ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

立憲・維新・国民・共産野党4党は120日ぶり早速ボルテージを上げ、合計9法案を提出

2023年10月20日 16時51分33秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]岡田憲治・衆議院事務総長に法案を提出する、立憲民主党の西村ちなみ統一教会被害対策本部長(代表代行)や、長妻昭政調会長ら、きょう2023年10月20日、国会内で、宮崎信行撮影。

 「懸案が少ない国会だ」というと今の社会情勢を分かっているのかと突っ込まれるのは当然です。しかし、10年以上、衆議院は自民単独過半数、参議院は自公で過半数が続き、集団的自衛権解禁、特定秘密保護法、共謀罪法、120年ぶりの改正民法債権法、特定生産緑地の延長法ができているので、懸案は少ないです。

 とはいえ、選挙に向けた国内の風向きは変わりました。自民党の「エッフェル姉さん」の猛暑炎上を横目に、野党各党は準備していた法案で、召集初日から圧を強めました。

 細田議長の辞表が受理される前の9時に立憲が3法案を出すときのう書きましたが、その後に、前倒しの午前8時40分ごろに予定が入ったようで、維新が3法案を先に出しました。

 「統一教会を含む宗教法人法改正案」(212衆法1号)
 「国会議員秘書給与法改正案」(212衆法2号)
 「地方自治法改正案」(212衆法3号)
 となり、議案番号1は、維新になりました。

 立憲は、午前9時から所属議員の5分の1程度が大挙して法案を出しました。
 「統一教会財産保全法案」(212衆法4号)
 「紙の保険証廃止延期のためのマイナンバー法改正法の施行期日の改正案」(212衆法5号)
 「政治団体世襲禁止法案」(212衆法6号)
 を出しました。

[写真]統一教会財産保全法案を、岡田憲治・衆議院事務総長に手渡す、西村ちなみ、長妻昭両衆議院議員ら、きょう2023年10月20日、国会内で宮崎信行撮影。


[写真]紙の保険証の廃止延期のためのマイナンバー法改正法の施行期日を改正する法律案を提出した、早稲田ゆき衆議院議員ら、以下同。


[写真]「政治団体世襲禁止法案」を提出した、立憲民主党の渡辺周・代表政務室長(衆議院議員)ら、以下同。


[写真]岡田憲治・衆議院事務総長に法案を提出する、立憲民主党の西村ちなみ統一教会被害対策本部長(代表代行)や、長妻昭政調会長ら、以下同。

 国民民主党も負けじと3法案を、参議院に出しました。
 「ガソリン税特例税率・二重課税廃止法案」(212参法1号)
 「こどもへの給付金の所得制限撤廃法案」(212参法2号)
 「教育国債を発行する財政法改正案」(212参法3号)

 となりました。

 昨年は「立維共闘」で、悪質多額献金禁止法を立・維が共同提出。自公立維の協議と、自公国の協議が並立。そして、幹事長・書記局長会談から共産党が参加し、政府が法案を出し、幹事長らが消費者庁に答弁を求めるという紆余曲折がありました。この間、公明党の大口善徳さんが突然しゃべらなくなり、これは誰もが想像する理由だったようです。

 今年は、維新と立憲は別行動です。立・共・社は「統一教会国対ヒアリング」だけとなっています。

 但し、共産党も頑張っていました。

 前経団連会長(故人)の出身である、日立製作所本社。共産党の山添拓さんがマイクを持ち、話していました。直前に上京する議員からも見えたかもしれません。日立本社は、以前は神田にあり、連合会館(総評会館)から最も近い大企業でしたが、現在は日本生命ビルにあります。この奥の三菱地所「新丸ビル」は大和証券の本社が入っています。詳しい人は、系列が違うと思うかもしれませんが、いまや経団連サラリーマン社長たちはお身内で、徘徊する資本主義という風情です。共産党中堅議員にも世代交代の乾坤一擲を期待したいところです。



[写真]日立製作所本社が入る日本生命ビル前で街頭演説する、共産党の山添拓参議院議員ら、きょう2023年10月20日の午前8時前後、東京駅丸の内北口前で、宮崎信行撮影。
  
