【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「めざしの土光さん」から「嘘をつけない岡田さん」へ 民主党行革調査会まずは「身を切る」【動画あり】

2011年12月14日 21時09分51秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]民主党行革調査会の初会合であいさつする野田佳彦代表(首相)、2011年12月14日(水)、午後5時半、衆院第一議員会館、筆者撮影。

 民主党政策調査会(前原誠司会長)は「行政改革調査会」(会長・岡田克也最高顧問)を設け、2011年12月14日(水)、衆院議員会館で初会合を開きました。首相で民主党代表の野田佳彦さんが「不退転の覚悟」を示している消費税増税とひきかえに、ガバメント(政府と国会)として定数削減、給与削減、特別会計・公益法人・国有財産の洗い出しなど「身を切る」姿勢を明確化します。

 初会合となった「第1回総会」には410人いる民主党国会議員のうち、30人~40人が出席しました(代理出席除く)。冒頭、野田首相(野田代表)があいさつしました。政権党の総裁・代表が、党大会、議員総会、役員会ではなく、党政調の会議に出席するのは珍しいことです。

【追記 2011年12月15日 午前11時50分】

 動画をアップロードしました。

【追記おわり】

 野田さんは「私は平成22年度、23年度の予算編成に(財務副大臣、財務大臣として)かかわってきました。また累次の補正予算の編成にかかわってきました。リーマンショック後の厳しい税収の落ち込みの中で、マニフェストの主な事項を実現するために、懸命に努力してきたつもりであります。加えて、平成22年度予算においては、8つの特別会計の積立金や剰余金をかき集めて、過去最大規模の10・6兆円の税外収入をつくる努力をしました。だけど、まだまだ『民主党よ、歳出削減に取り組め』、『税外収入に取り組め』というのが国民の声だと受け止めています」と語りました。

 そして、「そして、『議員よ、まずは塊より始めよ』ということで、議員定数削減の問題、これも力こぶを入れて、(与野党協議のなかでも)特に我が党がイニシアティブ(主導権)をとって、来年の通常国会の早い時期に成立させないといけない」としました。また安住淳さん率いる財務省がつくっている「特別会計改革法案(仮称)」について、「安住大臣に深掘りをお願いしているが、党からもお尻を叩いてほしい」とお願いしました。

 


 野田代表は、この行革調査会は、「民主党政調決算・行政監視部門会議」を発展的に解消した組織だという考えを示し、前原会長もうなづきました。こういった各種党内資源を活用し、官僚の骨抜きを排した法案をつくる考え。

 続いて、前原さんがあいさつに立ちました。前原さんは「この行革調査会で(検討の)成果を挙げ、(法案化の)タマ込めをして、国会でその果実を挙げていくことが党だけでなく、国のためになる」と述べ、年末年始の短い時間のなかで、「いいものをまとめ、(第180通常)国会に乗り込んでいこうじゃありませんか」と語りました。

 この後、岡田さんがあいさつに立ちました。岡田さんは「私も最近は地元に、月2回ぐらいは帰っているんですが」と切り出し、いきなり場は静まりかえりました。正確には、衆院議員だけが静まりかえったのだと思いますが、衆参とも自由席で座っていたので、私はカラヤンではないので聞き分けられませんでしたが、おそらくそういうことだと思います。

 
[写真]民主党行革調査会初会合であいさつする岡田克也会長、2011年12月14日(水)、衆議院第1議員会館、筆者撮影。

 岡田さんは続けて、「まあ、いろいろ言われます。『消費税は分かります』と多くの方が言ってくれます。『じゃあ国家公務員の給与(引き下げ)や(国会議員の)定数削減の話はどこまで行ったんですか?ちゃんと国会はやっていないじゃないですか』(と地元で言われます)。そして、特会や独法の問題。それについてどうなっているのか。そういうことをしっかりやるということが(消費税増税準備法案への)国民の理解を得るうえで必要だと思います」としました。

 そして、「党内で今まで積み重ねていただいて、さまざまな成果があります。それを実行に移すためにどうすべきか。そういう視点でしっかりと議論していきたいと思いますので、みなさんのお知恵、お力を入れて、党が一丸となってしっかり成果を上げていきたいと思います」と述べました。

 この辺の、野田さん、前原さん、岡田さんの、あうんの呼吸、政治センス、気持ち悪い言葉で言えば、「テレパシー」は見事だと感じました。

 

 そして、この3人とそれ以外の議員のあまりの政局感の違いにもあぜんとしました。まあ、そうはいっても、議員同士の話し合いの中で、「さみだれ式は分かりにくい。できるなら、法案はなるべくまとめて出したい」「やるからには早くがいい」「やっていくることを目に見える形にしたい」という意見が出たようですから、頼もしい気がします。また、民主党地域主権調査会が取り組んでいる出先機関改革の話を一緒にやれないかという意見が一定の合意を得たようです。一方、政治改革については、党幹事長室が議論するという役割分担をしっかりしたいということで大筋合意を得たそうです。

 ◇

 かつて自民党内閣は消費税新設への国民への説得作業で、臨調・行革審会長として民間有識者として土光敏夫さんが就任しました。土光さんの日常をテレビ取材しているうちに、偶然切り出したのが「目刺しの土光さん」。これは1982年放送の「NHK特集」(現在のNHKスペシャル)が放送したもので、高度経済成長・安定成長時代のニッポンの経済的な成功者である土光さんが奥さんと目刺しをおかずに夕食をとる光景が印象に残り、国民が背中を押し、「民営化」などの行政改革の前に進むエンジンとなりました。

 「めざしの土光さん」と違って、岡田さんはどうか。昨年(2010年)6月29日(水)の外務大臣会見で、フリージャーナリストの安積明子さんが海外出張時の航空機利用について質問したところ、次のように答えています。

[外務省ホームページから引用はじめ()内は補筆]

 私は(海外出張の際、国際線は)ビジネス(クラス)で、自分でお金を払って、野党時代には行っておりました。中国とか近いところには、ほとんど数時間のことでありますので、エコノミー(クラス)で行ったこともあります。しかし、基本的にはビジネスで行っていたということを申し上げておきたいと思います。大臣になりまして、ファースト(クラス)のあるところはファーストを使っております。最近は、国際線でもアジアを中心にファーストのないところが結構増えてきましたから、そういうところはビジネスで行くということです。この前なども、国連に出て、ヨーロッパ経由で日本に帰ってきたときも、ニューヨークからパリまではエールフランスでファーストだったのですが、パリから成田まではビジネスしかない機種だったのでビジネスで帰ってまいりました。やはり、かなり無理して動いていますので、体力的にはきついです。そういう意味で、できれば少しでも体を休める時間が欲しいと思います。あとは状況の判断、あまり華美にならないようにはしたいと思います。だから、(政府)専用機のベッドを使わなかった訳ではないのですが、それは目の前にあったのですから使うことはできたのですが、ほどほどに考えていきたいと思っています。

[引用おわり]

 岡田さんは外相時代に土日を利用して、ドイツに0泊3日で行ったり、出張先からさらに次の出張先へと行ったり、かなりの強行軍。しかも、その時間は読書タイムに充てていたようです。とはいえ、「野党時代からビジネスクラス」「大臣になったら、ファーストクラス」。さらには総理と出張した際には、「政府専用機のベッドを使わなかったわけではない」として、「ほどほどに考えたい」と謙遜するだけ。「私はエコノミークラスです!」と言えば、人気も上がるだろうに。これについては、ことし(2011年)6月2日(木)放送の日本テレビの「村尾信尚のニュースゼロ」で「私は親から絶対うそをつくなと教えられて、今でも政治家には珍しくうそをつけない一人なんですが」と語っています。

 私が知る限り、岡田さんは嘘を付いたことがありません。「ノーコメントです」と言うことはあります。「官邸の中の話はしない」とも言っています。しかし、嘘は付きません。ことし(2011年)1月9日放送のフジ「新報道2001」では、岡田さんの初代秘書の一人である三谷哲央さんが「正直ですから、隠しごとをしたり、ごまかしたりはしません」と証言しています。

  
[画像]三重県議会議長(当時)の三谷哲央県議、1月9日放送のフジ「新報道2001」=TV映像からキャプチャ。

 きょうの会合でも岡田さんが嘘をつけない性格なのがハッキリ出た場面がありました。上の方で紹介した岡田さんのあいさつはほとんど全文ですが、最後に紹介していないくだりがあります。行政刷新担当大臣の蓮舫さんに向かって「蓮舫さんから言えって言われたことを忘れてしまいました。なんでしたっけ」。そして、それは「何か独法について、『まだまだけしからん独法があるから、しっかりと予算について絞り込めという、そういう話を言うようにされてましたんで、そのことも申し添えて、みんなで力をあわせてやっていきたいと思います」と述べました。蓮舫さんは照れ隠しで、にこやかながら泣くようなそぶりをしてしまいました。岡田さんはやはり嘘がつけない。岡田さんは内閣府行政刷新会議の役割は終わりつつあり、「仕分け」を仕分ける段階に来ている、という考えがあるのでしょう。

 

 行革調査会には、決算・行政監視ワーキング・チーム(WT)、公益法人改革WT、特別会計WT、行政管理・効率化WT、国有資産見直しWT、情報システム効率化WTを設置しますが、これまでに「仕分け」「埋蔵金」の議論でかなりの党内資源が蓄積されています。「身を切る」行革関連法案をていねいにつくっていく作業になります。地元・四日市では、岡田さんの三重3区、文科大臣の中川正春さんの三重2区とも自民党の支部長が公募したにもかかわらず、河村建夫・自民党選対局長が発表しておらず、「公募で若手男性弁護士に決まったが、自民党の地域の偉い人がストップをかけた」など諸説入り交じっています。が、最終調整の段階になっているとの見方が有力。このことも踏まえて、岡田最高顧問が総理に抜き打ち解散を打診しているとの見立てが浮上していますが、実際には、総理はじめ民主党良識派内では、任期満了までじっくりやるべきだという考えに傾いているという観測が勢いを取り戻しつつあります。きょうの野田総理の振る舞いには、社会保障と税の一体改革の素案や成案が、国民への説得に十分なメニューになりきれない気配を感じ取っていることがうかがえました。

 岡田さんはインターネット番組でジャーナリストの角谷浩一さん、神保哲生さん、江川紹子さんから「クリーンとは何か?」と聞かれ、「クリーンとはオープンということだ」と話しています。新聞社の集計では、岡田さんは2010年分の政治資金収支報告書で、全体で8位、民主党の党員有資格者ではトップに立ったことが報じられました。ちなみに、まだ政治資金規正法がそれを要求していないにもかかわらず、民主党総支部と政治資金管理団体「岡田かつや後援会」の合計2団体に集約しています。関連団体を複数持っている政治家はその分実際はもっと資金力があることになりますが、岡田さんは最少の団体数でありながら、政権政党の党員有資格者トップになりました。

 税と社会保障一体改革の素案は1月上旬にも決定する見込みですが、3党協議の成案に手間取るという観測もあり、岡田会長には、早期の行革調査会の法案作りが求められます。官僚による骨抜きを排し、政治家主導による法案づくりを通して、力強く前進してほしい。この関連法が成立すれば日本の閉塞感が大きく打破されます。ぜひ、これが成立する特別な国会を期待しています。電光石火で行きましょう。

 やたらと不安で不安でしょうがない人を見かけます。でも、心配ご無用。日本は強い国です。なぜならまだまだ「削りしろ」がいっぱいあるからです。

 さあいよいよ、「岡田行革」のスタートです。

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政府、メタンハイドレートなど「フロンティア分科会」設置 野田フロンティア演説が早くも具体化

2011年12月12日 08時41分29秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]大隈講堂で演説する野田佳彦首相、NHKニュースから。

