【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

立憲・社民が議長不信任案と内閣不信任案を午後5時10分に同時提出、内閣提出法律案の「衆議院委員会通過率」は既に100%に、「桜を見る会とサントリー」は西村ちなみ幹事長が「今後も追及」

2022年06月08日 16時53分41秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]本会議に登壇した芝博一さん、きょう2022年6月8日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 「衆議院議長細田博之君不信任決議案」と「岸田内閣不信任決議案」について、午後5時10分提出を、立憲民主党が発表。この場には社民党の新垣邦男副党首も同席し、1会派、2党の提出になります。あす午後1時からの本会議で議題となる見通し。参議院の委員会はその間、ストップ。内閣委の「こども庁」「AV」の2件は来週水曜日の会期内に成立する可能性が依然として高いです。

 きょうで、内閣提出法律・条約承認案の「衆議院委員会通過率」が100%になりました。きょねんの立憲民主党代表選の有力5候補(出馬は4人)だった西村ちなみ幹事長が「桜を見る会とサントリーと新浪経済財政諮問委員」を委員会で質問、大串博志予算委員会筆頭理事が「細田博之議長の公選法違反疑い」を緊急ヒアリングで質問。立憲民主党の今国会の質問は1期生を含めて、日本維新の会よりもはるかにまとまっており「政策調査会政党」ぶりを発揮しましたが、国会対策委員会は人事異動もあり、幹部間でも意見の違いがあったようです。自民党長期政権のおごりを批判する火種はくすぶりましたが、第26回参院選の比例の議席がどうなるかは、現時点では正直さっぱり分かりません。

【衆議院国土交通委員会 きょう令和4年2022年6月8日(水)】
 「自賠責保険法及び特別会計法改正案」(208閣法36号参議院先議)が、共産・有志の会反対、自民・公明・立憲・維新・国民の賛成多数で可決すべきだと決まりました。有志の会は「強制加入なので賦課金は事実上税金として議論すべきだし、財務省と国交省の特会の財源繰り入れ・繰り出しをめぐる覚書は信用できない」と批判しました。この法案は、2月25日に提出され、4月5日に参議院国土交通委員会で審議入りし、きょう6月8日の質疑が終局氏、採決されました。

【参議院本会議 同日】
 「日本ベトナム刑事共助協定」(208条約2号)、「ILO105号強制労働廃止条約」(208条約5号)、「漁船安全トレモリノス条約の実施のケープタウン協定」(208条約6号)が全会一致で両院で承認されました。これで政府が提出した条約承認案はすべて終わりました。

 「改正児童福祉法」(208閣法49号衆議院修正)は、全会一致で衆議院修正通りに可決し、成立しました。

 立憲民主党の結党に加わった吉田忠智・行政監視委員長が登壇。吉田さんの本会議登壇は通算4回目。行政監視に関して国と地方の役割分担を話し合い、参議院ホームページから行政苦情を受け付けたりした活動を報告しました。

 鶴保庸介・国際経済・外交に関する調査会長は「レアアースデーの優先順位を上げるべきだ」と3年間の調査の最終報告をしました。

 芝博一・国民経済と生活に関する調査会長は笑顔で登壇し「日本に来た外国人はともに日本を支えていく担い手だ。やさしい日本語の積極的活用が必要だ」と語りました。3年間の調査の成果ですが、工業県で県民所得も高い三重県選出の国会議員からはよく聞く考え方です。芝さんの登壇は通算10回目。与党として参議院内閣委員長として報告して以降の10年間ではきょうで2回目でした。この間、国対委員長や議院運営委員会理事などをつとめていたので、本会議登壇は後輩に譲っていたようです。

 宮澤洋一・資源エネルギーに関する調査会長は、「立地に寄り添った施策の国民理解の必要だ」などと報告しました。

 芝さんと宮澤さんは、ともに昭和25年4月21日生まれ。芝さんは引退、宮澤さんは広島2人区で極めて優勢に次の6年間も税制改正をリードすることになりそうです。

 水落敏栄・情報監視審査会長が、年次報告を市「委員会からの調査の求めはなかった」としました。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 一般質疑がありました。立憲民主党の桜井周さんの質問で、黒田東彦・日本銀行総裁が「家計の値上げの許容度が高まっている」とのおとといの講演を撤回しました。

