「地方自治法改正案」が提出されることになりました。
現行法にない、「圏域」という言葉を使い、市町村(自治体)の権限を集約する方向の改正となります。総務省がつくった資料には、「二層制」という言葉も論点の1つとして明示され、新元号のもとでの抜本的な改正となりそうです。
これは、安倍晋三首相(自民党総裁)が次のような諮問を、先月、地制調に出したからです。
「地方制度調査会設置法(昭和27年法律第310号)第2条の規定に 基づき、次のとおり諮問する。人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について、 調査審議を求める」。
このように22年後の「2040年頃」を明示し、逆算した地方自治制度の手直しを求めるものです。この直前に、総務省の勉強会は、とりまとめ「自治体戦略2040構想研究会第2次報告」を肉付けすることで、地制調の報告書がまとまりそうです。
日程感としては、来年2019年通常国会にも提出されると報じられていますが、この場合は、与党国対がめどとしている3月上旬提出だと、統一地方選直前になります。いずれにせよ、徳仁親王が天皇陛下として公布する新元号最初の地方自治法改正となります。
2040年というと、団塊ジュニア世代である、筆者・宮崎信行が66歳となり、前期高齢者となる頃。イメージと異なり、「県」という単位では、65歳以上の実数が増えるのは、半分程度の「県」となります。
一方、総務省がそろえた資料では、保育所のニーズは実数でも高まると指摘。介護従事者は現在の170万人から250万人が必要となります。
総務省が地制調に配った資料には、自治体の規模別の人口増減も示されました。
[画像]総務省作成の資料の一部、筆者・宮崎信行が赤囲みを加筆。
このように市町村の人口はすべての規模で減少。100万人以上の政令市でも総人口は減りますが、規模が小さいほど減少し、20万人の特例市でも20年強で1割減、5万人未満の町村では3割減となっています。
このため、総務省は、介護施設などが市境・都県境を越えて利用されている、東京圏の実態をモデルに示し、圏域での計画づくりを促しています。
一方、きょう現在の国会では、「水道法改正案」(196閣法48号)が参議院で継続調査になっており、話題となっています。総務省は厚労省の数字を引っ張るかたちで、小規模自治体「A町」では平均的な4人家族で月3957円の水道料金が、2020年には月1万3661円になるとの試算を書き込みました。そのうえで、民間事業者の採算性も悪化すると未来予想。この項目だけでも、別建ての記事にしたら注目を浴びそうですが、今のネット情勢からして、あえて「煽り」をしない筆者としては、水道法改正により、広域化により、料金を上げることで、更新費用を賄おうという改革であって、外資が売り払うというのは論が飛躍していると思います。水道行政も「圏域」というものが、基礎自治体的な役割を担う方向性への、新元号・地方自治となりそうです。
地方自治法の改正は、平成26年改正法で「連携協約」ができて以来、5年ぶりとなります。平成中期から高学歴ながらも就職先がない若手地方議員が、「政策」を議会で訴えながらも、地方自治の限界を感じて、国会議員や首長に立候補するという動きがありました。これもここ数年は、急速にしぼんできた感じがします。人口は必ず減りますし、国から地方に移譲する税財源もそもそもありませんから、地方自治はダウンサイジングまっしぐら、というのが、徳仁さま「陛下」時代の地方自治の姿となります。
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