ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

1年前の記事)民進党閣僚経験者の卒業質問、「ベアが上がっても、税金・保険料が増えれば手取りは減ります」は強烈なアベノミクス批判だったのかもしれません

2017年05月31日 19時40分17秒 | その他
 
引退の直嶋正行さん「ベアを獲得しても、天引きされる税金等がそれ以上に上がれば、手取りは減ります」
[画像]直嶋正行さん、2016年5月19日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。 わが青春のすべてである「細川・羽田政治改革内閣」を民社党1期生として支え、わが青春......
 

 

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[きょうの国会]衆議院新区割り2015年国勢調査反映のための平成6年政治改革法改正案が衆・倫選特で可決、今国会で成立し、第48回衆院選で適用

2017年05月31日 17時57分13秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]総務大臣の高市早苗さん(左)と岩屋毅さん(右)、2017年5月31日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 意外と話題にならなかった「民泊新法」が衆・委員会で可決。減反改め農業保険法が審議入りしました。

 そして何より大事な、私は憲法と同格の最高法規だとすら思っている、平成6年政治改革4法にもとづく、2015年国勢調査を反映した、衆議院新区割り(289小選挙区+176比例代表)の法案が衆委員会を可決しました。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(衆・倫選特)平成29年2017年5月31日(水)】

 倫選特を書き始めたら、長いのですが、すべてに優先して重要な委員会なのに、あまり読まれないので、逆に、「きょうの国会」まとめエントリーの冒頭にずらずら書きます。

 「2015年国勢調査を反映した、衆議院新区割りを法制化する、平成6年政治改革関連法改正案」(193閣法65号)は先週趣旨説明されていました。

 採決の結果は、共反対、自公民など賛成多数で可決しました。今国会の当初会期内に成立、7月上旬に施行し、第48回衆院選で政権交代の是非を問うルールになります。

●今も生きる平成6年政治改革4法、岩屋毅さんが高市大臣ねぎらい。

 答弁は、総務大臣である、1993年与党初当選組の高市早苗さん、与党側理事は、1990年初当選で政治改革を実現する若手議員の会で非世襲最年少だった岩屋毅さん。

●平成6年の区割りは「2・13倍」、今回の区割りは「1・956倍」。

 質疑ではまず、自民党最大派閥会長の細田博之さんが登場。「定数の不均衡は最高裁判所でも違憲判決が出やすい」とその公共性を強調。「昭和20年はは全国の人口が7000万人で、東京の人口が348万人だった」として、地方の定数が戦後の想定と異なってきていると指摘しました。細田さんは「平成6年の区割りはできた時で、2・13倍だった」とし「2倍を1倍にするのは数学的に難しい。鳥取県を1にできない」としました。高市総務相は後の質疑者への答弁で「今回の区割りは1・956倍なので、平成6年以降の区割りで最も小さい」と区割り審を評価しました。

[画像]質問する細田博之さん、2017年5月31日、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
●自民党最大派閥会長が違憲状態は国会の恥!

 細田さんは「違憲状態は国会の恥だし、すべての立法行為を疑われかねない」と格差是正の必要性を説きました。細田さんは「国勢調査人口の場合、外国人も入る。日本国民の人口を選挙区ごとに出すよう、数年前からお願いしている」と明かしました。そのうえで、「衆議院小選挙区比例代表並立制は、ときに政権交代が起こるという初期の目的を達成しているが、少数政党には不利になる」と話しました。

●政治改革の父、小沢一郎先生の在職50年が近づいた予感?

