【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院に女性だけの会派が誕生 「みどりの風」

2012年07月17日 21時40分19秒 | 第23回参院選(2013年7月)二番底

[写真]参院会派「みどりの風」を結成するとした、左から舟山康江さん、谷岡郁子さん、亀井亜紀子さん、行田邦子さんの4参院議員、2012年7月17日、参議院、筆者撮影。

 2007年7月29日の第21回参院選「逆転の夏」で野党・民主党の公認や推薦で初当選した女性参議院議員4人が新会派「みどりの風」を結成すると、発表しました。記者会見に行ってきましたが、女性だけの会派は憲政史上初めてなので、新鮮に感じました。行田さんは「小沢さんの新党とは連携しない」と断言しました。民主党籍の3人は、2012年7月17日(火)の午後1時に輿石東民主党幹事長(参院議員会長兼務)に離党届を提出したとしました。輿石さんは午後5時からの定例幹事長記者会見で「離党届は預かった」としています。これにより、民主党・新緑風会と自民党・たちあがれ日本はわずか2議席差となり、第1会派と第2会派の逆転の可能性が出てきました。平成になって以来、参院は第1会派が過半数を持たない状態が続いており、今後も抜本的に選挙制度改革(ルールの変更)がない限りは同様の状態が続きます。ぜひ、民主党は除籍にせず、是々非々で「みどりの風」との法案ごとの連携をめざしてほしいと考えます。

 「みどりの風」を結成したのは、埼玉選挙区の行田邦子さん、愛知選挙区の谷岡郁子さん、山形選挙区で元農水政務官の舟山康江さん、島根選挙区で元国民新党政調会長で現在無所属の亀井亜紀子さんの4人。行田さんと谷岡さんは、3人区で民主党の「2人目」の扱い。行田さんは山根隆治・外務副大臣、谷岡さんは大塚耕平・元厚労・内閣府副大臣とともに改選する上、自民党に加えて、前回と異なり、ともに公明党の40歳代の男性元会社員が新人候補として立つので、普通に考えれば4番目・次点になると考えるのが妥当。1人区の山形、島根選挙区は長年自民党が議席を持っており、逆転の夏で、舟山さん、亀井さんが勝ちましたが、第22回参院選では自民党が議席を回復しています。そのため、来夏に向けて再選戦略をとるとともに、残り1年間で党議拘束がない自由な会派で思い出作りをしたいとう両にらみであると考えられます。

 亀井さんはすでに衆院無所属の亀井静香さんと相談しているとし、他の衆参議員に働きかけていきたいとし、「あと1人で(5議員となり)政党になる」としましたが、谷岡さんがマイクを取り、「いえ(みどりの風は)政党ではなく会派です」と言い直す場面がありました。広い愛知選挙区の谷岡さんは、完全無所属では闘いにくいと考えているものと思われます。政策として行田さんは「非正規労働」、谷岡さんは「脱原発」、舟山さんは「反TPP」、亀井さんは「消費税増税阻止」を挙げるなどバラバラぶりを示し、「党議拘束がない参院らしさ」「4人代表制」を裏付けました。

 なお、参院比例代表にミニ政党で「女性党」が出ていたことがありますが、あれは、訪問化粧品販売の「アイレディース化粧品」を展開する「アイスター」が組織固めをかねてやっていた政党です。衆院では個人的に、今の民主党議員を応援していた党員もいたようです。

 「みどりの風」は第1回参院選後の会派「緑風会」にあやかったとしています。緑風会は有名な作家の山本有三参院議員らがいました。皇后陛下は民間人のころ、山本有三の「日本小国民文庫」を楽しんだと回想しています。

