宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

長妻昭さんがパネルで答弁 閣僚も使うべきだ! 参・一体改革特、順調に審議進む

2012年07月25日 18時32分29秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]パネルを使って答弁する長妻昭さんと(右)とパネルを持つ白石洋一(左)両民主党衆議院議員、参議院社会保障と税の一体改革に関する特別委委員会、2012年7月25日、参議院インターネット審議中継から。

 参議院社会保障と税の一体改革特別委員会(高橋千秋委員長)は順調に審議時間が積み重なっています。

 2012年7月25日(水)の委員会では、民主党の法案提出者(法案修正者)である長妻昭さんがパネルを使って答弁する場面がありました。パネル持ちはは同じく法案提出者で民主党1期生衆院議員の白石洋一さんが務めました。

 この日の審議では、安住淳財務大臣が民主党の梅村聡参院議員が提示した資料を見て、「やはり(消費税率と所得税の)逆進性とか、給付つき税額控除という言葉が浸透していないので、しっかり説明していかなければならない」と答弁しました。ぜひ、安住大臣がパネルを持ち、野田佳彦総理が説明する場面を見たいものです。世論の納得は一気に進むでしょう。本気さは態度で伝わります。

 ただ、長妻さんは答弁が長広舌ですね。

[お知らせ]

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[お知らせおわり] 


総理はやっぱり新進党? 群馬はやっぱり一太さん 山本元外務副大臣にみる古き良き自民党

2012年07月25日 08時31分18秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]自民党の山本一太さん、参議院ホームページから。

【参院予算委員会 2012年7月24日(火)】

 平成24年度予算の執行状況に関する集中審議があり、NHKで中継されました。

 この中で、みんなの党の江口克彦参院議員(全国比例2016年改選)の質問に対して、総理の野田佳彦さんが「私は民主党の明日の内閣の財政担当をやっていました」と誤答弁する場面がありました。1月に政権担当能力強化のためにバージョンアップしたわが党の党規約の第10条は、「本党が政権党の任にない場合、党の政策に関して審議、決定するため、『次の内閣』(ネクスト・キャビネット)を設置する」とあります。では野田さんはなぜ「明日の内閣」と誤答弁したのでしょうか。これは、新進党が明日の内閣(トゥモロー・キャビネット)をつくっていたからでしょう。

 英国方式の影の内閣(シャドウ・キャビネット)の導入は日本社会党の田辺誠党首、山花貞夫党首の時代から始まりました。新生党が下野後に明日の内閣を作り、羽田孜トゥモロー首相(党首)が新党さきがけに組閣のあいさつに行ったときに、鳩山由紀夫代表幹事が「いつまでも明日の内閣でいてください」と軽口を叩き、羽田さんが激怒したということを聞いたことがあります。羽田さんは意外とかんしゃく持ちなんですよね。

 新進党解党により流れを読み違えた小沢一郎氏が野党第2党のミニ政党なのに意地を張り、衆議院第1議員会館の地下1階に「自由党明日の内閣」という看板を出したときには、私は腹を抱えて笑いました。名簿を見ると、野田毅さんが「党幹事長(兼)トゥモロー財務大臣」というあり得ない兼務をしていて、ミニ政党の悲哀を感じました。そういった政権交代可能な二大政党政治への強い思いが、野田さんをして「明日の内閣」と言わせてしまったのでしょう。気持ちは分かります。これには、自民党の山本一太筆頭理事からも見過ごす雰囲気があったように感じました。谷垣自民党は「影の内閣(シャドウ・キャビネット)」を本格的に日本に導入しました。政権交代後はなるべくそのままリアル閣僚に移行してほしいですが、国政復帰組にも配慮しないと党の求心力が失われる可能性があるので難しいところもあります。少しずつ、しっかりと根付かせていきましょう。ところで、先日、与党時代に官房報償費(機密費)を差配した経験もある、自民党選挙対策責任者が国会内の「タリーズコーヒー参議院支店」で支部長らしき中年男性と懇談していて驚きました。なぜあんな立派な党本部があるのに、タリーズコーヒーなのか?これはひょっとしてはじめからタリーズコーヒーを指定することで、「氷代は渡さないよ」という意思表示だったのでしょうか。支部長らしき中年男性のカバンは小さかったような気がします。カバンの中でも歴史の本や経済指標の読み方や租税学、新・国会事典でも入れておいた方が氷代より肥やしになるでしょう。まあ、当選して、同時に与党議員になれば、肩の荷はずしりと重くなるでしょうが。自民党も変わってきたのかな。

