【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]大幅延長は無い見通し、共謀罪をめぐり参議院法務委員長解任決議案、性犯罪法案は審議入り

2017年06月06日 17時33分57秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[写真]参議院の本会議や予算、決算、議院運営、財政金融各委員会が開かれる「本館」(左)と、法務委員会、厚生労働委員会などほとんどの委員会・調査会が開かれる「分館」(右)、2017年5月、筆者宮崎信行撮影。

 第193回通常国会は、大幅な延長はなく閉会する見通しとなりました。7月2日の都議選後、二大政党の党首選も予定されておらず、9月頃内閣改造。とくだんの補正予算案編成の動きもなく。衆院側で選挙が強い人は、この夏は、視察「など」で海外にでも行こうという予定を立て始めているでしょう。ただ、嵐の前の静けさで、ある日突然、内外局面が混乱する気配があります。

【衆議院法務委員会 平成29年2017年6月6日(火)】

 「性犯罪等の量刑を引き上げ強制性交等罪などを設ける、刑法改正案」(193閣法47号)が金田法相から趣旨説明されました。理事会では、与党が次回の7時間コース審議、野党が参考人質疑を要求。この法案ですが、「私たち女性は110年待った」という煽り方をしている人がありますが、あくまでも量刑の見直しで、法定刑の上限を引き上げる内容。レイプに会った男性が「待った」というのはあり得ますが、基本的には、採決までにいたれば、ほぼ全会一致に近い意思をとなるんだろうと思います。成立した場合、公布から20日後に施行。

【参議院法務委員会】

 前日、秋野公造法務委員長が、共謀罪法案の審議のために、職権で委員会を設定。けさから理事会で協議しましたが、折り合わず、やむなく、民進党が委員長解任決議案を、本会議に提出しました。あすの本会議で審議されます。きょうの委員会は昼前後にとりやめとなりました。

【参議院内閣委員会】

 これまで「特区法改正案」と書いてきましたが、きょうから、「国家戦略特区法及び構造改革特区法改正案」(193閣法54号)と表記することにします。質疑があり、次回も質疑することになりました。

【参議院総務委員会】

 一般質疑の後、「電子委任状促進法案」(193閣法46号)が趣旨説明されました。閣法としては最後の議案になります。

【参議院外交防衛委員会】
 
「日印原子力協定の承認案」(193条約3号)が、民進党・共産党・維新・沖縄の風の反対、自民党・公明党の賛成多数で、「承認すべし」となりました。この後、特に、全会派でまとめた案文を、民進党の大野元裕さんが朗読。「インドが未臨界核実験をしたら、条約第14条にもとづき、速やかに核協力を止めるよう、政府に強く求める」としました。与党も加わって、「強く」求めるという決議が採択されました。

 この後、「日本ケニア投資協定の承認案」(193条約11号)、「日本イスラエル投資協定の承認案」(193条約12号)の2本が、岸田外相から趣旨説明されました。この2本は、衆議院段階で共産党が反対しています。質疑は次回。定例日は残り3回。

 このほか、衆議院では上記2本と一括審議された「日本スロバキア社会保障協定」(193条約13号)「日本チェコ社会保障協定」(193条約14号)は、審議入りせず。ただ、衆議院では全会一致でしたので、会期内に承認されるとみられます。

●参議院財政金融委員会は開かれませんでした。
●参議院文教科学委員会は開かれず。衆側から議員立法が1本回ってきていますが、きょうはありませんでした。

【参議院厚生労働委員会】

 「医療法など一括改正法案」(193閣法57号)の質疑があり、全会一致で可決すべし、となりました。。

 この後、一般質疑。

 最後に、「厚労省設置法を改正して、医務技監を設ける法案」(193閣法16号)が趣旨説明されました。大臣によると「iPSなどゲノム医療などの発展により」医務技監が必要だとのことで、そう言われればそうなのかもしれないな、という感じです。

 ところで、一般質疑の中で、厚労省がブラック企業ではないかとの指摘がありました。橋本岳副大臣が「質問主意書が多い」などとしました。たしかにそうだと思います。厚労省は純増が必要です。ただ、次官級ポストを1つ新設する法案の審議入りという流れは、なかなか深い気がします。雇用維持のうえ、政権交代してシンプル化が一番良いと思うんですがね。

【参議院農林水産委員会】

 「畜産物価格安定法改正案」(193閣法40号)の参考人質疑だけがありました。

【参議院経済産業委員会】

 「信用保証法改正案」(193閣法31号)が共反対、自公民維賛成多数で可決しました

【参議院国土交通委員会】

 「住宅宿泊事業法案」(193閣法61号)とは趣旨説明され、ただちに与野党とも質疑しました。

【参議院環境委員会】

 「廃棄物処理法改正案」(193閣法62号)、「バーゼル法改正案」(193閣法63号)、「環境省福島地方環境事務所の承認案」(193承認2号)の参考人質疑がありました。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki 


共謀罪、創価学会員に23時間の考える時間、参議院法務委員長解任決議案提出、あす採決へ

2017年06月06日 16時10分33秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 参議院民進党の真山勇一さんらは、平成29年2017年午前10時29分、参議院法務委員長解任決議案を提出しました。

