【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]共謀罪法案、参議院自民党が仰天の中間報告提案も、当日の成立は阻止、安倍内閣不信任決議案が衆議院本会議で議題も、延会に

2017年06月14日 23時38分59秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[写真]参議院議場の速記者の出入り口、2017年5月、筆者・宮崎信行撮影。

 参議院自民党が、おそらく、安倍晋三首相(自民党総裁)への忖度ならぬ、命令で、突如、共謀罪法案を中間報告して、そのまま採決動議を出してしまいたいとの仰天の提案を昼前後にしました。衆議院民進党などは、安倍内閣不信任決議案を衆議院議長に提出。参議院での採決は阻止し、衆議院本会議は、あす午前0時10分から再開することにして、延会。衆参とも延会の、深夜国会となりました。

[参議院本会議 平成29年2017年6月14日(水)】

 定刻通り、午前10時00分頃に開会。

 「地方議員ビラ(チラシ)をまける、改正公職選挙法」(193衆法21号)は投票総数240、賛成240、反対0の全会一致で可決し、成立しました。平成31年3月1日(金)施行。

 「特定船舶の入港禁止法にもとづく措置の承認」(192承認1号及び193承認3号)は投票総数239、賛成239、反対0の全会一致で両院承認されました。

 「商業捕鯨実施のための捕鯨科学調査実施法案」(193参法106号)は、投票総数239、賛成237、反対2の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。個人的には反対2が出て、うれしい。参法で議案番号3ケタの法案が可決したのは極めて異例です。


[画像]商業捕鯨のための捕鯨科学調査実施法案の採決で反対2が出たことを表示する参議院本会議押しボタン式投票システム、2017年6月14日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 「改正児童福祉法」(193閣法48号)「ホームレス自立支援法10年延長法」(193衆法19号)は同時に議題となり、投票総数241、賛成241、反対0の全会一致でともに成立しました。改正児童福祉法は公布の日から起算して1年以内の政令で定める日に施行。改正ホームレス自立支援法は公布日に施行。

 この後、「国務大臣山本幸三君問責決議案」を議題に追加するよう、伊達忠一議長が諮りました(衆でいう、議事進行係の緊急動議に相当)。

 これについては「異議無し」と全会一致で決まりました。ただし、直前に自民党側から「おいおい」との野次が飛んでいたのですが、採決では、異議有りとは誰も言わなかったようです。この辺は、参議院がいかにもごく少数の幹部が支配していることがうかがえるところです。

 議院運営委員会理事らが議場内交渉スペースに登壇。自民党の牧野京夫さんらから「国務大臣山本幸三君問責決議案の審議では、趣旨説明を15分以内、討論を10分以内に制限する動議」が提出されました。これには「言論の自由を制限するのか?」との野次が飛びました。民進党はこの動議の採決を記名投票表決にするよう署名を出しました。これで、記名投票表決。その結果、投票総数238、賛成165、反対73の賛成多数で可決し、演説時間が制限されました。

 趣旨説明(衆でいう趣旨弁明に相当)では、2013年再選の総評3人娘の1人、自治労の相原久美子・内閣委筆頭理事が登壇し、演説。自民党側の討論(反対討論)は、自民党の議運理事や予算理事経験者の岡田直樹さんが登壇。民進党側の討論(賛成討論)には、同じく総評3人娘の1人、日教組の神本美恵子さんが登壇。この後、記名投票表決され、議長集計結果を発表。投票総数238、賛成73、反対165の賛成少数で、山本国務大臣問責決議案は否決されました。

 午後1時まで休憩となりました。

 午後の本会議は、午後6時21分頃再開しました。まず金田法相問責決議案を日程に追加することを議長がはかり、了承されました。ここで、自民党が「趣旨説明を15分、討論を10分以内」に制限する動議を提出。これについて、民進党の提案で記名投票表決。投票総数235、賛成162、反対73で時間が制限。

 真山勇一さんが登壇し、「金田法相問責決議案」を説明。討論演説で、福山哲郎さんが「金田大臣は参議院議員時代、京都の共通の友人宅で食事をしたことがある」とあかし、「ご病気のこともあったとはいえ」と気遣いながら、答弁を法務省局長に任せた姿勢を批判しました。

