[写真]選挙戦を終えて充実した表情でぶら下がり記者会見に応じる枝野幸男代表、きょう2021年10月30日午後8時5分、埼玉県「大宮」で、宮崎信行撮影。
枝野一枚看板、充実のフィニッシュでした。
●枝野、「地殻変動、熱」
立憲民主党の枝野幸男代表は、きょう令和3年2021年10月30日(土)の午後8時5分から、JR大宮駅でぶら下がり記者会見を開きました。「枝野立て」を盛り上がった前回衆院選との違いを問われ枝野さんは「あのときは、例えて言うと選挙全体の風ではなかったと思いますが、立憲民主党や私には風が吹いていた。その風を感じました。今回の選挙は地殻変動というべきか、熱というべきか、ちょっと違った種類の手ごたえだと思っています。それはまさに、有権者のみなさんの、さきほどの森加計桜のような問題も含めて、コロナ対策や暮らしに関する危機感が表れているので、いわゆる風とは違う性質の手ごたえだった」と語りました。テレビ埼玉記者の質問に答えました。
[写真]枝野幸男立憲民主党代表、埼玉県「大宮」で、2021年10月30日、午後8時5分、宮崎信行撮影。
これに先立ち、筆者が、「さきほど岸田総裁の演説を見に行ったら、東京6区で(立憲前職の落合貴之候補に劣勢との分析も)自民前職の越智隆雄候補が、最後に、自民支持者の方に、森加計桜があるから、今回は投票できないと言わたが、私は自民党改革派なので、国会に戻して働かせてください、と演説していたがどう思うか」と質問したところ、枝野さんは「党の代表という立場で地元の一議員さんの発言に言及するのは避けた方がいいのではないかなと思います」と述べました。あまり12日かける12時間走り続けてきた党首に聞く質問では無かったと思いますが選挙と同じで、うまくいったりいかなかったりです。
[写真]枝野代表の演説を聞く人たち。
これに先立つ街頭演説で枝野さんは「中曽根内閣の国鉄民営化のときは私も大学生でしたが、郵便局を民営化して景気が良くなりましたか?分かち合あい支え合う経済をつくりたい」と語りました。
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解散から投票日まで最も短かった選挙。序盤から終盤まで100前後の接戦区が動かない異常な選挙戦となりました。そのため、情報を集めたいと思っている有権者も多かったと思いますが、アベノミクスの恩恵と同じく党首の街頭演説会も東京一極集中で終わり、ストレスが残っている全国有権者が多いでしょう。第101代首相に岸田文雄さんがつくことは間違いなさそうですが、蓋が閉まって開くまで、断定的なことは誰もいえない投票日を迎えました。
選挙戦最終日、私も乗りかけた船から降りるわけにはいきませんから、行きがかり上、なぜか旅のゴールが「大宮」になりました。
[写真]JR大宮駅。
党首が最後地元の選挙区お国入りで締めるのはあまりかっこよいものではありませんが、前座の熊谷参議院議員が「埼玉から総理を」と盛り上げて、かなりよい仕上がりでした。東日本最大のターミナル大宮で、東日本人らしい野暮ったいフィニッシュでよかったのではないでしょうか。
枝野夫人も初めてお見かけしましたが、地元では顔見知りが多いようです。一番良いコートとロングスカートを着ていらっしゃいましたが、コートは一度買えば長く使えますし、4年前は夫婦2人で債務5億円を連帯保証しかねないギャンブルのさなかにいました。弁護士でコツコツ返せる額ではありません。ゴッドマザーのように私には見えました。
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一方の岸田首相は、きょう午後5時半から、東京・世田谷区「三軒茶屋」で、東京5区・6区合同演説会に参加。岸田さんは「はいみなさんこんにちは」とひょうひょうと登場。そして、「未来を選択する選挙だ」と語りました。今回の選挙では山口代表も甘利幹事長も「自公政権か、立憲共産党政権かの政権選択選挙だ」と述べましたが、岸田さんは「未来選択選挙だ」の言いかえを、正々堂々と最後まで続けました。前座の公明党都議は演説で「この選挙を命と暮らしを守る自公政権と、立憲共産党、または共産民主党との闘いだという人も、中にはいるようですが」とトーンダウンさせました。上述の通り越智候補は「私は6区だが、ここ三軒茶屋は、父・越智みちおのころからお世話になった」とし「森加計桜はあるが私は自民改革派」と述べました。若宮さんは消費者担当大臣として、やや他人を不安にさせる消費者商法を紹介しつつ、新米大臣としての意気込みを述べました。
[写真]岸田文雄自民党総裁(首相)=中央、と若宮健嗣消費者相ら、東京世田谷区で、宮崎信行撮影。
なおこの演説会場に一人だけ、「宏池会よ恥を知れ」とし岸田総裁・高市政調会長が敵基地攻撃能力の検討に踏み込んだことに抗議するプラカードを掲げました。東京・警視庁らしく道路の隅に寄ってもらったうえで表現の自由を確保したのだと推測されますが、岸田さんからは見えた距離。
[写真]「宏池会よ恥を知れ」とし敵基地攻撃能力検討に抗議する、一人の聴衆、同。
5区は、現職消費者相の若宮健嗣さんで、立憲前職の手塚仁雄さんが終盤逆転したとの情勢もあります。6区は世襲の越智隆雄さんで、立憲の落合貴之さんが序盤からリードしているとの数字も浮上しています。
最後で、岸田自民、枝野立憲の演説の内容は変わりませんでした。しいて言えば、調査の数字とは逆に、岸田さんがコロナの実績の時間を長くしたように感じました。菅義偉さんから岸田さんに変わったことへの意識が有権者に希薄なのではないでしょうか。しかし、森加計桜はくすぶったということでしょうか。
私のような訳知りのオッサンたちが猛ダッシュで、政治に関心がある人にも何がなんやら分からないまま最終日を迎えて、演説会は全部首都圏で、疎外感を感じた人も多かったように感じます。私は投票率が上がることが良いことだとも、若い人がもっと政治に関心を持ってほしいとも思っていません。しかし、前回選挙からの4年間で、父を亡くし、逆に自分が社長になるという経験をして、大宮から自由席ないし、東京からグリーン車で墓参りに行くという気楽な自由経営者となりながらも、立憲及び維新のように小ばかにされた勢力がていねいに時間をかけて組織をつくっていった様はお見事だと思うし、小ばかにした強い組織に一泡吹かせてやりたい、との気持ちは日に日に強まります。
100の接戦区がどうなるか、私にも分かりません。しかし、十数年ぶりに、結果にかかわらず投票率が上がってほしいな、というすがすがしさに満ちています。
自民党、公明党、立憲民主党、日本共産党、日本維新の会、国民民主党、社民党、れいわ新選組、NHKと裁判している党弁護士法77条違反での政党助成法にもとづく9政党の真価が問われます。
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