【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【東京16区第4報】水野もとこさんの街宣に岡田克也さん応援「初鹿元議員」の地元で女性元都議「私は初鹿氏の先代だが今回水野さんをよろしく」

2021年10月11日 21時36分00秒 | 立憲構成員である読者を想定した2021-22選挙・組織情報
[写真]演説に感動して「グータッチ」を求める男性聴衆と岡田克也さん(左)と水野もとこさん(右)、東京・江戸川「平井」で、きょう2021年10月11日、宮崎信行撮影。

 東京16区(江戸川区の大半)。前回は、立憲民主党公認の水野素子(水野もとこ)さんの船堀4丁目の臨時事務所開きで、連合東京会長ら50人前後が集まったという話。その日の早朝に初鹿明博元議員が不出馬を表明した。そこまでお伝えしました。

 今回は、初鹿さんの地元「平井地区」で岡田克也さんを迎えての演説会がありました。この「平井」ですが、江戸川区で唯一、荒川の右岸にあり「川中島」の地勢。徳川家康が始めた2世紀にわたる公共事業・利根川東遷事業によって東京23区に「川中島」は珍しい。区役所から一番遠いけど、東京駅には一番近い地域にもなります。このため初鹿都議が2009年に出馬した際は、他地区に広がりを見せたようで、23ポイント差をひっくり返す小選挙区当選で、民主党小選挙区勝ち上がり当選の中で最大のビハインドを逆転した選挙区でした。私はそこまで地滑り的に勝利することもないと思いましたが、案の定政権ごと地滑りしました。その後初鹿さんは、他人が出る区長選の直前も、東日本大震災翌朝も朝の駅頭活動を続けて長く議席を維持してきましたが、議員辞職しました。

 きょうの街頭演説では水野候補予定者、岡田さんを含めて6人の弁士が登場し、うち3人が女性。元都議会議員の女性、米山久美子さんが登場しマイクを持ち「かなり久しぶりです。私のことをご存知ないかもしれません。私は初鹿さんより前の都議会議員です。今回立憲民主党は初鹿さんでなく、水野さんを公認しました」と紹介しました。元都議さんも28年ぶりに登場してご苦労だなという感じがしますが、初鹿さんの地元・平井地区の人にも、水野さんは初鹿さんの正統な後継者だと印象付けました。私が水野さんの会合を取材した中で「初鹿さん」の固有名詞は初めて。


[写真]「初鹿さんの後継」のメッセージを伝えた弁士6人のうち3人が女性に、同。

 そして、同じく平井が地元の立憲・滝沢やすこ区議は「ここはゼロメートル地帯。水野さんなら国と交渉できる」、江戸川生活者ネットワークの本西みつえ区議は「水野さんはシングルマザーとして2人のお子さんを育ててきた。水野さんは聞く力を持っている」とエンパワー。

 水野さんは「JAXA職員で、保育園は午後9時15分までだったのに、小学校の学童保育は午後6時まで。当時は選挙に出ようと思っていなかったが、議会の陳情にいったら政策が変わった。イノベーションは違う発想が必要で、日本の政治は発想が偏っている。黄色い服を着た宇宙母さん水野もとこにお聞かせください」と聞く力をアピールしました。


[写真]演説する水野もとこ候補予定者、同。

 岡田さんは「この選挙には3つの争点があります。1つは安倍菅政権9年間の総括。2つ目は岸田総理で変わるのか。3つ目は野党はどうするのか」と語り、「日本の民主主義が大きく後退した。私が国会で質問するときは1時間の質問に対して200時間準備している。安倍さんは権限がないのに、一斉旧交を要請した」とし、岡田さんは「後遺症としてその時の学力格差が残っている」との独自の見解を示しました。岡田さんは「岸田総理になっても何も変わっていない。総裁になるための他の派閥の世話になったが、当選したときに自分で人事をしますと言えばよかった。驚愕した。幹事長の甘利さんは麻生派、政調会長の高市さんは安倍さんの子飼い、総務会長の福田さんは細田派。財務大臣の鈴木さんも麻生派。(萩生田)経産大臣は安倍さんの子飼い。9年間何も変わっていないというのが岸田内閣。どうかみなさん、これから選挙がやってくる」とし、30議席ないし50議席増やして与野党伯仲国会をつくりたいとしました。


