ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【所信表明演説】「所得税の時限の減税」は削り「還元措置の検討」に落ち着く、物価高気にせず賃上げ・供給力拡大の「経済経済経済」を強調

2023年10月23日 18時55分31秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[画像]アプリを使って岸田さんのメガネをとるシミュレーションをしました。公平を期して、筆者のメガネもとってみました。

【衆議院本会議 きょう令和5年2023年10月23日(月)】
【参議院本会議 同日】

 55日間の会期の4日目となります。参は裁判官弾劾裁判所の人事をした後に、所信表明演説が行われました。

 首相は「経済、経済、経済。私は、何よりも経済に重点を置いていきます」との新しいフレーズを入れました。

 英議会で戦時中のチャーチルの「ネバーネバーネバーギブアップ」、政権交代後のブレアのバウチャー改革の「教育、教育、教育」を念頭においたスピーチだと思われます。

 首相は「30年来続いてきたコストカット経済からの変化が起こりつつあります。この変化の流れをつかみ取るために、持続的で構造的な賃上げを実現する」と語り、ウクライナ戦争後の物価高、植田日銀の緩和継続、1年半続く実質賃金ダウンを気にしつつも、賃上げ路線をつきすすむ態度を再び強調しました。

 2年強、混同が続く「分配と成長」について、きょうは「成長と分配が持続的に回っていく」として、物価高と賃上げの継続を念頭においた表現におちつきました。

●「所得税」」削がれ「還元」
 先週まで、所得税の時限的減税が盛り込まれるとの事前報道がなされましたが、きょうの演説に所得税の言葉はなく、結果的には、すっきりした印象を、私は感じました。

 首相は「現世代の国民の努力によってもたらされた成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の御負担を緩和いたします」とし、与党政策懇談会・与党税調に指示するとしました。

●万博は「オールジャパン」
 2025年大阪・関西万博は「海外パビリオン建設の遅れなど進捗状況が厳しくなっていることに強い危機感を持って、オールジャパンで進めていきます」と述べました。

●改憲発議「条文案の具体化」
 改憲発議は「国会の発議に向けた手続を進めるためにも、条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待します」と明言しました。

 あすは衆議院本会議で代表質問。立憲は泉健太代表のほか、東京8区の吉田はるみさんが登場することになります。通常国会では、小選挙区では惜敗した女性国対委員が登場しましたが、吉田さんは前回の選挙の「市民と野党の共同路線」の象徴的な存在と位置付けられています。

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吉川沙織(吉川さおり)さんが3度目の参議院議院運営委員会筆頭理事に就任、Xの国会クラスタ「さおりん推し活」で身近な存在とされる「朝7時46分の共謀罪法の中間報告からの強行採決で成立」の経験も

2023年10月23日 10時18分35秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]吉川沙織(吉川さおり)立憲民主党参議院議員、きょねん2022年8月10日の同党常任幹事会で、宮崎信行撮影。

 先週金曜日から始まった第212回臨時国会で、立憲民主党の吉川沙織(吉川さおり)さんが、通算3度目の参議院議院運営委員会野党側筆頭理事に就任したことが分かりました。きょう2023年10月23日、当ニュースサイトの取材に対して、参議院が認めました。

 任期はおおむね、先週金曜日20日から来年令和6年2024年6月下旬までとなります。この期間の最大の政治課題は、衆議院側の解散判断になります。

 前の筆頭理事は、経済産業委員長に転じ、先輩の吉川さんが3度目の就任となりました。

 「X(旧ツイッター)」で、審議の実況中継をしたり、考え方をポストしたりする「国会クラスタ」で吉川さんは「さおりん」と呼ばれ推されており、同クラスタ内での「推し活」の多さは、ベスト5位以内、おそらく1位。

 2012年の政権再交代・2013年の衆参ねじれ解消後、「特定秘密保護法」「平和安全法制」など国会の名場面がありましたが、2017年6月15日の「共謀罪法の委員長の中間報告からの動議採決」の朝7時46分成立が最も遅い時間となっています。このときの筆頭理事が吉川さんでした。「NHKニュースおはよう日本」(朝5時から8時まで)で国会審議が中継されたのは、ここ十年間でこの時だけです。

 立憲民主党は衆議院側では解散が近いとみて委員長を続投させましたが、参議院は定例の人事異動をしました。

 比例代表の吉川さんは3期目になってから、立憲民主党首脳の考えで徳島県連所属となっており、昨夜はバックアップした広田一さんが補選で大勝をおさめたばかり。党本部では泉健太代表から組織委員長を任され、執行役員会メンバーとなりましたが、こちらはすでに異動し、岡田克也現・幹事長が「組織委員長ポスト」を執行役員会メンバーから外してしまいました。

 政権時代は、当時の総務大臣が省内で開く勉強会に参加していたようです。

 当面対決色のない国会となりますが、先の通常国会で経済産業委員長として「GX法」の与野党修正による衆議院回付を実現するなど気を吐いており、来年6月まで、ひそかな注目を集めそうです。



[写真]2度目の筆頭理事の吉川さおりさん、おととし、宮崎信行撮影。






[写真]立憲民主党組織委員長(きょねん8月退任)として泉健太代表をささえた吉川さおりさん、きょねん8月、宮崎信行撮影。







 以上です。
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