りました。

 「大衆とともに、という立党精神と同時に庶民や中小企業や地域で困っている方々の味方として闘っていく」との意思を示しました。再選後は「青年力、女性力をいかし、地方の声、庶民や中小企業の悲鳴にしっかり耳を傾けて、政治の舵取りをしたい」と述べ、公明党・創価学会の青年部、婦人部などの組織力をいかして党勢を拡大し、支持基盤である低所得層・中小企業への配慮を連立パートナーの自民党に求めていく姿勢を鮮明にしました。

 2期目の太田執行部は、国会が24日にも選出する見通しの新首相に対して、定額減税と中小企業融資枠の拡大を求めていくことになります。補正予算を成立させた後に解散するのか、それとも補正予算案提出直後の10月第1週に解散するのか。党内情勢の見極めと新首相との駆け引きという党の存亡にもかかわる大政局を迎えます。

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