 おはようございます。新しい1週間の新しい朝です。

 野田フロンティア演説(2011年12月7日、大隈講堂、早稲田大学鵬志会主催)が早くも具体化です。

 12日朝のNHKニュースは、政府は年内(今月中)にも、国家戦略会議の下に「フロンティア分科会」を設ける方針を決めた、と報じました。新たなエネルギー源として期待される、日本近海の海底の「メタンハイドレート」などの開発が必要だとしており、「海や宇宙のフロンティアを開発し、きょうよりもあしたがよくなると思える国を作ることが私の夢だ」との大隈講堂での特別講演のVTRを放送しました。「フロンティア分科会」は30代から40代の有識者など、若手の民間人を中心に10人程度の作業チームを設けて、中長期的なビジョンをまとめるとのことです。

 野田首相は、12月7日の特別講演で

 「日本の持っている“フロンティア”を開発していこうという試みを始めました。どんなフロンティアがあるのか?」「例えば、海。」「深さもいれると、日本の排他的水域、管理できる部分は、深さは世界で4番目です。5000メートル以上深いところ、これは日本が1番多いんです。フロンティアは多いんです。そこにメタンハイドレート等々、さまざまな鉱物資源が眠っている。それを開発をしていくということがもちろん大事だと思います。海にフロンティアがあります。そして、宇宙もそうです。立体的に見れば、宇宙もわが国のフロンティアです。ロケットを飛ばし、(人工)衛星を飛ばせるという国は、それほどありません。国際協力で(宇宙)飛行士も育ってまいりました。独自の射場(しゃじょう)、打ち上げる場所を持っている国もあんまりありません。日本は種子島もあります。『世界で1番地球の息づかいを感じることのできる国』になったときに、国際貢献のみならず、ビジネスのチャンスも次々生まれてくるだろうと。私は思います。こういうフロンティアを開発することによって、みなさんがきょうよりもあしたが良くなってくるだろう。そう思える国をつくるのが私の夢でございます

 と語っています。


[画像]NHKニュースから。

 きょう午前中には種子島からH2Aロケットで日本の人工衛星が打ち上げられます。人工衛星は政府の情報収集のために働くほか、H2Aロケットの信頼性が向上すれば外国の政府や企業からの受注も見込めます。我が国の空の守りの主力となるFX(次期主力戦闘機)も今週中に3つの選択肢から選定されます。運用や整備のために人材の育成のしかたにも影響するでしょう。新しい年に向けた動きが今週はあります。あるいは、国家100年の大計とまでいかなくても、数十年の中長期ビジョンになります。

 きのうは「ボーナスサンデー」ということで、かなり繁華街への人手や、インターネット通販の売り上げも繁盛したようです。東日本大震災ですくんでいた私たちですが、がんばれる人から少しずつ、立ち上がりつつなります。やはり日本は足腰の強い国です。

 フロンティア(Frontier)! 

 新しい日本が始まろうとしています。

政府 フロンティア分科会設置へ NHKニュース

政府は、新たな産業や雇用につながる分野の開拓に向けて、年内にも、国家戦略会議の下に、若手の有識者など民間人を中心にした「フロンティア分科会」を設置することになりました。

野田総理大臣は、新たなエネルギー源として期待される、日本近海の海底の「メタンハイドレート」などの開発が必要だとしており、「海や宇宙のフロンティアを開発し、きょうよりもあしたがよくなると思える国を作ることが私の夢だ」と述べています。これを踏まえて、政府は、新たな産業や雇用につながる分野の開拓に向けて、年内にも、国家戦略会議の下に「フロンティア分科会」を設置することになりました。「分科会」には、テーマごとに、30代から40代の有識者など、若手の民間人を中心に10人程度の作業チームを設けて、中長期的なビジョンまとめることにしており、これまでの調整では、テーマとして、海洋や宇宙の開発、将来の人材育成などが検討されています。野田総理大臣には、かつて大平・元総理大臣が、若手の有識者を中心に研究会を設置し、「環太平洋連帯構想」などを検討したことが念頭にあると見られており、政府は、分科会のテーマの選定やメンバーの人選を急ぐことにしています。

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野田総理、「特別会計の見直し」「出先機関の原則廃止」法案を通常国会に提出へ 記者会見

2011年12月10日 14時27分12秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 野田佳彦首相は2011年12月9日(金)の午後5時から、首相官邸で、大震災イヤー国会(3会期289日間)の閉幕後に記者会見しました。

 この中で野田さんは、「国の特別会計の見直しや、出先機関の原則廃止についても、来年の通常国会での法案提出を目指し、検討を加速をしていくつもりでございます」と述べました。特会見直し法案、出先機関原則廃止法案を提出し、成立をめざします。仮に衆参ねじれ国会でその見通しが立たない時のために、マニフェスト代わりになるしっかりとした法案を作成する構え。民主党政策調査会(前原誠司会長)の下に置かれた行政改革調査会(岡田克也会長)が議論し、第180通常国会前に法案をつくります。次期衆院選で対抗馬(支部長)を自民党が擁立できていない選挙区の官僚出身衆院議員らが主導する既存の「見直しプロジェクトチーム」など党内資源を活用するものと思われます。

 野田さんは2012年3月(予定)に提出する消費増税準備法案を念頭に「最重要課題である社会保障・税一体改革については、年内をめどに6月に取りまとめた成案を具体化し、超党派での議論に付す素案を取りまとめるよう、先日の政府・与党での社会保障改革本部で指示をいたしました」として、今月末(2010年末)を「めど」に党内「素案」をまとめて、3党協議での「成案」に向かうスケジュール感を示しました。

 これに関連して、あす朝放送になるTBS「時事放談」の収録で、民主党最高顧問の渡部恒三さんが、「野田首相は年内の党内決着できますか?」との問いに、「なかなか容易でありませんね。あんまり力まないほうがいいのに、やり方が下手なんだ」と語ったとTBS(JNN)ニュースが伝えています。

 これは小沢一郎グループが政党助成法第5条の「政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年の1月1日現在における次に挙げる事項を、基準日の翌日から起算して15日以内に、総務大臣に届け出なければならない」との条文を悪用し、12月31日までに民主党(1998年4月結党)を離党し、小選挙区選出議員に限らず比例選出議員も含めて、新党大地(2005年8月結党)への移籍や新党を立ち上げたり、あるいはそれをほのめかすことで影響力を持とうとしたりすることを防ぐために、「素案」の決定を1月にずらすよう示唆したものと思われます。

 一方、民主党幹事長代行の樽床伸二さんは金曜日の定例会見で、「素案の段階で民主党の意見が決定するわけではない」と述べました。これは12月末を素案が決定しても、3党協議にボールを投げて、「成案」が返ってきた段階で党議決定になるという予防線を張ったものと思われます。

 小沢一郎グループの動きは、新進党解党(1997年12月31日解党)から14年経って、国民に見抜かれている、という観測もあります。2010年1月1日午後1時からの「小沢一郎邸新年会」はインターネット生中継されました。そして、正念場国会を経て、来年の1月1日は、小沢さんはインターネット生中継に値するような具体的なメッセージを発することができるのか。きのうからめっきり寒くなりました。私は消防団員ではありません。ぜひ消防団員の方は年末年始にかけて、火の用心、見回りをよろしくお願いします。

野田内閣総理大臣記者会見 -首相官邸ホームページ-

【野田総理冒頭発言】

 本日をもって10月20日以来、会期51日間にわたりました臨時国会が閉会をいたしました。今次国会の最大の成果は、東日本大震災からの復興、日本経済の立て直しという、この内閣が必ずやり遂げなければならない課題に大きな一歩を踏み出せたことであります。具体的には、既に先日1日の記者会見でご報告をさせていただいたとおり、12兆円を超える規模の第3次補正予算と、その裏付けとなる復興財源確保法が成立をいたしました。その後、会期末までに、法人税を5年間無税とするなど、規制、税制の特例を措置する復興特区法、省庁の縦割りを排してワンストップで対応する復興庁設置法についても、与野党が実務者レベルで建設的な議論を積み上げ、最終的な成案を得ることができました。これらにより、被災地の復興を進めていく仕組みがきちんと揃うことができました。力強い復興の実現をスピードアップさせていきたいと考えております。また、大幅に拡充した立地補助金など、3次補正予算に盛り込んだ施策を着実に実行し、円高、空洞化対策を加速をさせていきたいと考えております。本会議や予算委員会を始め、幅広く質疑に対応いたしました。私が出席をした国会審議は総計29回に及んだところであります。与野党の真摯な議論を通じて、様々な知恵を出していただき、より良い内容の法案に仕上げていただきました。与野党の国会議員の皆さまに改めて感謝を申し上げたいと思います。

 他方、この国会で残念ながら成案を得られなかった法案も残りました。特に、復興財源を捻出する上で重要となる公務員給与削減法案と郵政改革法案、そして非正規雇用の適正化を図る労働者派遣法改正案を成立させられなかったことは、忸怩たる思いが残ります。輿石幹事長を中心に、自民、公明両党にこれらの法案の成立をお願いをしてまいりましたが、会期を延長しても成立の見込みは立たず、この国会での成立を断念をいたしました。国会閉会後も、各党会派との協議を進めて、合意形成を図っていきたいと考えております。得られた成案を来年の通常国会で審議し、できる限り早期に成立を期したいと考えております。

 また、1票の格差の是正、国会議員の定数削減を含む選挙制度改革といった、大きな政治課題についても成案を得ることができませんでした。これらについても、各党会派のご理解、ご協力を頂いて、早期に具体化を図りたいと考えております。

 この国会の期間中、外交課題にも着実に取り組んでまいりました。具体的には、欧州金融危機を中心に、世界の経済問題について幅広く議論したG20サミット、カンヌで行われました。TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨を表明するとともに、アジア太平洋地域の未来を語り合ったホノルルAPEC首脳会議、ASEAN諸国との絆をさらに強化することを目指したバリ島でのASEAN関連サミットといった国際会議に出席をしてまいりました。それぞれの機会に、日本の考えを積極的に世界に発信するとともに、各国首脳との信頼関係を深めることもできたと思います。外交にも休みはなく、年末に向けて引き続き様々な課題に取り組んでいく決意であります。

 前沖縄防衛局長の発言を巡っては、本日付で防衛大臣から関係者の厳正な処分を実施することの発表を行いました。防衛大臣と政務三役の給与自主返納も決定したところでございます。沖縄の皆さまの心情を深く傷つけたことを考えれば、当然の対応だと考えています。改めて、心から私からもお詫びを申し上げたいと思います。誠心誠意が行き届かなかったことは遺憾であります。沖縄の皆さまからの信頼を取り戻すべく、政府全体でこれまで以上に誠実な努力を重ねていきたいと思います。

 本日の参議院本会議において、一川、山岡両大臣の問責決議が可決をされました。大変残念でありますが、厳粛に受け止めなければなりません。一方で、それぞれの担当分野で懸案事項が山積をしております。両大臣においては、自らを省み、襟を正して職務遂行に全力を挙げてもらいたいと考えています。

 今年も残り一カ月を切りました。年末にかけて、来年度の予算編成、4次補正の編成、原発事故の収束、日本再生の基本戦略の取りまとめなど、取り組むべき政策課題が数多く控えております。一つひとつ、着実に道筋をつけていきたいと思います。また、EU首脳会議が始まり、欧州債務危機の帰趨は予断を許しません。我が国としても、緊張感を持って注視し、必要があればいつでも機動的に対応したいと思います。

 最重要課題である社会保障・税一体改革については、年内をめどに6月に取りまとめた成案を具体化し、超党派での議論に付す素案を取りまとめるよう、先日の政府・与党での社会保障改革本部で指示をいたしました。国民の皆さまが自らの問題として幅広く議論していただくことは何より重要だと思います。

