宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【2/26】予算案あす採決へ本会議設定、きょうは枝野幸男、玉木雄一郎両代表が「森まさこ法相は嘘つき」と批判も「前回は騒がしかったので食い違った答弁になった」

2020年02月26日 17時49分22秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]安倍晋三首相(自民党総裁)、3年前の2017年、宮崎信行撮影。

 衆議院議院運営委員会理事会が開かれ、あす2月27日(木)の13時に衆議院本会議が設定されました。与党はあすの予算衆院通過をめざしますが、野党は棚橋泰文予算委員長解任決議案提出を辞さずに抵抗するかまえ。

【衆議院予算委員会 令和2年2020年2月26日(水)】

 「令和2年度予算案」の審議は終盤。きょうは17日目。午前中は一般的質疑7日目があり、山井和則さんの問いに加藤勝信厚労相がいまさら「新型コロナウイルスの陽性検査は保険適用になる。報酬単価を決める作業を進め」ると答弁しました。

 午後は集中審議4日目で「国民生活の安全・内外の諸課題等」となりました。タイトルについては、ことしは「外交・安全保障」「社会保障」「経済」などがありませんでしたが、開催回数は確保できたようです。

 委員会最後には、きのうの分科会の主査報告がありました。次回以降に全閣僚出席の締めくくり質疑があれば、採決できる段階となっています。

 集中審議は野党会派は欲張りました。枝野幸男立憲民主党代表、玉木雄一郎国民民主党代表がそろい踏み。「急進合併派」の安住淳国対委員長の人選と思われますが、候補者調整ができれば合併しなくてもいいという声が内外に広がっています。

 小沢一郎さんの捜査に積極的で、桜を見る会の捜査に消極的だと噂される、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長問題。山尾志桜里さんの10日の目立たない審議での指摘から、炎上しています。

 森まさこ法相は「枝野幸男さんも民主党政権で法令解釈担当大臣をしていた」と東北大学法学部の同窓への張り合いもあるのか、文書決裁のない法令解釈変更があったのではないかと牽制しながら「シナリオありきではなく、ファクトの積み重ねで判断してほしい」と答弁。ここで、棚橋泰文予算委員長が「私からみて適切でない答弁があった」と大臣を注意。後輩なのに再入閣していることへの嫉妬があるのか、女性差別なのか、それとも解任決議案への予防線か。棚橋さんにしては珍しい裁き。

 玉木さんは同期の山尾さんをパネリスト席に従えながら質問。近藤内閣法制局長官は「打合せがあった」と語り、人事院給与局長は「人事院事務総長から法務事務次官に対して直接文書を手渡したので、文書に日付を入れる必要がなかった」とし、「野党のシナリオ」を否定しました。この三者の食い違いについて、2月10日の議事録を配布して答弁を整理するよう玉木さんは求めました。委員長も速記を中断しました。森法相は「山尾さんから指摘があったときは、(委員室が)騒がしかったので食い違った答弁になった」とし、先月の16日頃には、国家公務員法の定年延長規定を検察庁法でもつかえるとの法令解釈変更の作業に取り組んでおり「事務方から説明を聞いた」としました。

 枝野さん、玉木さんはともに「検察官は総理大臣を逮捕できる」と強調。公正な検察官を志望する学生などにも影響があるとし、国会も含めた広範囲な問題だと強調しました。両代表のアピールは十分だと感じました。

 あすは午前9時から一般質疑。

 上の写真は、前回都議選の安倍首相の演説風景。この後「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです」の発言があり、都議選は都民ファーストの会が大勝し、内閣支持率が10%近く下がりました。その直前にしては、首相ものんびりした表情に感じられます。

【参議院国際経済・外交に関する調査会】

 参考人へのヒアリングと質疑。

【参議院資源エネルギーに関する調査会】

 参考人へのヒアリングと質疑。

【衆議院議院運営委員会理事会 同日】

 上述の通り、あす13時に本会議を設定。

以上です。

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安倍晋三首相(自民党総裁)7月24日からの「東京オリンピックは政府として開催に全力を傾ける」、仮に五輪中止・延期なら内閣総辞職の判断不可避に

2020年02月26日 17時16分05秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]安倍首相、きょねん2019年7月、宮城県内で宮崎信行撮影。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は7月24日(金)20時=日本時間=に開会式を迎える、東京オリンピック(五輪)について、東京都(小池百合子知事)、大会組織委員会(森喜朗会長)任せにせず、「政府としても緊密な連携をとり、安心安全な開催ができるよう全力を傾けていきたい」と語りました。

 仮に開催が中止や延期になった場合は、内閣総辞職につながるかもしれません。

 きょう2月26日(水)、採決が直前に迫る予算案を審議している、衆議院予算委員会の集中審議で、国民民主党の玉木雄一郎代表の質問に答えました。

 安倍首相は、新型コロナウイルス(COVID19)への政府の早期の封じ込め策が後手に回っているとの批判を受けて、「オリンピック、パラリンピックについては、先日行われた、IOCと大会組織委員会との協議で、新型コロナウイルスについても緊密な意見交換をした」と述べ、「IOCからは、日本政府な迅速な対応について評価を得て」いると披露しながらも「今後も予定通りの開催に向けて、定期的に意見交換できる場をつくる」ことを初めて明かしました。

 首相は東京都や組織委員会任せにせず、政府が積極的にかかわる前提を疑うことなく強調し、「世界のみなさまが安心して大会に参加できるように全力を傾けたい」と語りました。

 首相の「全力」宣言は、自民党総裁と衆議院の任期がともに来年2021年秋までありながらも、それより1年前倒しでの内閣総辞職、退陣につながりかねない発言になるかもしれません。

 前回の大会では「ジカウイルス感染症熱」で開催が危ぶまれました。しかし、この「ジカウイルス」は致死性のものではないようです。現在、日本国内で新型コロナウイルスでは少なくとも4名以上が死亡しています。

 東日本大震災で菅直人首相(民主党代表)が、発生翌日に、下村健一内閣官房審議官(元TBS記者)を引き連れて福島原発を訪れたり、4日後に東京電力本店に乗り込んだことと比べて、安倍首相の対応が鈍いとの指摘が出ています。首相は意識しているようで「対策本部でも情報を共有していて、総理としての判断を仰がれている。きのうの基本方針も私のもとで会議をした。私はいちいち外に発信しない。そういうパフォーマンスは意味が無い」とし「私の一日にも載っている」とし、首相動静で連日夜の会食が報じられていることを意識しながらも、会議にも参加していることを強調しました。

 おおむね1月28日頃から日本での国内感染が表面化していますが、この4週間、安倍首相は現地視察を何一つしていません。玉木さんに先立ち質問した枝野幸男元内閣官房長官は「政府全体の危機意識が足りない」とし、首相のパフォーマンスも必要だと厳しく諭しました。

 このエントリー記事は以上です。
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