あすから臨時国会ですが、薬局経営者や、iPSの関係者は、国会よりも厚生労働省内の審議会の議論が気になりそうです。
5年前の臨時国会では、「特定秘密保護法」の審議をめぐって、私がやっていたツイッターを見ていただいたりして、真冬の様相を呈した国会議事堂を深夜、十重二十重に国民が取り巻き、警察官僚出身の小野次郎議員(当時)が反対討論に立つという、新しいデモクラシーの萌芽がありました。
で、そのとき、参議院では野党がやむなく欠席戦術に出ていた法律が、「薬機法」です。法律番号は「平成二五年一一月二七日法律第八四号」です。この改正法律で、法律のタイトルが「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変わりました。
で、その改正法律の附則66条は、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」としています。
いわゆる「5年後見直し規定」で、政権再交代からねじれ国会にかけて、中根康浩・衆議院議員(当時民主党)らを中心に、採決前に与野党で、「5年後見直し規定」を入れるのがはやりました。ただし、薬機法については、政府が初めから原案に入れて提出したものです。中根さんらは、5年後は与党で見直したかったかもしれませんが、緊張感の無い議会構成のまま5年後を迎えました。
平成25年改正法律は、束ね法で、「血液法」(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律)の改正条項も入っていました。なので、血液法も5年後見直し規定の対象となりました。
このため厚生労働省は、薬機法は「厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会」で、血液法は「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」で、別々の教授らが見直しをしてきました。
この結果、薬機法では、網羅的な改正に加えて、「かかりつけ薬局」「健康サポート薬局」に加えて「高度薬学的管理機能薬局」を儲けて、抗がん剤などの高度な経験知識が必要な薬局をつくろう、という議論が大詰めを迎えています。
「血液法」に関しては、献血を基につくった血液製剤ではなく、iPSに限って、直接採血して血液製造をつくることができる、内閣官房ひと・まち・しごと・創生事務局が原案を執筆した、改正国家戦略特区法を、全国に広げる法改正となります。厚労省内で法案執筆の準備が始まっています。
ともに、来年の第198回通常国会で、3月上旬までに提出されるはこびですが、束ね法案になるかどうかは未定。
いまだにもりかけが収まらないうちに、「iPS特区」が全国に広がるわけですが、さすがにこれは異論は無さそう。「高度薬学的管理機能薬局」となると、街の薬剤師さんでは手が出ない、ロビー活動がしやすい大手薬局チェーンが有利だという気がします。
このほか、「女性活躍推進法」も5年後見直し規定で、見直しが進んでおり、法改正が必要かどうかも含めて12月にまとまる見通し。
さらに重要な、「平成31年度予算案」や、「平成31年度所得税法など国税税制改正大綱」「同地方税法など地方税制改正大綱」なども再来月12月までに国会外で決まることになります。
これらは臨時国会に法案として議題にはなりませんが、衆参の各委員会は、一般質疑のなかで、国政調査として各委員が省に質問することができます。
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