【参院予算委員会 2012年6月13日(水)】

 その山本一太さんも早いもので来夏の第23回参院選で群馬選挙区(定数1)で改選を迎えます。第21期参議院では、外務副大臣。政権交代を経て、参議院自民党政審会長、予算委員会筆頭理事と武闘派ぶりを発揮してきました。ことしは民主党が結党以来持っていた12年連続、当初予算年度内成立がとぎれ、4月5日(木)成立となりました。しかし、そんな一太さんですが、野田総理の誤答弁に対して、古き良き自民党らしい武士の情けを示す場面がありました。

 6月13日(水)のテレビ入り集中審議です。

 野田総理は保守色を強めており、たいへん素晴らしい。党内のリベラル勢力など一気に排除する勢いで、健全なる保守政党としての民主党をつくっていってほしいと思いますが、尖閣諸島に関する大使の発言に対する、一太さんの質問に次のような誤答弁をしてしまいました。

国会会議録データベースから引用はじめ]

 内閣総理大臣(野田佳彦君) 尖閣につきましては、国際法的にもあるいは歴史的に見ても、我が国固有の領土であることは間違いございませんし、事実、有効な支配をしております。したがって、領有権は存在しません。領有権が存在しないことを前提に……(発言する者あり)失礼しました、領土問題、領土問題は存在をしません。その問題が存在をしないことを前提に考えるならば、これは、大使の発言というのは適切ではなかった、政府の考えではないということでございます。

○山本一太君 いや、総理、十分ちょっと言葉には気を付けていただきたいと思いますが。 そもそも、適切ではないと言う前に、総理はこの大使の発言が日本の国益を大きく損ねたと、こういう認識はおありでしょうか。

[引用終わり]

 言うまでもなく、千島樺太返還条約など有効な国際法上明々白々に我が国の領土でありながらソ連・ロシアの違法占拠・実行支配がつづく北方領土と違い、尖閣諸島は我が国の領土であり、我が国の行政権の支配下にあります。ですから、領海や排他的経済水域などへの挑発的な権利侵害行為があったにしても、領海問題であり、領土問題はまったく存在しません。ところが、総理は「我が国に領有権が存在しない」というとんでもない誤答弁をしてしまったわけです。ここで一太さんは一気にヒートアップさせるのかなと思いきや、「いや、総理、十分ちょっと言葉には気を付けていただきたいと思いますが」のひと言で、この場を収めました。NHKのBSは、中国、台湾、韓国、北朝鮮、モンゴルなどでも受信できます。外務副大臣経験者らしく、党利党略よりも国益を優先した対応だったといえるでしょう。健全たる保守政権政党としての古き良き自民党を思わせるものがありました。

 山本一太さんは二世議員で、お父さんは将来の参議院議長は確実と言われながらも、農相を経て、参議院自民党幹事長時代に66歳で亡くなった山本富雄さんです。山本さんというと、農相から党に帰った後、政務調査会の総合農政調査会長に初めて参議院議員として就任し、「すごい」と言われました。「食管農政(食糧管理法にもとづく農政)」による政府の買い入れ保証、および米価審議会による毎年の価格保証とそれをめぐる自民党ベトコン議員の跳躍で、大赤字となった食管特会を立て直すために、減反をしながら自主流通米を認める「総合農政」に転換したときで、まさに自民党政治の真骨頂として利害関係の調整を問われるポストでした。しかし、ストレスもあってか66歳で亡くなりました。ところで、第45期衆議院ですが、政権政党では75歳の議員が2人(西岡武夫さん、大石尚子さん)亡くなりましたが、75歳未満の国会議員は誰も亡くなっていないですよね。第43期衆議院では元新進党で自民党の永岡洋治衆院議員が郵政解散の7日前に54歳で亡くなりました。第44期衆議院では、松岡農相が62歳で亡くなりました。