 以上です。
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三原じゅん子・新環境委員長が哀悼演説「島村大先生は昭和54年に日本大学第二高等学校を卒業された」、第212回臨時国会召集

2023年10月20日 13時49分07秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]三原じゅん子候補の応援にきた茂木幹事長にあいさつする、在りし日の島村大参議院議員=右上、きょねん7月、川崎市で、宮崎信行撮影。

 先月13日付で「16日召集」、今月3日付で「森英介議長」と書き、内心やっちまったかなと思いつつもその時点では正しい情報だったようです。

 16日(月)に天皇陛下は「文化の国体」で石川県に飛行機のシステムトラブルで乗り換えて行幸しましたので、20日(金)召集にかわったようです。但し、ちょうど100年前の「議院法」のもと虎ノ門事件が起きており、「国会法」では召集詔書当日に自動的に会期が始まるので、開会式は18日でもよかったはずです。麻生派事務総長の森さんは、麻生さんが議長にしたくなかったので変更になったということで、間違いではなかったようです。

 そして、所信表明演説は週明け月曜日で、質問通告日ゼロで、火曜日から代表質問になります。このため、月曜夜から7営業日連続で、全府省庁に午後6時15分の時点で、国会待機がかかると思われます。

【衆議院本会議 令和5年2023年10月20日(金)】
 海江田万里副議長が、きのう細田博之議長から辞任届が出たことを会議にはかって全会一致で了承されました。議長選挙となり、投票総数459で、額賀福志郎さんが459票の満票となり、議長に選出されました。予算委員長に小野寺五典さんを選ぶなどの院の構成が決まりました。当初会期は55日間だとはかり、令反対、自公立維共国・有志の会の賛成多数で議決しました。

 なお、当ニュースサイトは、4年前の結党以来「れいわ新選組」を1文字で略すさい「れ」としてきましたが、今後は「令」と表記します。

【参議院本会議 同日】
 委員長選挙では、森本真治前議運筆頭理事が経済産業委員長、青木愛・国土交通委員長が誕生しました。青木さんは連合より右とされるJR東日本の新しい労働組合や、全労連の東京土建一般労働組合の少なくとも足立支部長より多い組合員から公然と選挙応援をしてもらっている初めての国交の役職つき政治家となりました。

 厚労委員長経験者の三原じゅん子さんが環境委員長になりましたので、これは内閣改造に前後したなんらかの人事の影響があるのでしょうか。「ガーシー除名」を主導した鈴木宗男懲罰委員長は、ロシア訪問で日本維新の会で「除名の直前の離党」となったので、すでに欠員となり、松沢成文委員長が選ばれました。

 末松信介・予算委員長は続投。

 本会議では冒頭、青木幹雄さんの弔詞が朗読されました。

 そして、先々月30日に亡くなった、神奈川県選挙区選出の島村大さんの哀悼演説を、裏の自民党参議院議員である三原じゅん子さんが行いました。

 三原さんは「島村先生は、千葉県市川市に生まれ、昭和54年には日本大学第二高等学校から東京歯科大学に進まれた」とし、歯科医師に親族がいないにもかかわらず、フロンティア精神で横浜で開業したことを紹介しました。また、理事会が始まる前に雑談で場を和ませたり、野党議員の質問にも賛辞を贈ったりしていたと故人をしのびました。

 国会会議録をみると「日本大学第二高等学校」という固有名詞が国会審議で出たのは初めてのようです。もちろん、島村さんが例えば4期24年ぐらいやって勇退していれば、出ることはなかったのですが。開催まで残り1カ月を切った日大二高同窓会の年次総会で、最少催行人員に足りたことに安堵した私はここ十数日ほど、電話掛け・動員をさぼっていたのですが、おととい実行委員長から3度目の尻を叩く電話が来たばかりです。島村さんは神奈川県ということで、同窓生との連絡はあまりなかったようです。夢を持って多摩川を渡り横浜で開業し、63歳で亡くなった島村先輩にとって、横浜の水や風はやさしいものだったと信じたい。

[画像]島村大さんの哀悼演説をする、三原じゅん子・自民党参議院議員、きょう2023年10月20日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