 共謀罪法案の審議のため、野党の了解をえず、同日午前10時に委員会を設定。理事会で抗議しましたが、強行の姿勢を崩さず。やむを得ず、解任決議案を出しました。

 公明党は1965年から、52年間にわたり、法務委員長を独占。

 この理由について、公明党本部広報課(党職員)は、数年ぶりに私の取材電話に居留守しないで、回答。3年に1回の各派協議会で、継続してほしいと言っているからではないか、と誠実に答えてくれました。同党は、5年前の、消費税増税をめぐる小沢一郎衆議院議員率いる「国民の生活が第一の乱」のあおりで、総務委員長がころがりこみ、常任委員長2名体制が5年続いています。ですから、前回も、まず法務委員長は「継続」と言っているのではないか、参議院内では、ということが公明党本部の公式見解のようです。

 先日も書きましたが、公明党立党者で創価学会第三代会長の池田大作先生は、「共産党弾圧のための治安維持法は、戦争末期において、拡大解釈され、弾圧法と化した」(「人間革命」第1章「黎明」)と書いています。今、公明党は「共謀罪法案はテロ等準備罪法案であり、治安維持法と違う」と絶叫しています。

 解任決議案は、あす7日(水)午前10時から審議されると思います。

 なお、法務委員には、長く参議院をリードしてきた二大政党、民進党・新緑風会の小川敏夫参議院議員会長も常連として名を連ねています。小川さんは死刑を執行した元法務大臣で、東京都選出。

 公明党が東京都議会を重視するのは、23区内で、平和会館などの礼拝所への固定資産税課税を牽制するため、財務副大臣をもっているのは、財務(お布施)が非課税、まあそれは当たり前の話ですが、所得税・贈与税などの牽制とみられます。

 正直、23時間、創価学会員が考えたところで、歴史も、日本も、学会も、参議院も何も変わりませんが、まあ、それでも考えてみてはどうでしょうか。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki 


[訃報]長谷川清さん享年84、新党友愛や、新進党・民主党、民社党の参議院議員、電力総連東電労組組織内

2017年06月06日 01時27分09秒 | その他

[写真]長谷川清・元参議院議員、国会議員要覧第33版・国政情報センターから。

 報道によりますと、長谷川清(はせがわ・きよし)元参議院議員が、先週、平成29年6月1日(木)に亡くなっていた、ことが5日分かりました。享年84。葬儀・告別式は近親者のみ。

 心より、お悔やみを申し上げます。

 在りし日の姿を思い出します。といいますのも、私が会社員として初めて一人で任された、新党友愛のメンバーだったからです。長谷川さんは、1992年民社党比例3位(ラスト)で初当選し、細川・羽田内閣、新進党結党に参画。新進党解党後は、新党友愛を経て、第2次民主党結党に参画しました。

 電力総連・東京電力労働組合(東電労組)執行委員長から、参議院議員に。昨夏から3期目に入った、現職の小林正夫・参議院経済産業委員長の、先代にあたります。長谷川さんの2回の選挙は、けっこう下の方で、電力総連も当時はご苦労されていたようですが、後継者の小林現参議院議員は、トップ当選で地盤を引き継ぎました。

 長谷川さん、新党友愛時代は、裏の、関電労組執行委員長出身の議員が党副代表をしていたこともあってか、長谷川さんが何か判断をするという局面はありませんでした。私も、長谷川さんとお話しした記憶はありません。毎朝必ず、颯爽とした姿をされていました。長谷川さんの最終学歴は高等学校卒業です。それを差別語だと、ど勘違いしている人がいますが、長谷川さんは高卒。連合第4代会長の故笹森清さん=旭日大綬章=や、現職の小林経産委員長もともに高卒です。東電労組のみならず、電力総連傘下の、送電、配電の働く仲間の代表だから、高卒なのは、当然でしょう。

 お話したことはありませんが、当時は、衆議院にも労組の比例議員がいて、ある中卒(←差別語ではない!)の運輸関係労組出身の衆議院議員が「長谷川先生、うちの組織がご迷惑をおかけしました」と謝っていたことがあり、なかなか、連合組織内もいろいろあるのだな、と感じました。私はきわめて謙虚な者だと思っていますが、連合組織内議員のそういう姿を一番蓄積している、現役政治ジャーナリストかもしれません。

 自分語りになってしまいましたが、長谷川さんは、参議院科学技術特別委員長、参議院環境委員長もつとめました。上述しましたが、後継の小林さんはトップ当選。その後、電力総連は「2011年」後も、上位当選が続いています。

 今現在の、民進党参議院議員も、その名を知っている人は1割程度でしょう。第4代連合会長と同じく、20世紀の東電労組らしい、「対決と調和」「やさしさときびしさ」を併せ持つ。すなわち「しなやかさ」がある時代だったと思います。翻って、現代の東電労組、前のO執行委員長などは「きびしさ」だけではないでしょうか。

 まあ、それはとにかく、長谷川参議院議員、颯爽としていましたよ。ピターッ、て感じでしたね。

このエントリー記事の本文は以上です。