 なぜ今なのかを改めて説明をしたいと思います。世界最速の超高齢化社会は、実はこれからが本番であります。団塊の世代の方々が次々と65歳以上となり、制度を支える側から支えられる側になります。かつて、多くが1人の高齢者を支える胴上げだった人口構成は、今や3人で1人を支える騎馬戦型となり、いずれ1人が1人を支える肩車型へと変わってまいります。社会保障のための財政支出は、今のままでも毎年1兆円規模で自然に拡大をしてまいります。同時に、支える側である子育て世代や、若者を支援する、全世代型の社会保障の構築も切実な課題であります。加えて先ほど申し上げた欧州債務危機は、対岸の火事ではありません。日本は財政規律を守る国か、世界と市場が見ています。将来につけを回すばかりでは、国家の信用は守れません。

 こうした状況に対処していくため、何よりも政府の無駄遣いの徹底的な削減と税外収入の確保に懸命に取り組む決意であります。だからこそ、公務員給与削減法案と郵政改革法案を何としても早期に成立をさせたいと考えております。また、公務員宿舎の25%削減を断行するとともに、行政刷新会議の提言型政策仕分けをしっかりと受けとめ、そもそも論に立ち返って行政の効率化を進めていきたいと考えております。さらに、国の特別会計の見直しや、出先機関の原則廃止についても、来年の通常国会での法案提出を目指し、検討を加速をしていくつもりでございます。

 その上で安定財源を確保しなければ、社会保障の機能強化も、持続可能性の維持も果たせません。もちろん、実際に国民の皆さまにご負担をお願いする際には、経済の状況を慎重に見極める必要があります。そうした点も含め、国民の皆さまにも一緒に考え、幅広くご議論をいただきたいと思います。

 年末に向けて、全国津々浦々で、様々な不安を感じておられる方々に改めて思いを寄せたいと考えております。東日本大震災を始め、今年相次いだ自然災害に対応した生活支援としては、プレハブの仮設住宅に暖房器具を早急にお届けするとともに、台風で損壊した自宅の応急修理を急ぐなど、被災者の方々に寄り添う支援に万全を期したいと思います。中小企業の年末の資金繰り対策としては、金融機関に円滑な資金供給を要請をいたしました。土日を含め、30日まで関係機関の窓口を開き、相談に応じてもらいます。卒業を控えた高校生や大学生の就職支援策としては、ハローワークにおいて、ジョブサポーターの親身な相談など、きめ細かな対応を行ってまいります。このような取組によって、年末に向けて、国民の皆さまの暮らしの安心を守る対策をしっかりと講じていきたいと思っております。冒頭、私からは以上でございます。

 

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは質疑に移ります。指名された方はまず所属とお名前をおっしゃってから質問をお願いします。
 山崎さん、どうぞ。

(記者)
 テレビ朝日の山崎です。今日、参議院で一川防衛大臣と山岡国家公安委員長の問責決議案が可決されました。今総理は、2人に対して職務遂行に全力を尽くしてほしいと言ってますけれども、このまま、この2人を続投させれば、次の通常国会で野党は審議には応じない構えです。そうすると、総理が強調した公務員の法案や郵政の法案なんて成立するわけないんですけれども、総理は、この通常国会の前までにこの2人を更迭、交代、内閣改造などの形で代えるのか、それともこの2人を残したまま通常国会に突っ込んでいくのか、明確にお願いします。

(野田総理)
 先ほどの冒頭の発言でも触れさせていただきましたけれども、今日参議院で2人の大臣の問責決議案が可決をされました。大変残念ではありますけれども、これは参議院のご意思でございますので、厳粛に受け止めたいと思います。その上で、なお一層、これまで以上に、両大臣については襟を正して職務を遂行してほしい。これが今の私の思いでございます。


(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 伊藤さん、どうぞ。


(記者)
 ジャパンタイムズの伊藤です。冒頭でもありましたけれども、総理はかねてからの国家公務員給与削減法案について成立に向けての強い意欲を示されていたと思うんですけれども、残念ながら今国会では成立を見送るという形になりました。しかし、おっしゃったとおり復興財源への影響が出るという可能性もありまして、野党側の主張を丸のみしてでも成立する、というお考えはあるのでしょうか。また、国会議員の定数削減や公務員の給与カットなど身を削る法案が成立しない中、国民に負担を強いる消費税増税について、国民の理解が得られるとお考えでしょうか。

(野田総理)
 公務員の給与削減法案についてはご承知のとおり、臨時、異例の措置でありますけれども、復興財源、いわゆる公的セクターでしっかりこの財源を確保していこう、被災地を支えていこう、そういう趣旨の下にマイナス7.8%の給与削減を内容とする法案を取りまとめて、各党のご理解を得られるように努力をしてまいりましたけれども、この会期末にこの段階においてご理解を得ることができませんでした。自民党と公明党の方から人勧を実施した上で、その上でこの給与削減をしようというご提案も出てきておりますので、そういう各党のご意見をこれからさらに政党間協議を通じて合意形成ができるかどうか。できれば年内に合意形成をしたいと思っておりますし、先ほど申し上げたとおり、それを踏まえて、通常国会なるべく早い時期に合意形成したものを法案として成立をさせていきたいと。そういうことで今思っておりますし、郵政の改革も、これは株式を売って、その売却収入を復興財源に充てるということもできますので、郵政改革法案についても、これも政党間の協議を年内になんとか合意をした上で、その上で来年通常国会のなるべく早い時期に成立を期していく、ということをやっていきたいと思います。
 この二つの法案だけではなくてですね、やはり税外収入、そして歳出削減、不断の努力でやっていかなければいけないと思っています。冒頭のところでも触れましたけれども、特別会計を整理するものを、法律として提出することが元々決めております。これを深堀りをしていきたいというふうに思っています。それから先ほど言った公務員宿舎の削減であるとか、あるいは議員定数の問題もあります。これらのできることは必死に取り組んで、社会保障と税の一体改革と同時にしっかりと実現をする、ということを念頭に頑張っていきたいというふうに思っております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 犬童さん、どうぞ。


(記者)
 日本経済新聞の犬童です。消費税に関してお伺いします。総理は今年1月、財務大臣だったときに財務省の年頭訓辞で、税制の抜本改革について政治生命、命をかけて実現するとおっしゃられています。今同じことをおっしゃることはできるでしょうか。来年の通常国会に提出する消費増税の準備法案に、職を賭して成立を期するという覚悟はありますか。お伺いします。

(野田総理)
 これは私はどの内閣においても、もはや先送りのできない待ったなしの状況だと思っております。理由、問題意識は先ほどお話をさせていただきました。ということは、これは当初の既定方針どおり6月に成案をまとめましたけれども、年内をめどに、政府与党としての考え方をまとめる素案を作る。素案を作ったならば、それに基づいて与野党協議をお願いをして、そしてできるならば党派を超えて合意形成をして、それを基に大綱にして、その大綱を法案化をすることによって年度内にその法案を提出をする、という段取りをしっかりたどっていきたいというふうに思いますし、それを実現をするための思いは不退転の決意でございます。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 それでは竹中さん、どうぞ。


(記者)
 ロイター通信の竹中です。東京電力に関してお伺いします。公的資金の投入、実質国有化という報道がございます。こうした手続きをスタートする初めの一歩になる、それ自体が、要請自体が東京電力から来ていないということでございますが、今後の除染とか廃炉とか賠償を考えると、東京電力が財務的に非常に厳しい状態になるのは明らかだと思います。こういった状況の中で、野田総理ご自身の東京電力に対する公的資金の投入についてのお考えをお伺いできればと思いますが、もし投入しないとすれば、どうして、どういうふうにしてタイムリーな除染とか安全な廃炉とか十分な賠償、そういったものを賄っていけるのか、といったところをもしよろしければお伺いできればと思います。

(野田総理)
 来年の春には、原子力損害賠償支援機構と東京電力が共同で総合特別事業計画をつくることになっています。というまずプロセスがあるということと、今ご指摘もありましたけれどもこれについては、原子力事業者から申請を受けて資金援助を行う、というような法律の枠組みになっています。という前提で申し上げますと、今政府として、今一部報道のお話ございましたけれども、報道に出ているようなことを一つの定まった方向と決め打ちしているわけではございません。政府としてはあらゆる可能性をこれから検討していく、という現段階であるということでございますので、私からまたそれ以上に踏み込んで一つの方向性を今言及する段階ではございません。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 それでは和田さん、どうぞ。


(記者)
 フジテレビ和田でございます。社会保障と税の一体改革について、ちょっと違うことから質問させていただきたいと思うんですけれども、これはなかなか難しいと皆思っていると思うんですが、自民党は解散・総選挙が先で与野党協議どころじゃないと言っていますし、足元の民主党内からも反対署名とか新党の旗上げですとか、与野党とも政局的に絡めて消費税引き上げ反対する動きがあるわけです。こういうまず重要政策課題に政局を絡めることについて、総理ご自身どんな感想をお持ちか、ということと、それからこうした動きに抗して、なかなか一筋縄ではいかないと思うんですが、段取りは先ほど伺いましたが、どう上手く民主党内を説得し、野党側を説得して素案、法案要項、法案をまとめていかれるんでしょうか。

(野田総理)
 いろいろご意見もあるでしょう。だけどその、政局に絡めての話は本当にしているのかどうかわかりません、これについては。私はやはり粛々と、6月に政府与党で成案をまとめたわけです。成案をまとめたものを8月に閣議決定をしてスケジュールどおりにやっていきましょう、ということを決めているわけです。そして、私も代表選で明確にそのことを主張させていただきました。突然別にカンヌで言ったわけではなくて、国会の審議でも十分に二十数回以上お話をしていることです。そういう経緯からすると、これから年内、もう既にキックオフはいたしましたけれども、まずは社会保障のあるべき姿、全体像を作った上でそれを支える安定した財源をどうするか、と議論をして具体化をしていくということであって、その手順を着実に踏んでいくということです。その都度いろいろなこと、どういうことが起こるかこれは想定できませんけれども、私はこの筋道をしっかりとたどっていくということに尽きます。その素案をまとめた暁には、野党の皆さまにご理解をいただくように何度でもお願いをしていきたいというふうに考えております。

(記者)
 党内も野党もそういう状況に今あるとお考えでしょうか。すんなり手順どおり進むと・・

(野田総理)
 これからですから。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 それでは上杉さん、どうぞ。

(記者)
 フリーランスの上杉隆です。3月11日の震災から9カ月経ちました。当時、総理も閣内にいた前政権の中で、工程表の件に関してなんですが、ステップ2完了を9カ月で終わり、そして安全に避難民が戻れるという最初の発表がありました。また当時、市場に出ている食品は全て安全ですという枝野前官房長官の発言、それから格納容器は健全に守られている、レベル7に到達するような事象ではない。このような発言がありましたけれども、この当時の政府見解はどうも今現在違っているんではないかと思うんですが、そのことに関して変更、つまり訂正はあるのか。あるいはですね、なければそのままで結構なんですが、例えば粉ミルクからセシウムが検出されたとか、あるいは先ほど総理ご自身の冒頭の発言で事故の収拾を来年度にするという発言があったので、ちょっと前者の発言と矛盾するんじゃないかということがあるんで、その辺り、かつての政府見解から変更があるか、訂正があるのか、なければお答えいただかなくて結構です。

(野田総理)
 確か今年の4月にですね、事故収束に向けての工程表をつくりました。そしていわゆる第2ステップ、冷温停止状態をつくるには来年の1月までという工程表だったというふうに思います。その工程表をなるべく前倒しをしようということで取り組んできて、なんとか年内にそれを発表できるかどうか、という今最終的な調整をしています。冷温停止状態にするということは、これは圧力容器の底部のところの温度を本当に冷温になっているかどうか、現時点ではこれは冷温になっているというふうに思います。加えて放射性物質の管理が安定的かどうか、こういう観点から冷温停止状態であるかどうか等々の総合の判断をすることになっていまして、それはその工程表に基づいて作業を進めてきてそしてそろそろ結論を出せるかどうか、という状況だというふうに思います。なお、例えばコメの問題。一部地域から出荷停止という状況になりました。それから今粉ミルクの問題等々出ております。食べ物についてはこれまで以上に細心の注意を払ってですね、検査をしていく。そして国民の皆さまに安心安全をきちっとご説明できるような環境整備をしなければいけないということは、依然としてこれはやはり宿題として残っているというふうに思っています。