 ところがどっこい、民主党政権になった第45期衆議院では、75歳未満で亡くなった人は一人もいません。本当にやる気があるんでしょうか。私が勤めていた日経新聞社では、2~3ヶ月に1人、60歳未満の記者経験者が亡くなりましたよ。入社直後には、他社の30歳代の記者が膵臓ガンで亡くなりました。お話ししたことはありませんが、首相官邸記者クラブのソファで「痛いよ」「明日検査に行くんですよ」と言っていてすぐに亡くなり、橋本龍太郎首相がワシントン訪問同行時の思い出を番記者に話していました。明くる朝一番でも、他の記者が質問を用意していましたが、それを遮り、回想しました。ただし、この首相動静は残念ながら、配信されず、当時ほぼ100%のやりとりを乗せていた産経新聞にも載っていません。入社時に部長を入れてわずか28人の所帯だった日経政治部の先輩である山本拓記者も脳卒中の後遺症に悩みながらもついに44歳で亡くなりました。私も死にかけましたが、私は同社にしては極めて珍しい有産階級者ということもあり、生還することができ、こうしてのんびりとブログを書いています。民主党は本当にやる気があるんでしょうか。政権に命懸けで取り組んでいるんでしょうか。いくら体力自慢の国会議員でも、政権の重荷の前に、3年間で75歳未満の議員が誰も亡くなっていないというのは、その本気さに疑いを持たざるを得ません。誰も死にもしないのに、消費税反対、反TPP、脱原発じゃないだろ。ふざけんな。誰か死ねよ。政治というのは命懸けなんですよ。

 さて話は戻ります。一太さんの質問は、お父さんが命を削った「牛肉・オレンジ」など農産物の貿易に関する話になりました。言うまでもなく、TPP(トランス・パシフィック・パートナーシップ条約)に関してです。

国会会議録データベースから引用はじめ]

○国務大臣(郡司彰君) これはTPの議論ということの内容をお話を申し上げました。今……

○山本一太君 TPって何ですか。TPじゃありません。
○国務大臣(郡司彰君) あっ、PTでございます。経済連携に関するプロジェクトチームの内容でございまして、私もそこの役員をしておった関係から、このPTでの結論というものが会期末までに出るのではないか、つまり経済連携のプロジェクトチームとしてTPPに参加をするしないということをそこまでに決めるんですかと、こういうようなことでございましたけれども、私は、一定のところでそこまでの集約点をまとめるということについては、それはやっぱりやるべきだろうという話をした。しかし、PT、失礼しました、TPPそのものの参加をするしないも含めてその交渉の権限そのものは、これは政府の方の専権の事項ということに私は思っております。
 したがって、PTの方のその集約点とTPPに参加をするしないという政府の、PTの考え方の集約点とTPPに参加をするしないという政府の方針の決め方というのはおのずから異なることがあるというふうなことを申し上げたつもりでございます。
○山本一太君 農水大臣、TPPとPTと何度も間違えないでくださいね。

[引用終わり]

 このように、民主党政策調査会の部門会議の下に置かれているプロジェクト・チーム(PT)について、TPPのPTと言うべきところを郡司農相は「TP」と略してしまい、入閣直後ということもあり、言い間違えてしまいました。しかし、民主党のPTも、たしかに政権の課題に直結しているものが多いです。特命事項ということならやる気がでるでしょう。しかし、部門会議もいいですが、もっと自分で勉強しないといけないですよ。将来のためになりません。郡司さんは一太さんと同じ参議院議員だし、隣県の茨城県選出ということで、若干厳しい対応になり、「農水大臣、TPPとPTと何度も間違えないでくださいね」と指摘し、TPP交渉能力がない新閣僚ではないかと総理に問い質します。私は、郡司さんは立派に交渉能力がある農相だと考えています。なによりもねばり強いし、かなり芯の通った政治家ですから、国内外のさまざまな圧力の妥協点を見つけることができると考えます。みんなでTPP成功に向けてダッシュするしかありません。政治は命懸けです。私もこうして、政権党主流派にいられるのも1ヶ月~1年間ぐらいかもしれません。本当に命を懸けて、一体改革の成立に向けてがんばっていきます。仕分けされちゃった人から、いろいろと(おそらく)悪気はないと思われる妨害を受けることもなくはありません。具体的には、小沢氏を支持していたことが誤りだと気付きつつも、それを認めようとせず、自己正当化したい人が私に難癖を付けてきます。宣言します。置き去りにします。そのような余裕は我が国にございません。ちょっと乱暴に当分は走り続けようと覚悟しています。だいたい何が正しくて、何が悪いと行司役ができる人は今いませんからね。だったら走るしかないでしょう。すべては国家国民のために。

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