[写真]岡田克也前副総理、きょねん2016年4月22日、国会内で筆者・宮崎信行撮影。
岡田克也前副総理を、民進党安全保障調査会長(安保調査会長)に起用する人事が、平成29年2017年5月9日(火)、党機関で決定しました。
この日は、大韓民国で、パククネ前大統領弾劾後の後任を選ぶ大統領選が行われています。筆者は同国のことにあまり詳しくありませんが、事前の報道によると、文在寅さんがリードしており、新大統領は、あす10日付で就任するそうです。
朝鮮戦争休戦後では、もっとも緊張感が高まっているとの観測が有力で、衆議院安全保障委員長や、外務大臣などを歴任した、岡田さんを、有事やグレーゾーンのそなえで万全を期すために起用したものとみられます。
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[画像]フィリバスターする、階猛さん、2017年5月9日の衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
【衆議院本会議 平成29年2017年5月9日(火)】
●午後6時過ぎの衆議院本会議で、階猛さんが1時間以上演説、否決され法務委員長復帰後に、3法案の処理を、自民党が突如延期し、散会。
公報上は午後5時ですが、午後6時1分過ぎに開会。
「鈴木淳司法務委員長解任決議案」が議題になりました(経緯→2日付エントリー記事)。この趣旨弁明で、民進党の階猛さんが、1時間4分前後のフィリバスターを敢行。午後7時5分頃、大島理森議長が「発言者に申し上げます。そろそろ終局しなさい」と語りました。国会法116条にもとづく中止命令と思われます。これを受けて、その2分後に階さんは演説を終えました。(関連エントリー
階猛さんが、1時間4分前後のフィリバスター(議事妨害)を敢行、共謀罪を前提とした法務委員長解任決議案、衆議院本会議
)
この後、討論があり、採決。起立採決の結果、民主党、共産党の賛成少数で否決。鈴木淳司委員長が復活しました。
ここで、突然、議事進行係の自民党の笹川博義さんが「議事日程延期の動議」を出し、可決。散会しました。
当初の予定では、自民党は次の3法案を可決して、参議院に送る予定でした。▽「道路運送車両法改正案」(193閣法42号)▽「銀行法改正案」(193閣法38号)▽「学校教育法を改正し、専門職大学・専門職短期大学を設ける法案」(193閣法56号)ーー。連休前に委員会審議を終えていた3法案を採決しないまま、次の本会議に先送りし、散会しました。
理由として考えられるのは、一つは、法務委員同士の次の委員会セットの話し合いを始めさせるため。もう一つは、水月会(自民党石破派)の政治資金パーティーが午後6時セミナー開始、午後7時パーティー開宴を前提に、お客さんが既にホテルニューオータニに集まっていたであろうこと。この2点だろうと推測します。まず、この私の推測は両方あたっていると考えます。
【衆議院総務委員会】
●臨時職員を「会計年度任用職員」として期末手当も出す法案が成立も32年施行
参議院先議の、「地方公務員法改正案」(193閣法51号参先議)が採決され、共産党反対、自民党、公明党、民進党、日本維新の会の賛成多数で可決しました。今週成立し、平成32年4月1日(水)施行。
地方自治体の現場で働く臨時職員を、「会計年度任用職員」として法的に位置づけ、期末手当を支給できるようにする法案です。ただ施行日が遠いこともあり、現行の役所内格差を維持する法案だと私はとらえました。
きょうの審議で総務省自治行政局公務員部は「臨時職員に期末手当を出している自治体は、現在は違法だが、ペナルティーを科すつもりはない」と答弁しました。市役所の正規職員が加盟する「自治労」の応援を受ける民進党議員は「法案には意に沿わない面もあるが、採決には賛成する」と苦し紛れに語りました。共産党は「人員整理の調整弁になるし、フルタイムとパートタイムの定義があやふや。所得減になるかもしれない」と反対しました。採決後の付帯決議では、この委員会で浮いている足立康史さんが朗読。維新は大阪市長、大阪府知事らに支持されていますが、足立さんは「(期末手当支給など)制度改正に必要な財源の措置が重要だ」とし、付帯決議は全会一致で可決。各党とも、地方自治体の財源不足を嘆く声が国会議員団に寄せられていることをうかがわせました。同一労働同一賃金を率先垂範すべき自治体職員ですが、なかなか、どうにもならないな、という印象です。
【参議院経済産業委員会】
●原発廃炉積立金法案あす成立へ
