[写真]橋本聖子・参議院自民党会長のパネル、2017年5月、筆者・宮崎信行撮影。
第193回通常国会の、新規閣法(新規の内閣提出法案)の成立率は95・5%と、極めて高い率となりました。
政府が召集2日前に示した「第193回内閣提出予定法律案件名・要旨調」では法案64本を提出する予定としました。8本が「提出予定以外で検討中」としました。
このうち、厚労省が出す予定としていた「健康増進法改正案」は自民党内の事前審査で提出されませんでした。
「検討中」のうち、衆議院新区割り法と共謀罪法が提出され、成立しました。
さらに「平成天皇退位特例法」が提出され、成立しました。
そのため、上の計算式では、分母を66とします。
成立しなかったのは、厚労省が提出した3本「精神保健福祉法改正案」(193閣法34号参先議)「水道法改正案」(193閣法49号)「旅館業法改正案」(193閣法50号)の3本。
よって、63割る66で、95・5%となります。
過去との比較では、たとえば、第94回国会(1981年)は74本中69本成立で93・2%。
第193回国会では参議院で修正して衆に送り返す「回付」はゼロでした。第94回国会では2つありました。
第193回国会では、審議未了の3本は継続審査となりました。第94回国会では5本中、防衛省執筆の2法案(組織法と給与法)は継続審査手続きすらとられず、まるっきりの廃案となっています。
さらに、第193回通常国会では、前会から継続審査となっていた、6本中3本が成立しました。この継続審査案件の成立率50%は、過去の例をみると、「衆院選後3度目の通常国会」としては高率です。
そもそも、第193回国会は延長なしですが、第94回国会は17日間延長されています(ただし当時は暮れの自然休戦時期あり)。
蓮舫代表(ネクスト首相)がかかげた「提案」の成立はゼロ。衆段階の修正の内容を精査しても、民進党の「提案」は成立率ゼロです。
賢者は歴史に学ぶ、愚者は経験に学ぶ。
参議院自民党は、2016年体制成立とともに、橋本聖子会長を選出し、自ら「歴代最軽量会長だ」と語りました。清風会(参議院清和会)の同期には閣僚もいて、「最軽量」をすえたことで、先の臨時国会の再延長会期末での与野党修正による回付がなかったものと考えられます。
一方、民進党は、野田佳彦幹事長らが「天皇退位特例法」に積極的にかかわり、「歴史を作ろう」とする気概を感じました。歴史に学ぶ自民党のもとに、歴史を作ろうとする民進党が完全に利用されたわけです。
もちろん、このような議会構成になったのは、第24回参院選で岡田克也先生が民進党代表(ネクスト首相)としてのぞみ、「まずは3分の2をとらせないこと」のメッセージが伝わり切らず、負けたからです。私は100回謝れと言われれば100回謝るし、岡田常任顧問が蓮舫代表を100%支持しているのですから、私は蓮舫代表を支持します。
「理解できない」が常套句の蓮舫代表には、歴史を学ぶ謙虚さがない。もうすぐ元号が変わります。では、明治10年に何があったか。それは初代陸軍大臣だった西郷隆盛さんが、反政府軍の総大将として政府に成敗され、50歳で生涯を閉じました。明治10年だから、明治維新から10年経っていないわけです。それだけ、歴史の流れは早い。民進党への政権交代から数えると、来年が、10年目になります。もはや、事業仕分けといっても相手にされないでしょう。蓮舫代表、野田佳彦幹事長は、少し、育ちが悪いのではないか。また、報道によると、蓮舫代表は、5月3日の朝、読売新聞を買いにコンビニに走ったそうですが、日本最大部数の新聞ぐらい、自宅で購読したらどうか。
2012年12月16日の選挙で、与党・民主党を56議席にまで叩き込んでしまった、日本国民の大山鳴動ぶり、先の見えなさ(人材面・野党財政面)に恐怖すら覚えます。昭和10年と比べて、今の日本は国土面積は3割少ないのに、人口は4割多いので、人口密度は1・6倍(注、ここでの3つの数字はかなり丸い数字)となっています。戦前よりも、もっと椅子取りゲームと閉鎖性が激しく、大山鳴動しやすい地合いにあるでしょう。
普通選挙よりも、もう少し有権者登録のような、制限選挙的な要素を取り入れる必要もあるかもしれません。
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(C)2017年、宮崎信行。
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Miyazaki Nobuyuki