ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

[きょうの国会]共謀罪法案が衆議院を通過、自民党は元秋田県警本部長が賛成討論、特区法案は2度目の延期動議可決

2017年05月23日 17時11分42秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

(暫定版)
[写真]国会議事堂正面、パノラマ撮影のため、実際の見え方とは異なります、とくに真ん中部分は膨らんで写っています、2017年5月、筆者・宮崎信行撮影。

【衆議院本会議 平成29年2017年5月23日(月)】

 「いわゆる共謀罪・テロ等防止法・組織犯罪処罰法改正案」(193閣法64号)の修正案(自公維)。記名投票表決の結果、「投票総数459、賛成(自公維の)338反対(民共の)121で可決し、参議院に送られました。仮に参議院で可決し成立した場合は、「公布の日から起算して20日を経過した日に施行する」ため、7月中にも施行する可能性が出てきました。

 自民党は本会議討論に、元秋田県警察本部長の平口洋さんを起用する、「挑発?」も行いました。ちなみに、秋田県庁の公式ホームページによると、同県内には、5人の特定失踪者がいるそうですが、仮に共謀罪があったら、秋田県警の外事課、公安課、組織犯罪対策課は、拉致グループを逮捕できたのでしょうか?

 討論では、民進党の逢坂誠二さんが反対、自民党の平口さんが賛成、共産党の藤野保史さんが反対、公明党の吉田宣弘さんが賛成、維新の松浪健太さんが賛成しました。

 記名投票表決では、民進党の法務委員が大声で、「反対!」と叫びました。

 この日の本会議では、「特区法改正案」(193閣法54号)の採決について、先週に続き、延期動議が出て、可決し、次回以降になりました。これは、加計学園獣医師特区の報告が野党に示されないためです。

 第31次地方制度調査会答申を反映した「地方自治法改正案」(193閣法55号)は民共反対、自公賛成多数で原案通り可決し、参議院に送付されました。

 「廃棄物処理法改正案」(193閣法62号)「バーゼル法特定有害廃棄物処理法改正案」(193閣法63号)「環境省の出先機関、福島地方環境事務所の設置の承認案」(193承認2号)が一体的に処理され、環境委員長から報告されました。採決は、閣法62号と閣法63号は全会一致、承認2号は、共反対・自公民維賛成多数で可決し、参送付されました。

 「中小企業信用保証法改正案」(193閣法31号)は共反対、自公民維賛成多数で可決し、参送付。

 ◇

 議運理事会は、定刻より1時間半遅れた、午後12時30分になってから始まりましたが、折り合わず、休憩。この後、再開し、午後2時を過ぎてから、佐藤勉・委員長が職権で、採決をすることを決めました。なお、きょうは午後6時から、東京プリンスホテルで、自民党の最大派閥・総裁派閥の「清和会」の政治資金パーティーがありましたので、与野党とも、その日程を意識していたとも思われます。

【参議院法務委員会】

 「民法債権編(債権法)改正案」(189閣法63号及び64号)について、元法務大臣で、民進党参議院議員会長の小川敏夫さんは「繰り上げ返済の際に、債務者に対して債権者が逸失する利息を要求できるとする改正条項は要らないのではないか。法務大臣、削除したらどうか」とはかりました。

[画像]理事会が終わり、委員会の開会の直前まで、報告・相談する、左から、有田芳生、小川敏夫、真山勇一の書く民進党参議院議員、赤囲み部分は筆者が加筆、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 委員会は、これに先立つ理事会での話し合いが延びたようで、5分間程度開会が遅れました。理事らが入場したあとも、真山勇一・野党側筆頭理事が、小川会長、有田芳生・民進党政務調査会ネクスト法務大臣の3人が報告・相談するシーンが見られました。テレビ局のカメラも入っているようです。