 この後、自民党で現岩手4区比例で、次は、新岩手3区から出馬するとみられる、藤原崇さんが登場。ここで「一票の格差訴訟は訟務局でなく、大臣が裁判に出てほしい」と訳の分からない提言。次の第48回衆院選で、政治改革の父、小沢一郎先生は、新・岩手3区から出馬するとみられますが、平常時から選挙区入りしています。小沢先生が当選すれば、2019年に在職50年となります。藤原さんが相手ならば、その可能性も光が見えてきた印象です。

●知事の意見は参考まで、選挙区の安定性を区割り審配慮。

 藤原さんは「知事から意見を聞くことになるが、神奈川では、知事から選挙区入れ替えの提案があったのに、区割り審は、選挙区分割を選んだ」と指摘すると、政府側は「選挙区の安定性も必要だ」と答弁しました。総務省自治行政局選挙部長が、衆議院選挙区画定審議会の事務局長の立場で答弁しました。

●東京1区議員、「東京と地方の格差がこれほど広がるとは」

 自民党の現東京1区、山田美樹さん。「戦後の地方自治で、これほどまでに東京と地方の格差が広がると想定していなかったのだろう」と指摘し、「私の選挙区では1つの町内会かが2つの選挙区に分割された」とぼやきました。ここで、1票の格差について「俺の価値は低いのか、と地元で言う人にあったことがない」と語りました。これは変な話で、2012年の輿石・樽床問題のときに、感情的に激昂していた人は東京1区で、資産格差が上の富裕層の方が、一票の格差では「1・01倍以内にしろ」と主張する、という印象が私にはあります。現東京1区は、地方議会では、逆に特例が認められた一票が重い選挙区となっています。

●「分割」自治体への執行経費基準法の予算措置しっかりとると総務省断言。

 細川・羽田内閣の「いしづえ会」のメンバーだった、公明党の佐藤茂樹さんに対して、政府側は「自治体分割が多くなったが、執行経費標準法の予算措置はしっかりとる。投票所の設置基準も柔軟にする」とし、法定委託事務にのぞむ、自治体の投票啓発・開票作業を全面的にアシストすることを宣言しました。

●「○○市の第○○選挙区以外の地域」の表現改善は総務相拒否。

 民進党の後藤祐一さんは選挙区割りの「○○市の第○○選挙区以外の地域」という表現を改めることを要求。高市総務相は「平成6年からそうだ」として、法律の書きぶりを変えることは拒みました。

●高市大臣、区割りに関する陳情はアポすら入れない、と断定。

 高市大臣は「区割りに関する議員の陳情は一切受け付けていないし、アポすら入れない」と語りました。民進党の階猛さんへの答弁。階さんが、「小選挙区の広さを1位から289位に並べてみる。そうすると、(北海道を除いて)最も広い新・岩手2区は、下から104選挙区分の広さになる」と明かすと、委員室がどよめきました。公営費用の配慮などを求めました。階さんは新・岩手1区から出馬するとみられます。

●地方への配慮を求める議員に、高市大臣「国会議員は全国民を代表し、安保に尽力しているも」と反論。

 升田世喜男さんが「青森県は定数4から3になる。新区割りは僕の状況では困るが、それは関係ない」と地方への厚みを求めると、高市大臣が「国会議員は全国民を代表している。安全保障やエネルギーの問題に尽力している議員もいる」とピシャリ。高市さんは1990年ではなく、1993年初当選ですが、平成6年政治改革法を今に生かすことで、女性総務大臣1000日の力につながっていると実感しました。

【衆議院情報監視審査会】

 インターネット中継の許可を得られて、再開されたところから。

 大島理森議長、川端達夫副議長が臨席。

 額賀福志郎会長が開会。

 金田・特定秘密保護法担当相から政府側の年次報告がありました。1年間で、3省庁の5件の秘密を解除、海上保安庁が1件の秘密の期間延長、49件の秘密指定を追加しました。これで政府が所有する秘密文書は32万6153件になりました。行政文書不存在について、金田担当相は「職員の頭の中だけの秘密指定は、今後は限定的にしていく」と語りました。30年を超えて秘密が続く文書について「今後も引き続き説明を尽くしていく」とし、秘密指定継続の必要性を強調しました。内閣府独立公文書管理監、情報保全諮問会議からも意見を受けているとしました。



