【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

オバマ大統領、集団的自衛権発動への備えを要求 南シナ海

2015年11月20日 00時57分40秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]首相官邸公式フェイスブックページより。

●米大統領、南シナ海への日本自衛隊の集団的自衛権の備えを示唆。

 報道によると、安倍晋三首相とオバマ大統領は、APECマニラ首脳会談を現地時刻の平成27年2015年11月19日(木)開きました。

 共同=日経の報道によると、オバマ大統領は、「(日米は)share an interest in continuing to foster rule of law and supporting international norms in areas like freedom of navigation and maritime law」と語りました。

 日本語に翻訳すると、「私たちは日米同盟は、南シナ海で、国際法(おもに国連海洋法条約をさす)を順守する、米海軍の航行の自由作戦のような行動を支持する利益を共有している」というニュアンスになります。

 これは、アメリカが南シナ海の「中国の自称領海」で行っている「航行の自由作戦」への集団的自衛権発動による日本自衛隊の派遣に備えるよう、促しました。

 安保法(来年2月ないし3月ごろに施行)により、
 ・改正武力攻撃事態法第2条「存立危機事態」や
 ・国際平和共同対処事態法の「国際平和共同対処事態」、
 ・重要影響事態法の「重要影響事態」

 の3つのうち、いずれかの事態認定により、対処基本方針を作成、国会に提出する見通し。

 以下は、今回の安倍オバマAPECマニラ会談とは別の内容です。

●地球の裏側は対IS戦争状態、フランスは「戒厳令」憲法改正へ、ロシアは集団的自衛権発動明言。

 軌を一にするわけではありませんが、地球の裏側のフランスでは、先週13日(金) にパリで同時多発テロが起き、100人以上が死亡。ISの犯行と断定し、首謀者を殺害しました。オランド大統領は同国第5共和制憲法第16条緊急措置権「共和国の制度、国の独立、領土の保全または国際的取り決めの執行が重大かつ直接に脅かされ、かつ、憲法上の公権力の正常な運営が阻害される場合、大統領は首相、両院議長ならびに憲法院への公式の諮問の後、状況により必要とされる措置をとる」を発動。第36条「12日を超える戒厳令の延長は国会によるのでなければ承認されることができない」を改正する準備に入りました。

 これに先立つ、ロシア民間航空機がISの爆弾テロでエジプト上空で消失。プーチン大統領は、AP=毎日の報道によると、英語訳で次のように語りました。「We will act in accordance with the U.N. Charter's Article 51, which gives each country the right to self-defense」 。すなわち、ロシアは国連憲章51条にもとづき行動すると宣言し、ISが支配地とするシリア・イラクへの空爆を強化しています。国連憲章51条は「個別的または集団的自衛権のの固有の権利を害するものではない」としています。実はこの概念は、70年前に人類に誕生したばかりであり、その明確は違いはなく、ロシアのIS攻撃は集団的自衛権となります。

 なお、IS空爆には、オーストラリアも加わっています。地球の裏側のアジア太平洋の準同盟国が加わっていることから、日本自衛隊の参加圧力が高まる近未来が予想されます。

 ◇

 閑話休題。

 英国発の国際報道テレビ局「BBC」は、隣国フランスでのテロについて、キャメロン首相(保守党党首)のみならず、二大政党の野党・労働党のコービン党首のインタビューも緊急放送しました。


[写真]隣国フランスのテロについて語る、二大政党の野党・労働党のコービン党首、14日、BBCテレビから撮影。

 岡田克也ネクスト首相(民主党代表)は、南シナ海への自衛隊派遣について、3週間前、筆者・宮崎信行や、フリージャーナリストの横田一(よこた・はじめ)さんの問いに対して、次のような見解を示し、「日本自衛隊には、余力がない」との現状認識を語りました。

[民主党本部記者会見録から部分引用はじめ]