【参議院財務金融委員会】

 一般質疑では、佐川理財局長への追及が続きました。

 この後、「銀行法改正案」(193閣法38号)が、麻生金融大臣から趣旨説明されました。財金はスムーズに閣法審査が続きましたが、最後の1本は、終盤国会での審議入りとなりました。

【参議院厚生労働委員会】

 想定より大幅に遅れて審議入りした「介護保険法改正案」(193閣法15号)ですが、参考人質疑。この後、法案審査がありました。採決は、まだ先になりそうです。

【参議院国土交通委員会】

 「通訳案内士法及び旅行業法を改正する法案」(193閣法59号)が趣旨説明されました。国交大臣は「(後者の改正条項の)ランドオペレーターは登録制にして、事務所に担当者を置くことを義務付ける」と説明しました。衆からはすでにもう1本(港湾法改正案)回ってきています。

【参議院農林水産委員会】

 「農村地域工業等促進法を改正して商業サービス業に広げる法案」(193閣法24号)が趣旨説明されました。これに先立つ一般質疑では、民進党の櫻井充さんらが、加計学園・獣医学部特区で、獣医師の需給の所管官庁として追及。文部科学副大臣も呼び出されました。

 なお、審議入りした法案ですが、農村に工業を呼び込む農工法の改正案ですが、私は、政府はあくまでも工場による生産性・現金収入向上をはかるべきで、商業サービス業に広げようという考えは、「一億総貧乏暇なし社会」をつくることになります。経済産業省をめぐっても、きのうのNHKニュースなどで、トヨタ自動車などの品質向上を、サービス業にも使うなどという構想が報じられましたが、言語道断、私は絶対に許せない考えです。人間は機械ではありません。経産省よ、恥を知れ、恥を。廃省だ!

【参議院外交防衛委員会】

 「財政法及び防衛省設置法改正案」(193閣法28号)の審議が続き、次回に持ち越しました。

【参議院文教科学委員会】

 「学校教育法を改正して専門職大学を設ける法案」(193閣法56号)。自民党の今井絵理子さんらが質問。質疑が終局し、討論。共産党の吉良よし子さんと、希望の会の木戸口英司さんが反対しました。採決は、共希反対、自公民賛成多数で、可決すべし、となりました。

  なお、前夜の内閣官房まち・ひと・しごと創生本部のとりまとめでも、専門職大学の成立を前提に、積極的な展開が盛り込まれています。

【衆議院農林水産委員会】

 「畜産物価格安定法案」(193閣法40号)の参考人質疑があり、日本大学生物資源科学部教授らの智賢を得ました。次回の開催は未定。

【衆議院国土交通委員会】

 午後2時20分設定で、実際には、本会議散会後の午後4時30分過ぎに始まりました。
 
 1か月半前、4月5日に参議院から送られてきた「不動産特定事業法改正案」(193閣法44号参先議)について、石井国土交通大臣が説明しました。議長(議運)から法案が付託されたのは、きょう23日当日でした。参の採決では、「共反対、自公民維、希望の会(自由党)が賛成」という結果でした。あす29日(水)午前9時から法案審査をすることにして、委員会は終わりました。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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労働基準法、指定管理者に委託へ改正法案提出へ、内閣府の規制改革推進会議が「第1次規制改革推進に関する答申」

2017年05月23日 14時50分57秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 内閣府の規制改革推進会議(議長・大田弘子元経財相)は、きょう、平成29年2017年5月23日(火)、官邸内で安倍晋三首相に、「規制改革推進に関する第1次答申」を手渡しました。フォローアップが目的の答申のようで、ほとんどがすでに改正法律が成立しています。

 ただ、意図的に法案提出が先送りされている「働き方改革」に関して、労働基準監督署の民間開放が盛り込まれました。入札により外注するもので、いわゆる指定管理者・PFIになります。

 この動きをめぐっては、当初社会保険労務士を採用する案(当ブログ3月7日付記事参照)が浮上しましたが、「タスクフォースとりまとめ」「第1次答申」とも、社労士の固有名詞は消えました。

