【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党分裂は国民の責任だ!「その都度支持」が停滞生む、松本論文を全有権者は肝に銘じるべき

2012年07月18日 06時14分19秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

 私たちが第21回参院選「逆転の夏」第22回参院選「反省の夏」で構成した参議院の第1会派と第2会派が、選挙を経ずして逆転する可能性が出てきました。第45回衆院選「政権交代の夏」で構成した衆院民主党からも離党者がさらに出る見通しです。この「離党ドミノ」は民主党支持者にかかわらず全国民の責任です。

 きょうの朝日新聞14面の声欄(東京本社発行版)に、三重県津市の62歳(おそらく1950年、昭和25年生まれ)の男性会社員の「投票したい政党がなくなった」という投稿が載っています。

 「秋口ともいわれる衆議院議員選挙で一票を投じたい政党が見つからない」と書き出しています。「3年前にさっそうと政権の座についた民主党。新しい何かが始まる、日本が変わるのではと、血わき肉躍るのを昨日のことのようにはっきり覚えている」。その一方で「分裂状態の民主党に対して自民党は国民そっちのけで衆院解散を迫り、我が身の再生に必死」、「公明党ももう一つ腰が定まらない」として、「本当に投票したい政党がない」。最後に「衆院選では、政治家個々人を見極めてもう一度、一票にかけたい」としめくくっています。すなわち、「党より人を」ですが、この人の選挙区でそういう選択肢があるようには思えません。

 政党から良い政治を与えてもらうという考えは乞食有権者です。有権者が自分の生活をよくするために政党をつくり育てていかなければいけません。「民主党支持でもない、自民党支持でもない無党派だ」というのはまったくもって無責任の極み。私のように、新進党や民主党は自分がつくったんだという自負がある有権者が少なすぎます。だから、与党から離党するという恥さらしが大手を振って英雄面しているのです。そして、与党の実績を次の衆院選で判断する選択肢が根こそぎなくなってしまう。そんなことの繰り返しです。

 2012年6月8日付の朝日新聞15面に、埼玉大学教授(政治意識論)の松本正生教授という方が、「中高年の世論 そのつど支持が停滞生む」という論文を寄せていました。この論文はぜひ、第46回総選挙に向けて、日本の全有権者が共有すべきいくつもの問題点をたくさん指摘しています。この松本論文を、私は別に民主党が負けても良いですけど、政権交代ある政治のために、全有権者に読んでもらいたいと考えています。個人、個人ではなく、松本論文が興味深ければ、友人に紹介したり、家族で感想を話し合ったりしてほしいです。

 著作権法第39条第1項の趣旨に鑑み、全文引用させていただきます。

[全文引用はじめ]

 朝日新聞 2012年6月8日付 朝日新聞 私の視点 中高年の世論「そのつど支持」が停滞生む 埼玉大教授(政治意識論) 松本正生

 ここのところ中高年層の政治意識の変動が目に付く。しかもその振れ幅は若年層より大きい。中高年層は数が多く、選挙の投票率も高い。振れが政治の不安定を招いているのではと危惧している。

 支持政党がない無党派層といえば若年層の代名詞だったが、いまや中高年層でも半数に達する。この傾向は小泉純一郎政権の頃に始まり、政権交代後も変わらない。年をとった無党派層が選挙のたびに軽々と投票先を変える。そんな「そのつど支持」が目立つ。

 具体的にみてみよう。2005年の衆院選(郵政選挙)と2009年の衆院選(政権交代選挙)で民主党に投票した比率の変化を年代別にみると、20代が14%→20%、30代が17%→30%に対し、50代は22%→42%、60代は21%→45%と伸び幅が大きい。

 また、2009年衆院選と民主党が敗北した2010年参院選の間では、20代が2ポイントしか落ちていないのに対し、50代は19ポイント、60代は17ポイントも下落している(以上、共同通信社トレンド調査から)。中高年層が若年層以上に、その場限りの選択をしているのは明白だ。

 中高年層の政治意識は選挙以外でも大きく動く。毎日新聞社の世論調査によると、鳩山由紀夫内閣から菅直人内閣に代わった際の内閣支持率は、20代、30代の上昇が20~30ポイント台なのに、50代では53ポイント、60代、70歳以上では49ポイントも上がった。菅内閣から野田佳彦内閣への交代時でも、中高年層の上昇ぶりが際立った。

 人は年をとるにつれ、社会とのつながりや付き合いを深めて保守化し、政治的な態度も固まっていくとされた。だが、終身雇用と年功序列の崩壊で脱組織化の風潮が強まり、無縁社会化が進んだ90年代以降、様相は一変した。

 地域の人間関係は希薄化し、一人一人が社会との接点を持たず原子化した。地方では、家に閉じこもってテレビを見るだけの中高年層が急増したと聞く。中高年層が保守化どころか、メディアを通じた風向きに楽々と影響されるようになったのは無理もない。

 政権交代を希求し民主党に投票したのに、1年も経たずに民主党から離反。投票行動は一時の選択として完結し、選挙が短期的イベントとして消費された。衆参のねじれを生じせしめ、政治の停滞を招いた最大の要因は、まさに中高年層のゆらぎ、よろめきにある。

 中高年層よ。アンチエイジングもいいが、政治に定見をもとう。選挙での選択に責任をもとう。民主党に投票したことの後味の悪さを、いったんじっくりとかみしめてほしい。次の選択のために、いま必要なのは自省である。

[全文引用おわり]

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