ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「地方公務員法改正案」3月上旬国会提出へ、「地方公務員に係る管理監督職勤務上限年齢」に達したことによる降任・転任の規定を整備

2020年02月09日 16時27分13秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]木漏れ日のなかの総務省(右側)、きょねん11月中旬、宮崎信行撮影。

 地方自治体職員に役職定年を設け、年齢に伴う降任の規定を盛り込んだ、

 「地方公務員法改正案」(201閣法 号)が、

 来月、令和2年2020年3月上旬に、開催中の第201回通常国会に提出される運びになりました。

 現行法は、「降任」や「転任」は人事評価、勤務の状況、心身の故障のほか、その職制そのものが定員削減や「廃職」された場合に限っています。

 改正法案では、「地方公務員に係る管理監督職勤務上限年齢(仮称)」を新設し、この年齢に達したという理由だけで降任・転任させられる規定を盛り込むことになるようです。

 3月上旬、おそらく同日の閣議で、「国家公務員法など改正案」(201閣法 号)も決定され、国会に提出されるはこび。こちらの改正法案は、(1)定年を65歳まで段階的に引き上げ(2)管理監督職勤務上限年齢による降任・転任、定年前再任用短時間勤務を新設し(3)60歳超の職員の給料と退職手当の規定を新設するーーの3点セットとなる見通し。一方で、地方公務員法改正案では(2)の部分だけが法制化されることになります。

 地方公務員をめぐっては、高度成長時代の小中学校新設時に大量新卒採用した教職員らの退職手当の確保のために若い世代の教員免許所持者が講師に留め置かれたり、会計年度採用職員に改称された臨時職員が週4日勤務で低賃金に留め置かれる「官製ワーキングプア」で、雇用劣化と世代間格差を招いたきたとの批判があります。この批判もあり、指定管理者制度を活用して低賃金労働そのものを業者に丸投げすることも横行。地方の衰退に拍車をかけてきました。

 以上です。
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民間賃貸住宅管理業の「登録」を省令から法律に格上げ、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を3月上旬提出へ

2020年02月09日 15時08分53秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]国土交通省が入る庁舎(最上階が11階で住宅局が入るのは2階)、おととし、筆者撮影。

 国土交通省が2011年後半から「国土交通省告示(=省令)」で行ってきた「賃貸住宅管理業者」の登録制度を法律に格上げすることを決めました。

 政府は、来月令和2年2020年3月上旬に、

 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」(201閣法 号)

 を第201回通常国会に提出することを決めました。

 このブログの筆者・宮崎信行が独自のルートで入手した「第201回国会内閣提出予定法律案等件名・要旨調」(内閣総務官室作成)で明らかになりました。

 登録とは、一定の法律事実・法律関係を省に備える公簿に記載することです。医師登録、弁護士登録、特許登録、商標登録などが各々の法律で定められ、その法的効果はさまざま。例えば弁護士は登録しないと仕事ができず罰則もありますが、特許は必ずしも登録しなければならないものではありません。

 平成23年から国土交通省告示で始まった制度では、1万戸以上の大規模業者の7割、500戸前後の中堅ですと、3割が登録。全体としては低調というところでしょうか。

 国交省は「社会情勢の変化に伴い国民の生活の基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図るため、賃貸住宅管理業(仮称)を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保する」との趣旨を上述のペーパーに書き、国会議員に配りました。

 法律は同時に「特定賃貸借契約(仮称)の適正化のための措置等を講ずる」内容も盛り込まれる見通し。賃貸住宅を大家から一括して借り上げて一定期間の家賃収入を保証する「サブリース契約」でトラブルが相次いでいることを受けた措置とみられます。

 筆者は時々、東京地方裁判所で、民事裁判を傍聴していますが、最近は被告が「大東建託」の判決(ほとんど和解)の朗読をたびたび聞いています。東京地裁の民事の被告の固有名詞は、金融業を中心にごく一部の固有名詞に集中していますので、環境が可能なら時々チェックすれば、テレビCMを見る目も変わると考えます。

 法案の提出は「3月上旬」で、与党国対が促す提出締め切りギリギリとなります。来年度予算とは関係ない、恒久的な新法(案)はこの時期に提出される傾向があります。よって、衆参両院の国土交通委員会での議論は、大型連休明けの5月以降になる公算が高いと考えられます。国交省は今国会で8法案を審議してもらいたい意向で、2020年6月17日(水)の当初会期末までに審議が終わらず秋に継続される可能性もあります。

 以上です。
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