【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

懲役刑廃止法が成立で、真山勇一さん「法律は100年単位、熟議するのは与野党共通で短期間審議は国会軽視だ」、田名部匡代さん「大島前議長の所感を見習え」と八戸は1つをアピール

2022年06月13日 17時49分15秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]後輩ニュースキャスターで、先輩議員の蓮舫さんの演説を仰ぎ見る真山勇一・立憲民主党参議院議員、神奈川県横浜市港北区で、おととし10月、宮崎信行撮影。

 安倍晋三・岸田文雄・黒田東彦政権による「この道しかない」アベノミクスの地獄の釜の底が割れて、1ドル135円に。一方、これは認識が違う人が多いでしょうが、長期金利が上がったことで、買いオペをすることになりましたが、私は日米の金利差を縮小させて円安を止めるべきで、国債買いオペをすべきでないと、私は考えます。また、日銀理事・財務官・バーゼル銀行委員の経験者をを大量にワシントンに派遣して、連邦準備銀行関係者に利上げしないよう懇願すべきです。

 第208回通常国会は残り会期3日。

 参議院本会議の定例は月曜日、水曜日、金曜日ですが、きょうは月曜としては今国会では2度目の開催となりました。

【参議院本会議 きょう令和4年2022年6月13日(月)】
 「改正労働者協同組合法」(208衆法41号)、「令和4年度子育て世帯給付金差し押さえ禁止法」(208衆法42号)が全会一致で可決し、成立しました。
 日本人学校の法的根拠を初めてつくる「在外教育施設における施策振興法」(208衆法51号)全会一致で可決し、成立しました。
 「改正アスベスト被害救済法」(208衆法37号)全会一致で可決し、成立しました。
 政府が追加で提出した「改正建築物省エネ法」(208閣法61号)全会一致で可決し、成立しました

 この後、懲役刑・禁固刑をなくして拘禁刑とする1世紀以上ぶりの大改正「刑法を改正する法律」(208閣法57号衆議院修正)と「それに伴う辺法律整備法」(208閣法58号)が、立憲・共産・れいわ反対、自民・公明・国民・維新の賛成多数で可決し、成立しました。

 討論では、立憲民主党の真山勇一さんが登壇。「刑法・民法といった基本法は抱き合わせで改正するのではなく、ひとたび決まれば数十年、百年単位になる。短期間で審議するのは国会軽視だ。熟議をすることは与野党共通の認識であるべきだ」と述べました。

 今期で引退する真山さんは、東京都立小石川高校で、小沢一郎さんの2学年下。但し、「玉音放送」で天皇陛下の前後に話した和田信賢NHKアナウンサーも同高出なので、意識していたのかもしれません。今の若い方は知らないでしょうが、真山さんは日本テレビ・民放に新卒採用された正社員・記者で、その局のニュースのキャスターを最も長くやった人です。その時代は、リクルート事件で1年間にわたって毎週大臣が辞任し、東欧では、毎日どこかの国で革命が起きていたまさにニュースの時代でした。候補予定者の寺崎雄介さんも相模原市中央区選出県議なので横浜・川崎での知名度はきょう現在は低調ですがTVKはあまり見ないでしょうから、「4チャンネル」でニュースを見ながら、明治大学雄弁会へと進んだと思います。TBSでも同社新卒採用社員の記者・杉尾秀哉さん(改選・長野)が長年キャスターをつとめました。その辺で、テレビ朝日の蓮舫さんはタレント出身で番組も短かったので、そこでは後輩の蓮舫さん(改選・東京)が永田町ではずっと先を行っています。

 真山さんが小沢さんと同時期に小石川高校に通っていたことが知られていないのは当たり前で、神奈川選挙区では港北区に住み活動をしていました。10年前の今月のような、旧民主党の血で血を洗うようなごたごたは、港北区に限ればいまでも続いて、私もどうしようもないのですが、おととしの臨時国会直前に、党本部から来たスター議員・蓮舫さん仰ぎ見る真山さん笑顔はテレビの世界の人というより日本テレビ放送網の組織人といったところでしょうか。真山さんがテレビニュースプラス1の現場会議で「熟議」に言及したことはないでしょうが、国会では「熟議」をやりたかったようで、ある程度やれたのではないでしょうか。参議院法務委員会は議員立法が多く、真山さんが同僚に対して「民法改正案だから、議員立法でなく、法制審議会で議論してから案を出す方法もあるのではないか」と質疑したら、公開の委員会の答弁で「立法府が立法をしないのか」と気色ばまれたことがあります。その前川清成さんは、現在は日本維新の会の衆議院議員に転じています。

 本会議に戻って、委員会では修正案を否決された共産の山添拓さん(改選・東京)は侮辱罪の厳罰化を問題視し、現行犯に使わないとの大臣答弁の徹底を求めました。

 本会議は最後に「改正電気通信事業法」(208閣法48号)も審議し、共産反対、自民・公明・立憲・国民・維新の賛成多数で可決し、成立しました

 これで、委員会で議了していないのは、5法案となりました。

【参議院決算委員会 同日】
 「令和4年度決算承認案」は締めくくり総括質疑となりました。

 立憲民主党の田名部匡代さん(改選・青森)は、細田博之衆議院議長(先週木曜日に信任)の姿勢について、「引退した大島理森前議長は所感を発表した。細田議長も見習うべきだ」と10増10減などで主導権を持つべきだと正しました。田名部さんと大島前議長はともに八戸市を地盤としており、「党は違えど八戸は一つ」をテレビ入りで強調して保守切り崩しをはかりました。

 農政では、自民党の「農業所得倍増計画」について「なんでも倍増だ」としつつ、とくに従事者数が倍増していないと指摘。規制改革が行き過ぎているとの信念を再強調。そのうえで、コメ余りに伴い、ミニマムアクセス米(MA米)が飼料用米に使われていることもあるとし、「MA米は義務ではない」としアメリカとの交渉の難しさは認めつつも、対応するよう金子原二郎農相(長崎で今期で引退、参院選後の内閣改造で大臣も交代見通し)に迫りました。金子農相は、ガットウルグアイラウンド交渉当時に自分は既に国会議員だったとし、気色ばんで反論しました。

 わずか2・4兆円の「予備費埋め戻し補正」で、円安で自民党が選挙に苦戦する予想が現実化しつつありますが、田名部さんは1期生の小沼巧さん(非改選)の予備費の一連の追及をテレビ入りで取り上げる「民主しぐさ」をして、「岸田首相・鈴木財務相は円安を予見できなかったのか」「小沼議員は、予見する能力は、内閣より田名部さんが勝っている、と言ってくれている」と迫りました。国会中継を見ながらのSNSリアルタイム世論は田名部さんを応援する声が圧倒的な景色へと急に変わりました。

 国民民主党は、「附帯決議の女王」こと、矢田わか子さん(改選・電機連合)が「EBPMをしっかりして、異次元の予算の異次元の予備費は、会計検査院が異次元の検証をすべきだ」との独自の主張を展開しました。


[写真]矢田わか子国民民主党参議院議員、2020年8月、宮崎信行撮影。

 採決では、決算承認は、立憲・共産が反対。政府に対する警告決議は例年通り、与野党の全会一致で採択されました。

【衆議院 同日】
 ありません。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
インターネット版官報
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。