「原発廃炉積立金法案」(193閣法9号)が共反対、自公民維賛成多数で可決しました。あす成立し、9か月以内に施行。各党からは、「破たん処理すべきだったのに、国費がどんどん投じられる」という声と、「東電福島原発廃炉のために経営改革が必要だ」という声が出ました。参考人の東電社長は「事故後2年間は新規採用を止めていたが、この春は250人が入社した。ともに福島の事故の責任を貫徹したい」としました。スマートグリッド、発送電分離子会社などを通じて、人員整理をしながら、廃炉費用を工面する過程が、当面続くシナリオ、プログラム(工程表)が法律という形で筋道ができました。
【参議院外交防衛委員会】
●名古屋議定書、ついにあす両院承認、発効へ。
名古屋議定書が全会一致で承認されました。やっと、あす両院承認へ。
「NPAFC北太平洋漁業委員会の事務所を東京に置くことについての、日本国との協定の承認案」(193条約5号)、「NPAFC違法漁業禁止条約の承認案」(193条約6号)、「生物多様性に関する名古屋議定書承認案」(193条約7号)、「バイオセーフティーのカルタヘナ議定書の補足議定書の承認案」(193条約8号)が、各々、全会一致で「承認すべし」と決まりました。あす両院承認へ。この委員会は、P3Cなど防衛装備品の他国への移転の財政法改正案や、条約がかなり残っており、会期内に処理しきれない公算が高まっています。
【参議院厚生労働委員会】
●精神保健福祉法改正案は次回も審議が続く、介護保険法改正案は原案通り成立の見通しも審議入り大幅に遅れる。
かなり驚いていたのですが、「精神保健福祉法改正案」(193閣法34号参先議)の質疑が、次回も続くことになりました。上述の衆委員会で可決した地方公務員法改正案と同じ日に審議入りしていますが、こちらは参委での審議がさらに続きます。停滞の理由となった、相模原やまゆり園事件の「取り締まり」と受け止められる概要説明ペーパーを訂正したことを念頭に、塩崎厚労相は「措置入院によって、地域の生活が中断した人に、質を高めだ医療を提供したい」と答弁しましたが、野党委員のいかりが収まらないようです。ところで、野党1期生から「私たちが審議する概要のペーパー」と言っていますが、できれば、法案、「改め文」は難しくても、要綱を読んで審議してほしいところです。介護保険法改正案(193閣法15号)は審議入りが遅れていますが、政府原案通り6月に成立するだろうと思います。
【参議院法務委員会】
●民法債権法改正案は2巡目も、審議にやや出尽くし、煮詰まり感。
「民法債権編(債権法)改正案」(189閣法63号及び64号)の質疑。2巡目。真山勇一さんの質問に答えて、法務省民事局長は、融資の第三者保証の公正証書の手数料は一律1万1000円にしたい、と答えました。共産党の仁比聡平さんは、最近のヤマト運輸会社の未払い賃金のトピックスを持ち出して未払い賃金の消滅時効が2年間になることの問題性を強調しました。ただ、やや本筋を離れた質問も出ており、採決は近いかもしれません。テレビ入り予算委員会の裏でも審議が続きます。
【衆議院環境委員会】
●3・11で手いっぱいの環境省、山本大臣のもと、「福島環境事務所」法案審議入り。
「廃棄物処理法改正案」(193閣法62号)と「特定有害廃棄物輸出入規制法改正案」(193閣法63号)が両案同時に審議入りしました。さらに、「環境省福島地方環境事務所を設置することの承認案」(193承認2号)も同時に議題となりました。橋本行革法により、厚生省から環境省に移管した廃棄物行政ですが、3・11で出先がない環境省は能力を超えた災害廃棄物処理を求められました。そして、放射能汚染土をはがしとる除染は、時間が経ち、処理範囲が広くなるにつれて、費用は減らず、環境省の出先機関を設けることが必要となりました。橋本行革中央省庁再編法の当事者である、民進党の江田憲司代表代行は、上記法案提出の1週間前だった、3月3日(金)の定例記者会見で筆者・宮崎信行の質問に答えて「産業側の都合で廃棄物対応がないがしろになってはいかんと、環境省に移したことは正解だったと思います。問題は、ああいう大津波、大震災、大災害が起こった時の莫大な廃棄物をどうするかについては、廃棄物行政がどこの担当かという域を超えている」と語りました。事実上、橋本行革の想定を超える仕事量が環境省に降り積もったことを認めた発言だと、私は理解しました。
ところで、環境政策をライフワークとする山本公一大臣の熱心な答弁が目立っています。昨年9月以降、野党側筆頭理事をつとめる、前栃木県知事の民進党・福田昭夫さんが「大臣、みかんは(山本大臣の地元の)愛媛でなくて、(私の地元の)栃木ですよ!」と野次を飛ばし、平将明委員長(自民党)が「(栃木のみかんの種類は)温州みかんですか?」とたずねるシーンがありました。与野党が角をつき合わせる中で、信頼関係が出てくる、5月、終盤国会らしいシーンがありました。ぜひ会期末まで、与野党力を合わせて3・11後の環境省の重荷を分かちあうことを願います。
【参議院農林水産委員会】