(記者)
 安心・安全という部分では、最初の工程表の手順では、除染が終わった地域に住民をお戻しするというふうな話だったんですよ。除染が終わった地域から。ところが現状では、お戻りになってから除染をすると変わったんですが、180度話が違うんですが、安心・安全の精神から逸脱するんじゃないでしょうか。

(野田総理)
 いわゆる冷温停止状態を確立をすると。ステップ2が終わった段階で警戒区域の問題とかのゾーニングをどうするか、という話になってまいります。その警戒区域等の見直しをする際に一日も早く故郷に帰還できるために、どの地域からどういう形で除染をするかという、そういう作業になっていくというふうに承知をしています。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 それでは加納さん、どうぞ。

(記者)
 産経新聞の加納です。普天間移設問題についてお伺いします。今回、一川防衛大臣の問責決議案が可決したことで、普天間問題を進展させる大臣として、国会の意思としては不適格であるという意思が示されたわけですけれども、このまま普天間の環境影響評価書提出を一川さんにやらせて、来年の埋め立て申請、そういったところまで彼に担当させるのかどうか、それが一つです。それから、準備書提出をめぐりましては年内提出に向けて準備する、それで実際提出するっていうことはまだ明確にされていないんですけれども、そうした方針を総理が年内に沖縄を訪問して説明し、事態を打開する決意はあるのでしょうか。

(野田総理)
 一川大臣に関する問責についての認識は、先ほどの山岡大臣のものと含めて私なりの今の姿勢をお伝えをしたつもりですが、その中で果たさなければならない職責の中に普天間の問題のみならず、他にもいろいろ防衛に関連する案件はございますが、そういう職責を果たしていただきたいと思っています。その中で、環境影響評価書については年内に提出をする準備をするということをずっと申し上げてまいりました。年内に提出をする準備も、これは一川さんの職責の一つだというふうに思っています。私の訪問時期については、これは適切な時期に訪沖したいというふうに考えております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 それでは山下さん、どうぞ。

(記者)
 北海道新聞の山下です。問責決議について改めて伺いたいんですけれども、問責決議は法的拘束力はありませんけれども、過去、可決された場合はいずれも問責の対象者が交代につながっています。その辺についてですね、そういう現状について総理はどのように思われるか、法的拘束力と問責決議との関係について伺いたいということと、もう1点、ねじれ国会になってから問責が会期末で可決されるのが恒例になっているようなこともあって、政局という点の使われ方をしているんじゃないかという見方もありますけれども、その点について一般論で結構ですので、考え方をお聞きしたいと思います。

(野田総理)
 さっき申し上げたとおりですね、参議院という一つの院においてこういう意思が示された、決議が可決されたということは残念ではありますけれども、厳粛に受け止めなければなりません。最近の傾向としてそれが政局的なのかどうなのかということも、一般論では語るのもどうもいかがなものかと。それが一つの院の意思ならば厳粛に受け止めるということが基本だとは思います。思いますが、ご指摘のあったとおり法的拘束力があるわけではございません。むしろ大臣というのは、国会の中で説明をしなければならない義務というものもあります。それをどういうふうに考えていくのかということだと思います。

(内閣広報官)
 それでは時間が迫っておりますので、最後の質問にさせていただきます。 それでは佐々木さんどうぞ。

(記者)
 時事通信の佐々木です。先ほど、総理は国家公務員給与削減法案と郵政改革法案について、年内に与野党合意できればなるべく早い時期に成立させたいとおっしゃった。国会は通常1月下旬に召集されますけれども、できるだけこれを前倒し召集して、4次補正とともに冒頭処理したいという、そういうお気持ちなんでしょうか。国会召集は内閣はお願いする立場ですけれども、その辺のお考えをお聞かせ下さい。

(野田総理)
 まだそこまで国会の召集時期まで詰めた考えを持っているわけではございません。これからのいろいろな年内の取り組みなども含めて、特に予算編成等々がございますから、そういう作業を終えた後に判断をしたいというふうに思っていますが、思いとしてはさっき申し上げたとおりであって、公務員の給与削減法案も郵政の改革法案も、なるべく早い段階でいろいろご意見というのはそれぞれわかってまいりましたから、それをいかに集約して合意形成できるかということを、年内にできれば合意形成できればと。それを踏まえて合意形成できるならば、後は法案の提出時期と審議の問題でございますので、なるべく早い時期にという思いを持っているということであります。

(内閣広報官)
 それでは以上をもちまして、総理記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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第179臨時会が閉幕 

2011年12月09日 15時31分51秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]国会閉会にあたりあいさつする、平田健二参院議長、2011年12月9日の本会議、参議院インターネット審議中継から。

 第179臨時国会が閉会しました。当初会期通り平成23年(2011年)10月20日(木)から12月9日(金)までの51日間でした。

 ことしの国会は第177通常会、第178臨時会とも当初会期末当日に延長を決議するという異例の事態が続きました。東日本大震災・東京電力原子力災害および台風12号という数百年に一度の大災害の年でした。そして今第179臨時国会中には、西岡武夫・参議院議長が在職中に亡くなりました。西岡さんは召集日・開会式から欠席していました。「国民の生命と財産を守る」という政治(政府、国会)がもろくなっている世相を象徴させるような出来事がありました。後任に平田健二さんが選ばれました。

 その中で、「復興債」「復興特区」「復興庁」の東日本大震災復興3点セットが成立。復興債は25年償還となりましたが、未曾有の災害からすれば妥当な年数だと感じます。総額12・5兆円の平成23年度第3次補正予算が成立しました。原子力災害のため、審議が難航していた原子力協定4条約(韓国、ベトナム、ロシア、ヨルダン)が承認され、将来への種をまくこともできました。

 第177通常国会での自民党の議員立法3点セットのうち、第178臨時国会で成立した「塩崎法(原子力発電所事故の調査委員会設置法)」にもとづく両院合同調査会が衆参15人ずつで発足しました。これは衆院と参院の委員室を相互に使うスタイル、QT党首討論(国家基本政策委員会)と同じスタイルで開かれました。ただ、会長は衆院議院運営委員長(小平忠正さん)に固定されました。両院による審議の新しいスタイルが生まれました。もう一つ「片山法(二重ローン軽減法)」も衆院で修正のうえ、参院に回付し成立しました。橋本聖子さんらが提出していた「私学の建物の復旧助成特措法案」は成立しませんでした。

 直近の民意である「衆参ねじれ」(2010年7月11日の第22回参院選)。有権者の一部には「お灸が過ぎた」と思っている人もいるでしょうが、「ねじれの成果」がありました。ねじれもたまには良いものです。政府が平成23年4月1日施行を想定して提出した「国税改正法案」のうち、第177通常国会、そして第178臨時国会などで分割して成立させてきた部分を除き、継続審査となってきたもののうち、相続税増税および法人税減税がついに成立しませんでした。すでに12月ですので、廃案になると考えられます。政府の税制改正大綱に基づき、提出された増税法案がハウス(国会)での議論の中で廃案になるのは珍しいのではないでしょうか。これは、民自公3党の税調会長による実務者協議のなかで、野田毅・自民党税調会長が党の方針を踏まえて認めなかったようです。ですから、これは衆参ねじれの成果、「熟議」と言えるのではないでしょうか。政府・民主党は平成24年度税制改正大綱を今夜にも決定する見通しです。ところが、これまでの報道で、「積み残しの相続税増税を平成24年度税制改正大綱に盛り込む見通し」という報道が散見されました。これが法案として国会で審議される2012年3月ごろ、衆参の議席構成はことしとまったく変わりません。その状態で、同じものを盛り込むのは不自然というよりも、政府が国会に喧嘩を売るようなものです。メディアが政治部でも経済部でも、すべて「国権の最高機関は国会である」という当たり前の前提を、再確認すべきでしょう。

 自民党が衆参とも委員長を務める「決算委員会」は、参議で平成21年度決算を不認定としました。このなかで、鳩山内閣が政権交代直後に、閣議決定で、予算の執行を一部停止したことについて、財政民主主義に反するという指摘が自民党・公明党からありました。たしかに予備費使用の国会での事後承諾は数百億円単位なのですから、金額から言っても、何らかの国会への報告はあって法律の定めはなくても、あってよかったのかなと考えます。私自身も当時、「予算の執行停止は大臣命令でできる」ということを与党初体験の総理側近にサジェスチョンした経緯もあり、改めて議事録を読み反省します。

 日本郵政改革関連法案、国家公務員給与引き下げ関連法案は、第180通常国会の冒頭で審議する運びとなっています。ただ、法案の修正の余地はかなり大きいと思います。

 ハワイでのAPECにあわせて、野田佳彦首相のTPP(環太平洋パートナーシップ条約)の交渉への事前協議について、国論を二分する議論が巻き起こりました。これは当然ですが、しっかりと足腰の強い議論となり、80年前のブロック経済化の流れよりもはるかに進歩した輿論をみせることができました。2020年の第32回オリンピック・第16回パラリンピックの東京への招致決議が衆参とも全会一致でなされました。

 強行採決は一度もなかったのですが、会期末当日の衆院外務委員会で、参院先議の「日本とペルーの経済連携協定(EPA)」と「日本とメキシコの経済連携協定(EPA)の改定議定書」の条約2件の審議に自民党ら欠席。質問時間を「空回し」したうえで、採決され、承認されました。今国会での参院先議の議案成立もこの2件だけでした。

 参院では会期末に、自民党と公明党が一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長(兼)消費者担当相の問責決議案を提出しました。1998年夏の参院選で第2次民主党が結党直後に大躍進(橋本首相が退陣)した後の秋の臨時国会で、民主党の北澤俊美・参院国対委員長らの指揮で、額賀福志郎・防衛庁長官を問責して以来、6人目・7人目となりました。また参院議員である大臣への問責決議案は過去何度も提出されていますが、可決されたのは一川さんが初めて。仲間意識の強い参議院では特筆すべき歴史的出来事となりました。年末に2大臣が問責されるのも2年連続です。あまり「風物詩」にしない工夫が政府・民主党幹部に求められます。13年前の額賀大臣は、就任前に発生した防衛庁内の不祥事の対処を問われた問責でしたので、一川防衛相をかばいきるには、理論武装面ではかなり厳しいと言わざるを得ません。私見ですが、どうも一川さんは辞めたいような表情も見て取れる感じがしますが、どうなんでしょうか。

 提出されなかった法案としては、「衆議院区割り審設置法改正案」で、最高裁が明確に違憲とした「1人1枠方式」と「2010国勢調査に基づく、2012年2月25日までの新区割り勧告期限」の2つの条文を手直しする法案が出せませんでした。通常国会冒頭でも間に合いますが、仮に2012年3月15日までの「第1期間」に小選挙区選出議員が欠けたら、4月22日(日)に補欠選挙があります。仮に2つ以上の選挙区での統一補欠選挙となり、現行の区割りで選挙をした場合、ついに裁判所は選挙の無効・やり直しを命じる可能性があるのでは。今国会では、民主党幹事長代行の樽床伸二さんが各党協議会座長として、自民党実務者の細田博之さんの間で、定数是正(区割り審設置法の改正)では合意済みでした。ですから改正法案は衆参ねじれでも可決・成立したはずです。とはいえ、7つの中小政党にとっては、定数是正の次にある「比例定数削減」、そしてそのまた次にある「選挙制度の抜本改革」は組織としての存亡の危機につながります。いかにも「政治」という感じがするマターですが、もう少し歩み寄れるように第180通常国会に先送りとなりました。樽床さんの胆力が試されます。ただ、私は現段階では、樽床さんの政治家としての資質に対して懐疑的にならざるをえない心境です。

