【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安住財務相、「10月末のお金1兆円」、 特例公債法案11月上旬メド示唆か

2012年07月26日 17時24分22秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 安住淳財務相は2012年7月26日(火)の衆院決算行政監視委員会で、特例公債法案をめぐり一般会計の執行状況について「9月末時点で39・3兆円(の総執行額)を見込んでいる」とし、10月単月の執行額が「5兆円ちょっと」だと述べ、あわせて45兆円ほどになるので、「(税収として見積もる46兆円に見合う歳出まで)10月末時点で、1兆円ちょっとになる」と述べました。自民党の河野太郎さんへの答弁。

 平成24年度当初予算は一般会計で90・3兆円の歳入及び歳出を計上しています。税収46兆円とあわせて、「平成24年度の特例公債法案(180閣法2号、衆院財務金融委員会に留め置き)」で44兆円の公債(うち財政法4条の特例による赤字国債は38兆円)を発行して、90・3兆円をまかないます。安住答弁によると、10月末で執行額が45兆円前後になることから、11月上旬には法律の成立が必要だと示唆したことになります。これは今国会(9月8日)での成立が必ずしも必要ではないことを示唆し、野党に話し合い解散の材料を与えないことを念頭においた可能性があります。二大政党党首が9月の党首選再選への環境が整いつつある中で、今国会での解散確約を封じ、3党合意による消費税法附則第18条を具体化する秋の大型補正予算の編成とそれに伴う秋の第181臨時国会召集をほのめかす極めて高度に政治的な発言である可能性が考えられます。安住さんは昨年の第177通常国会(震災国会)で民主党国会対策委員長をつとめました。

 政府は、国債の他に、財務省短期証券や、銀行からの借り入れなどをしています。現在、日本銀行の2月14日の金融緩和以降、市中銀行の日銀当座預金勘定へ預入額が一晩で42兆円前後と史上最高額になっており、お金の使い道にさまよっている状態であることから、地方交付税交付金などを銀行から借り入れることも可能ですが、基本的には11月上旬には成立させないと、キャッシュフローはできても、財政法や財政規律、財政法定主義などに大きな問題が生じることになります。国税を納めることが多い人は、46兆円の税収といっても、10月末時点で全額出納しているわけではないはずだと思われるでしょうが、これは国債の借り換え債や、財投機関債などで血液が循環する格好になっていますから、その中で、予算単年度主義などの財政法などの原則を守る上では、11月上旬というメドが生じることになるんだろうと考えられます。

 昨日は、日本銀行の山口広秀副総裁が今後の追加金融緩和に柔軟な姿勢を広島の講演で見せていることから、秋口にかけて、消費税法改正法案の附則第18条を具体化することなどを目的とした景気対策補正予算とあわせて、民自公3党のかけひきが活発になる可能性があります。

 第180通常国会は9月8日(土)で必ず終わります(衆院解散の場合はその日で終了)。仮に解散がない場合は、この特例公債法案の11月上旬というメドが秋の臨時国会召集と補正予算編成をかけたスケジュール感につながっていく可能性があります。

 基本的には、国難の折、特例公債法は早く成立させた方がいいです。この42兆円が日銀の金庫に眠っている状況は不気味であり、長期金利も空前の低水準(表面価格は高水準)ですが、不確実性リスクはけっきょく大銀行家が得することになります。政治も金融もシンプル・イズ・ベストです。

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保育所経営経験のある自民党中村博彦さん、「公立保育所の就学前教育はひどい」と指摘 一体改革特

2012年07月26日 08時53分14秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]質問する自民党の中村博彦参議院議員、2012年7月25日、参議院インターネット審議中継。

【参・社会保障と税の一体改革特別委員会 2012年7月25日(水)】

 総理入りの集中審議(NHK入り)が行われました。きょうは民主党の大久保勉次席理事(福岡)が質問に立ち、古本伸一郎・提出者(民主党衆院議員)との質疑答弁の中で、社会保障の安定財源確保のための消費税法改正法案の衆院委員会修正による附則第18条第2項について、「平成25年度予算も民主党が編成する」と宣言しました。日本国憲法の規定から、政府が予算を国会に提出することになっていますので、民自公で予算を編成するということはできません。