[画像]島村大・議員に手向けられた花、きょう2023年10月20日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。


[画像]島村大さんへの三原じゅん子・自民党参議院議員の哀悼演説を聞く、ご遺族、元秘書ら、きょう2023年10月20日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

[写真]三原じゅん子候補の街頭演説会で、小泉進次郎自民党神奈川県連代表の演説中に到着した茂木敏充幹事長にあいさつする、非改選の島村大参議院議員=右上、きょねん7月、川崎市で、宮崎信行撮影。

【衆議院特別委員会・情報監視審査会 同日】
 委員長らを互選しました。
【参議院特別委員会 同日】
 委員長らを互選しました。
【開会式 同日】
 今回は、午後3時から開かれ、額賀新・衆議院議長が議事。

 以上です。
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いわくつきの所得税「期限付き減税」を指示へ、第212回臨時国会きょう召集

2023年10月20日 06時50分28秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
 第212回臨時国会はきょう召集され、きのう細田博之さんがから預かった「議長の辞任届」を海江田万里副議長が本会議にはかります。

 岸田文雄首相は、衆参予算委員会が終わった、来月2日(木)にまとめる「新たな経済対策」に所得税の期限付き減税を盛り込むよう、自公の政調会長に指示するようです。

 ザイム真理教も、今月1日から始まったインボイスで、国税庁コールセンターに電話すると補助金を出すという支離滅裂なことをしていますが、主税局も完全に自分が何を言っているかわからない暗闇に入りました。

 山一・拓銀ショックがあった1997年末に、橋本龍太郎首相が早朝に突然臨時記者会見を開き「所得税の2兆円の定率減税」を発表。政権は、山拓ショックの処理に成功したと勘違い。そもそも事象の発生年が全く違い第一勧銀総会屋の特捜部による役員根こそぎ逮捕の影響も見くびりました。翌夏の参院選で、「定率減税は恒久なのか、時限なのか」がラストサンデー以降にぶれて、自民は惨敗。これを契機に、橋本自社さ閣外協力政権は、小渕自自公閣内連立政権となり、自民党は大臣ポストを減らして、現在にいたります。そして、橋本経済失政による銀行の貸し剥がしと名目年7兆円分換算の需要不足は、資本主義の発展史において、未来永劫絶対に取り戻せない失敗として、現在に至ります。

 このころは、与党内・野党党首・マスコミから「2兆円では少なくて、10兆円減税すべきだ」との議論があり、その方が正しかったと、私は今振り返ります。

 で、四半世紀前にも、金子家がらみの佐世保で国政補選があったのですが、四半世紀経って、岸田文雄首相がまた同じ過ちを繰り返そうとしているようです。

 そもそもコロナ禍なのに、法人税が数兆円上振れしたことについて、財務省主計・主税局はなんら検証していないと思いますが、十数年ら法人税を計算してきた私に言わせれば、設備投資をためらったから、単年度の最終損益が大幅な黒字になっていると思います。ということは、未来の供給がうしなわれているとも考えられます。その法人税収の還元は所得税減税だというのは正しい考え方ですが、基幹3税は一体として改正しなければ、国民負担の議論としてまったく意味がありません。

 こういうのも、複雑にして、岸田首相のいとこであり、宮沢税調会長しかわからないことにしてしまい、複雑なルールの解散総選挙で政権を維持しようという思惑です。

 公明党の北側一雄さんと山口那津男さんが「定額減税」を主唱して過去に実現したことは一度もないと認識していますが、今回は実現するのかもしれません。

 まもなく、税法に目的規定が少ないことが副次的に問われた最高裁大法廷判決もでます。これがでれば、目的規定がある、シンプルな納得で透明な税制へと、政権交代後に進むことになるかもしれません。

 インボイスが今月導入されましたが、これも消費税を単一税率8%にすれば、解消できるはずですが、その知恵すらないようです。

 なお、「防衛財源確保法」(先の第211回の閣法1号=成立)の増税プログラムには、まったく影響はないでしょう。

 四半世紀前の失敗を勉強もせず、自縛自網の税調で、歴史をまったく勉強していない自民党ヒラ議員のもとで、次の選挙に向かいます。

 以上です。
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