[写真]岡田克也さん、同。


岡田克也 20211011

 ところで、宮澤内閣以来30年ぶりの「宏池会」出身の首相が生まれましたが、岡田さんと水野さんの母校「東大法学部」は宮澤内閣以来30年間総理大臣が出ていません。

 そして、最後に60歳前後の聴衆の男性が感動して、岡田さんとグータッチ。前々から、都内での枝野代表、海江田代表などの街頭演説では最前列で腕組みをした60歳前後の男性が聞き込んでいる光景を、前々から見ます。ちなみに、会社員の方々は58歳と62歳では全然違うとお考えでしょうが、私も含めた非会社員にとっては60歳前後なら別に何も変わりません。その腕組みをして、非自民の演説を聞き込む60歳男性の影響力ですが、自民党の組織力の前にはひとたまりもありません。小さな声を聞く力、声なき声を聞く力がふたたび立憲民主党に備わってきたように感じます。

 蛇足ですが、初鹿さんについて被害届を警察に出した女性は、現在は対立する政党の現職地方議員です。このことは福山幹事長も知っており、煮え切らない態度だとされることもありました。初鹿さんも大人の意味での誠意ある対応ができなかったのかなと思いますが、「民主しぐさ」でそういう作法を知らないのかもしれないし、そもそも金が無かったのかもしれません。

 それはさておき、今週木曜日に解散、来週火曜日に公示、31日投票です。

 東京16区には、自民党現職で前国土交通副大臣の大西さん、立憲新人の水野さん、共産新人の太田さん、維新元職の中津川さん、N党の田中さんが立候補します。

 以上です。

【岡田克也】「30議席から50議席増えれば与野党が伯仲し議論できる国会を取り戻せる」枝野幸男代表とは違う目標を示す

2021年10月11日 20時54分02秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]立憲民主党の岡田克也常任顧問、きょう2021年10月11日、東京都江戸川区の「平井」で、宮崎信行撮影。

 立憲民主党の岡田克也常任顧問は11日、都内で街頭演説し、31日投開票の衆院選について「もちろん政権交代すればいいが、みなさんの力で議席を増やして、30議席から50議席増やす。それだけ増えてくれば、与野党伯仲で与野党が議論する国会を取り戻せる」と語りました。

 枝野幸男代表は「岸田内閣か枝野内閣かを選ぶ選挙だ」との構図を提示しています。
 
 岡田さんが言う30議席ないし50議席増えた場合、立憲の議席は142ないし162議席。仮に共産と国民が伸びてあわせても、政権に必要な233議席には遠く及びません。議席3倍増予想がある維新が仮に枝野内閣側につくことがあるとしても、立憲は60議席以上は伸びないと比較第1党につくことも難しくなります。

 枝野さんと岡田さんは、2015年から代表・幹事長コンビを組んで、2016年の参院選で32ある1人区での完全統一(民31、共1)に成功。しかし直後の都知事選後の代表選で、前回選対をつとめたメンバーが突然ごっそりいなくなってしまう落とし穴にはまり、代表から外れました。その翌年も、枝野代表代行として苦杯をなめましたが、枝野さんが個人で5億円借金して立憲民主党を結党。岡田さんもきょねん9月に合流して、7年ぶりに同じ党で衆院選を戦うことになりました。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

【10/11国会まとめ】小選挙区1期生の大量20名永年在職表彰、衆議院立憲は枝野初代代表と辻元初代国対委員長でフィナーレ

2021年10月11日 16時44分31秒 | 第205回臨時国会(2021年10月)新首相が衆議院を解散へ
[画像]衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット、きょう。

【衆議院本会議 きょう令和3年10月11日(月)】

 衆議院は今週木曜日に解散されます。

 きょうは永年在職表彰として、最初の小選挙区初当選組がほとんどの20名が25年在職を祝いました。

 全員男性で、原田義昭元環境相、竹本直一元IT相、平沢勝栄元復興相、今村雅弘元復興相、菅義偉前首相、田中和徳元復興相、中川正春元文科相、佐藤勉元総務相、下村博文元文科相、近藤昭一元環境副大臣、原口一博元総務相、渡辺周元防衛副大臣、安住淳元財務大臣、河野太郎元外相、棚橋泰文国家公安委員長、田村憲久前厚労相、古川元久元経財相、根本匠元復興相、伊藤達也元金融相、遠藤利明元五輪相。