 12月24日ごろに、平成24年度予算(案)が閣議決定される見通しです。さらに税と社会保障の一体改革大綱の素案を年内につくり、それをもとに与野党協議で成案を得るスケジュールになっています。第4次補正予算案、郵政改革法案、国家公務員給与引き下げ法案は通常国会冒頭に審議入りすることになりそうです。それから予算。そして、平成24年度の特例公債法案、消費税増税法案が議題となる、3月・4月以降は、解散含みの展開になるのは決定的です。私たち有権者もそろそろ、次の総選挙で、小選挙区はどの政治家、比例代表はどの党に入れれば、参院のねじれは続くとはいえ、国益・国民益、そして家族と自分の利益になる政府をつくれるのか。情報収集とその整理、分析、話し合いを始める時期に入ってきました。

 なお、決算審査での松野信夫さんの質問などいくつか面白いなあ、と思いながら書くタイミングを逸していた問答がありますので、年末までにまた書いていく予定です。

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「まあそうあわてなさんな」

2011年12月08日 17時25分49秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 自民党元衆院議員の小里貞利さん、読売新聞九州版より拝借。

 衆参ねじれと震災で、衆参・与野党の枠を越えて、力のある国会議員による閣法修正成立、議員立法成立をなしとげた2011年(平成23年)の国会もいよいよ、残り1日となりました。

 ところが、力のある民主党1期生が、総理の野田佳彦さんを官邸に押しかけて、「郵政改革法案の成立を」「国家公務員給与引き下げ法案の成立を」などと直談判。さらには「このままでは不安だ」「来年の通常国会も、当初予算審議から始まるから法案審議はずっと後になってしまう」とツイッターやブログで発する事態になっています。

 たしかに、対抗馬が都市部でありながら踏みとどまった自民党若手有力株だったり、二世議員ながら政治改革で一貫し、さきがけ解党に伴い自民党に戻った筋を通した閣僚経験者の元職だったりしたら、不安になるのも当然。しっかりやっているのに、国会や党幹部がしっかりしてほしいという隔靴掻痒。

 でも、法案を良く読むと、これはおかしい。ムリヤリ会期を延長して通すような法案ではありません。例えば、国家公務員給与引き下げ関連法案の中には、人事院を廃止し、内閣府公務員庁をつくり、出先機関を新設するなどという内容が含まれています。だから、今国会で政府特別補佐人の江利川毅・人事院総裁(昭和45年厚生省)が「人勧不実施は憲法違反だ」なとど激しく現政府を批判する答弁をしていたのだと納得しました。江利川さんは内務官僚エリートコースを来た人らしい、とても律儀なジェントルマンだと、私は拝察していました。ただ、自らが内閣総務官として閣議の段取りをしていた時代に決まった橋本行革のあおりもあり、厚労省ではなく内閣府事務次官になったころには、記者会見などで「ちょっと江利川さん人相悪くなったよね」と記者仲間と賛同したものです。ところが、なんと本籍地の厚労省の事務次官に横滑りというおそらく太政官布告以来初めての運に恵まれると、またやさしい江利川さんに戻りました。認証官である人事院総裁となった際には、あいさつしたいと国会内幹事長室に当時の民主党幹事長、岡田克也さんを訪問。あいさつもそこそこに、封筒から資料を出して総裁自らご説明を始めようとすると、「ちょっと私、(外相を辞めて)幹事長になってから、細かい政策を受け付けないので、お引き取り願った」と岡田さんは記者会見で明かしています。これは以下にも江利川さんらしい。「直勝内閣」と呼ばれていますが、財務官僚だけでなく、内務官僚がいなければ、政府は回りません。この時期から7・8%引き下げたところで、削減できる歳出はさほど大きくない。むしろ、国家公務員の士気が下がるほうが問題です。例えば、内閣府の旧経済企画庁部局や、経産省の官僚の士気が下がらなければ、逆に経世済民、経済感覚は大丈夫なのかと逆に心配になります。超デフレ政策を立案しかねません。ですから、人事院を残して、今年度人勧を実施した上で、国家公務員給与を引き下げる法案を通常国会に出し直す。そして、マニフェストに入れて、民意という力で特別国会で審議するのが得策でしょう。郵政株はとても素晴らしい埋蔵金(税外収入)ですが、すぐにオカネになるものでもないし、郵政民営化一時凍結法(自見法)を改正すれば、株式は売れます。国民新党の参議院での3議席は重要です。だからこそ、誠実な話し合いのもと、来年にかけてじっくりやるべきでしょう。

 今年の国会では、与野党から、すでに亡くなったり、引退した政治家の名前が何度も上がりました。橋本龍太郎さん。これは「橋本行革」と「普天間返還合意」で。山中貞則さん。これは「消費税新設の税制改正」とやはり「沖縄問題」で。そして、小里貞利さん。こちらは「阪神・淡路大震災の復旧・復興担当大臣」として。小里さんはご健在ですから、自民党などは勉強会で小里さんから生の声を聞くことができました。

 【まあ、そうあわてなさんな】

 小里さんは橋本行革ができたときの担当大臣・総務庁長官でもありました。これは忘れている人も多いと思います。当初は副総理格の大物として外相経験もあった武藤嘉文さんが総務庁長官を務めました。ただ、内閣改造の際に、橋本首相は「先日、自民党の行政改革本部に出席したときに、政府と党で認識のズレを感じた」という趣旨のことを言って、佐藤孝行・党行革本部長と武藤さんの入れ替えます。私は橋本首相のホントウの理由は違うと思います。おそらく佐藤さんの派閥の中曽根康弘会長が押し込んだのではないかと今でも推測しています。そのロッキード事件の黒色高官(よく「灰色高官」と言われますが、佐藤さんは有罪なので「黒色高官」というべきです)だった佐藤大臣は1週間で辞任しました。そして、そのあと、阪神・淡路大震災からわずか2年半で、小里さんがまたしてもリリーフとして大臣になりました。

 この行革会議が最終段階のとき、総理番記者が一問一答で合計10回ほど総理に質問をしました。橋本さんも答えてくれました。ちなみにこの記者はとても優秀かつ尊敬されていて、お父さんも別の会社で後に社長を務めた人です。この記者は今も現役の政治記者です。執拗に攻める。橋本行革の最終段階ですが、最後の最後の抵抗とのせめぎ合い。総理と記者もせめぎ合い。このとき、総理の真後ろに居た小里長官は、会議室の扉の近くで、とつぜん後ろからこの記者の肩を叩きました。そして、ひと言。

 「まあ、そうあわてなさんな」

 極度の緊張感の深夜の首相官邸。総理と小里大臣が会議室の中に消えた後、廊下にいる番記者は爆笑。電話連絡先のキャップもみんな緊張がほぐれた爆笑だったようです。橋本首相と番記者とのぶら下がり一問一答の攻防は今でも語りぐさですが、後にも先にも、「首相」「記者」の後に、「小里総務庁長官」と第3者が登場したのは、このときのやりとりだけのようです。

 まあ、そうあわてなさんな。小里さんの衆院議員初当選は49歳です。それでも震災対策担当大臣、労働大臣、北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官、総務庁長官のほか、自民党総務会長を務めました。そして、ことしの震災国会で何度も名前が出て、議事録に残り、引退後も後輩たちに呼ばれる。そういった小里貞利さんが、震災という修羅場で官僚の要請を一手に引き受けられた。そのすべてが詰まっているのが、まあ、そうあわてなさんな。ではないか。組織にはこういう人が必要だ。だから閣議決定から14年経った今も、わずかな手直し(公取など)だけで、橋本行革が残り、国会でその名前があがるのでしょう。

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早稲田大学鵬志会主催イベントに野田佳彦首相が登場「世界でイチバン地球の息づかいを感じられる国へ」

2011年12月07日 23時32分09秒 | その他

[写真]早稲田大学鵬志会主催の「早稲田政治祭」の第7部特別講演に登場した野田佳彦首相、2011年12月7日午後8時過ぎ、東京・新宿区の早大21号館「大隈記念講堂」、筆者撮影。

 「世界で1番地球の息づかいを感じることのできる国になったときに、国際貢献のみならず、ビジネスのチャンスも次々生まれてくるだろうと。私は思います。こういうフロンティアを開発することによって、みなさんがきょうよりもあしたが良くなってくるだろう。そう思える国をつくるのが私の夢でございます。福島に生まれて良かった、宮城に生まれて良かった、仙台に生まれて良かった、岩手に生まれて良かった、このニッポンに生まれて良かった。そういうチャンスのある国だ。そういう国をつくっていきたいと思います。(野田佳彦、Yoshihiko Noda, 1957-)

 歴史に残るであろう名演説でした。

 大隈講堂に野田佳彦さんがかえってきました。早稲田大学鵬志会(会長・重村智計国際教養学部教授、本山景太郎幹事長=法学部3年=)主催の「早稲田政治祭」の特別講演です。母校ということで首相はTPP(環太平洋パートナーシップ条約)で「アジア太平洋地域で、(日本の)国を開くだけでなく、相手の国々も開かせていく」と踏み込んだ本音の演説をしました。

 首相の野田佳彦さんは、「みなさんこんばんは。昭和55年、1980年、早稲田大学政経学部政治学科をタイヘン優秀な成績で・・・」と切り出すと、早くも“ドジョウ節”の気配を感じた聴衆(学生、一般客)から笑いが起きました。総理は面食らいながらも、「卒業した・・・友達がいます、野田佳彦と申します」と続けると前を上回る大爆笑。実はこの早稲田政治祭の第6部では、みんなの党の江口克彦さんらが「松下政経塾でドジョウ(野田首相)の面接官だったが7番バッターでとったのに、ところが4番バッターになっちゃった」と笑わせ、場が温まっていた巡り合わせもありました。

 「早稲田大学出身の内閣総理大臣、先輩たちがいらっしゃいますが、だいたい竹下先生も、海部先生も、小渕先生も、早稲田大学雄弁会出身の方です。ワタクシ、まったく無縁でした。早稲田のころは無口でシャイで、当時の同級生はまさか私が政治家になるとは思っていなかっただろうと思います」。そのうえで、学生時代の唯一の現場での政治活動は、河野洋平さんらの新党「新自由クラブ」の選挙を手伝ったのが唯一の経験だとしました。

 「以来三十数年、一貫して変わらないのはつねに非自民であるということであります。さきほど、田原総一朗さんが司会をされていましたが、初めてサンデープロジェクトに出たとき、田原さんに言われました。『君は自民党みたいな顔しているね』。どんな顔か分かりません。分かりませんけれど、私はどちらかというと、父親も自衛官ですし、保守主義の立場でしたけれども、自民党に非ずの政党をつくって政権交代をしたい。それが私の一貫した思いでございました」と語りました。

 「第95代内閣総理大臣を拝命しました。身の引き締まる思いです。そういう風に見えませんか?」また笑いが起きました。そして「私がやれなければならないのは、東日本大震災の復旧・復興と原子力発電所事故の収束です」「福島の再生なくして日本の再生なし。早く冷温停止状態をつくることであります。圧力容器の底の温度を冷温化、安定化させる。その管理が安定的になること、これを冷温停止状態といいます、これを年内に実現させていただきたいと思います」。その言葉をかみしめるように、聴衆がしっかりと野田総理の言葉を聞き取ろうとしていくのを肌で感じました。

 ◇

 野田さんは早稲田大学卒業生としては7人目の首相。そのうち、石橋湛山首相から5人連続で、早大雄弁会出身者でした。が、福田康夫首相、野田首相とここ2代連続で「非雄弁会系」の首相が続いています。現役首相の早大訪問は、福田康夫さんが2007年10月22日、大学主催の創立125周年記念式典への出席。2008年5月8日夕に中国国家主席の胡錦涛さんが日本の福原愛選手と中国の王楠選手と卓球をした際にかけつけて以来。学生サークル主催イベントへの参加は極めて異例。1996年に新進党公認で野田さんが落選した後から、鵬志会会員で野田さんとの交流があったようです。私は1997年3月に早大および鵬志会を卒業したので、そのことは知りませんでした。