 自民党の次席理事も負けていません。中村博彦さん(全国比例、2016年改選)が質問に登場しました。当選2回勤続8年間で、与党時代には総務政務官を務めました。社会福祉法人の理事長で保育所経営者の経験があります。参院一体改革特別委員会は初日の審議で、民主党の前幼稚園経営者の藤谷光信さん(来夏改選)が質問に立っています(藤谷光信さん「私は幼児教育とともに半生を過ごしてきた」幼稚園の保育参入(認定こども園)で参議院らしさ)。

 中村さんは、全国的な保育所整備と待機児童に関するデータを見せて、岡田克也副総理は「たしかに資料を見ると、保育所(の量)が整っているところ(自治体)は、待機児童数が少ない」と感想を述べました。この指摘は、保育所の量を拡大することにより、待機児童対策をすべきだと主張することで、幼稚園の保育参入を牽制するねらいがあると考えられます。

 そのうえで中村さんは「子どもの人生にとって就学前教育はとても大事だ」と強調しながら、「公立の保育所(の就学前教育の体制)は本当にひどい!」と絶叫しました。これは、中村さんが経営していたような私立保育所を国の政策としてもっと増やすべきだという考えがあるのだと思います。これに対して、田中派以来、厚生省の保育所利権を得意とする自民党経世会(平成研)の田村憲久・衆議院議員は「最近の公立保育所の保育士さんはパートが多いのが実態です」と応じました。中村さんは「もっと福祉分野での求人を増やすべきだ」としましたが、田村さんは「付加価値の高い成長分野の求人を増やしたうえで、福祉分野の求人を増やす方が良い」と応じると、中村さんは「同じ政党でも考えにずいぶん違いがある」と新しい国会に戸惑いを見せながら、「田村さん、総選挙になったらあなた頑張ってください!自民党のホープなんだから」と民主党政権下では忘れられがちだった参議院議員のあるべき姿を見せました。

 なお、田村憲久さんについて、もっと詳しく知りたい方は、サイゾービジネスジャーナルの「新聞が報じない国会の裏側」に私が執筆していますので、ご覧ください。また、twitterやFaceBookのボタンを押して反響していただけると、とってもうれしいです。

 中村さんは「福祉分野の有効求人倍率が低い」とパネルを使って説明した後、なぜか川端達夫・総務相を指名。私の認識では有効求人倍率は厚労省、失業率は総務省が集計している(ただし毎月同日の同時刻に発表)ので、所管外だと思うのですが、川端さんは「人格形成の面からも就学前教育は大事だ」と応じ、ベテランらしい大人の対応を見せました。

 認定こども園について、現行法の「保育に欠ける子」を認定すると、市町村の負担が4分の1なので、4月は待機児童が少なく、12月には待機児童が多いという不思議な現象がおこることも分かりました。これは市町村が予算を使いたくないため、「保育に欠ける子」を認定しないということがあるようです。公明党の山本香苗さんの質問に、民主党の小宮山洋子内閣府少子化担当相が答えました。3党合意では、児童福祉法24条の「保育に欠ける子」は「保育が必要な児童」ということでパワーアップすることになります。私は幼稚園の保育参入を進める方がいいと思いますが、中村さんの「公立保育所の就学前教育はひどい」との指摘。何らかの声を代弁しているのでしょうから、気になるところです。ぜひこういったところも、残り少ない参議院の審議にしっかり反映させるよう、国民も声を挙げていきましょう。

 自民党からは7月31日(火)の中央公聴会の設定の提案がありますが、採決日程と絡んでかけひきが続いています。ただ、いくらなんでも来週火曜日の中央公聴会は急ぎすぎではないでしょうか。

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「小沢新党かすむ存在感」と読売新聞が報道 新進党解党者・小沢一郎