 第1回国会(特別国会)で緑風会は92議席で、定数250のうち、第一会派でした。第2会派は社会党です。参議院は女性が活躍しており、この第1回国会の参法第1号は女性議員が出しています。現在の国会法は議員立法は参院では1人以上の提出者と10人以上の推薦者が必要ですが、当時は1人で出せました。これが緑風会の小杉ィ子(こすぎ・いね)議員で、「青少年禁酒法案」を出しています。これは昭和22年7月28日に提出し、翌日厚生委員会に付託され、審議未了廃案になっています。第2回通常国会にも第1号議案として出しましたがこれも審議未了で廃案。その後、小杉議員が入っているかどうか分かりませんが、第6回国会の参法1号として「青少年飲酒取締法案」、第7回通常国会で「青少年飲酒防止法案」が連名で出ました。このように、青少年禁酒法案→青少年飲酒取締法案→青少年飲酒防止法案とタイトルがソフトになったおかげか、第7回国会参法第1号「議案は、昭和25年4月7日に参院で可決しましたが、衆院で審議未了廃案となりました。

 この小杉ィ子さんは兵庫県出身の看護師で全国区で当選していましたが、当選は第1回参院選の1回だけだったようです。4人は来夏の参院選どうなるでしょうか。

[お知らせ]

 衆議院解散の日程を別ブログで解説しています。

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[お知らせおわり] 


今後の政治日程を更新しました 総理「4~6月GDP速報で補正編成を検討」から浮かび上がる驚くべき日程

2012年07月17日 07時31分45秒 | その他

今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行を更新しました。

 昨日のフジテレビ番組で、総理が4月~6月のGDP速報を見て、秋の大型補正予算の編成を判断するとしました。これを落とし込んでみたら、驚くべき日程が浮かび上がりました。総理はたいしたものです。


参議院の一番長い夏が始まる 附帯決議で存在感を示そう 

2012年07月17日 07時23分30秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 おはようございます。

 九州北部豪雨で死者(行方不明者)が30人前後となりそうですが、原発停止にともなう、工場や電力会社の火力発電フル稼働の影響もあるように私には感じられます。

 さて、3連休明け、寝苦しくて睡眠不足、胃袋にも疲れが来ているという人も多いでしょうが、国会は参議院の一番長い夏を迎えます。

 あす水曜日、木曜日のNHK入り審議から、さあいよいよ、社会保障と税の一体改革関連8法案が実質審議入りします。実質審議入りとは、趣旨説明はすでに終わっているけど、質疑応答が始まったときに使う新聞用語です。

 おそらく金曜日も一般質疑をやるでしょうから、一体改革漬けの日々がお盆前後まで続くことになります。 参院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(高橋千秋委員長)は40人で構成しています。

 答弁者は、岡田克也一体改革相、安住淳財務相、小宮山洋子内閣府少子化担当相(兼)厚労相、川端達夫総務相の4人でいずれも衆院議員。答弁を補佐する副大臣もおおむね衆院議員です。また法案提出者や修正者として答弁するのは、すべて衆院委員会での法案修正なので、すべて民主党、自民党、公明党の衆院議員となります。衆院側では議運理事や各党国対が「0増5減の定数是正法案」、「平成24年度特例公債法案」、「年金交付国債法案(の撤回と代替案)」の3点セットで国対や委員会理事の協議が続きます。

 一方で、それ以外の与野党衆院議員と参院の40人の一体改革特別委員をのぞく、党幹部でも政務三役でもない与野党数百人は開店休業になります。全員が顔を真っ黒にして地元を回ります。

 不正常採決と小沢グループ新党「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)をめぐる一連の消費税政局はこの3連休で鎮圧できたと見ています。やはり私たち鬼が勝ちました。

 さあ気分を変えて、これからは参議院です。

 私は参議院が大好きです。

 一体改革では附帯決議をやってほしいですね。

 衆院段階で積み残した、公的年金の最低保障機能強化法案の附則第1条の施行期日を、運用面で前倒しするよう政府に努力を求めたり、修正法案に数字が入っていない、消費税増税時の低所得者対策で対象や給付額について幅を持たせながらも具体的な数字を入れるということも、参議院らしさになるでしょう。本会議の代表質問で、複数税率について自民党が10%時以降を示唆したのに対して、公明党が8%時に必ずやるべし、との質問演説をしています。この辺の妥協点を盛り込んでもいいし、難しいのなら、何もしなくていいかもしれません。また、公明党がここに来て、「事務負担が少ない日本型インボイス」を提唱していますので、それを入れてもいいでしょう。認定こども園法改正案(衆法)については、本会議では自民党の元厚労副大臣、田村憲久さんが趣旨説明しましたが、委員会では公明党の元文科副大臣の池坊保子さんがやりました。この保育族(厚労族)と幼稚園族(文科族)の対立。特別委員会では、互いの相違点を正直に答弁しながら、最終的に幼保一元化・幼保一体化に向けて法案審査を仕上げるのがいいでしょう。