 この後、採決。投票総数237、賛成73、反対164で否決。金田法相は一礼して、本会議場を(いったん?)去りました。

 そして、ついに、自民党から、「共謀罪法案(193閣法64号衆修正)」について、法務委員長から中間報告を求める動議を議題とする動議」が提出されました。午後8時5分頃から、この動議について、採決。投票総数239、賛成149、反対90.中間報告を求める動議を議題とすることになりました。

 ここで、先に提出されていた、「山本順三議院運営委員会解任決議案」を日程に追加し、議題とすることになりました。ここで、自民党から、「趣旨説明を15分、討論を1人10分」に制限する動議が出ました。この動議について、記名投票表決。

 私見ですが、通常国会146日目にして、議運の話を10分、15分でやるのは、いくらなんでも無理でしょう、と思いますが。投票総数237、賛成164、反対73で制限されることになりました。

 趣旨説明は、吉川沙織・議運筆頭理事。もともと午前10時の本会議は、山本、金田両大臣の問責決議案の採決で、終わる予定だったとし、審議引き延ばしの批判はあたらないとしました。山下芳生・共産党議員団長は「きょうの理事会で、自民党の西田昌司理事から、状況が変化したので、中間報告をしたい、との申し出があった。西田理事からは、申し訳ない、との言葉があった」と暴露。何が変化したのかと問うと、西田理事は答えず、公明党理事はうつむいただけだったとしました。これは、西田さん(清和会・清風会)が官邸の、安倍晋三総裁(首相)から「早く会期を閉じろ」と、忖度ならぬ、命令を受けた可能性があります。

 採決の結果、投票総数235、賛成73、反対162で、山本順三さんが議運委員長を続投することに。

 夜9時42分頃、伊達議長は、延会を宣言しました。

【衆議院本会議】

 午後1時設定。

 午後11時31分頃開会。
 
 安住淳さんらが午後9時半前後に出した、「安倍内閣不信任決議案」。議事進行係の緊急動議で上程され、議題となりました。これを見越して、閣僚全員がひな壇に座っていました。

 大島理森議長は、あす午前0時10分から本会議を開くと発表して、きょうは延会しました。

【衆議院農林水産委員会】

 最後に、「JAS法改正案」(193閣法35号参先議参修正)が山本農相と、山田修路・自民党参議院議員から趣旨説明されました。先議の院(参議院)は4月5日(水)に可決していましたが、重要法案が多いことと農水省が所管する獣医師をめぐる自民党政府の疑惑から、審議入りが遅れていました。あす午後2時から委員会を開き、審議することになりました。

 これに先立ち、一般質疑がありました。自民党の渡辺孝一さんは「審議入りしていないが、JAS法改正案についても質問したい」として先取りした質問をしました。渡辺さんは「15分間の質問ですから、お耳を貸してください」と同僚にお願いしました。山本大臣は「参議院本会議に行きますから」と委員長に申し出て退席。渡辺さんは「大臣がいないとは、私の予定にはなかったので困っています」と語ると同僚から「副大臣がいるから大丈夫よ」との合いの手が出ました。渡辺さんは「行政事業レビューについて地元の不安が出ている。国会閉会後に結論が出る。私だけでなく、ここにいるみなさんは、閉会後に、地元周りに忙しく、国会に来ることは少ないだろうから、国会が関与できないことを懸念している。副大臣は大臣によく伝えてほしい」と述べました。渡辺さんは2期生で、宏池会(自民党岸田派)所属。元岩見沢市長で前回は比例単独の立候補でした。最近の自民党には珍しく好感を持てる質問でした。

【参議院憲法審査会】

 公報上は午後1時。午後10時前後に、取りやめ。

【官報】

 「改正中小企業信用保証法」が、平成29年6月14日法律56号として公布されました。
 「改正医療法」が、平成29年法律57号として公布されました。ともに、きょうから1年以内の政令で定める日に施行。

このエントリーの本文記事は以上です。
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吉川沙織(吉川さおり)議運筆頭理事が、山本順三議運委員長解任決議案を提出、午後6時(以降)からの本会議で議題に

2017年06月14日 17時56分07秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]吉川沙織さん、2015年8月21日の本会議、参議院インターネット審議中継から同日にスクリーンショット。

 吉川沙織(吉川さおり)参議院議院運営委員会・野党側筆頭理事は、平成29年2017年6月14日(水)午後4時27分、「議院運営委員長、山本順三君解任決議案」を同僚の舟山康江さんと提出しました。