 答申は「今後、「働き方改革実行計画」(平成 29 年3月 28 日働き方改革実現会議)を踏まえ、罰則付きの時間外労働の上限を導入する労働基準法改正法案が提出される」との日程感を示しました。

 そして、「法規制の執行強化が求められている中にあって、小売店・飲食店を中心に事業場数が多い中で十分な監督ができていない、事業場における36協定の締結・届出に関する基礎的な知識が十分でないといった課題に適切に対応するため、労働基準監督官の業務を補完できるよう、民間活用の拡大を図ることが不可欠である」としました。

 ただ、このとりまとめは不自然な内容で、労働基準法第36条(裁量労働制フレックスタイム制)の上限規制の改正法案が準備されていると思いましたが、このとりまとめでは、36条にともなう36協定(さぶろくきょうてい)を交わしていない小規模事業者を検査するという内容になっています。36協定を結んでいる大企業には、労働基準監督署が直接立ち入り検査をするという意味には思えず、大企業有利に骨抜きにされたのではないでしょうか。

 私も月180時間労働が9カ月続いたことがあります。株式会社日本経済新聞社は気違いです。生来の、経営者の立場に帰った私ですが、今でも、若者を採用することにためらいがあります。

 当初は、第193回国会に出るものとばかり思っていましたが、先送りのうえ、骨抜きになってきました。正直、どうにもならない、という心境です。

[この記事で引用した答申の該当部分は以下の通り]

⑥ 労働基準監督業務の民間活用等

【a:36協定未届事業場であって就業規則作成義務のある事業場については
平成 30 年度開始、平成 32 年度までに措置、
それ以外の事業場については平成 33 年度以降に計画的に措置、
なお、労働基準監督官による監督指導については平成 30 年度以降継続的に措置、
b:平成 29 年度以降検討】
労働基準監督業務については、労働基準監督官の定員数は一定の増加が図られて
72
いるが、近年、総事業場数に対する定期監督(各労働局の管内事情に即して対象事
業場を選定し、年間計画により実施する監督)を実施した事業場数の割合が3%程
度にとどまっており、事業場に対する十分な監督が行われているとは言い難い状況
にある。また、定期監督を実施した事業場数のうち違反事業場数は約7割と、高い
割合で推移している。
今後、「働き方改革実行計画」(平成 29 年3月 28 日働き方改革実現会議)を踏ま
え、罰則付きの時間外労働の上限を導入する労働基準法改正法案が提出されること
となっており、更なる法規制の執行強化が求められている中にあって、小売店・飲
食店を中心に事業場数が多い中で十分な監督ができていない、事業場における36
協定の締結・届出に関する基礎的な知識が十分でないといった課題に適切に対応す
るため、労働基準監督官の業務を補完できるよう、民間活用の拡大を図ることが不
可欠である。
さらに、社会経済情勢の変化を踏まえた、労働基準監督署における監督指導の実
効性の確保・強化についても検討が必要である。
したがって、
a 労働基準監督業務の民間活用の拡大のため、以下の措置を講ずる。
・民間の受託者(入札により決定し、契約により、秘密保持や利益相反行為・
信用失墜行為の禁止を義務付け)が、36協定未届事業場(就業規則作成義務
のある事業場、同義務のない事業場)への自主点検票等(36協定の締結状
況、労働時間上限の遵守状況、就業規則の策定、労働条件明示の状況などの点
検票等)の送付や回答の取りまとめを行い、指導が必要と思われる事業場や回
答のない事業場等について、同意を得られた場合に、労務関係書類等の確認及
び相談指導を実施する。
・労働基準監督官は、これらに応じなかった事業場、及び、確認の結果、問題
があった事業場に、必要な監督指導を実施する。
b 労働基準監督署における監督指導の実効性の確保・強化のため、労働基準法違反
に対する抑止・是正効果を高める措置について、引き続き検討する。

[終わり]

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2017年、宮崎信行。

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