 鳩山・鹿野グループによる民主党内中間派の不首尾なふるまいは、この3連休で鎮圧できたと思いますが、ちょっと書きたいことを書かせてください。

 参院では附帯決議を付けるかどうかがポイントになります。民主党の鳩山由紀夫衆院議員ら「消費税研究会」が参院での再修正を主唱していますが、これは憲法違反も甚だしいところで、国難の折、強く自重を求めます。消費税研究会や素交会(鹿野グループ)に属する長野1区の篠原孝なる衆院議員はきょう未明に更新したブログで「(党議拘束が当たり前だという考えが)都道府県議会、市町村議会にまではびこっている」としていますが、ホントウに村議会に党議拘束があるんでしょうか。私とは認識が違います。篠原議員は委員会で賛成、本会議で棄権したただ一人の議員です。昨日のブログでは「有権者からは訪問の際に罵倒されることもあり、また、メールと電話でも相当なきつい意見をいただいている。私のとった政治行動であり、批判は受けて立つしかない」と厳しい声を紹介。しかし、長野1区の有権者に対して「信毎の記事をさらっと読んでいるだけの皆さんには、どうも私の「棄権」は敵前逃亡と映っているらしい」とあり得ない暴言を書いています。無礼千万も甚だしい。信毎とは信濃毎日新聞のことで、これまでは対抗馬の自民党・小坂憲次さんのいとこが社長ということで篠原さんに手厳しいという意味合いがありましたが、小選挙区選出の与党の副大臣経験者になると、ずいぶんえらくなりましたね。別のエントリーでは、他の議員を実名で書いて、吐血して入院したと書いています。いやー篠原先生、大物ですね。羽田孜さん、北澤俊美さんと政権交代ある二大政党政治を進めてきた衆院民主党幹部関係者は「篠原孝さんと(略)さんが中選挙区議連をやっているが、中選挙区では落選する。中選挙区では支持者の叙勲(を総理府・内閣府に要請するの)も与党内では順番だった」とし、「篠原さんは小選挙区でしか受からない」と指摘しています。

 長野県では参院議員のいすが連続して空く可能性もあります。鳩山由紀夫先生と篠原大先生は、衆院議員向きでないので、参院議員に転出したらいいでしょう。

 長崎県のマスコミも大変です。昨日の夕方のフジ系列の安藤優子さん木村太郎さんの「FNNスーパーニュース」の野田佳彦首相(民主党代表)が登場。これに系列各局のアナウンサー、記者が東京出張して質問しました。北海道文化放送の記者は「鳩山由紀夫さんの公認すべきかどうか、今ご自身のお考えをお聞かせ下さい」と質問し、総理は「ご自身の意見はないんですよ。私は党代表ですから党の手続きに従うだけです」と答えました。続いて、テレビ長崎の女性アナウンサーが「福田(衣里子)議員が結局消費税の増税しか決まっていないということで(一体改革法案に)反対票を投じました。国民からも増税ありき、社会保障は置き去りという声も挙がっていて、もし増税するなら、なぜ増税するのかもっと国民に説明をして、増税したら何に使うのか分かりやすく説明をする必要があると思うのですが、総理はどうお考えですか」と質問し、総理は「今ご指摘の事が一番の誤解ですよね。増税だけ決めている。そういうことではありません」とピシャリ。アナウンサーは涙顔になりました。県選出の福田議員が造反したと総理に質問し、総理に「それが一番の誤解だ」と言われ、全国ネット生放送で、涙顔が放送されてしまいました。親戚一同のご自慢の娘さんだったろうに。祝日で全国の親戚が注目する中、かわいそうなことになっていまいました。総理が政治生命をかけた法案に造反するとこれだけたくさんの人が迷惑をかけるんですね。福田議員はまめに地元を回っているという情報がありますから、今日中に長崎市内のテレビ長崎を訪れ、このアナウンサーに謝罪するんでしょうね。長崎の放送局のアナウンサーが日々の業務があるなかで、私のように法案を精査したり、審議を9割方聞いたりしていられませんよ。その点では一期生の福田衣里子さんの裏切りは取り返しがつかないし、たぶらかした鳩山グループ(政権交代を実現する会)の初鹿明博さん(東京16区)は切腹すべきです。また、私たち野田民主党主流派の仲間であり、一体改革特別委員を務めた柚木道義さんが消費税増税法案だけ先に採決されるかのような、めちゃくちゃな見通しを示したことにも大いに猛省し、代議士としての出直しを期待したいところです。

