【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安倍晋三氏の「野党殲滅思想」は岸田文雄首相はしない、県連会長の衆議院議員の鉢巻きをねじり上げ45選挙区全勝を常識とする武士道なき国政5連勝選挙戦術は終了

2022年06月22日 23時15分58秒 | 第26回参院選(2022年7月)
[写真]岸田文雄首相(自民党総裁)、宮城・仙台駅西口、きょう2022年6月22日、宮崎信行撮影。

 3年前と同じく、公示日に、自民党総裁と立憲民主党代表の街頭演説会をともに見てきました。3年前の記事はこちらをクリックするとみられます。

 自民党の国政選挙5連勝のかげに、安倍晋三さんらの「選挙区野党殲滅思想」があると、私は指摘しました。どういうことかというと、安倍さんは参院選公示日初日に劣勢の宮城県選挙区などを訪れ、「そこにいる、秋葉賢也さんが県連会長だ。ここにいるみなさんにも秋葉後援会の人もいると思う」と鉢巻きを締めあげて、宮城県選挙区だけでの集票を衆議院議員にノルマ化する。そして、マイクロバスから突如現れた「テレ朝・TBS・NHKは偏向報道をやめろ」というプラカードで主義主張する人たちに対しても何度も手を振る「自分に向かって手を振る者は全員味方だ」という考え。安倍さんや菅義偉さんらは45選挙区で45議席以上とることが良いことであり当然だと考えている。3年前の17日間にも、和歌山・山口という確実に勝利が見込めたところには一度も行っていない。また仮に「静岡県・愛知県・岐阜県」という地域があるとして、17日間に街頭演説したのは名古屋市で2回だけだろうと思います。同地域で総理大臣の演説を聞きたい高校3年生がいたとしても前夜にSNSで見て名古屋に向かうワンチャンスしかなかったことになります。そこまでして、選挙区すべてとるのがいいという安倍思想。選挙には強いはずですが、議会制民主主義の永続性という考え方はそもそもないと思います。


[写真]3年前、「テレ朝・TBS・NHKは偏向報道をやめろ」という抗議行動をする集団に何度も手を振る安倍晋三首相・自民党総裁(当時)。

 さて、きょうの演説会で気づいたのですが、自民党は3年前に現職が落選した信賞必罰なのか、秋葉賢也さん、西村明宏さん、土井亨さん、小野寺五典さん、伊藤信太郎さんの5衆議院議員はこの3年間に誰も入閣していません(官房副長官・首相補佐官は閣僚ではないという形式的な定義に基づく)。

 3年経って、県連会長は西村明宏さんに代わっていました。


[写真]西村明宏・自民党宮城県連会長、同。


[写真]秋葉賢也さんら、同。

 西村県連会長は「負けるわけにはいかない」と演説。秋葉・元会長は「東北の復興にためには与党の議席が必要です」と会長を外れて多少リラックスか。土井亨さんは「私たちに自民党にも多くの批判が寄せられているが、批判を信頼にできるのが自民党なんです」と演説しました。

 岸田さんの演説は「はい、みなさんこんにちは。ご紹介にあずかりました自由民主党総裁、岸田文雄です。第26回参議院選挙、いよいよきょう公示を迎えました。今回の選挙は新型コロナとのたたかい、ウクライナ情勢に対する対応、また世界的な物価上昇にどう立ち向かっていくのか。歴史を画するような 大きな課題を前にして、私たちの未来を誰に託すのか、どの政党にゆだねるのか。これをみなさんにご判断いただく大変重要な選挙になりました」と切り出しました。

 これはきょねん10月の第49回衆院選での皮切りの言葉とほぼ同じです。ちなみに、甘利明幹事長と山口那津男公明党代表は「立憲共産党と自公政権の選択」という勝手な定義のパラダイムで有権者をかく乱して一定の効果を得ましたが、岸田さんは「未来を選択する選挙」じと最後まで自分の手を汚しませんでした。さらに、岸田さんは公示日から最後まで話のペースが変化しませんでした。最終日の夜に東京・世田谷で若宮健嗣万博相ら2候補を応援した際も同じトーンで、若宮万博相は閣僚で唯一小選挙区では落選しました。

 おそらく、今回も3代目代議士らしく、岸田さんのトーンは変わらないと考えられます。ですので、泉健太立憲民主党代表の「岸田インフレ・黒田円安・物価高と戦う」の打ち出しが、このまま序盤情勢・中盤情勢で勢いを得た場合は、閣議決定などでの追加の現金給付などに日和って、24年前の橋本竜太郎自民党のような失速をすることがあるかもしれません。




 また、宮城県は松下政経塾出身の自民党政治家が多いためでしょうか、街頭演説会を整理するスタッフが「松下政経塾」のビブスをしていました。


[写真]東日本の矜持、国会議員も無料では乗れないグランクラスに乗ってみました。

[写真]仙台駅で取材しました(撮影時のみマスクを外しています)。





[写真]3年前は存在を知らなかった仙台大観音=仙台市泉区=も初めて取材しましたが、筆者と同じ真言宗智山派だと今日初めて知りました。羽田孜家も真言宗智山派です。
 
 さて第26回参院選は18日間です。「ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記」の全国を駆け回ります。莫大な資金力が7月10日より前に底をつくことは絶対にありません。ペガサスの翼が日本列島を駈けます。筆者・宮崎は、紳士ですから、持続可能な日本の民主主義報道のために、自分より若い人をつぶすようなことは絶対しませんが、さはさりながら、資金が底をつきかけたメディアに対して固定費を支援する余裕はありません。両親の躾である落ちた政治家と落ちていく経営者は平然と見捨てる胆力を発揮します。引き続き、ネットニュースの第一人者としての地位を持続することを優先します。私の体は一つ。大好きな日本列島のどこで命が果てようとも本望。日本民主主義の未来は、再び明るくなりそうだとの希望を、本心から持っています。
 