「農業競争力強化法案」(193閣法21号)の質疑終局が宣言されました。採決は次回に持ち越しました。金曜日の本会議の議題を確実に用意するための国会戦術かもしれません。
【参議院国土交通委員会】
「水防法改正案」(193閣法25号)が審議入りしました。
●参議院環境委員会はありませんでした。法案が2本ありますが、衆院側での新法案審議入りを優先したようです。
●参議院財政金融委員会はありませんでした。金商法改正案の審議は次回以降になります。
●参内閣委、参総務委、参文教科学委もありませんでした。
【衆議院財務金融委員会】
一般質疑があり、商工中金の不正融資について、麻生金融相は「支店ごとにノルマがあった」ことなどが原因だとしました。あすも午前9時から審議することになり、散会しました。前日テレビ入り質問デビューした宮崎岳志さんが「私は民進党に珍しいリフレ派だ」と素に戻って「日本銀行審議委員に片岡剛士を充てる同意人事案」(未提出)に、個人的な賛成を表明していました。
【衆議院国土交通委員会】
一般質疑だけで散会しました。
●2012年自民党2期の斉藤洋明さん「JR東日本労組に革マル派が入り込んでいる」と古いネタで民進党攻撃か。
自民党の斉藤洋明さんは、「JR東日本労組に革マル派(警察庁警備局など公安警察常時監視の極左暴力集団)が入り込んでいる」と指摘しました。過去に何度も聞いた、旧聞に属する話。斉藤さんは新潟3区で、民進党の黒岩宇洋さんに負けて比例復活していますから、民進党を攻撃したいのでしょう。国労の問題を、連合全体の問題に広げるのは無理だと思いますが、任期満了(来年12月)が近づきつつあることを感じさせる場面でした。
【参議院予算委員会】
予算の執行状況の調査に関する件として、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議がありました。トップバッターは民進党の蓮舫代表。午前中の法務委員会で質問した、小川敏夫参議院民進党会長が、午後はテレビ入り予算委員会で質問。
維新の片山虎之助共同代表は「憲法の教育無償化には、年4・3兆円かかる」との試算を示しました。これは、20年以上、国の一般会計・特別会計を見てきた者として、「無理」の一言で却下できる話です。片山総務相が義務教育の教員給与の国庫補助引き下げをしたことは横に置いておいて、このような無理な施策を強行して、数年で断念すれば、世代間格差のみならず、資産による教育歴の格差と連鎖はさらに拡大しますから、早めに取り下げた方がいいのではないでしょうか。
午後5時50分過ぎに散会しました。
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Miyazaki Nobuyuki
[画像]フィリバスターを敢行する、民進党の階猛さん、2017年5月9日の衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
民進党の階猛(しな・たけし)さんは、平成29年2017年5月9日(火)の衆議院本会議で、いわゆる議事妨害(米議会用語では、フィリバスター)を敢行。
議題は、共謀罪法案の採決を前提とした、「鈴木淳司法務委員長解任決議案」。階さんは「本院は法務委員長を解任する」とする決議案の趣旨弁明(趣旨説明)に登壇。その理由について、午後6時3分過ぎから演説。午後7時3分頃、大島議長が職権で「発言者に申し上げます。そろそろ終局にしなさい」と命令調で語りました。これをうけて、階さんは午後7時7分ごろ、合計1時間4分間にわたった演説を終えました。
本会議演説では、趣旨弁明(趣旨説明)のみは制限時間がなく、与党側が事前に制限するための動議も提出していませんでした。議長の発言は国会法116条や衆議院先例の273(274ではなく)にもとづく、中止命令とみられます。
この日は連休前からの与野党の約束だった、復興大臣の失言辞任の見返りとしての、テレビ入り参議院予算委員会がありました。そのため、開会が午後6時1分前後となりました。
【追記 同日午後7時35分】
午後7時32分過ぎ、法務委員長解任決議案は否決され、委員長が復帰しました。
【追記終わり】
法務委員長は、先週5月2日(火)、連休中唯一の委員会を設定しましたが、一問一答目で解任決議案が提出され、中断。その次の本会議である、きょう、9日(火)の本会議で議題となりました。
採決が長引いた場合、法務委員長が復帰した後に、次の委員会のセットをめぐる理事同士の話し合いができないとみられ、共謀罪法案を、6月18日(日)に、審議未了廃案にできる兆しが、ほんのわずかですが、出てきました。
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