【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

○「会期延長してしっかり議論したい」参議院第2会派、民進党の小川敏夫会長が第193回国会延長を容認する歴史的発言

2017年06月08日 20時35分38秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]小川敏夫さん、2015年8月4日の参議院本会議から、肩書は当時の名称、参議院インターネット審議中継から当日にスクリーンショット。

 小川敏夫「民進党・新緑風会会長」(民進党参議院議員会長)は、平成29年2017年6月8日(木)の定例記者会見で、

 「会期を延長してしっかり議論すればよろしい。それが参議院のやり方だ」と語り、

 第193回国会を6月18日(日)以降も延長することを、官邸・与党衆議院自民党が提案し、衆議院で議決することを容認しました。

民進党・小川敏夫参院議員会長定例記者会見 2017年6月8日

 小川さんは、冒頭発言ではなく、記者から質問に答える中で発言しました。

 小川さんは冒頭自ら、「共謀罪法案はより要件を詰めたい。十分な質疑を行いたい。そのなかで、しっかり予定を組みたい」と語りました。SIELDS(シールズ)=解散=の応援ももらって、昨夏、6人区で6位ながら当選した小川さん。野党でただ一人、死刑執行命令書にサインをした経験がある国会議員です。

 記者会見で小川さんは「(参議院法務委員会が開かれている参議院分館から参議院本館2階本会議場近くの控室まで)階段を走ってきたので、少しだけ息切れしてしまった」としながら、記者の質問に応じました。「(採決の前提というとらえ方が多い)参考人質疑の求めが与党から出てきた。参考人から話を聞くことはよいことだ」「(会期末に審議未了で)廃案でないなら十分な議論が必要だ」と語りました。

 参議院では、1961年の国会で、重宗雄三参議院自民党会長が、首相をつとめる池田勇人自民党総裁(衆)から「公選法改正案を成立させてほしい。そのためなら、産業特会改正案が廃案になってもいい」と要求。重宗会長が千葉信・参議院社会党議員会長に働きかけ総裁の提案を応諾。しかし、自民党幹事長(衆)に話をつけていなかったことから、池田総裁が両院議員総会で謝罪させられる事態となりました。この後の総理総裁は、参議院自民党に閣僚ポストを割り振り、会長が人選するなどして影響力を大きくします。

 参議院社会党も、日教組組合員が、会期末の委員会で、大量に傍聴して、組織内議員を発奮させました。このため、現在になっても、比例選出の日教組組織内、神本美恵子さんと那谷屋正義さんが最終盤の深夜の解任決議案の討論などに登壇することが目立ちます。そして、今世紀になってから、副議長室の主は、半数近くが日教組組織内議員です。また、今日にいたるまえ、「参議院国会対策委員長会談」が、自民党と民進党の2党だけなのも、その流れです。

 1989年に、参議院の過半数を失い、1998年に参議院民主党が第2会派として躍進したことで、逆に、自民党内での参議院の力は強まりました。これが、2016年参院選で、衆参単独過半数の27年ぶりの回復と、その直後に、首相腹心の橋本聖子さんを会長にすえたことで大きな変化があり、今国会を迎えました。

 一方、参議院民主党・民進党は、初代の菅野会長以降に、日教組組織内を中心に、旧総評系議員が引き続き会長を独占。その後、江田五月会長(親は社会党幹部)らを経て、郡司彰会長(労組出身だが、民主党初当選)が就任。

 その後、はじめて労働組合と縁がない小川敏夫会長が就任したことできょうの歴史的発言となったようです。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki 


[きょうの国会]森裕子さんが欠席→審議拒否戦術に出るも広がらず、玄葉光一郎衆決算委員長が昭和19年度朝鮮総督府特会「問い合わせに応じられるよう備えろ」戦後は終わらず

2017年06月08日 17時27分12秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]希望の会(自由党)の森裕子(森ゆう子)さん=赤丸部分=の欠席戦術で空転する、参議院農林水産委員会、2017年6月8日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショットし、赤丸部分は筆者・宮崎信行が加筆。

 参議院で審議が進む「共謀罪」廃案のために、欠席戦術をしてほしいとの声がSNSで寄せられているようですが、残念ながら、希望の会・自由党の森裕子さんが欠席戦術にでたものの、他の野党には広がず。淡々と審議が進みました。

 衆議院本会議では、民進党・岡田系の、玄葉光一郎・衆議院決算行政監視委員長が「昭和19年度の朝鮮総督府特別会計も今後の債務債権関係の問い合わせに応じられるようにすべきだ」「異次元の金融緩和の出口をみすえて引き当てるべきだ」「決算審査は4年分まとめてではなく、次からは毎年度するようにすべきだ」という、委員会の決議や確認事項を、「報告」しました。いつも、後始末や尻ぬぐいは、私たち岡田系がやっているような気もしますが、100年後に評価されれば、それでいいでしょう。