[画像]額賀福志郎・衆議院情報審査会長と、金田勝年・特定秘密保護法担当相、2017年5月31日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 一方、秘密文書を扱う者(おもに国家公務員)が受ける適性検査ですが、受けた全員が合格し、現在11万2300人いるそうです。こう聞くと、法務省公安調査庁の仕事づくりなのではないかとの印象も受けます。防衛省・外務省で前年9名が適性検査を辞退しました。

 次回は、6月5日(月)午後4時から、開会する、と発表されました。ネット中継は不明です。

【衆議院農林水産委員会】

●減反政策70年目の大転機

 「農業保険法改正案」(193閣法58号)が山本農相から趣旨説明されました。山本農相は「70年間続けてきたしくみを変える。農業収入全体のセーフティーネットとして、農業災害だけでなく、農業経営収入保険を設ける。農業者が保険料を積み立てて、政府が再保険する」としました。余裕のある農業者は、保険料を積み増すことができるようです。民進党政権の「農業者戸別所得補償」と考え方が変わってきますが、国庫が厳しくなると、「単年度・一般会計・一般財源」は厳しく、「複数年度・特別会計・税+保険料」ということになっていくのかもしれません。法案審議は次回で、この後は、一般質疑がありました。次回はあす9時。

【衆議院国土交通委員会】

●民泊新法が衆・委員会通過

 「民泊新法こと住宅宿泊事業法案」(193閣法61号)の質疑が終わりました。討論では共産党が「日本最大の民泊媒介インターネット業者の本社は日本に無い」とも指摘しました。採決では、共反対、自公民賛成多数で可決しました。ところでたまに、「維」が入っていないことがあるのは、無視しているのではなく、衆議院の委員会の起立採決ではとっさに見て取れないことがあるからですので、ご了解ください。

【衆議院厚生労働委員会】


 「児童福祉法改正案」(193閣法48号)全会一致で可決すべきだ、と決まりました。

【参議院本会議】

 「特区法改正案」(193閣法54号)が審議入りしました。自民党の高野光二郎さんが登壇しました。この方は、2010年の野党自民党公認候補のときに、ホームページのフロントページで、和装の坂本龍馬のコスプレだったのですが、落選。2013年の与党自民党候補としての再挑戦ではコスプレが消え、私は「やはり自民党はご指導が入るのだな」と推測しましたが、そのご指導が聞いたのか、見事当選しました。4年目で初めての登壇だと思いますが、質問演説では、大いに、地元高知の英雄、坂本龍馬さんのエピソードを満開。よく存じ上げませんが、高野さんにとっては人生の大きな思い出になったのではないでしょうか。

 民進党は会期末が近づいたので、旧総評系・自治労の議員が登壇。維新は清水貴之さんで、清水さんの登壇回数は多いような気がしました。

 法案の趣旨説明と代表質問だけで散会しました。

【衆議院経済産業委員会】

 「北朝鮮経済制裁の承認案」(193承認4号)が承認されました。

【衆議院外務委員会】

 一般質疑がありました。自民党ではいつもそうですが、今第193回国会でも、閣僚経験者の質問は少ないのですが、新藤義孝元総務大臣が質問しました。

【参議院国際経済・外交に関する調査会】

 中間報告案が全会一致で決定されました。近く、本会議で報告されると思います。

【参議院国民生活・経済に関する調査会】

 中間報告案が全会一致で決定されました。

【参議院資源エネルギーに関する調査会】

 中間報告を決定。この後、原子力関係について、政府に対する質疑がありました。

【官報】

 「専門職大学を設ける改正学校教育法」が平成29年法律41号として公布されました。再来年4月1日施行。国会では議案番号56号で共産党が反対しました。

 「船舶のバラスト水規制条約」が平成29年5月31日条約12号として公布されました。国会では、3年前、平成26年の第186回国会で承認されました。船の重りとなる水による、国際的な海洋汚染を減らす多国間条約。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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Miyazaki Nobuyuki 

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