【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

異例の永年在職表彰で「他国の幸せが日本の幸せな憲法改正は天職」柳本卓治さん

2018年10月30日 16時46分03秒 | 第197回臨時国会2018年12月までの「定例日無視延長なしのひどい国会」」

[写真]参議院本会議場、縦位置でのパノラマ撮影、きょねん2017年、宮崎信行が院の承諾を得て、撮影、使用。

 異例の永年在職表彰となりました。

 参議院本会議では、柳本卓治さんと、溝手顕正さんが表彰されました。この中で柳本卓治さんは「私の政治人生は、すべて中曽根康弘先生の中曽根カレンダーの中で進めてきた」とし「参議院憲法審査会会長を5期連続でつとめているのは、参議院自民党が与えてくれた天職。(引退するとされる)来年7月の任期いっぱいまで、必ず未来の資産となる議論をしていく」としました。改憲発議は明言しませんでしたが、「他国の幸せは日本の幸せ」と語りました。国連憲章で登場した「集団的自衛権」という言葉を日本の国会で2番目に使ったのは、野党若手の中曽根康弘さんで、昭和25年2月3日に衆議院予算委員会で吉田茂首相にたずねています。集団的自衛権は既に2014年の解釈改憲で容認されましたが、改憲4項目にそった憲法改正発議への意欲を示したと考えられます。

【参議院本会議 平成30年2018年10月30日(火)】

 所信表明演説と財政演説に対する各党代表質問がありました。

 立憲民主党の吉川沙織(吉川さおり)さんは、氷河期世代の就職と社会保障を問い、安倍晋三首相(自民党総裁)は「雇用状況が改善している好機をふまえて、就職氷河期の就労を進めて、2040年以降の社会保障を展望したい」とし、アベノミクスを活用して雇用を拡大することが社会保障につながると強調しました。

 吉川さんは、外国人技能実習生法案(未提出)について、首相がとらないとしてきた「移民政策」ではないかとただしました。但し、これは、前日に同党の枝野代表が衆議院本会議で聞いているのと同じなので、総理もご苦労だな、という気がしました。

 橋本聖子・参議院自民党会長は「次世代にすばらしい日本、すばらしい地球を引き継いでいきたい」と自民党的な抽象論で、首相の総裁3選を持ち上げました。「参議院自民党は多事総論の気風だ」と語ると、議場内がどよめきました。「最後に一言(いちごん)申し上げます」と話を転換しました。首相への戒めでも言うのかと思いきや、与野党が衆参の憲法審議会を動かしていくよう呼びかけて、演説を終えました。

 この後、上述の通り、溝手顕正さんと柳本卓治さんへの永年在職表彰がありました。柳本さんは「早稲田大学在学中に大隈講堂で開かれた河野一郎先生追悼演説会での中曽根先生の話に感動した。父の死後、中曽根先生の門をたたき、秘書や大阪市議をつとめた。半世紀にわたり、私の政治生命はすべて中曽根先生の、中曽根カレンダーのもとで、進んできた」と生涯をかけた忠誠を語りました。

【衆議院本会議 同日】

 代表質問は2日目。

 前月の人事で、公明党の幹事長は斉藤鉄夫さんに交代しました。公明党は通常国会でも臨時国会でも、幹事長が質問していますが、中堅・若手に不満は無いのでしょうか?ある、という風に私は聞いています。斉藤さんは「人口減少を最大の国難とする所信表明演説での総理の考えに賛同する。公明党は合意形成に努力する」と語りました。演説の大半は、長年つとめる税調会長としての経験からか、車体課税の簡素化や、消費税の複数税率の効用の強調に終わりました。

 野田佳彦さんは「消費税の軽減税率よりは、所得税の給付つき税額控除を実現すべきだ」と述べました。いわゆる「身を切る改革」では、安倍首相は「衆議院定数を480から465へと15議席減らした。民主党政権はできなかった」と反論しました。

 共産党の志位和夫さんは「辺野古新基地建設に反対する玉城デニー知事が8万票で圧勝した」とし、同日の国土交通大臣による埋め立て再開の決定を批判しました。また、大臣が行政不服審判を使うべきではないと強調しました。

 維新の馬場伸幸幹事長は「増税の前にするべきことがあるだろう。行財政改革だ」と演説しました。

【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】

 きのうの衆本は異例の45分遅れでしたが、きょうの議運は予定通りに終わり、本会議が定刻通りに始まりました。

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