 与党が14、野党が6で、この種にしては野党が多くなりました。小選挙区ということで、途中で明確に政党を変えたのは、伊藤さん、遠藤さんだけか。国替えは中選挙区初当選の原田さんだけ。1996民主党が17名初当選で4名が連続当選という高率になっています。私は渡辺周さんが1期生のころ、夕方、男女秘書と合計3名でタクシーに乗りながら「これじゃ次の選挙厳しいぞ」と危機感を示したところを垣間見たことがあり、二世だけに1期生の頃から「次は厳しい」とねじを巻き続けることで連続当選が果たせるのだなと感じます。けっこう当選2回までは、コスタリカなどの波乱があった人も多く、「1期生の仕事は2期生になること」であることは代議制民主主義にとって当然のことだと考えます。

 この後、先週末の岸田首相の所信表明演説に対する代表質問。衆議院立憲からは結党メンバーの枝野幸男代表と、政審会長から選挙後すぐに初代国対委員長になった辻元清美さんが登壇し、第48期衆議院を締めくくりました。

 枝野さんは「バブル崩壊から30年近く、経済成長を妨げてきた主な要因は、国内消費の低迷です」とし「総理の言う、成長と分配の好循環というのは一般論に過ぎず、今の日本にはあてはまりません。適正な分配が機能せず、いつになっても好循環は進みません。好循環の出発点は適正な分配にあると考えますがいかがですか」と問いました。首相は答弁で「賃上げに積極的な企業への支援の抜本的な強化を検討していく」と述べ、政府の支出または減税が絡んだ「分配」という姿勢をにじませました。

 この、首相の「成長なくして分配なし」と枝野さんの「分配なくして成長なし」が大きな対決となりつつありますが、残り3週間弱の選挙戦でどう伝わっていくか。

 首相は「民主党政権の経済政策の六重苦」という言葉を使いましたが、これは聞きなれないが、どういうことでしょう。首相秘書官がインターネットで何か探してきたいのでしょうか。

 辻元さんは、森友公文書改竄で自さつした、赤木俊夫さんの妻、赤木雅子さんの手紙を朗読し、「首相がせねば、私たちが大掃除をする」首相に答えを迫りました。また、IRカジノについて、海外の企業がコロナで4分の1を解雇しており、日本進出に二の足を踏んでいるのではないかと追及しました。

 首相は「残された家族のお気持ちを思うと、言葉もない。手紙は拝読した。しっかりと受け止めさせていただきたい」としつつ「民事訴訟で法的プロセスになっている。原告と被告なので、ていねいに対応するよう財務省に指示した。財務省において捜査当局の協力を得て報告書をまとめ、警察の結論も出ている。会計検査院も2度調査している」「二度とおこさない。文書管理を徹底してきたい」と柔和な口調で語りました。

 自民党の甘利明幹事長は、旧民主党政権の農業者戸別所得補償に関連して、農業土木・構造改善をないがしらにした、と批判しました。甘利さんは「首相はデジタル田園都市構想を掲げている」とし、それが、アベノミクス「地方創生」の続きだとする、政権擁護の姿勢をにじませました。首相は「旧戸別所得補償だとコメの過剰作付が進みかねず、農家の所得向上につながらない」と語りました。

 初入閣した、小林鷹之・経済安保法制相、牧島かれんデジタル大臣も答弁しました。


[画像]答弁する小林鷹之経済安保法制相、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。


[画像]答弁する牧島かれんデジタル相、同。

 以前も書きましたが、牧島さんのお父さんは小泉さんのところの県議。そして、牧島デジタル相は、河野洋平さんの後継者。両地域は全然別の地域です。「自民党神奈川県連」という組織が、河野元新自由クラブ代表という裏切り者を、党本部に遅れて県連に復帰させて、小泉ブーム、横浜市から菅首相をだすなど過去20世紀、梅沢・牧島県議らがていねいに人材育成をしてきたことが花開いていることになります。

【参議院 同日】

 なし。

【東京地方裁判所 同日】

 中小企業庁の持続化給付金を詐取したとされ、経産省キャリア官僚2人を被告とした刑事裁判が初公判となりました。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

【連合】芳野友子会長ら連合執行部が、この後衆議院本会議散会後に、立憲・国民・公明3党の代表にあいさつ「閣外協力を盾に共産党がねじ込んでいる発言」言及あるかどうか 20分ずつ

2021年10月11日 14時34分55秒 | 立憲構成員である読者を想定した2021-22選挙・組織情報
[写真]芳野友子会長(左から2人目)ら連合17期執行部、宮崎信行撮影。