 平成元年1989年の、おたかさんブームとリクルート失策にともない生まれた、衆参ねじれで、自民党単独過半数の参議院カーボンコピーに戻って、平成は幕を閉じることになりました。

【参議院農林水産委員会】

●森さん1人欠席戦術も広がらず法案可決。

 この委員会には昨夏の1人区で勝った舟山康江さんらが在籍。今国会では、希望の会・自由党の森裕子さんが、質疑をめぐって、他の委員から「ちゃんと時間を守りなさいよ!」などと罵声を浴びることが目立っています。きょうは、森裕子さんが、畜産関係で、加計学園の獣医師特区について質問。森さんは、内閣府審議官に対して、今治市課長代理との具体的な面接日時を追及しましたが、答弁では逃げられました。この後、質問の途中で森さんが退席し、欠席戦術に出ました。渡辺猛之委員長(自民党)は休憩を宣言。20分後に、「理事会で合意した質問時間が来ましたので、質問は終局したことにします」と語り、政府参考人らがやれやれ、と帰りました。

 委員会の議題は、「畜産物価格安定化法案」(193閣法40号)は、共産党の紙智子さんらが強く批判してきました。討論では、民進党と共産党が反対討論。ここで、委員長がもう一度ストップし、理事が森さんを呼びに行きました。その後、森さんが出席しないため、委員長はやむを得ないとして採決。民進党、共産党が反対、自民党、公明党、維新の賛成多数で可決すべしとしました。同時間帯には、希望の会・自由党所属の他の議員は委員会に出席していました。自民党衆参単独過半数体制で、欠席戦術を参野党が避けていることが浮き彫りになりました。

【衆議院本会議】

 火曜日は開かれませんでしたので、6日ぶりの開催です。

 「ホームレス自立支援法を10年延長する法案」(193衆法19号)は全会一致で可決し、参に送られました。時限立法を、平成39年8月6日まで延ばす超党派の議員立法です。

●玄葉光一郎さん、朝鮮総督府特別会計の債権債務関係は問い合わせに応じられるようにすべきだ、終わらない戦後。

 この後、玄葉光一郎決算行政監視委員長が登壇。月曜日にテレビ入りでしめくくり質疑をした後に採決した議案を報告しました。「昭和19年度朝鮮総督府特別会計決算」「昭和20年度朝鮮総督府特別会計決算」「平成26年度決算」「平成27年度決算」。そして、平成26年度ないし27年度の国有財産の現在額や無償貸し付け状況の総計算書の承認案です。

[画像]玄葉光一郎衆議院決算行政監視委員長、2017年6月8日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 玄葉さんは政府に対して、「日銀の量的緩和の出口で長期金利が上昇したり、準備預金が増えて金融機関の収益が減るかもしれないから、政府は引き当てておくべきだ」とした委員会決議を報告。「朝鮮総督府決算は、債権債務関係の今後の問い合わせに対応できるよう備えておくべきだ」と語りました。朝鮮総督府特会は解散して一般会計に繰り入れても政府と個人らの債権債務関係は続く。我が国は朝鮮半島で戦争したわけではありませんが、戦後処理は終わらないことを感じさせました。玄葉さんは「なお、今国会で平成24年度から27年度までの4年分の決算を並行して審議することになったが、次回からは1年ごとに審議するよう努力すべきだ」と、「与野党が確認しているのでご報告する」と、委員長の審査結果報告を締めくくりました。

 採決の結果、議案はすべて賛成多数で承認・是認されました。決算なので、衆のみで議了(参は昨日議了)。

 この後、「青少年インターネット利用環境整備法の改正案」(193衆法 号)が採決。内閣委員会では全会一致でしたが、本会議では起立多数で可決し、参議院に送られました

 「地方議員選挙のビラ(チラシ)配布を解禁する公職選挙法改正案」(193衆法 号)は、発声による投票となり、委員会と同じく、全会一致で本会議でも可決し、参議院に送られました。印刷会社は大喜びかもしれませんが、くれぐれも貴重な税金を無駄にしないように、私としてはすべての地方議員選挙候補者に強く釘をさしたいところです。

 「農業収入保険法案」(193閣法58号衆修正)は、共反対、自公民維賛成多数で修正可決し、参に送られました。会期延長をめぐる政治判断の材料の一つになりそうです。

 「強制性交等罪などを設けて性犯罪の量刑を引き上げる、刑法改正案」(193閣法47号衆修正)は、全会一致で修正議決し、参議院に送られました。自公民共維の5党修正は、今国会では初めてではないかと思います。

