[画像]金子恵美さん、2017年5月8日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
民進党の金子恵美さん(衆議院福島1区比例)は、
「白河以北一山百文」(しらかわいほくひとやまひゃくもん)との言葉を引用し、
薩長土肥の明治維新政府を引き継ぐ、現政権に、東北への差別精神が残っていると指摘しました。
平成29年2017年5月8日(月)の衆議院予算委員会で、連休前に、佐賀県(肥前)出身の今村復興相が東北を「あっちの方でまだよかった」と講演し更迭されたことをただした中での発言。
安倍晋三首相(自民党総裁)は「白河以北一山百文」を知っているのかとの金子さんの問いに対して「明治維新以降使われている差別的な言葉だ」としました。
金子さんは、戊辰戦争、明治維新後、薩長土肥(さっちょうとひ、現在の鹿児島県、山口県の西側大部分、高知県、佐賀県全域等)が率いた新政府軍では、白河の先よりも北側にある東北地方は、荒れ地で価値が低いとされていた、としました。
金子さんが、現在もその差別意識が残っていると指摘すると、与党・自民党席から「そんなことは無いよ」との野次が飛びました。
差別意識が残っているかどうかについては、「(福島出身の)吉野復興大臣とともに被災地に寄り添っていく」と回答を避けました。
私としては、東京で、東北への差別意識が残っているのは間違いない事実。客観的には、常磐線が上野駅から、明治維新以後の天皇陛下の最寄り駅である東京駅までの延伸が認められたのは、わずか2年前。震災後常磐線はいまだにつながっていませんから、常磐線全線が、天皇陛下の最寄り駅東京駅につながったことは現在まで一度もありません。
金子さんの福島県伊達市も、標高が低く、放射性物質が低くたまってしまっていましたが、福島県浪江町出身で横浜で代議士になった田中慶秋さんが法務大臣になったときには、ヤクザと一緒の写真があるというだけで、マスコミ総スクラムで大臣を引きずりおろされ、私は恐怖心すら覚えました。
東京警視庁の警視総監は、初代から25年間、薩摩出身者が独占していました。明治天皇の御庭番はずっと鹿児島県出身者でした。標準語に「治る」という言い方はどうかと思いますが、東北出身の18歳はよく「治らない」という言い方もします。東北は標準語に近いため、逆に、会津地方や福島県中通り、秋田県など日本海側、岩手県の内陸部などはなまりが治らず、無口になることが多いです。青森県津軽地方になると、これはすぐに「治る」ということになりますし、福島県浜通りは比較的、標準語での会話が活発というところがあります。このような中で、東京という社会では、東北出身者が差別されたり、いじめられたりしやすい土壌が、明治維新から150年弱経っても歴然と残っています。
国会会議録によると、テレビ入りの質疑で、首相に対して「白河以北一山百文」について質問したのは、昭和63年1988年3月16日の参議院予算委員会で、関西経済連合会会長の佐治敬三サントリー経営者の「東北は熊襲の産地だから文化水準が低い」との発言についての首相に対する質疑答弁以来のようです。
皮肉なことに、47都道府県で、最も国費が投入されている県は、現在福島県です。ただ、復興大臣に、肥前出身者を起用してしまう、長州(出生、選出、東京育ち)の安倍晋三首相に、東北への配慮が欠けていたことは確実です。だいたい、東北は広大であり、一概に論じる地域ではありません。
伊達政宗という不世出の政治家が統一したうえで、徳川家康の傘下となったことで、現在がある東北が、明治維新政府のいじめから脱却する日が来る日。昨夏の参院選では、東北6県中、5県が民進党系勝利、1県が自民党系勝利と、明らかに日本全体と違う世論が出てきましたから、次の「戦後」には、東北が尊重される政府ができると思います。
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Miyazaki Nobuyuki