[写真は麻生首相をやじる民主党の三日月大造さん、高山智司さん=MSN産経]
【国会傍聴記 2008-9-29 衆院本会議】
麻生太郎新首相の所信表明演説が行われました。昨日のエントリーで、「麻生が黒ゴリラに見えるから行きたくない」と駄々をこねてしまいましたが、ちゃんと国会に行ってきました。私も34歳ですから少しは大人にならないといけません。
さて、ここは衆院本会議場です。
参院議員である鴻池祥肇・内閣官房副長官は議員傍聴席にちゃんと座っていました。私はこういうの気になります。6月11日の参院本会議で福田康夫首相(当時)が問責決議案を審議されているときに、衆院議員である町村信孝、大野松茂正副官房長官(当時)が見あたらない=参院議員の岩城光英副長官は自席にいました=のを見て、「なんてひどい家来衆だ!」と憤慨しました。
午後2時21分過ぎから、麻生首相が演壇に。ああ、本当に総理になったんだなと感じます。
26分過ぎ、麻生さんは「民主党に要求します」と話しました。民主党に敵対的な前代未聞の演説の幕開けです。
同日、国会に提出した補正予算案については「民主党により1ヶ月の穴があいた」と語り、ガソリン税の暫定税率失効分の財源措置が必要だと強調しました。でも民主党のせいにするなら、政府・自民党は租税特別措置法(粗特)の改正案もこの国会に出すべきじゃないの?
麻生首相は日本経済回復のシナリオを3段階に分けたうえで、「日本経済は全治3年」などとのうのうと言いました。そんなの政権政党の言うことじゃありません。だれのせいだと思ってるんだ!
演説の内容はなく、口調は雄弁。演説の出だしは感じが悪かったのですが、民主党への敵対演説になると、私の耳には小気味よく感じられました。麻生さんは「べらんめえ」が似合っているということでしょう。
「雄弁だけど中身がない」というのは3代前の小泉純一郎首相そっくり。国民と民主党はしっかり内容を見極めないといけません。気をつけましょう。一度、次のような実験をしてみたら面白いかもしれません。TVの印象を持ったまま、夕刊や翌日付朝刊の演説要旨を見てみる。そうしたら、あまりの演説の中身のなさに驚くかもしれません。
演説は続きます。
2時31分、「長寿医療制度で国民を混乱させた責任を認めます」。こういう発言をしたから勘弁してやると、自民党は調子に乗ります。用心しましょう。
2時32分、事故米について。そして、「消費者庁設置法案に賛成するかどうか民主党にたずねます」と挑発しました。自民党のやることが当たり前、という前提の麻生演説の論理構成はヒジョーに分かりにくいです。
2時37分、地方分権について、「地域主権型道州制をめざします」と明言。ここは民主党の「国と300の基礎自治体」と違いますから、対決構図がハッキリしてきました。
農業について「50%の(カロリーベースでの食料)自給率をめざします」、続いて「低炭素社会を実現します」。本当に見出しばかり続いて、何にも内容がありません。
一拍おいてから、外交の話を始めました。ここは良かったです。まずは「日米同盟の強化」が必要と強い口調で述べたうえで、「次に、順序を付け加えるのが難しいことをおことわりしたうえで」とべらんめえ調で語り、中国、韓国、ロシアとの連携を強調しました。この辺でまた、演説の好感度は上がりました。
そして2時41分、「以上をわきまえて民主党にお伺いします」と最後ののろし。民主党議員の若い野次の中、「民主党に国会での協力を求めます」「以上をもちまして私の所信表明と致します」としめくくりました。
評価できるのは年金問題について「消えた年金と消された年金という問題がございます」として、民主党用語の「消えた年金(基礎年金)」「消された年金(厚生年金)」ということばを使ったことです。
【麻生演説は二大政党時代の幕開け】
麻生首相の演説がすべて民主党を意識したものになったことは私は賞賛に値すると思います。
二大政党とは相対的な概念です。英議会のトーリー党(Tory)とホイッグ党(Whig)はお互いがお互いをけなして付けた名前です。名誉革命のころ、つまり320年前の話です。
わが国のデモクラシーもようやく320年前の英議会に追いついてきたのではないでしょうか。ちなみにトーリー党は「保守党」(キャメロン党首)と名を変え、女王陛下の反対党(政権準備政党)として、次の解散・総選挙での政権交代を虎視眈々と狙っています。ホイッグ党も第3極「自由民主党」として、地域によっては人気があり、二大政党への返り咲きをめざして頑張っているようです。
10月1日、午後1時からは民主党の小沢一郎代表の代表質問です。いや、政権準備政党代表の所信表明演説と言った方がいいかもしれません。
鳩山幹事長はインタビューで怒っていたようですが、僕は2008年9月29日は日本デモクラシーの歴史的な日だったと思います。
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所信表明「麻生流」 民主に異例の逆質問(朝日新聞) - goo ニュース
麻生首相は29日午後、衆参両院本会議で就任後初めての所信表明演説を行った。(1)国会での合意形成(2)補正予算(3)消費者庁創設(4)日米同盟と国連(5)インド洋での補給活動の継続――の5点について、民主党が代表質問で具体的な対応を明らかにするよう逆質問する異例の内容。与野党の政策協議を求め、応じない場合は衆院を解散する布石を打つとともに、総選挙での争点を明確にする狙いとみられる。
演説はまず、国会運営を取り上げた。通常国会でガソリン税などの暫定税率が一時撤廃されたことを例に、「民主党は政局を第一義とし、国民生活を第二義、第三義とする姿勢に終始した」と批判。「合意形成をあらかじめ拒む議会はその名に値しない」と述べ、「政治とは国民の生活を守るためにある。」との民主党の標語を逆手にとって、合意形成のルールづくりを提案、「民主党に、その用意はあるか」と迫った。
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