 以上です。

東北差別心か岸田文雄首相「東日本の、この宮城県の再生なくして日本の再生なし」と東北の地域名称を演説中に失念したもよう

2022年06月22日 19時04分48秒 | 第26回参院選(2022年7月)
[写真]岸田文雄首相(自民党総裁)、宮城・仙台駅前で、きょう2022年6月22日、宮崎信行撮影。

 岸田文雄首相は22日夕の宮城・仙台駅前の街頭演説で、「私たち自民党が野党だった時代、政権を取り戻す原動力が、こうした、東日本大震災への思いは、大きな原動力であったことを改めて振り返ります。東日本大震災への、東日本の、この宮城県の再生なくして日本の再生はない。こうした思いをしっかりとかみしめながら努力を続けていきたい」と語りました。



 安倍晋三首相以降の自民党は「東北の再生なくして日本の復興なし」をスローガンとしており、「東日本の、宮城県の再生」との演説は、岸田首相が「東北」という地域名がとっさに失念したものと思われます。

 東北は、宮城、青森、岩手、秋田、山形、福島6県の地域名で、他の定義はありません。

 西日本出身者を中心に、「東京と仙台と盛岡はほぼ等距離」「日本で一番広い県は岩手県」「東北新幹線はすべて内陸を走っている」との常識をそもそも知らない人は多く、東北や沖縄では「知らないということが最大の差別である」ことは広く知られていることです。

 自民党にとって、きょうから始まった第26回参議院議員通常選挙で、東北6県は参院選の45ある選挙区で最大のカギを握ると分析されていることから、「東北」という言葉が出てこなかったことは、実質的に失言となりそうです。

 以上です。
https://youtube.com/shorts/fqUx_O7pC54?feature=share

【参院選公示・宮城】立憲民主党・小畑きみ子さん「4男4女の母で両親年金で生活できずに物価高」のシンプルメッセージに泉健太代表「消費税を引き下げる」に最大の拍手

2022年06月22日 14時49分13秒 | 第26回参院選(2022年7月)
[写真]宮城県仙台駅前での2回の遊説の間に商店街を練り歩く、立憲民主党の小畑きみ子候補と、泉健太代表、きょう2022年6月22日、宮崎信行撮影。

 フライングスタートの感もあった、第26回参議院議員通常選挙はきょう正式に公示され、異次元の金融緩和の恩恵もあってか、立候補者の総数は史上2位になるのではないかとみられています。事前の世論調査からして、投票率も5ポイント程度上がり、55%近くになるかもしれません。

 1ドル135円の円安となったきょう令和4年2022年6月22日(水)、自民党の岸田文雄総裁(首相)と泉健太・立憲民主党代表はともに東北6県(すべて1人区)から遊説をスタートしました。

 泉代表は、午後、宮城1人区の仙台駅前を訪れ、4男4女と両親と暮らす前県議、小畑きみ子候補を応援しました。演説会では、同党執行役員の岡本あき子さんと安住淳さん、鎌田さゆりさん、石垣のりこさんも応援しました。鎌田さんは「私は地元でなく、泉区が地元で、小畑さんも泉区。党の代表は泉健太代表だ」として全県への浸透を求めて、安住さんは「野党を信じて」と語りました。

 泉さんは公示前よりもさらに物価高をアピール。「黒田東彦日銀総裁は円安は日本経済にプラスだと言った。輸出企業にはそうかもしれないが、プラスだということは何もしないということだ」とし岸田首相が前日の官邸物価本部で打ち出した節電ポイントについて、夏場のエアコンは節約しきれないとの考えを強調しました。

 そのうえで、野党が物価高をアピールしてきたことに刺激されて、政府が本腰を入れ始めたとし、消費税を引き下げるのが一番効果があると公約し、この日一番の拍手を浴びました。

 また、自らは「3児の父だが、炊飯器が2台になった。小畑さんは4男4女。炊飯器が何台あるかと想像したらおそろしい」とし、4男4女の母が参議院議員になると与野党に刺激を与えられるとしました。6年前の参院選で民進党公認で当選した桜井充さんが自民党に寝返ったのを受け止めて「宮城から良識を示してほしい」と語りました。

 小畑さんは「両親と暮らしているが、年金だけでは生活できず働いている」とし、物価高への対策をアピール。初日ということもあってからやや緊張気味ですが、シンプルなメッセージが伝わりやすかったように感じられました。



 夕方からは同じ仙台駅前で、岸田首相も演説します。

 宮城1人区は極めて僅差で野党が連勝。今回は上述の自民党公認の現職桜井充さん、立憲民主党公認の前県議・小畑きみ子(小畑仁子)さんに加えて、維新の平井みどり前市議、N党新人の中江友哉さん、参政党公認のローレンス綾子さんがしのぎを削ることになります。