 早大3大政治サークルと言われる雄弁会、鵬志会、政友会は会員数などで鼎立状態が続いていました。弁論術や弁論大会参加・主催が中心の「雄弁会」、選挙や各種既成団体の講演会・セミナーのお手伝いなど現地現場主義の「鵬志会」、テーマ別の学習会を持つ「政友会」。それぞれの個性があります。本山幹事長ら平成23年執行部は、任期満了の12月に来年の鵬志会25周年に向けた「弾み」をつけるというスケジュール感を設定し、共有。恒例行事の「講演会」を拡大し、午後12時半から午後8時半まで全7部制という空前絶後の「早稲田政治祭」を企画し、来年の大躍進を図る構え。



 第1部は「日本の閉塞感と政治」と題して、前横浜市長の中田宏さんの独演会。

 第2部は「外交」をテーマに、「天下動乱の年、2012年を読む~東アジアの安全保障とTPP」と題して、中国大使館の湯本淵さん、アメリカ大使館のロバート・ルーク公使が登場。コーディネーターは元NHKワシントン支局長の手嶋龍一さん。

 第3部からはニコニコ動画の生放送が入りました。「官僚制」をテーマに、元経産省職員の古賀茂明さんと東京新聞の長谷川幸洋さんが「日本再生~今こそ求められる真の改革」と題して対談しました。TPP、霞が関、マスコミなどの話題の後、古賀さんは「学生のみなさん、危機感を持って下さい。みなさんがこれからの人生で、守りに入るのは危険なギャンブルです」。長谷川さんは「みなさんのライバルは隣の席にいないんですよ。東南アジア、中国、インドにいるんです」。そして古賀さんが「そうです。そうしてみなさん稼いで、私たち(の世代)を養って下さい」と締めくくりと凛とした心地よい笑いがわきました。

 第4部は「業界研究『女性政治家』~女性が政治家として生きるとは~」をテーマに、民主党衆院議員の田中美絵子さん、自民党参院議員の片山さつきさん、と早大講師の村田信之さん(蓮舫・行政刷新担当大臣の夫)が出演。参院決算委員会の日程を終え、遅れて登場した片山さんは開口一番、「筑波大学附属高校時代にマーガレット・サッチャー英国保守党党首(影の首相)が教育の視察に訪れたんです。あんなに良いクルマをつくる国だからって。今の日本だったらどうですか?反対(に視察に行く)でしょう?」とし、その後サッチャー党首が首相になったので、公務員を志したと語りました。


 田中さんは「片山さんがおいでになったんで、ここでお礼をさせていただきます。私が写真週刊誌で叩かれていたときに、片山さんは『小沢ガールズで生き残れるのは、田中美絵子(ら3人)だけだ』って言ってくださって。ホントウに勇気づけられました。ありがとうございます!!」と意外な展開。片山さんが田中さんに「私たち女性議員が(男性議員が政治資金でキャバクラに行くように)ホストクラブに行って、政治資金で領収書を切れますか?」。田中さんは「女性の議員は自分で収支報告書を見る人が多いと思います。私も毎月、事務所の“仕分け”をしていて、きょうもコーヒー代が高すぎると指摘してきたところ」と応じました。そのうえで、片山さんは「女性議員は目立つ」のが得だとし、当選すればやりやすい面があると指摘。選挙に出やすい環境を整えるべきだという結論になると、村田さんも「その通りです」。最後に田中さんが「政治家になった以上、頂点を目指したい」と“総理をねらう女”を宣言すると、私もかなり面食らうほどの拍手喝采を浴びました。

 第5部は「政治とボランティア、NGOの可能性」で、元外務副大臣の武正公一さんと難民を助ける会特別顧問の吹浦忠正さん。きょうのゲストの中で、もっと鵬志会と長い縁のお二人。吹浦さんは「NGOと官の連携はもっと必要。政権交代して、民主党では、例えば国際平和構築なら誰に話したらいいか。分からないのが本音。自民党は族議員でダメになったが、必ずテーマ毎に話せる人がいた」と指摘。武正さんは「海外で日本語を学ぶ人は370万人。私が外務副大臣時代に取り組んだ一つのテーマ」と話しました。



 吹浦さんは繰り返し繰り返し、聴衆に対して、語学の鍛錬を願いました。

 第6部は「政治早慶戦!!~学生が政治に対して思うこと~」。慶応側はOBとしてみんなの党の江口克彦さん、現役学生代表の神村健太郎さん。司会の田原総一朗さんをはさんで、早大OB代表が自民党の丸山和也さん、現役学生代表は岡野宗俊さん。江口さんは「慶応はひと言で言うと『福澤諭吉』先生、この4文字ですべてを語れる。これが早稲田にはあるか?」、神村さんは「(同窓会組織である)三田会などつながりが強い」と指摘すると、丸山さんは「田舎者でも偉そうに過ごせる大学が早稲田」岡野さんが「総理大臣からホームレスまで居るのが早稲田」と応じて湧かせました。そのうえで、丸山さんが政界入り後、「政治家には思想、哲学がない。天下国家とか、国家国民というと笑われることもある。だからもう一度大学に行くなら、思想家が創立した慶応に行きたい」と語ると、江口さんは「早稲田には哲学がない。だからドジョウ(野田首相)はダメなんだ」。田原さんが「この後出てくるよ」と制するような身振りをすると、とっさに丸山さんが「江口さんは松下政経塾でドジョウの面接官だったんだよ」と話を向けました。このエントリーの冒頭でご紹介した「私は7番バッターでドジョウをとったんだ」という発言になりました。そのうえで「自民党も民主党も政権交代を想定していなかったと思う。民主党が政権交代にイチバン驚いているんじゃないか」と指摘。「この会場に政治家をめざす人もいるかと思います。どうか、“国家の経営者”になってください」と語りました。



 なお、岡野宗俊さんは「早稲田精神昂揚会」の元幹事だそうです。早稲田精神昂楊会は、早稲田大学の恒例イベント5月の「本庄-早稲田100キロハイク」の主催者です。長年、お互いのイベント開催時には、当日の応援要員を相互にお願いしています。そのような友好団体が「早慶戦支援会」など複数あり、きょうもご協力をいただいたのだろう、と思います。

 そして、第7部。いよいよ野田総理の特別講演です

 

 野田さんは、私の知る限り、総理就任以来、もっともハッキリと、直接的な表現でメッセージを伝えました。

 「こうしてやらなければいけないことはたくさんあります。それをひとつひとつ解決し、乗り越えていくのが私の役割だと考えております」

 総理は、わが国の歴史においてもかなりシリアスなことを言っているんです。でも、それが親しみあり、時に笑いを誘って話せす。わが国の歴史にこういう宰相はいたでしょうか。現時点で私の頭の中に浮かびません。

 「加えて長年の宿題についてもこたえていかねばなりません。それは先般、TPPについての一つの方針を政治決定いたしました。それは、TPPの交渉参加に向けて、協議に入るという方針です。わが国は戦後、GATT(ガット)体制のもとで、自由貿易の恩恵を最大限に受けて経済大国になりました。これからもアジア太平洋地域において、国を開くだけでなくて相手の国々も開かせていくことによって、その成長の糧を考えていかないといけない、と思っています。私は自由貿易、あるいは投資のルール作りに日本は主体的にかかわるべきだと思います」「例えばわが国が一生懸命に働いて開発した技術であるとか、ソフトであるとか。海賊版とか、模倣品という形で世界中に氾濫しています。この被害総額だけで、千数百億(円)です。マジメに開発をした我々の国がもっと儲けられるはずなのに、そういう模倣品や海賊版などで市場から追い出されている。そのためのルールを作ることが国益であります。アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、あるいは今度交渉参加に入ろうというカナダとまだ二国間でFTAを結んでいません。これらの二国間との関係で、日本が払っている関税は2000億円です。そういう垣根(関税障壁)を低くしていることは国益ではないでしょうか。輸入だってそうです。突然相手国の都合によって、レアアース(希土類)が入ってこない、天然ガスが入ってこない、食べ物が入ってこない。そういうことは避けないといけません。輸入のルールをつくるべきです。相手国が恣意的に輸出を止めることができないように、輸出国と輸入国がきちんと事前協議する等々。ルールを作ることが私は国益だと思っています。そのための協議に入っていくということです」。

 この後、社会保障と税の一体改革(消費税)についても、具体的に例示しながら野田さんは説明しました。

 また、「欧州でおきていること」と日本国債の関係も演説しました。

 「これらの乗り越えなければならない課題の中で我々は何をしていくのか。私はこの早稲田に通っている頃は、そんなに豊かではないけれども、きょうよりはあしたは良くなるだろうという希望がありました。チャンスがある国だと思いました。でも、だけど今、残念なことにバブルが崩壊した後に生まれたみなさん。きょうお集まりの多くのみなさんがそうだと思います」。ここで野田演説の特徴である、声のトーンが太く、大きくなりました。「きょうよりあしたは良くなるだろう、と思えない状況がもうずっと続いてきている。きょうよりあしたは不安だと思う人が増えてきている」そしてまたトーンを下げ、淡々と
 「この流れを変えていきたいと思っております」。

 「そのために日本の持っている“フロンティア”を開発していこうという試みを始めました。どんなフロンティアがあるのか? 日本の国土面積は世界で60番目です。小さな国です。国土面積はちっちゃいけれど、例えば、海。排他的経済水域(EEZ)、日本が管理できる水域は、世界で6番目に広いんです。海は広さだけではありません。体積もあります。深さもいれると、日本の排他的水域、管理できる部分は、深さは世界で4番目です。5000メートル以上深いところ、これは日本が1番多いんです。フロンティアは多いんです。そこにメタンハイドレート等々、さまざまな鉱物資源が眠っている。それを開発をしていくということがもちろん大事だと思います。海にフロンティアがあります。そして、宇宙もそうです。立体的に見れば、宇宙もわが国のフロンティアです。ロケットを飛ばし、(人工)衛星を飛ばせるという国は、それほどありません。国際協力で(宇宙)飛行士も育ってまいりました。独自の射場(しゃじょう)、打ち上げる場所を持っている国もあんまりありません。日本は種子島もあります。

 世界で1番地球の息づかいを感じることのできる国になったときに、国際貢献のみならず、ビジネスのチャンスも次々生まれてくるだろうと。私は思います。こういうフロンティアを開発することによって、みなさんがきょうよりもあしたが良くなってくるだろう。そう思える国をつくるのが私の夢でございます。福島に生まれて良かった、宮城に生まれて良かった、仙台に生まれて良かった、岩手に生まれて良かった、このニッポンに生まれて良かった。そういうチャンスのある国だ。そういう国をつくっていきたいと思います」

 「そこで大事なことは、さきほども申しあげましたTPPも、税と社会保障そのほかも、基本的な姿勢というのは、現状のままで良いと思ったらこれらの危機を乗り越えることができない。課題解決もできないということです」「今が60点なら、フロンティアを開発し、勇気を持って国を開いていく。70点、80点、90点をめざしている国にならなければ、いずれ日本はお年寄りばかりの極東の片隅にポツンと位置する島国になりかねないと思っています。そんな国にしてはいけません。だから乗り越える山はいっぱいありますけれども、ひとつひとつ乗り越えて、今お示しした展望のもとにこの国をつくっていく覚悟でございます」

 ここで野田さんは一拍起きました。でも咳払い一つしません。

 「どうもドジョウのイメージばっかりが強いんですが。私の思いの一端を今お伝えさせて頂きました」

 「ぜひ、きょうお集まりの皆様、こういう形でお付き合いいただいたみなさんに御礼を申しあげて、ひと言私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました」。