 立憲民主党の西村ちなみ幹事長は、最近浮上した、「安倍晋三後援会の桜を見る会」(秘書が罰金刑確定)で、サントリーが酒を無償提供していた問題を取り上げました。西村さんは「参考人として、新浪剛史・サントリーホールディング代表取締役会長兼経済財政諮問会議民間委員を求めたが、理事会で認められなかった」と述べました。西村さんは、ビールなどの大手4社のうち、「ジャンルの多い企業」なので、税制改正での酒税税率統一による不確定要素が高いことから、経過措置を長くとるよう、自民党税制調査会に求めたのではないかと指摘しました。鈴木俊一財務大臣は「与党の税調で議論を重ねている」とだけ語りました。西村さんは「今後も追及していく」と予告しました。

【参議院憲法審査会 同日】
 先週は開かれませんでしたが、今週は「水曜日で、本会議があれば午後1時」に審査会がありました。きょうは「参議院合区の解消」について参考人から話を聞いて、質問をしました。教授らからは「総定数は増やしていいと思う」との意見もありました。

 会長は中川雅治さん。3年前は、「改憲・自主憲法制定の中曽根康弘元首相の側近」だった柳本卓治さんが引退し、その後に、中川雅治さんが就きましたが、やはり今期で引退します。後任が誰になるかは自民党憲法改正本部として重要となります。

【参議院改革協議会 同日】
 今期は、選挙制度改革などがまとまりませんでした。

【参議院ODA・沖縄及び北方問題に関する特別委員会 同日】
 「TICAD8」に向けた決議がされました。「包摂的で開かれた国際会議として、幅広い主体が共通認識のプラットフォームとなるTICAD8は、パンデミックの後に続く未来に向かって社会を構築する転換点となる」とし「我が国がなくてはならない存在として認識される」機会だとしました。この美文の草稿を書いた参議院事務局委員部員は頭が良いなと思います。

【参議院北朝鮮拉致問題特別委員会 同日】
 参考人質疑がありました。

 安倍晋三元首相と親交があつい舩後靖彦・れいわ新選組委員も質問し「一刻も早い解決に向け私も微力ながら取り組みたい」と装置の音声で発言しました。この委員会は、N党の浜田聡さんが、舩後さんの後に質問しました。


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細田博之・衆議院議員が、先導役・引き回しの地方議員に選挙期間中に労務費を支払う、選挙運動費用収支報告書で判明、第49回衆院選、文春報道

2022年06月08日 12時30分52秒 | 第49回衆院選(2021年10月 岸田続投 枝野辞任)
[写真]文藝春秋社、おととい、宮崎信行撮影。

 衆議院議長の細田博之さんが、昨秋の第49回衆院選の選挙期間中に、島根1区内で、細田候補本人・街宣車の地区内での先導役・引き回しをつとめる地方議員に対して労務費を払っていたことが、さきほど正午に公開された、「週刊文春電子版」で報じられました。

 労務費は公営掲示板のポスター張りの対価1枚200円として支払われていたもよう。但し、受け取った地方議員は、当初違う認識を取材で答えており、事後に口裏合わせがされたのかもしれません。

 報道によると、細田陣営が島根県選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書の中に「労務費」を受け取った人の中に、3名の現職地方議員がいて、自筆領収書を添付。文春が、この3名に取材し、3名とも実名でコメントしました。

 内容は、第48回では比例復活していた亀井亜紀子前衆議院議員(立憲)の台頭に危機感を抱いた細田さんが奮起。東京暮らしで地元に詳しくない細田さんのために、車を運転して候補を乗せて遊説したり、事務所に案内して地域の課題についてスポット演説で盛り込んだらいい内容をレクチャーしたりした「労務」の報酬のようです。

 通例、地方議員は、4年に1回の選挙で、地元衆議院議員が直接駆けつけたり、秘書の無償派遣を受けたり、総支部・県連・党本部の公認申請事務を請け負ったりする相互依存関係なので、衆院選の最中に現金が渡ることはありません。

 事実ならば、公職選挙法違反として、島根県警捜査2課が調べて松江地検にファイルを送らないといけない事案です。