 この後、午後6時(以降)に再開する、参議院本会議で議題になります。

 吉川さんは、参議院70年の歴史で、はじめての女性の議運筆頭理事。これまで議長、大臣、知事、代表と女性は出ていますが、議運筆頭理事とは、手りゅう弾を構えながら、双眼鏡で紹介するような仕事です。物騒なたとえですが、山本委員長は、平和安保法制の参議院本会議で最初の代表質問をしています。また山本さんは、愛媛県選出で、同県今治市を選挙区とする県会議員出身で、現在も今治市に事務所を置いています。まさに、今治特区国会の終幕にふさわしい展開となりました。


[画像]山本順三さん、2016年11月16日の本会議、参議院インターネット審議中継から同日にスクリーンショット。


[写真]参議院議院運営委員長室、国会議事堂参議院本館2階、2017年5月、筆者・宮崎信行撮影。

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【速報】共謀罪法案を、午後1時からの本会議で成立させてしまう動きが顕在化 秋野法務委員長の中間報告後に採決動議か

2017年06月14日 13時05分53秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 午後1時から再開される、参議院本会議で、秋野公造法務委員長に対して、共謀罪法案(193閣法64号衆修正)の審査状況について、中間報告を求め、その後、本会議で採決し、成立させてしまう動きが、自民党にあることが分かりました。参議院民進党の幹部の公式SNSで発信されました。現時点(午後1時時点)で正式な提案はしていないようですが、本会議中に緊急動議が出る可能性があります。自民党は参議院で28年ぶりに単独過半数を持っていますから、動議が出れば、その後、可決・成立まで押し切れる計算になります。

 この前兆として、西田昌司・法務委理事ら、参議院自民党国対は、前夜から、「問責決議を出したということは、法案の審議が尽くされたと、民進党が判断した証拠」という、分かるような分からないような、認識を新聞記者に話していました。

【追記】

 午後1時再開予定の本会議は、再開せず、ずれ込んでおり、議事の前さばきに相当な時間がかかることも予想されますが、問責決議案の処理は、当然与党も今日の遅くない時間帯までに済ませたいはずです(午後1時7分記す)。

●中間報告とは?

 「吊るす」と「おろす」は国会の正式な刊行物でも使われる言葉。法案を議長が、委員会に対して審査するよう付託することをおろすといいます。野党が重要法案について、本会議での趣旨説明と代表質問を求めた場合、それまでは、議長は委員会におろすことができなくなり、その期間は、つるしたことになります。

 一度、おろした法案を、なかなか、委員会が採決せず、審査結果報告書が議長に上がってこないときに、議長が委員長に対して本会議で中間報告をするよう求めることができます。すなわち「一度、おろしたものを、吊るす」ということになります。

 中間報告に対する質疑もできます。どちらかといえば、野党が委員長ポストを持っているときの国会戦術です。基本的には与野党伯仲期に一時的に「流行」することが多い戦術。今回は28年ぶりの自民党衆参単独過半数体制の通常国会ですから、本来考えられない戦術です。きょうは、公明党の秋野委員長に中間報告を求めるて、その後、議場で立ち上がって採決動議を出し、起立採決を繰り返して、可決し、成立させたい構想だろうとみられます。

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「言論を制限するのか!」の野次の中、自民党が制限動議を提出、山本国務大臣問責決議案、参議院本会議【追記有】

2017年06月14日 10時31分17秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 自民党は、平成29年2017年6月14日(水)午前10時15分前後、伊達忠一議長に対して、

 「山本幸三国務大臣問責決議案の審議では、演説時間を、趣旨説明は15分以内、討論は10分以内に制限する」とする、

 発言時間の制限動議を提出しました。牧野京夫(まきの・たかお)さんら2名が提出しました。

 これには、議場から「言論の自由を制限するのか」という野次が飛びました。

 民進党などはこれに対抗。足立信也さんらの提案で、この動議に対する賛否を、記名投票表決(堂々巡り)にするよう要求し、実施。

 山本幸三国務大臣問責決議案を議題に追加するとの伊達議長の提案については、議場から異議は出ていませんでした。

【追記】

 動議は、投票総数238、賛成165、反対73の賛成多数で可決しました。

 15分の制限動議がかかった中、趣旨説明に、民進党の相原久美子さん(自治労)が立ち、「本院は国務大臣山本幸三君を問責する」と語りました。

 この後、午後11時半前後に、投票結果を集計して、議長が発表。投票総数238、賛成73、反対165の賛成少数で山本国務大臣問責決議案は否決されました。【追記終わり】

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