【参議院法務委員会】

 「共謀罪法案」(193閣法64号衆修正)が審議されました。「弁護士ドットコム」会長の元栄太一郎さんは質問の冒頭で「世界中でテロが多発している。被害者にお見舞い申し上げます。日本は卑劣なテロを許さない!」としました。元栄さんは民法改正案の審議でも冒頭から「早く採決すべきだ」と語っており、法律家というよりも企業家として優秀な方なんだろうと思わせました。別に批判的に書いているわけではありません。

 最終盤国会最大の対決委員会となり、理事や委員には、西田昌司さん、小川敏夫さん、福山哲郎さんという顔ぶれとなってきました。福山さんは、秋野公造委員長に対して「委員会が動いている間は委員長は中立公平にふるまうべきだ」とさとしました。委員を出していない、希望の会から、福島みずほさんが、委員外質疑を許され、質疑しました。法案審査は次回も続きます。

【参議院内閣委員会】

 「国家戦略特区法及び構造改革特区法改正案」(193閣法54号)が審議され、次回も続けることになりました。

【参議院厚生労働委員会】

 「医務技監を新設する、厚生労働省設置法改正案」(193閣法16号)共反対、自公民維賛成多数で可決しました。これは成立済みの改正介護保険法と、参で審議順が入れ替わり、後回しにされていました。

 その後、「児童福祉法を改正して児相と家裁の連係を強化する法案」(193閣法48号)が審議入りしました。大事な法案ですから、会期内にぎりぎり成立すると予測されます。

【参議院国土交通委員会】

●民泊新法「年180日未満」は「1泊2日が1日おきで実質年360日」との懸念がでるも、可決し、あす成立へ。

 「住宅宿泊事業法案」(193閣法61号)の審査。観光庁が所管する住宅に客を泊める民泊について、「年180日未満」と規制されているものの、この計算方法だと、1泊2日を1日おきに営業した場合、年360日営業していることになるのではないかとの懸念が出ました。これを受けて、質疑終局後に、希望の会・自由党が「年90日未満にする」との修正案を提出。採決では、希望の会の修正案は広がらず、否決。政府原案は、共反対、自公民維などの賛成多数で可決しました。

【参議院環境委員会】

●環境省の福島地方環境事務所の設置、あす承認。

 「廃棄物処理法改正案」(193閣法62号)と「バーゼル法・特定有害廃棄物輸出入規制法改正案」(193閣法63号)「環境省福島地方環境事務所を設置することの承認案」(193承認2号)。かなり長い審議を経て、質疑を終局しました。この3つの議案は必ずしも関係性が高いとは思いませんが、衆参とも一括して審議しました。採決では、193閣法62号と193閣法63号が全会一致で可決。193承認2号は、共反対、自公民維賛成多数で承認すべしと決まりました。


【参議院総務委員会】

 「電子委任状促進法案」(193閣法46号)が全会一致で可決しました。あす成立のはこびで、総務省の今国会提出法案はすべて成立へ。

【参議院外交防衛委員会】

 「日本ケニア投資協定」(193条約11号)と「日本イスラエル投資協定」(193条約12号)が採決され、承認すべしとなりました。賛否は193条約11号が全会一致、193条約12号が共産党と沖縄の風が反対し、自公民維が賛成しました。

 きょうはこのまま散会しました。条約の承認案件はあと2本ありますが、衆からは全会一致で送られており、次回に審議入りし、当初会期内に議了するはこび。

【参議院経済産業委員会】

 「北朝鮮経済制裁の承認案」(193承認4号)が全会一致で承認されました。あす成立すれば、経産関連はすべて終わりました。

【参議院財政金融委員会】

 法案はすべて終わっており、日銀に対する一般質疑がありました。来年4月よりも前に、国会同意人事が衆参に提出されるはこびで、嵐の前の静けさです。

●参議院文教科学委員会は開催されませんでした。団体の要望を受けた議員連盟による議員立法がありますが、特区をめぐる一般的な質問で、理事懇談会で与野党の牽制が続いているようです。

【衆議院憲法審査会】

 「日本国憲法と基本法制」として第1章天皇がテーマになりました。すでに自民党が単独で年内に改憲案をまとめる日程感が固まっていますが、各党が発言。中谷元さんが「次回からも(衆憲法審は)このように議論してほしい」と述べました。

【衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会】

 13日(火)午前9時に参考人質疑をすることを決めました。この背景には、特別委員長には公用車などがあてがわれており、その存在意義を強調する思惑もあるわけです。ただ、前世紀と違って、東京用の自家用車を持つ議員は激減していますし、衆では野党への委員長ポストの配分も少ないですから、私は、理解します。

【衆議院議院運営委員会】

 本会議前に開かれました。今週の理事会では、沖縄の正装「かりゆし」を着るときは、委員会同様に本会議でも、ジャケットを着用しなくていいことが決まりました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2017年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki