【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

抜擢の夏 仕分けの夏 稲見哲男・総務政務官 武正公一・総務委員長

2012年07月24日 18時52分20秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]就任あいさつをする稲見哲男・総務大臣政務官(兼)内閣府大臣政務官、2012年7月24日、衆議院総務委員会、衆議院インターネット審議中継から。

【衆議院総務委員会 2012年7月24日(火)】

 離党したり、造反したりした人ばかり、テレビに出ますが、実力がある人に注目しましょう。

 抜擢の夏ーーきょう衆院総務委が35日ぶり、延長国会では初めて開かれ、党議違反をした前委員長にかわり、武正公一さんが衆議院総務委員長就任のあいさつをしました。正式には7月6日(金)の衆議院本会議で選挙を省略し、横路孝弘議長から指名されています。


[画像]就任あいさつをする武正公一・衆議院総務委員長、衆議院インターネット審議中継から。

 大臣に比べて、委員長というとあまり想像がつかないかもしれません。国会開会式のときには、国会正面のパルテノン神殿みたいになったところの奥にある階段にモーニング姿でそろって天皇陛下をさっそうとお出迎え。このとき、各党の党首や幹事長はいつもと同じいでたちですから、国会内では委員長が格上です。議会雑費として1日6000円が国会開会中のみ支給されるほか、衆議院から公用車(院車)がでますので、都内の移動は便利になります。院車の運転手は衆議院職員で国家公務員法100条の守秘義務がかかるので、ケータイ電話や同乗者と秘密の話を大声でしても大丈夫。 議員会館内に委員長室があり、そこでくつろいだり、理事と日程を相談したりできます。

 武正さんは埼玉1区(浦和など)で当選4回。今国会では、郵政改革に関する特別委員会(既に廃止)の理事として「改正郵政民営化法(郵政見直し法)」の修正協議の3党合意の実務者として活躍。民主党議員が具体的に地元に持って帰る説明用資料もていねいに用意しました。そして、予算委員会では次席理事として、予算のほぼノンストップ審議に成功。この実績を買われて、5月に新設された社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の次席理事となり、日程づくりをしました。そして、7月に総務委員長に。本来は一つの会期の中で、一人の議員がこのように使われることはないのですが、余人を持って代え難いということです。民主党政権にとっては褒められたことではありません。しかし、武正公一さんの議員人生はまだまだ続きます。必ず、この経験が国のため国民のためになります。武正さんは同じ松下政経塾の野田佳彦代表から民主党財務委員長も任されていて、これは人間的に信頼されている証拠です。そして、一体改革では同じく政経塾の先輩である自民党の逢沢一郎前国会対策委員長と次席理事間で日程をつくりました。もちろん、党議に造反して辞任した前任の総務委員長も松下政経塾員なので、玉石混淆ですが、人脈的なつながりは議会運営には必須です。

 委員会では、新任の総務政務官(兼)内閣府政務官として稲見哲男さんが就任あいさつをしました。稲見さんは「7月6日付で総務大臣政務官に就任し、7月13日付で内閣府大臣政務官に併任されました」と緊張した面持ちであいさつしました。稲見さんは大阪5区(淀川区や此花区など)で当選2回。政権交代後、当選2回生が総務政務官に起用されることは多いのですが、稲見さんは総務政務官と内閣府政務官を兼ねることになりました。衆議院当選2回の稲見さんですが、当ブログは4月18日付で「2期生の稲見哲男さんが「政調総務部会長」に抜擢 3党合意後に5法案提出・修正 進む「議員仕分け」」として、稲見さんがよくがんばっていることを伝えさせてもらいました。こちらも自治労出身ということで、それだけで悪く言われそうですが、衆参ねじれの中でねばり強く3党協議で法案を参院で成立させ、党の復興対策本部では福島担当を任されたガッツマンです。

 さらに上述の廃止された郵政改革特の委員長だった赤松広隆さんは、7月6日に政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長(倫選特)になりました。これは出番は少ないですが、金曜日に自民党が提出する見通しの「0増5減法案(衆議院選挙区画定審議会設置法改正案および公職選挙法改正案)」を審議する委員会で、解散を左右する極めて重要な委員会になります。このように6月26日の一体改革法案の採決をめぐる混乱を奇貨として、必要な人材は人使いが荒いことになっています。これが政局の利用価値です。ここで、6月26日の判断を後悔しても、政治家というのはやり直しが利きません。それは政治家が歴史の作り手である以上、当然のことだし、情けは一切無用です。

 まさに抜擢の夏ということで、長い目で見れば、日本の政治にとっては良い段階、孫文の言葉で言えば、政治を鍛える時期「訓政期(くんせいき)」と言えるのではないでしょうか。

 委員会では、地方議会の通年議会化しやすくしたり、首長の専決処分や再議権の強さを和らげる地方自治法改正法案(180閣法60号)が趣旨説明されました。大阪都法案は衆法ですので、この後、審議入りするんだと思います。

 参議院国土交通委員会(岡田直樹委員長)では3つの参院先議の閣法が羽田雄一郎国交相から趣旨説明されました。「海上運送法の改正法案」(180閣法39号)、「海洋汚染と海上災害の防止法改正法案」(180閣法40号)、「船員法改正法案」(180閣法41号)の3本です。

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