 なお番組では、日枝久・フジサンケイグループ総帥(フジテレビジョン会長)がうやうやしく総理を出迎えるシーンも放送されました。

 人の悪口はこれくらいにして、早く、再考の院(私は最高の院だと思っていますが)参議院に思いを馳せたいのですが、もう一つ。

 読売新聞です。きょうの4面「政なび」で林博英さんというおそらくデスクないしは官邸長(首相官邸記者クラブキャップ)が、岡田克也副総理をぼろくそ書いています。それはそれでいいでしょう。このように書いています。「ただ、同じ官邸内で、岡田副総理への官僚の不信が強いことが気にかかる。一つの原因は、来年度の国家公務員新規採用の大幅抑制(2009年度比56%減)を巡り、岡田氏は各省次官を官邸に呼びつけ、消費増税のためと言い続け、優秀な人材の確保を危うくする、との異論に耳を傾けなかったことにあるという。同じ屋根の下ゆえ、岡田氏の問答無用式の政治主導を首相が黙認していたと受け止められても仕方ない。これでは、いくら礼を尽くしても、政官の信頼は回復しない」としています。

 ところで、政策情報ポータルを使って、調べると、7月になってから、岡田副総理の定例記者会見で、読売新聞の質問が0回であることが分かります。朝日新聞が14回質問しているのと対称的です。読売新聞の直近最後の質問は、6月29日の後ろから2番目に「読売新聞の有光です。先日の会見で交付国債の取り下げで補正予算案編成する必要があると。できれば、今の国会で対応したいという御発言があったと思いますけれども(後略)」との質問が最後です。ちなみに、この先日の会見とは、6月22日の記者会見です。そして、「(3党合意による)年金交付国債の取り下げで補正予算を編成する必要がある、できれば今の国会で対応したい」との応答を質問したのは筆者であり、岡田さんは「宮崎さん、いい質問しましたね」とまで言っています。これは、翌週に迫った政権の命運をかけた採決を前に筆者を取り込む考えもあったはずですが、私は当然にして、取り込まれないけど、取り込まれてもかまわない。民主党主流派、野田・岡田民主党と心中する心構えはできてます。これら一連の岡田さんの報道対応に反発しているのなら、あまりにも大きさは非対称だけど、私は読売新聞政治部の敵になってもかまいません。もちろん、読売新聞社が私を嘱託にして衆議院・参議院規則223条の記者章を衆参事務総長に依頼してくれるのなら話が別ですが、しょせんは無報酬のボランティア記者の筆者。当たり前すぎる質問をして、副総理は当たり前すぎる答えをしただけです。3党合意は6月15日であり、2月の予算審議から、年金交付国債を削除したら補正予算になるという落とし所を自民党の加藤勝信さんが蒔いたのです。私はより多くの読者を持つ既存メディアに配慮し、1週間自重して6月22日に質問しました。さらに、自分では書かずに、既存媒体に譲りました。いわゆる書き得ですが、やはり職業としての記者に譲りました。番記者取材と恒常的な夜回りは、完全に時代遅れになっています。この国難で、時代の流れに半歩遅れるとあっという間に消えてなくなります。それでも読売新聞政治部記者がその程度のことが分からずに八つ当たりをするのなら、私は渡邉恒雄さんを尊敬していますが、私を撃ってもらってかまいません。

 私が6月から予想したとおり、消費税政局は鬼が勝ちました。私は日本国の未来と心中します。そのような重大な決意をもった3連休明けの朝でした。

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