 連合、日本労働組合総連合会はこの後、衆議院本会議散会後に、議員会館の会議室を借りて、芳野友子新会長(JAM)・清水事務局長(日教組)・松浦(UAゼンセン)・川本(自治労)会長代行の第17期執行部が、国民民主党、公明党、立憲民主党の代表とあいさつすると急きょ発表しました。

 芳野友子新会長は、先週の就任記者会見で、岸田さん、枝野さんに会ったことがない、と明言しています。2017年の結党以来、中央のメーデー集会に参加したことがない枝野さんと芳野さんは初対面となりますが、20分間。芳野さんの「事前の閣外協力連立枠組み合意を盾にして、共産党が連合推薦候補の選対に入り込み、共産党政策をねじ込もうとしている動きがあると、地方連合会から報告が来ている」との発言について20分間でいきなり話し合うかは不透明。

 連合は東京地協の上申に基づき、東京12区で公明党の岡本さんに推薦・支持を機関決定し、共産党の池内さんには出していません。

【成長と分配】岸田文雄首相「私は自民党証券議連の会長を長く務めた」と明かす 株価の岸田ショック3万→2・8万円で金融所得課税強化ブレる

2021年10月11日 07時27分52秒 | 第205回臨時国会(2021年10月)新首相が衆議院を解散へ
[写真]岸田首相、2021年9月、都内で、日仏共同テレビ局「フランス10」撮影・提供。

 岸田文雄首相(自民党総裁)はきのう朝のフジテレビ番組で「私は、自民党証券議員連盟の会長というのを、長くつとめてきました」と語りました。

 自民党国会議員のSNSによると、「自民党証券市場等育成議員連盟」。5月の会合には、証券業協会会長、証券取引所社長、投資信託協会会長、野村・大和・日興・みずほ証券社長らが勢ぞろい。会議室正面の「ひな壇」に座る議連役員は、岸田さんのほか、山本幸三さん、木原誠二官房副長官など第5派閥「宏池会」が多い印象で、堀内詔子五輪相も出席したことをSNSでアピール。ほかには、GPIFの国内株比率を25%に引き上げた塩崎元厚労相や、安倍内閣の山本有二・元金融・再チャレンジ担当相、衛藤元副議長、宮下一郎さんらが常連メンバーのようです。

 東京証券取引所の225社の株価の日経平均は、9月28日に30183円だったのに、岸田総裁当選後に下がり続け、一時2万7600円、先週末終値は2万8048円に下げ止まりました。これを「岸田ショック」と呼ぶ動きが定着しています。

 岸田さんは先週末の所信表明演説で「分配戦略」という言葉を、政府与党としておそらく初めて使用。しかし、労働分配率の向上のための税制と、公的分配機能の強化と打ち出し、上場企業と株主配当には言及しませんでした。

 所信表明演説の中で「四半期開示の見直し」を入れましたが、これは5年前にヒラリー・クリントンさんがウォール街があるニューヨーク州選出民主党議員として大統領選にやぶれた時に入れていた公約で、当事者からの見直し機運を取り込んだとのとらえ方もできると思います。

 そして、記事になっている発言「成長なくして分配はない。金融所得課税を考える前にやることはいっぱいある」。これは、東証一部上場企業の株主配当の額や割合を減らしたり、金融所得課税の率を上げたりすることを先送りしようとの考えが透けて見えます。野村證券の貸借対照表・損益計算書を見ると、客の株式売買・投資信託の手数料収入よりも、自社が持つ株式取引の売買益や客の株を担保にした現金融資による利息収入の方が多いようです。そうなると、証券業界にとっては、日経平均が高止まりした方が、売上高を維持できるということになりそうです。

 森友再調査もぶれた岸田さんですが、金融所得課税もさっそくぶれました。立憲民主党の枝野幸男代表は、金融所得課税の率のアップを公約にして、岸田新総裁体制を「自民党が変われないことを証明した」と評しています。岸田さん、木原副長官、堀内五輪相らが自民党証券議連の有力メンバーならば、むしろ変わったら恩人企業の顔に泥を塗ることになりかねないので、変われないということになりそうです。第5派閥会長から総裁・総理になるうえで、ほかにも無理をしているかもしれません。

 きょうは衆議院立憲にとって、今期最後の代表質問となります。

 以上です。