2012年07月26日 05時25分27秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして

 新進党を解党した小沢一郎氏が代表をつとめる「国民の生活が第一」(国民の生活が台無し)について、2012年7月26日付読売新聞は「小沢新党かすむ存在感」と報じました。きょうはちょうど、衆議院本会議での社会保障と税の一体改革法案の不正常採決から1ヶ月経ちますが、院の構成のやり直し、自民党から経緯を求められて衆参両院での予算委員会集中審議合計4日間開催などで、延長国会で法律が一本も成立しない異常事態になっています。すべては新進党解党者である小沢一郎氏の責任であり、小沢一郎氏に同調して法案に反対・棄権した恥知らずのせいであり、それを煽ったマスコミの責任です。小沢一郎同調者はことごとく歴史法廷の断頭台に送るべきだし、小沢一郎氏は八つ裂きにして、両手足がもがれた蟹にして、墓も荒らすべきです。

 ただし、造反者の中でも、反対票は投じないで党に残った、小沢鋭仁さん、篠原孝さん、福島伸享さん、宮崎岳志さんらは1ヶ月経ってだいぶ反省しているようですし、もう許してあげてもいいのかなという気がします。県連や総支部の考えですけど。ただし、こういうことをしでかす人は同じことを繰り返す傾向があることは紛れもなく憲政史が証明しているところです。

 読売新聞記事によると、結党2週間で、「党の一枚看板である小沢代表の発信は少なく、党の存在感はかすみがちだ。衆院選に向けて、所属議員の危機感が広がりつつある」としています。「また、小沢氏の妻が支援者に宛てた手紙で、東日本大震災後に小沢氏が『放射能が怖くて逃げだした』と指摘しており、『記者会見などを開いて、手紙の件を聞かれるのが嫌なのではないか』との憶測も出ている。『出無精の癖が出ているだけだ』との見方もある」と読売新聞は報じています。

 調査によると、国民の生活が第一の次期衆院選での獲得議席は5議席ほどにとどまるとの見通しもあります。さらに、小沢事務所は資金繰りのために所有する複数のマンションの売却をめざしていますが、安価な賃貸オフィスビルへの移転の動きが続いており、難航しているという分析もあります。小沢一郎さんが顧問をつとめて資金提供を受けている新興宗教団体教祖が経営する会社は、亀井静香さんも顧問として給料を支払っており、「お金が大好きな小亀は同じ穴の狢(むじな)だ」との指摘もあります。この件には、警察OBである亀井静香氏と国家公安委員長経験者である小沢氏を逮捕を含めて立件することで、自らのクリーンさをアピールしたい捜査当局が重大な関心を持っているとの見方をする人もいなくはありません。ただし、亀井静香氏は、国民の生活が第一の財務委員長(総務省届け出団体の会計責任者)である参院議員と衆院選挙区の地盤が重なることから、小亀連携はないのではないかとの見通しがあります。政党助成金の受給も来年4月22日以降になる見通しで、各議員には「私設秘書や総支部スタッフを解雇して人件費を節約するように」と指示されたとしています。 

 新進党を返せ!新進党を返せ!新進党を返せ!返せないなら腹を切れ。小沢一郎を歴史法廷の断頭台に送り、手足がもがれた蟹にし、「ごめんなさいでした」と泣き詫びさせましょう。また自民党幹事長室長や小沢和子さんが指摘するように、20年以上前に京都に頻繁に出かけていた理由を証人喚問で根掘り葉掘り聞く必要があります。小沢一誠(おざわ・かずまさ)さん36歳が父を見限った理由についてもインタビューで聞きたいところです。

 新進党解党により、日本国民の世帯年収(父、母、子2人)は100万円減り、国民1人あたりの国の借金(赤字公債や地方交付税の銀行借り入れなど)は500万円増えました。小沢一郎の息の根を止めるんだ。歴史法廷の断頭台に送るんだ。そのためには、理由はなんであれ、小沢一郎氏とともに、一体改革法案に造反した議員は、消えていただくしかありません。

 「小沢一郎がいないと食べていけない」マスコミも同罪です。

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