 ◇

 さて、私自身「鵬志会」って何?とよく聞かれますので、この機会に一つのエントリーの中にまとめさせていただきます。

 鵬志会の今年度メンバーは4月にも新聞に登場しています。次の記事です。

[新聞記事データベースから引用はじめ]

「私より人気ある首相に」 自虐的?早大生にエール
2011.04.27 産経大阪朝刊 5頁 総合5面 (全198字)  
 
 菅直人首相が26日、国会内を移動中に大学生約20人と会った際、「私よりも人気のある首相になって」とエールを送る一幕があった。野党や民主党内の一部から退陣要求を突きつけられる中、つい自虐的な言葉が出たようだ。

 学生は早稲田大学で政治関係のサークルに所属。

 引率者が「将来、政治を志すかもしれない若者です」と紹介すると、首相は「大学で勉強して、日本のためになる人になってください」と笑顔で激励した。

[引用終わり]

 せっかくの菅総理からのお言葉でしたが、鵬志会のOB・OGで、選挙に出るのは、おおよそ3割弱。フツーにサラリーマン、公務員になっている人も多いです。

 早大卒業の首相は次の7人で、5人が雄弁会出身、ここ2人が非雄弁会系になります。

〈雄弁会〉
石橋湛山首相 1956年就任。(自民党総裁)早稲田大学文学部東洋哲学科卒。東洋経済新報記者・社長。
竹下登首相  1987年就任。(自民党総裁)早稲田大学商学部卒。 青年団員、島根県議。
海部俊樹首相 1989年就任。(自民党総裁)中央大学から早稲田大学法学部に転入し、卒業。早稲田大学大学院法学研究科中退。河野金昇衆院議員秘書。
小渕恵三首相 1998年就任。(自民党総裁 早稲田大学文学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科修了。世界放浪後、父の跡を継ぎ当選。
森喜朗首相  1999年就任。(自民党総裁)早稲田大学商学部卒。フジサンケイグループ日本工業新聞記者。


〈非雄弁会〉
福田康夫首相 2007年就任。(自民党総裁) 早稲田大学政治経済学部経済学科卒。丸善石油社員、福田赳夫首相政務秘書官。
野田佳彦首相 2011年就任。(民主党代表) 早稲田大学政治経済学部政治学科卒。松下政経塾1期生、千葉県議。


 石橋首相から森首相まで5人が雄弁会。そして、福田首相、野田首相が非雄弁会となります。

 鵬志会の創立は1987年。石橋首相以来31年ぶりの早大出身の竹下首相を祝おうということで集まった実行委員が発展的に解消する中で結成しました。現在は大学公認サークルに昇格しています。野田さんの卒業後となりますので、野田さんは鵬志会卒業生ではありません。ただ、鵬志会卒業生には、松下政経塾の門を数人が叩いており、野田さんが第41回衆院選に落選し、浪人していた頃から交流があったそうです。学生サークルですから、現役学生(1年生~4年生)による単年度執行部による運営なので、組織としての付き合いがある団体、人との連続性に関しては、全体を把握している人はいません。例えば、早大生でない鵬志会員OBの地方議員がいますが、そのときの執行部がどういう意図で入会を許可したのかは、あまり同窓会に出て来ない年次というのは、やはりいますから、分からないことがあります。組織と特定の政党・政治家が長期間にわたってしがらみがあるということはありません。ぜひ誤解なきようお願いします。

 ちなみに読み方は「(○)ほうしかい」であって、「(×)オオシカイ」と発音する人がいますが、「(○)ほうしかい」です。

 では「鵬志会」とはどういう意味かとよく聞かれます。これは、創設者(初代幹事長)の和田有一朗さんが卒業した高校(兵庫県立神戸高校)の校章が「鵬(オオトリ)」だったというだけの理由です。それだけです。とくだん崇高な意味が込められているわけではありません。和田さんは県議会の当選3回生。そのくらい自分を前に出す性格だから、和田さんは選挙に強いです。彼は日常活動で朝立ち3時間、戸別訪問500軒をこなすことを習慣にしています。選挙区内全戸を毎年1周、任期中に4周することにしています。2007年の第16回統一地方選では、兵庫県議選で、当時42歳の和田さん=無所属=は神戸市垂水区選挙区で3万580票の大量得票で再選しました。ところが、姫路市選挙区で当時33歳で新人の竹内英明さん=民主党=が3万2580票を獲って全県トップに躍り出ました。彼も鵬志会OBで、総得票数ワンツーフィニッシュを達成しました。区割りの問題もありますが、6329票で当選した候補もいましたので、2人の集票力は抜きんでています。2011年も各々の選挙区でトップで再選しています。野田首相の弟さんの野田剛彦さんも船橋市議会でトップ当選しましたが、別の会派で5位当選した日色健人さんも鵬志会OBです。日色さんは今回のイベントには党派を越えて、後輩にメッセージを送っています。国政での政権交代直後の2009年11月の葛飾区議選では小林ひとし(小林等)さんが8501票で断然トップ当選し、最下位当選者は2552票でした。が、民主党の仲間から「とりすぎ」批判を浴びたことなどから、現在は無所属で活動しています。というわけで、「とにもかくにも選挙に強い鵬志会」という定評はかなり浸透しています。

 とはいえ、一般の就職をする学生の方が、割合は多く、やはり、まったく政治とは距離を置く人も多くいます。それもまた人生の夏である大学時代の一つの学びの卒業論文でしょう。

 鵬志会主催のイベントでの総理経験者の講演は、1995年秋の新進党結党直前の羽田孜前首相以来だと思いますが、小泉純一郎さんの講演もあったそうです。これはきょう、初めて知りました。

 「集まり参じて人は変われど、仰ぐは同じき理想の光」

 

 2011年12月7日。大隈講堂は歓喜に包まれ、同じ時間を共有しました。そして、12月8日の朝になるとそれぞれ自分の好きなことをする。それが早稲田というものです。就職後の辛い時期、土曜日の深夜に大隈講堂に来て、時計台を眺めて、しばらくしてまた帰宅した。私以外にも同じようなことをしていた友人も多いようです。総理にとって早稲田の杜がリラックスできる時間と場だったら良かったと思います。雨天の友がいない政治家に限って、好きな言葉は「雨天の友」というものです。野田さんは党派や政策を越えた仲間がいることを目で見ました。ひとつひとつ乗り越えていってほしい。野田さん、次はいつの日か、総辞職して次の内閣にひきついだ後に、またゆっくりとおいでください。

 ゴゾンジ陸上部の箱根駅伝の襷ほどではありませんが、25年間、伝統の襷が渡っていてうれしいというか、一人の日本国民として、ドンドン国を開いていって大丈夫だと。この子たちは素晴らしいし、会場にお集まりいただいた現役学生のみなさまも芯が通っている。だからゲストの皆さんが、全7部に分かれているにもかかわらず、異口同音に「国を開く」と言ったのでしょう。日本はつぶれないとの確信得たり。その思いを持てた、2011年12月7日、大隈講堂の夜でした。

[過去の新聞記事から引用はじめ]

[キャンパる]大楽人 早稲田大社会科学部3年・松尾宗一郎さん
1998.04.10 東京夕刊 11頁 総合 写図有 (全314字)  

 ◇全国学生交流会会長 早稲田大社会科学部3年・松尾宗一郎さん(20)

 若者、特に大学生の政治離れが言われるが、「政治家は、できる仕事の範囲が広い」と考え、入学と同時に同大の政治サークル「鵬志会」に入り、現在は副幹事長。◆学外でも、自民党の友好団体である「全国学生交流会」に所属し、今年3月、会長に就任した。元運輸大臣の亀井静香氏ら実力政治家を招いて講演会を開いたり、各種選挙で自民党候補の選挙を手伝うなどの活動を通じて、実際の政治の現場を体験してきた。◆政治離れについて、学生に呼びかける。「結局、これから長く税金を払っていくのは、若い僕たち。もっと、政治に口を出すべきだ。投票に行かないなんて、もったいない」【早稲田大・真田智弘】

毎日新聞社

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  政治家になるための7条件、早大生に説く 加藤自民幹事長が講演
1997.07.10 東京朝刊 5頁 (全437字)  

 ◆地元、健康、35歳以下、地域回り…

 自民党の加藤幹事長は九日、都内新宿区の早大構内で講演し、学生たちに政治家になるための「七つの条件」を説いた。

 加藤氏は、〈1〉立候補する地域の出身である〈2〉できればその地域でトップの進学校ではない高校を卒業している〈3〉しっかりした大学を出る〈4〉健康である〈5〉三十五歳以下で選挙活動をスタートする〈6〉五年から七年間必死に地域回りをする〈7〉人間関係を作れるある程度の能力がある--の七つを示し、「この条件を満たせば、政治家志望者が少ない今なら政治家になれる」と述べた。ちなみに、かつて選挙に必要と言われた「地盤、看板、カバン」の“三ばん”については「もうはやらない」と退けたが“三ばん”持ちの二世議員、加藤氏の発言に説得力があったかどうか?

 この日の講演は、政治家志望の学生の多い、「早大鵬志会」の主催で開かれた。

 懇切丁寧なノウハウ伝授だったが、この政治不信の中で“青田買い”の成果が期待通りに上がるか否か不明だ。

読売新聞社
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[キャンパる]情報伝言板 早稲田大学ほか
1994.06.17 東京夕刊 9頁 総合 (全859字)  

 ◆早稲田大学鵬志会講演会「21世紀へ向けて--激動する日本政治今後の展望」 22日14時40分、大隈大講堂(地下鉄東西線早稲田駅下車)で。講師は毎日新聞編集局顧問、岩見隆夫氏。無料。問い合わせは同会代表、三島圭介さん。(以下略)

毎日新聞社
 
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[票最前線]終盤の現場から(5)“選挙修業”の大学生(連載)
1992.07.23 読売東京朝刊 30頁 写有 (全980字)  
 
 ◆現場で知るむなしさ

 「早稲田大学鵬志会」。五年前、同大OBの竹下登氏が首相に就任した時、学生有志が実行委員会を作り、“凱旋(がいせん)講演”などを主催した。鵬志会は、その委員会を引き継いで発足した学生政治サークルだ。

 当然、入会者は政治家志望の学生たち。代議士らの講演会を年に何度か開くほか、議員事務所の手伝いや選挙運動のアルバイトなど、それぞれの“修業”に励む。

 ◆政策論議欠く現実 政治への志に冷水

 「選挙の渡り鳥、と呼ばれてます」。幹事長で理工学部三年の豊島成彦さん(22)が笑った。昨年の統一地方選では、滋賀県議、都知事、大田区議の各選挙戦のアルバイトに飛び回った。この参院選も、首都圏の自民党候補事務所で運動を手伝っている。

 激戦区・奈良に向かった二人の一年生は、初めての選挙体験に目を輝かせていた。会員五十人。うち女子学生八人を含む三十人が、ビラ配り、ウグイス嬢などに汗を流しながら、いま、終盤の戦場にいる。

 ひたすら頭を下げながらのビラ配り。「ちっとも、あいさつに来ないじゃないか」と顔役に脅されながらの地域回り。

 高度な政策論議とは、あまりにかけ離れた選挙の現場を見て、あこがれが失望に変わり、政治家への夢を捨てる学生も少なくない。政経学部三年で会の副幹事長を務める渡辺勝大さん(20)もその一人だ。

 ガランとした公会堂のホールに、候補予定者の熱弁だけが響いた。五月末、首都圏で開かれた自民党の参院選決起集会。整然と並んだ千脚のパイプいすは、三分の一しか埋まっていない。駆り出された聴衆の半数は居眠り状態だ。「君たち、前の方に座っててくれ」。いすに腰かけたとたん、ばかばかしさがこみあげた。「こんなことをしていて、何になるんだろう」

