渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

文部科学「統一教会明け」の「国立大学法人法案」で反知性主義のうねりとまらず、人事院勧告実施の給与法がすべて成立

2023年11月17日 19時55分05秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]スガ内閣の反知性主義に同調する姿勢を見せた筆者、3年前の2020年10月30日、今となっては反省しています、東京・六本木の日本学術会議前で。

 スガ官房長官の加藤陽子、宇野重規両東大教授ら日本学術会議に任命しなった「反知性主義」に同調した私ですが、きょうの法案はさすがにまずいと思います。参議院本会議では、給与法が成立し、前国会の積み残しも可決し、衆へ送られ、即時に審議入り委員会可決となりました。来週は、補正予算案審議で、火曜日、水曜日はテレビ入り、木曜日は祝日となります。補正関連の閣法は地方交付税法改正案だけが提出されます。

【衆議院文部科学委員会 きょう令和5年2023年11月17日(金)】
 「国立大学法人法改正案」(212閣法10号)は前回質疑終局が宣言されているので、きょうの採決の日程は、野党も合意していたととらえています。
 野党は修正案は提出せず、反対討論演説。が「趣旨説明の理事会での合意をえない審議入りしたことは、教育をつかさどる文部科学では、こどもたちに反対派は切り捨てていいという誤解を与える」と語り、やや国会審議のはこびの話とはずれている感じがしました。1年数カ月「旧統一教会の質問権・解散請求権」が降りかかった文科省は文化庁の京都移転もあり、嵐の後の静けさのとき、高等教育局のなんらの実力者が法案を押し込んできたとみてよさそうです。本来は、東京工業大学と東京医科歯科大学の国立大学法人を合併させるだけの改正だったはずですが。

 法案は自公などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。
 附帯決議には「運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認に当たっては、これまでと同様、大学の自治を尊重するための制度的担保の重要性に鑑み、当該国立大学法人からの申し出に基づいたものについて承認することとし、例えば過去に政府の意に沿わない言動があったもの等について、言論活動や思想信条を理由に、恣意的に承認を拒否することのないよう、大学の自主、自律性に十分に留意すること」という文言が入りました。懸念通りのことが今後おきそうな予兆があります。

 文部科学、農林水産は、与野党とも「大臣がんばれ、財務省から予算をとってこい」という土壌があります。1年間の統一教会政局と文化庁京都移転の風洞からぬけたとたんに、変な法案が出てきて、野党は対応が遅れたという印象を持ちます。

【参議院本会議】
 細田博之前衆議院議長の弔詞、裁判官訴追委員の選挙、会計検査院の検査官に前事務総長を充てるなどした国会同意人事を決めました。

 おそらくレガシーメディアのネット版から炎上した首相賃上げ法は原案通りあっさり成立しました。「物価高で苦しんでいるのに、首相の名目賃金が上がるのは感覚が違う」というは私には理解できない理論で、福山哲郎「元社長」が外交防衛委で述べた「人勧調査の4月以降に物価が上がっているのだから、もっと一般職・自衛官を上げるべきだ」の方が全く正しいと考えます。

 本会議では、「改正一般職給与法」(212閣法1号)が維新のみが反対し、賛成多数で可決し、成立しました。「改正特別職給与法」(212閣法2号)が自公国の賛成多数で可決し、成立しました。「改正裁判官給与法」(212閣法3号)と「改正検察官給与法」(212閣法4号)は維新と令和が反対し、賛成多数で可決し、成立しました。この後、「改正防衛省職員給与法」(212閣法5号)は令反対の賛成多数で可決し、成立。「改正国会議員秘書給与法」(212衆法9号)は全会一致で可決し、成立しました。
 「金融商品取引法改正案」(211閣法56号=今国会では参先議)は自民・公明・参政の賛成多数で、「社債株式振替法改正案」(211閣法57号参先議)は全会一致で可決し、衆議院に送付されました。

【衆議院財務金融委員会】
 上述の参議院から送付された「金融商品取引法改正案」(211閣法56号参先議)と「社債株式振替法改正案」(211閣法57号参先議)は理事会で、趣旨説明・質疑・討論を求めた会派がなかったため、採決されました。金商法は自公のみ賛成し、振替法は前国会と同じく全会一致で可決すべきだと決まりました。月曜日の本会議に上程され、おそらく財政演説より前に成立すると思います。

【衆・内閣委員会】
 「官報発行法案」(212閣法8号及び212閣法9号)は共産のみ反対の賛成多数で可決すべきだと決まりました。また下述の外務委のダブルトラックとして、CPTPPに関する質疑がなされました。TPP本部が内閣官房にあるからでしょう。

【衆・外務委員会】
 「CPTPPに英国が加入する議定書の承認案」(212条約1号)は共産のみが反対し、賛成多数で承認すべきだと決まりました。英国のリズ・トラス大臣が「天下取り」の野心を抱いて交渉した条約ですが、トラスさんはもはや「前首相」となっていますので、政治家よりも国家と国家の条約の方が長く時間がかかるということは教訓に満ちた政治寓話だと感じます。

【衆・拉致問題特別委員会】
 松野、上川、松村3大臣の所信的挨拶。
【衆・復興特別委員会】
 土屋新大臣の所信に対する質疑。

【参・消費者問題に関する特別委員会】
 自見大臣に対する質疑では、社民党副党首の大椿ゆうこさんが大阪・関西万博後のIRとギャンブル依存症を質問。きょうは悪質ホストデート商法売掛金問題は出なかったようでした。

【参・災害対策特別委員会】
 松村大臣に対する一般質疑。
【参・拉致問題特別委員会】
 松野、上川2大臣の所信的あいさつ。参側の大臣が1人少ないのは、開催日程を確保しやすくしようという配慮からです。

以上です。
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