【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田克也代表と4か月ぶり対決安倍首相、集団的自衛権の改憲否定せず 衆予閉会中審査

2015年11月10日 17時20分51秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]民主党代表でネクスト首相の岡田克也さん、2015年11月10日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年11月10日(火)衆議院予算委員会】

 第189回国会の閉会中審査として、予算の実施状況に関する件の集中審議「TPPなど」が開催。

 第3次安倍第1次改造内閣の初の国会審議です。

 岡田克也ネクスト首相(民主党代表)と安倍リアル首相(自民党総裁)の二大政党対決は、ちょうど4カ月ぶりになります。

 岡田さんは、自民党憲法改正草案第9条第2項の「自衛権の発動を妨げるものではない」について、「限定なき集団的自衛権か」と問いました。

 安倍さんは、「平成24年2012年の憲法改正草案は、21世紀において国民の命と暮らしを守るために法制上必要な措置だ」として、フルスペックの集団的自衛権を認めるものだとしました。岡田さんは「数がそろえば憲法改正を進めるのか」と問うと、安倍さんは「過半の国民の理解と支持のもとに、プロセスを進める」とし、来夏の参院選で、衆参各々で3分の2をとれば、改憲をすすめる考えを否定しませんでした。

 岡田さんは労働分配率を高めるうえで、首相が経営者に声をかけることを民主党代表として柔軟に認めました。そのうえで、最低賃金を高めることが大事だとし、CPIと比較した、いわば実質最賃上昇率は、民主党政権時の方がアベノミクスを上回っていると指摘し、首相は「精査したい」と防戦しました。アベノミクスで非正規が増え、正規は実数で減ったことについては、首相は「非正規の給与は増えた」と事実関係は正しいながらも苦しい答弁。「年齢ごとにきめ細かく分析してキャリア形成も含めて検討したい」と述べ、世代間格差の是正にとりくむ方針を初めて打ち出しました。岡田さんは「具体的な政策にしてほしい」と念押ししました。

 岡田さんは「まだまだ議論することはある」として臨時国会の召集を求めました。

 玉木雄一郎さんは、TPP大筋合意について、日本が攻める部分として、ピックアップトラックの日本から米国への輸出の関税が発効30年後まで撤廃されないのではないかと問いました。さらに12か国とは別に、日米の並行協議のなかで、30年以降も関税が残りかねない再協議の規定があるとして、外務省経済局長が認めました。どよめきました。

 TPP発効とそれに対する国内対策による食料自給率について、首相は「各項目ごとに分析して、年内にお示ししたい」とすると、玉木さんは「それでは補正予算案の編成に間にあわない」と牽制しました。

 高木毅復興大臣は、選挙区内にある高速増殖炉もんじゅの関連企業から「パーティ券を買ってもらっているが、政治信条に関係ない」としました。玉木さんはもんじゅの廃炉を求めました。

●柚木道義さんの福井2区泊まり込み調査で、「ミス銀行員パンツスキャンダル」を高木大臣「噂は知っているが、事実ではない」--

 柚木道義さんの福井2区での泊まり込み調査で、週刊誌による「パンツスキャンダル」について、地元の住民が「私たちが嘘をついていると言っているのか」と事実無根発言を怒っていることについて、「事実無根と言えるのか」と問いました。

 高木大臣は「そのような事実はありません。根拠はありません。選挙のたびにそういう噂が出ているのを知っているが、そのような事実はありません」としました。柚木さんによると、被害者は銀行員であり、1987年ごろに、ミスコンで優勝していたようです。ですから、「自民党大臣ミス銀行員パンツスキャンダル」と呼ぶべきでしょう。

 事実解明に向けて、今後とも、ていねいな時間をかけた審議が必要です。疑惑は深まりました。

 午前中の与党の質疑で、

 

 安倍晋三首相(自民党総裁)=画像・衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット=は「平成28年度税制改正大綱(のもとづく法案で)法人実効税率を引き下げる」と断言し、「企業にはこの分を投資に回してほしい」と要望しました。

 甘利TPP相は、「7年経ったら申し出があると仕切り直せる項目は、どの通商協定でも定番で入るものなんです」と語り、アメリカなど5か国の要望で発効7年後に「仕切り直す」再協議の規定があることを認めました。

 ◇

 午後の審議では、民主党は、柚木道義さん、山野和則さん、前原誠司筆頭理事が質問。

  維新の党は松野頼久さんが「ALICエーリック」など、今井雅人さん、井坂信彦さんが質疑。

 日本共産党の赤嶺政賢・沖縄1区選出議員は、「行政が行政を訴えたら行政不服審査法にならない」と普天間基地の辺野古移転プロセスを批判しました。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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TPPで「農業輸出品の補助金廃止」へ 「牛肉農家の赤字補てん」の恒久法案が2016年通常国会提出か

2015年11月10日 05時31分15秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]農林水産省の国旗、東京千代田区霞が関、2015年10月、筆者撮影。

 TPP条約=大筋合意=の第2章第23条に「農業輸出品の補助金の廃止」が入っていることが、筆者(宮崎信行)の精査で分かりました。

 畜産輸出補助金を廃止し、国内牛肉農家の「赤字を補てんする」法案が2016年通常国会に提出されるかもしれません。

 これはきのう9日のNHK報道を受けて、筆者・宮崎信行が、TPP条約案、平成27年度一般会計予算、法律を精査して、分析したものです。

 TPP条約の第2章第23条は、農業の輸出にかかる補助金の廃止を、12か国に求めています。

 条約(案)の英語版によると、「Article 2:23 Agiricultural Export Subsidies」という第2章第23条には、

 「1.The Parities share the objective of the multilateral elimination of export subsidies for agricultural goods(後略) 」とあります。

 仮に翻訳すると、加盟国は農産物の輸出補助金を廃止することを多国間(マルチラテラル)で共有する、という感じです。

 そして、平成27年度2015年度の日本政府の一般会計予算書には、農水省の「牛肉など関税財源国産畜産物食農連携強化対策費」が710億円計上されています。この補助金は、「ALIC(エーリック)独立行政法人農畜産業振興機構」が付けています。この独法は、畜産物だけでなく、砂糖、野菜の補助金も交付しています。

 これは現在予算措置で根拠法がないようで、報道によると、「牛肉農家の赤字補てんを恒久化する法律案」を作成し、豚肉農家も対象にするかどうか検討するということです。

  おそらく、ALICが所管する畜産物価格安定法の、農相が定める「安定価格」を維持するための「交付金(補助金)」を、国内流通に限るかたちの方向性になると考えられます。

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