[写真]黒田東彦・日本銀行総裁(右)の共同通信きさらぎ会講演を聞く筆者・宮崎信行(左)、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ、きょう2022年6月6日。
再来週水曜日公示の第26回参院選で、立憲民主党は「物価高と戦う 生活安全保障」を1本目に据えましたが、やはり「物価高」にセンシティブな国民世論があるようです。
黒田東彦・日銀総裁は、きょう共同通信きさらぎ会で講演し、「強制貯蓄が家計の値上げ許容度を受け入れている間に、賃金アップにつなげ、賃金と物価がともに上がる好循環を実現するため金融緩和を続ける」と発言しました。
このうち、ツイッタートレンドランキングで「家計が値上げを受け入れている」が日本1位となり、既に逆手にとったハッシュタグがつくられ、ヤフー!ニュースのコメントは既に1万件を超えました。
当ニュースサイトの筆者、宮崎信行はオーナー社長をつとめる宮崎機械(東京・北)の立場で、最前列で聴講しました。
黒田さんはすべて事前に用意した原稿を読み上げていたように見えました。
この中で、新しい概念があり、現下の物価高は「日本は値札を変えない屈折需要曲線があり、わずかな値上げでも需要が大幅に下がる」と指摘し、サービス企業が価格を上げ切れていないとの考えを示しました。黒田さんは毎年の春季賃金闘争で「実質賃金の視点が必要だ」とし個別企業収益だけでなく全体の物価を勘案すべきだと提案し、「強制貯蓄が家計の値上げ許容度を受け入れている間に、賃金アップにつなげる賃金と物価がともに上がる好循環が必要だ」と述べました。
なお、強制貯蓄は、財形や社員預金のことかと思いましたが、コロナ禍で消費できなかったことで積み上がった預貯金という意味のようです。
かいつまんでいうと「金融緩和を続ける」との主張が徹頭徹尾、貫かれていました。それが、何年何月何日までになるかはまったく触れずじまい。
政府の子会社である日銀ですが、一般企業が銀行から融資を調達する際に「好循環を実現するのは何年何月まで」という中期事業計画をつくらないと、両社とも利率と元本返済期間を交渉できないのに、なぜ日銀という会社がそれを明示しないでいいのかは違和感が残りました。
[写真]共同通信きさらぎ会で講演する黒田東彦・日本銀行総裁、きょう令和4年2022年6月6日、宮崎信行撮影。
日銀総裁ではなく、自民党総裁の岸田文雄首相には、物価対策に期待する声が最も多くなった世論調査もあります。但し、過去の選挙では物価・金融に不満がある場合は与党が敗北した傾向があります。24年前の橋本龍太郎政権の事例と比べると、岸田さんは内閣支持率が20ポイントも高いことと、民主党大敗から続く、野党の人材・組織難と2人区減少から多くの県では自民党の優勢は動きようがありませんが、泉健太・立憲民主党代表が打ち出した「物価高と戦う」の物価を下げるのではなく物価高分の所得・収入を下支えする政策が一定の支持を集める見通しがついてきました。
このエントリーの本文記事は以上です。
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インターネット版官報
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
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黒田東彦・日銀総裁は、きょう共同通信きさらぎ会で講演し、「強制貯蓄が家計の値上げ許容度を受け入れている間に、賃金アップにつなげ、賃金と物価がともに上がる好循環を実現するため金融緩和を続ける」と発言しました。
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この中で、新しい概念があり、現下の物価高は「日本は値札を変えない屈折需要曲線があり、わずかな値上げでも需要が大幅に下がる」と指摘し、サービス企業が価格を上げ切れていないとの考えを示しました。黒田さんは毎年の春季賃金闘争で「実質賃金の視点が必要だ」とし個別企業収益だけでなく全体の物価を勘案すべきだと提案し、「強制貯蓄が家計の値上げ許容度を受け入れている間に、賃金アップにつなげる賃金と物価がともに上がる好循環が必要だ」と述べました。
なお、強制貯蓄は、財形や社員預金のことかと思いましたが、コロナ禍で消費できなかったことで積み上がった預貯金という意味のようです。
かいつまんでいうと「金融緩和を続ける」との主張が徹頭徹尾、貫かれていました。それが、何年何月何日までになるかはまったく触れずじまい。
政府の子会社である日銀ですが、一般企業が銀行から融資を調達する際に「好循環を実現するのは何年何月まで」という中期事業計画をつくらないと、両社とも利率と元本返済期間を交渉できないのに、なぜ日銀という会社がそれを明示しないでいいのかは違和感が残りました。
[写真]共同通信きさらぎ会で講演する黒田東彦・日本銀行総裁、きょう令和4年2022年6月6日、宮崎信行撮影。
日銀総裁ではなく、自民党総裁の岸田文雄首相には、物価対策に期待する声が最も多くなった世論調査もあります。但し、過去の選挙では物価・金融に不満がある場合は与党が敗北した傾向があります。24年前の橋本龍太郎政権の事例と比べると、岸田さんは内閣支持率が20ポイントも高いことと、民主党大敗から続く、野党の人材・組織難と2人区減少から多くの県では自民党の優勢は動きようがありませんが、泉健太・立憲民主党代表が打ち出した「物価高と戦う」の物価を下げるのではなく物価高分の所得・収入を下支えする政策が一定の支持を集める見通しがついてきました。
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