ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「首相ボーナス48万円増」で人事院勧告が例年を凌駕する盛り上がりも衆・委員会で通過、れいわ新選組「4月時点だから、これでは実質賃下げ法案だ」

2023年11月10日 17時41分49秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[画像]4回にわたる地方税滞納が明らかになった神田憲次財務副大臣。

 毎年この時期に審議される、人事院勧告実施の給与法案が「首相賃上げ法案」と報じられ、異様な雰囲気のなか、原案通り委員会を通過しました。

 世界はインフレ、日本は賃上げムード。5月のコロナ明けで、70歳以上の男性も東京に仕事を探しにきて、みんな決まったようです。手に技術がある人は制服を着て社用車で現場で即戦力。但し「ワンオペで赴いた現場で東京弁で見積書の話をされた」のは求人票以外でストレス。東京生まれ東京育ちの女性は固定月給が賃上げされず。が、固定月給があるので来月、再来月に生活が立ち行かなくなる不安はゼロで「来年になったらインフレ対策で買う数・量も検討しますか」。コロナ禍のサービス業正社員と打って変わって、固定月給があると生活は当面持ちそうです。賃上げの流れに水をさすなというのが正しい感覚でしょう。

【衆議院法務委員会 きょう令和5年2023年11月10日(金)】
 令和5年人事院勧告を実施するための「裁判官給与法改正案」(212閣法3号)と「検察官給与法改正案」(212閣法4号)が維新のみ反対で、可決すべきだと決まりました。すでに追記・訂正していますが、前回の一般質疑の後に、小泉龍司法相から趣旨説明され、審議入りしていました。

【衆・内閣委員会】
 まず、令和5年人事院勧告の件で、人事院総裁らに質疑。
 続いて、「一般職公務員給与法改正案」(212閣法1号)と「特別職公務員給与法及び大阪・関西万博特措法の改正案」(212閣法2号)。立憲が「212閣法2号」の修正案を提出し、立憲・共産の賛成のみで否決。政府原案は維新が反対し、自民・公明・立憲・国民・共産が賛成して可決すべきだと決まりました。
 特別職の自衛官は212閣法1号で人勧通り賃上げされます。
 質疑の中で、れいわ新選組(令和)の大石あきこさんは、「4月の時点であり、物価はもっと上がっており、実質賃下げだ。ショボい」とし「自民、維新とも公務員削減を詫びろ」と語りました。

【衆・安全保障委員会】
 「防衛省職員給与法改正案」(212閣法5号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆・厚生労働委員会】
 おおむね7年ほど前、2016年の衆参ねじれ解消以降は、参考人質疑をした当日には採決をしないという暗黙の了解があったと思いますが、やぶられました。
 「麻薬取締法及び麻向法改正案」(212閣法7号)はまず与党のみ対政府質疑1時間。続いて参考人質疑となり、一般社団法人「ARTS」代表理事の田中紀子さんらが意見を述べました。続いて、野党の対政府質疑で終局し、採決しました。

 討論では、共産党の宮本徹さんが「医療用大麻解禁条項には賛成だ」としつつ「使用罪の新設条項に反対する」と述べました。宮本さんは与党議員からきょうの審議で考え方が変わったとの声があったとも付け加えました。採決で、共のみ反対の賛成多数で可決しました。

 質疑の中で、山井和則さんは歌舞伎町で大麻が蔓延していると指摘。きのう参・内閣委での塩村あやかさんの質疑の流れをくんで、歌舞伎町の大久保公園で「悪質ホスト」への売掛金(ツケ)払いなどのために立ちんぼとなったり性風俗店に勤務したりした女性を守るよう、大臣、消費者庁、警察庁に問いました。武見敬三厚労相はホスト及びスカウトによる職業斡旋は「職業安定法63条に違反してあり女性客が有害業務につかないよう、警察庁と連携して指導していく」と明言しました。同党は月曜(11/13)午後12時半からの内閣部会で警察庁やNPO法人ばっぷすからマスコミフルオープンでヒアリングする予定。

[写真]大麻ではなく、市販医薬品の大量摂取オーバードーズで痙攣する若い女性、東京・歌舞伎町の「トー横広場」で、きょねん、宮崎信行撮影。

【衆・文部科学委員会】
 学術会議問題のように政府のコントロールが高まることへの懸念が出ている「国立大学法人法改正案」(212閣法10号)。与党のみ30分質疑。続いて、参考人出頭要求を議決。きょうは散会しました。次回は14日(火)9時からで、参考人質疑。

【衆・外務委員会】
 上川陽子外相への質疑があり、参側に遅れて、店開きとなりました。立憲民主党会派に所属する松原仁さんは新・東京26区から出馬する構えで党を離れていますが、引き続き立憲会派で登場しました。
 「TPPへの英国加盟議定書承認案」(211条約1号)が大臣から趣旨説明されました。今国会の条約の承認案件はこれだけ。

【衆・国土交通委員会】
【衆・環境委員会】

 一般質疑。

【参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会】
 長谷川岳特別委員長が議事をとり、自見はなこ地方創生相と河野太郎デジタル相が所信を述べました。

【参・消費者問題に関する特別委員会】
 自見はなこ消費者担当相が所信的あいさつ。自見さんは今国会で法案を担当しており、担務が多いので、どこかでパンクするかもしれません。

【参・情報監視審査会】
 非公開で開かれました。

●来週月曜日(11/13)は午後1時から参議院行政監視委員会のみ。

【定例閣議】
 補正予算案を決定しました。日本の高い技術で印刷・製本して20日(月)に国会提出のはこび。

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Ⓒ2023年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
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【衆法・超党派】秘書と職員は人事院勧告実施「国会議員秘書給与法改正案」を超党派で起草、成立へ

2023年11月10日 07時10分08秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
 与野党の国会対策委員会などは令和5年人事院勧告の実施のための「国会議員秘書給与法改正案」(212衆法 号=未提出)を開催中の第212回臨時国会に提出することで合意しました。山口俊一・衆議院議院運営委員長が起草し、次の本会議で趣旨弁明して可決し、参議院に送られる見通し。

 人勧を実施すると、政策担当秘書・公設第一秘書・公設第二秘書の月給が1560円から2520円までの金額分が増加。それとは別に、ボーナスの支給月数が4・4か月分から4・5か月分に増えます。

 国会職員の給与等に関する規程を改正する規程案も議決する公算。

 きょうの世論は、特別職給与法改正案で、岸田文雄首相が48万円賃上げされることで沸騰。人事院勧告制度への言及がないまま「なぜ、今?」と炎上し、「特別職国家公務員給与法改正案」(212閣法2号)の衆議院内閣委員会での趣旨説明後に、官房長官が記者会見で「全額国庫返納」を明言するなど、フランス革命の1年前といったような雰囲気になっています。

 以上です。
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