【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

小沢一郎新党「7月11日」結党は日本国憲法59条への挑戦だ 60日規定骨抜きで参議院優位をねらう

2012年07月04日 16時55分49秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 小沢一郎氏が首謀した衆議院本会議での消費税増税法案造反劇による空転国会は8日目(6営業日目)となりました。関西電力大飯原発再稼働、ロシア首相の北方領土国後島訪問についての関係委員会の一般質疑(衆議院や参議院による国政調査権の発動)もできない状況が続いています。

 民主党を離党し、民主党・新緑風会を離脱した広野允士参院議員ら12議員は2012年7月4日(水)、新会派「国民の生活が第一」の結成届を参議院事務総長に提出しました。これで、参議院の院の構成をやり直せることになりました。民主党・新緑風会、自民党・たちあがれ日本、公明党に次ぐ第4会派に。みんなの党を1議席上回ります。みんなの党は、参議院予算委員会(柳田稔委員長、45人)に理事を一人出しています。このNHK中継がある参議院予算委員会の質問時間を割りふる理事は、みんなの党にとっては党の存亡にかかわると言っても良いくらいの重要ポスト。民主党を1人減らして、「国民の生活が第一」に渡すことになるのか。これらも含めて、全常任委員会・特別委員会でやり直しが必要です。

 一方、衆議院では、小沢新党は第3勢力に躍り出る見通しですが、会派参加者が確定せず、会派結成届が提出されず、院の構成ができない状態が続いています。

【追記 2012年7月4日午後5時半】

 小沢一郎氏ら37人の衆議院議員は4日、衆議院会派「国民の生活が第一・無所属の歩」を衆議院事務総長に提出しました。公明党21人を大きく上回る第3会派に進出します。公明党は現在、特別委員長ポストを2つ持っており、その辺もどうなるか調整が必要になってきます。【追記おわり】

 そんな中、許せないニュース速報が入ってきました。小沢新党(名称未定)の結党大会を2012年7月11日(水)に開くという話です。

 7月11日は「セブン・イレブン」ということで、日本では馴染みがあり、覚えやすい数字。第22回参院選(反省の夏)が2010年7月11日だったことから、衆参ねじれ2周年になります。これは、輿石東さんにとっては、与党でありながら衆参ねじれということで、彼にとっては存在感が高まった記念日だというのが、腹の内でしょう。

 そして、今第180通常国会の延長会期末は2012年9月8日(土)です。この日から逆算して、7月11日は60日前となります。小沢新党は非常に挑発的だとしかいいようがありません。国会では主要政党の党大会当日は国会を開かないという慣例があります。

 なかなか、この2年間理解しもらえなかったのですが、今は憲法の空白状態となっています。

 日本国憲法60条は、

 「予算について」「参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」とあり、予算案は衆議院通過後30日間たてば、衆議院の議決が優先します。

 日本国憲法59条は、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができ」、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる」とあります。

 つまり、政権与党は参議院で過半数を持たず、衆議院では過半数を持っていても、3分の2(320議席)にははるか及ばない議会構成です。この「参議院で過半数がなく」「衆議院では過半数があるが3分の2はない」場合の規定が憲法にありません。すなわち、憲法が想定していない議会構成が、この2年間の第45期衆議院第21期第22期参議院です。きわめて危険な憲法の空白状態にあるのです。その中で、私たちは東日本大震災・原発爆発という歴史局面を迎えたのです。だから、2009マニフェストは3党協議で修正しながら前に進めないといけないのです。お願いですから分かって下さい。三宅雪子衆議院議員ら、小沢グループ衆議院議員がこのことを理解していないことはまったくもって国会議員失格です。

 そこで、小沢新党が7月11日に結党大会を開くということは、院の構成は7月12日以降になります。7月11日の衆議院本会議で通過させた法案は、9月8日の延長会期末の衆議院本会議で動議を出せば、憲法59条で、再可決・成立・公布することができます。

 こういう風に言うと、「消費増税法案など一体改革法案はすでに衆議院を通過しているからいいではないか」、「特例公債法案はいずれにしろ、会期末ギリギリになるだろうからいいのではないか」と言う人がいるでしょうが、それは甘い。そうやって60日規定という伝家の宝刀を衆議院民主党および3党協議体制から奪い去るのが小沢一郎氏のねらいに違いありません。すなわち衆議院3党協議vs参議院という、憲法をかけた闘いが、今の国会の現状です。

 第46回衆院選公示の前提条件となる定数是正法案を7月11日までに衆議院民主党と衆議院自民党の2会派が強行的に衆議院本会議を通し、9月8日の衆議院本会議で3分の2再可決すこともできなくなりました。

 この「衆参ねじれは直近の民意」、「現在の国会の構成は憲法が想定しない空白状態」、「3党協議は衆議院と参議院の闘いだ」ということをご理解ください。

 ですから、3党協議で2009民主党マニフェストを修正して前に進めることしか方程式の答えはないのです。

 うんざりしないで、ぜひ刮目してください。憲法の敵、民主の敵、小沢一郎を倒しましょう。この政局は鬼が勝つ。

 まとまりましょう。

 それではまず自民党方式で。

 日本国バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!

 次に公明党方式で。

 さあみんな小沢新党への大勝利をめざして勝ちどきをやろうじゃないか~!? エイエイオー、エイエイオー、エイエイオー、闘いましょう!

 最後に民主党方式で、

 日本国民団結、ガンバロー!(ガンバロー!)、ガンバロー!(ガンバロー!)、ガンバロー!(ガンバロー!)

  頑張ろう・・・

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