岡田克也代表記者会見

2015年10月29日(木)14時00分~14時42分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

(中略) 

○対中政策について

【フリーランス・宮崎記者】
 南シナ海では、中国が中国領海だとしている人工島の12海里付近をアメリカ艦が通行した。中国の周りの国々の間でアメリカに追随する動きが出てきたので、安全保障的に中国の海が封じ込められているような感じがする。また経済的にはTPPで、インドネシアが参加する方向になったので、TPPという形でも中国を海側の国々が、経済ブロックが封じ込めている感じもする。今後、中国を国際法のルールを作る場に引っ張り出すことかできるかどうかも含めて、現状お考えの点を伺いたい。

【代表】
 まずTPPは、中国を封じ込めるために行っているものではありません。要件を満たせば中国が参加することも当然考えられる。中国封じ込めのためにTPPをやったわけではないと私は理解しています。  それから、南シナ海は公の海でありまして、島でない以上、「12海里以内だ」と言っても公海であります。そこをアメリカの艦船が通行したことは、国際法上何ら問題なく、当然のことを行ったと考えています。
 ただ、中国側はそれに対して厳しく批判しております。ここは米中間で、不測の事態が起こらないようによく対話をしてもらいたいと、あわせて考えています。

【フリーランス・宮崎記者】
 岡田さん自身は、中国を国際法のルールを書く場に引っ張り出すべきだという考えを以前から持っているかと思う。一方、オバマ大統領は、中国には国際法のルールを書かせないと、これはTPPの時の記者会見だが、そういった考えがあるようだ。中国と国際社会、及び中国と日本との関係について、大枠で考えを伺いたい。

【代表】
 オバマ政権も考え方は私と基本的には同じだと思います。中国を孤立化させるのではなく、封じ込めるのではなく、やはり国際的な場に中国も関与させて引き込んでいく。そういう中で中国が国際法を順守した行動がとられるようになる。基本的にはそういう考え方でオバマ政権も考えていると思います。オバマ大統領の先ほどの発言ですが、私の理解は、中国が自分のルールで囲い込みをするということはさせないということだと思います。TPPは開かれた制度ですので、それで囲い込みをするということではあります

【フリーランス・宮崎記者】
 安保法ができたところだが、自衛隊が南シナ海で例えば共同パトロールなどをアメリカから要請される可能性はあるとお考えになるか。

【代表】
 あまり想定で言わないほうがいいと思います。日本の自衛隊にはそれほど余力があるわけでもありません。日本自身の近海で活動することに専念せざるを得ないという状況もあると思います。航空機であれば、航続距離からいっても実質的にはそれができないということであると私は理解しています。したがって、そういう具体的な要求が出てくるのかどうかは私、わかりませんので、今の状況を考えればあまりそこまで先回りして考える必要はないと思います。

【フリーランス・横田記者】
 対中国脅威が増しているということで集団的自衛権あるいは今回の安保法制に絡める論調がある一方で、小林節名誉教授は、基本的に中国に対しては専守防衛で十分ではないかと。その理由としては、台湾、ベトナムへ、中国が軍事侵攻しようとした時に専守防衛で十分押しのけたと、だからわざわざ集団的自衛権、今回の安保法制は必要ないと主張しているが、代表はどう捉えられているか。

【代表】
 まず、南シナ海でわが国の集団的自衛権の行使というのはどういう場合なのか。大きく言って、一つは米軍が中国と武力衝突に至る、その時に日本の集団的自衛権の行使をする。もう一つは、フィリピンやベトナムが中国と武力衝突する、それに対して日本が集団的自衛権を行使する。後者は考えられないと私は思う。日本にそれだけの力もありません。前者の場合というのは、それは今の法律の立て方だと「存立危機事態」に該当しなければいけないということで、今までの政府の説明を聞いていて、集団的自衛権の行使に至るということは、今の法制のもとでは非常に考えにくいことだと思います。

(後略)

[部分引用おわり]

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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