【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]刑法改正案と旅館業法審議入り、退位特例法案衆通過、閣法成立率「94%」(筆者試算)ペースか

2017年06月02日 18時38分30秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[写真]27年ぶりの衆参単独過半数の自民党で、ある意味最強の政治家ともいえる、橋本聖子・参議院自民党会長(パネル)、2017年5月の参議院特別参観での参議院自民党の展示から、筆者・宮崎信行撮影。

 懸案だった退位特例法案が衆院を通過。刑法改正案と旅館業法改正案が衆議院で審議入りしました。筆者の試算では、今国会の新規内閣提出法案の成立率は、会期を延長しないでも94%前後か、それ以上になる見通し。退位法案の流れを見ても、育ちの悪い人々は、歴史を作ろうとするけど、歴史を学ばないのだな、と感じます。民進党の「提案」の成立率は0%の見通し。

【衆議院本会議 平成29年2017年6月2日(金)】

 日程第一の「電子委任状促進法案」(193閣法46号)。委員会では「全会一致」でしたが、本会議では起立多数で可決し、参議院に送られました。

 日程第二の「天皇退位特例法案」(193閣法66号)。これも委員会は全会一致でしたが、本会議では賛成多数で可決し、参送付。

 なお、日程第一と日程第二は議長の発議で審議順が入れ替わりました。

 この後、「刑法改正案」(193閣法47号)が金田法相が「明治40年以来、基本的に構成要件が変わっていない性犯罪の処罰規定を変える」と趣旨説明しました。代表質問で、元TBS政治部記者・ワシントン支局長の山口敬之・フリージャーナリストが「詩織さん」を睡眠ないし酩酊中に強姦した疑いがあり、逮捕状がでながらも、安倍官邸幹部だった警視庁刑事部長の判断で執行されなかったとされる疑惑について、松本国家公安委員長は「性犯罪は専門性が高く、捜査幹部が指導している。警視庁も告訴を受理し、捜査し、検察庁に省ルを送ったが、適正な捜査がされた」と答弁しました。個別の事案について、本会議で答弁したうえで、さらに刑事部長の意向が反映された、という異例の答弁でした。

【参議院本会議】

 「改正港湾法」は投票総数236、賛成222、反対14の賛成多数で可決し、成立しました。1か月以内に施行。

 「改正地方自治法」は投票総数235、賛成162、反対73の賛成多数で可決し、成立しました。議選監査委員を無くすことも選択肢となる、第31次地方制度調査会の報告書の法制化で、2019年4月1日(水)までに順次施行。

 これに先立ち、「住宅宿泊事業法案」(193閣法61号)が石井啓一国土交通大臣から趣旨説明されました。「森友」の関係もあるかと思いましたが、自民党も代表質問に立ちました。

 散会前に、3つの調査会の中間報告がありました。「国際経済・外交に関する調査会の中間報告」、「国民生活・経済に関する調査会の中間報告」、「資源エネルギーに関する調査会の中間報告」。このうち1つの調査会では、会長ではない理事が登壇しましたが、その会長は今週の水曜日には、調査会に出ていました。

【衆議院厚生労働委員会】

 「ホームレス自立支援法を10年間延長する法案」(193衆法 号)が、丹羽秀樹委員長から起草され、全会一致で可決しました。「29年8月6日まで」を「39年8月6日まで」10年延長します。公布日に施行。

 「旅館業法改正案」(193閣法50号)が趣旨説明されました。衛生面などの規制を強化して、国交省の住宅宿泊事業法案とあわせて「民泊新法」を構成することになります。

 これに先立ち、一般質疑が7時間コースでありました。民進党の初鹿明博さんは「AV会社の社長が個人輸入の経口避妊薬ピルを個人輸入して、未成年女性2人に飲ませた。もちろん善意だったわけだが」「ホームレスとなった親子は、収入がある日はラブホテルで、収入が無い日はラブホテルの駐車場で暮した」と会期末らしい初鹿節を連発。5年前の延長国会の「真実の会」を見るようでした。

【衆議院法務委員会】

 一般質疑があり、本会議前に散会しました。次回は、6日(火)9時半からで、ここで刑法改正案が審議入りするとみられます。

【参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会】

 一般質疑がありました。

【官報】

 法律が11本公布されました。今国会の制定法律は50本となりました。筆者の試算では、今後提出される議員立法も含めて、会期を延長しなくても、制定法律は65号を超えると思います。きょねんの第190回通常国会の74本よりはかなり減ります。政権交代から5回目の通常国会となったことと、自民党が衆参単独過半数をとったことから、秋以降も、「束ね法案」が減る傾向がでるのではないか、と推測しています。

 きょう公布された法律。

 「防衛省設置法及び財政法を改正する法律」(国会審議での議案番号は193閣法26号)は、平成29年6月2日法律42号。きょうから来年3月にかけて順次施行。
 
 「改正国民生活センター法」(193閣法39号)は平成29年法律43号は、ことし10月1日(日)施行。

 「民法債権編改正法」(189閣法63号及び64号)は、平成29年6月2日法律44号及び平成29年6月2日法律45号として公布されました。公布の日から起算して3年以内の政令で定める日に施行しますので、2020年6月2日午前0時よりも前に施行します。

 「不動産特定事業法を改正してクラウドファンディングを規制する法律」(193閣法44号参先議)は、法律46号。6か月以内に施行。

 「改正企業立地促進・地域牽引企業法」(193閣法30号)は法律47号。3か月以内に施行。

 「農村地域工業等導入促進法を改正して商業サービス業を対象に加える改正法律」(193閣法29号)は、法律48号。2か月以内に施行。
 「改正銀行法」(193閣法38号)はフィンテックを促進するもので、平成29年法律49号。1年以内に施行。

 「通訳案内士法及び旅行業法を改正する法律」(193閣法59号衆修正)は、法律50号。きょうから9か月以内の日に、各々の政令で施行。
 「改正種の保存法」(193閣法33号)は、平成29年法律51号。1年以内に施行。
 「改正介護保険法」(193閣法15号)は、平成29年6月2日法律52号で、ことし8月1日(火)から施行。

 条約が5本公布されました。国会承認を求めたものは、すべて全会一致で承認されました。

「NPAFC北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定」は平成29年6月2日条約13号。
 「IPU万国郵便連合憲章の第九追加議定書」は条約14号。
 「万国郵便連合一般規則の第一追加議定書」は条約15号。
 「万国郵便条約」は条約16号。
 「郵便送金業務に関する約定」は平成29年6月2日条約第17号です。「約定(やくじょう)」というタイトルの国際約束は珍しいですね。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2017年、宮崎信行。

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