 今度の選挙戦ではアルバイトをせず、来年の国家公務員試験を目指して猛勉強を始めた。

 明治大政経学部の阪上順夫ゼミは先月、首都圏の大学生千五百四十人を対象に、政治意識に関するアンケートを行った(回答率六七%)。

 理想の政治家の必要条件として、「政策実行力」、次いで「選挙区だけでなく国のことを考えている」ことを挙げ、「現在の政治家に満足していますか」の問いには、九二%が「ノー」と答えた。

 今年二十歳を迎えた渡辺さんは、二十六日に初の一票を投じる。政治の現状に幻滅しながらも、希望は捨てていない。だから「棄権はしないつもり」だ。(おわり)

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07統一選 兵庫県議選開票結果=兵庫
2007.04.09 大阪朝刊 16頁 (全2,717字)  

 《開票結果》

 ◆東灘区 定3候5

当16,187井戸正枝 41民現〈2〉

当14,109高橋進吾 39無新〈1〉

当12,341加藤修  49民現〈3〉

 12,098北浜みどり46自新

 11,016古谷敏郎 56共新

           (選管確定)

 ◆灘区 定2候4

当15,050原亮介  63自現〈6〉

当11,979石井健一郎38民現〈2〉

  9,942井上力  57新社新

  7,910島田鎮郎 67共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆中央区 定2候4

当12,492小池啓納 57民現〈2〉

当10,388原吉三  65自現〈5〉

  7,140渡辺和代 49共新

  4,232佐藤陽太 25無新

           (選管確定)

 ◆兵庫区 定2候3

当15,946松田一成 54公現〈2〉

当12,897立石幸雄 58自現〈7〉

 11,533井村弘子 60共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆北区 定3候5

当21,744羽田野求 57公現〈5〉

当19,131梶谷忠修 69自現〈3〉

当19,019藤井訓博 58民現〈3〉

 11,489貫名ユウナ55共新

 10,212伊藤栄介 30無新

           (選管確定)

 ◆長田区 定2候3

当15,519渡部登志尋58公現〈3〉

当14,238加田裕之 36自現〈2〉

 10,837木下清子 58共新

           (選管確定)

 ◆須磨区 定3候4

当18,410大塚崇弘 40民新〈1〉

当16,589松本義宏 59公現〈4〉

当15,885葛西利延 66自現〈5〉

 14,167森田多希子51共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆垂水区 定3候4

当30,580和田有一朗42無現〈2〉

当22,119黒田一美 52民現〈3〉

当15,267新原秀人 44自新〈1〉

 12,847今井正子 54共新

           (選管確定)

 ◆西区 定3候4

当24,881石井秀武 40民現〈2〉

当24,257石原修三 56自現〈4〉

当17,770杉尾良文 55民現〈5〉

 12,669金田峰生 41共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆姫路市 定8候9

当32,508竹内英明 33民新〈1〉

当22,906大野由紀雄53公現〈4〉

当21,567岩谷英雄 62自現〈7〉

当19,937北条泰嗣 53公現〈2〉

当19,815水田宏  74自現〈6〉

当17,798杉本ちさと54共現〈2〉

当17,075北野実  47無新〈1〉

当16,726五島壮  63自現〈6〉

 14,562清元功章 78自現〈9〉

           (選管確定)

 ◆伊丹市 定3候4

当21,898武田丈蔵 74自現〈7〉

当17,138中田香子 66民現〈3〉

当16,953合田博一 57公現〈3〉

  7,742吉尾明美 50共新

           (選管確定)

 ◆尼崎市 定7候11

当24,497下地光次 52公新〈1〉

当23,536谷井勲  42公新〈1〉

当14,428丸尾牧  42無新〈1〉

当14,273稲村和美 34無現〈2〉

当13,886室井秀子 51無新〈1〉

当12,968吉本誠  37民現〈2〉

当12,793黒川治  47自現〈2〉

 12,470鈴木拓美 42共新

 10,921今西行  68社現〈4〉

 10,420宮田静則 64共現〈3〉

  8,945武田正昭 59自元〈1〉

           (選管確定)

 ◆西宮市 定7候8

当25,212野口裕  56公現〈5〉

当24,216越智一雄 65民現〈4〉

当20,154都築研二 60共現〈5〉

当18,072北川泰寿 37自現〈3〉

当16,362掛水須美枝61無現〈5〉

当13,637筒井信雄 41自現〈2〉

当11,770田中章博 70自現〈3〉

  5,881大平洋一郎65無新

           (選管確定)

 ◆芦屋市 定1候2

当14,091山田美智子60無新〈1〉

 13,224門信雄  57無現〈4〉

           (選管確定)

 ◆相生市 定1候3

当 6,582谷口隆司 56無現〈2〉

  6,504宮崎一一 59民新

  2,546中山英治 56無新

           (選管確定)

 ◆豊岡市 定2候3

当22,962日村豊彦 54無元〈6〉

当14,552小林喜文 63自現〈3〉

  9,494梅谷光太郎53民新

           (選管確定)

 ◆加古川市 定4候5

当24,197岸本一尚 46公新〈1〉

当23,852釜谷研造 75自現〈5〉

当20,891宮本博美 63民現〈4〉

当11,716星原幸代 64共新〈1〉

  9,038井上英之 36無現〈2〉

           (選管確定)

 ◆龍野市 定1候2

当 9,881山口信行 64無現〈5〉

  3,148金治法昭 63無新

           (選管確定)

 ◆西脇市 定1候2

当10,620東野敏弘 52無新〈1〉

  7,062山本章  66無現〈1〉

           (選管確定)

 ◆宝塚市 定3候6

当15,731伊藤順一 44民新〈1〉

当14,890森脇保仁 54自現〈2〉

当12,583練木恵子 44共現〈4〉

  9,571阪上真次 26無新

  8,427岡野多甫 53無元〈3〉

  7,704江見健太郎29無新

           (選管確定)

 ◆三木市 定1候3

当12,404仲田一彦 34無新〈1〉

 11,752米沢修二 58無新

  6,902東中香代 59民新

           (選管確定)

 ◆川西市・川辺郡 定3候4

当21,990岡康栄  71民現〈5〉

当17,415篠木和良 60無新〈1〉

当16,715加茂忍  55自現〈4〉

  4,460黒田靖敏 64無新

           (選管確定)

 ◆小野市 定1候2

当11,593藤原昭一 61無現〈4〉

  6,234藤本勝利 43無新

           (選管確定)

 ◆三田市 定2候3

当13,155芝野照久 55民現〈4〉

当11,133野間洋志 62無現〈2〉

  3,507本多康房 68無新

           (選管確定)

 ◆加西市 定1候2

当12,326小田毅  65無現〈3〉

  7,554大西啓之 68無新

           (選管確定)

 ◆篠山市 定1候3

当10,540小西隆紀 41無新〈1〉

  7,680田中悦造 59無新

  1,743梶川瓔一 63無新

           (選管確定)

 ◆丹波市 定1候2

当22,956石川憲幸 51自現〈3〉

  9,045芦田徳幸 53無新

           (選管確定)

 ◆朝来市 定1候2

当12,710藤本正昭 65無現〈2〉

  2,278清水隆夫 69無新

           (選管確定)

 ◆淡路市 定1候2

当15,474原哲明  56無新〈1〉

 11,095北浦義久 71無現〈3〉

           (選管確定)

 ◆宍粟市 定1候3

当 9,582高嶋利憲 54無新〈1〉

  7,316長田執  75無現〈4〉

  7,221春名哲夫 55無新

           (選管確定)

 ◆加東市 定1候2

当11,126藤本百男 53自新〈1〉

  8,355小林護  67無現〈2〉

           (選管確定)

 ◆多可郡 定1候2

当 9,224内藤兵衛 48自新〈1〉

  6,803藤本國明 51民現〈1〉

           (選管確定)

 ◆加古郡 定1候3

当10,337永富正彦 69無現〈3〉

  9,430大矢卓志 42無新

  3,902中嶋修市 59無新

           (選管確定)

 ◆飾磨郡 定1候3

当 6,379宗行恭義 62無新〈1〉

  3,781振角利允 67無新

  3,527東影昭  53無新

           (選管確定)

 ◆神崎郡 定1候2

当14,227上野英一 53無新〈1〉

 12,171前川清寿 65無現〈3〉

           (選管確定)

 ◆佐用郡 定1候2

当 7,949石堂則本 63無現〈3〉

  3,742広利一志 55無新

           (選管確定)

 ◆美方郡 定1候2

当16,002上田良介 56無新〈1〉

  6,670中村茂  76無現〈7〉

           (選管確定)

[引用おわり]

[お知らせ①]

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[訃報]冬柴鉄三さん、享年75、ガソリン国会(第169通常国会)の国土交通大臣

2011年12月06日 00時29分50秒 | その他

[画像]ガソリン国会(第169通常国会)の国土交通大臣として、野党・民主党と死闘を繰り広げた冬柴鉄三さん、参議院インターネット審議中継からキャプチャ・トリミング。

 元新進党国会対策副委員長で、公明党幹事長、国土交通大臣を務めた冬柴鉄三(冬柴鐵三)さんが亡くなりました。享年75。

 心からご冥福を申しあげます。

 冬柴さんは揮発油税・軽油引取税の暫定税率の租税特別措置時限立法の失効によるガソリン・軽油の1ヶ月間の値下げ、道路特会でのタクシー券やミュージカルへの歳出、道路特定財源の一般財源化で、野党・民主党が猛攻撃をかけ、政権交代に大きく前進した伝説の第169通常国会の国土交通大臣でした。

 1986年の衆参ダブルの第38回総選挙で初当選して、小選挙区移行後も連続当選7回。新進党では国対副委員長や兵庫県連幹事長を務めました。2009年の第45回衆院選では、新党日本代表で参院議員だった田中康夫さんが刺客として兵庫8区に乗り込み、落選。その後も公明党常任顧問を務めていました。

 「新進党」は公募です。ファクスとハガキで募集しました。私は「新・新党結党準備委員会」(小沢一郎実行委員長)で、学生ボランティア(新生党学生塾員)として、新生党、日本新党、民社党、公明党などの秘書や職員と一緒に、日本新党本部内の会議室で集計作業をしていました。羽田孜さん、市川雄一さん、米沢隆さんらが視察に訪れたときにテレビに映ったので驚いた同級生も多かったようです。

 日本新党本部の松野頼久職員の仕切りがよく、「新・新党」への国民の期待も強く、タイヘン和気藹々としていました。とはいえ、やはり、公明党の秘書の方はどんな方なのかなあ、という気があったのですが、件のテレビ取材のときには、自党の書記長である市川さんを見て、「あっ」という感じで緊張していました。それは他党でも同じでしょう。やはり変わらないんだなと。そして、若くして亡くなった久保哲司・公明党衆院議員がこのチームに詰めていて、大阪市職員時代の武勇伝をざっくばらんに話してくれたりして、リラックスして、作業ができました。ファックス用紙は、各国会議員などの事務所などが地元で配っているのが主流でした。その中で、冬柴さんは党本部作成のファックス用紙に自分の姿を刷り込んでいました。たしか文面は「冬柴鉄三は国会で頑張っています!新しい党の名前、尼崎のみなさんが決めて下さい!」というようなもので、街頭演説する冬柴さんの姿が白黒で(ファックスですから)刷り込まれていたように記憶しています。応募用紙の束を五十音順にしていく作業で、それを見つけた久保さんの秘書が「あっ先生、冬柴さんこんなのつくってますよ!」と言っていたのを思い出します。公明党議員はみな支持母体の創価学会に乗っかって選挙をしているんだと思いきや、議員毎にやり方が違うので、選挙の強さには濃淡があるようでした。

 「新進党」はたしか7人ほどの応募があったと記憶しています。パシフィコ横浜の新進党結党大会で表彰されたのは、兵庫県の「土肥(どひ)」さんという主婦の方でした。しかし、翌々年の阪神・淡路大震災で自宅が倒壊してしまったそうです。

 冬柴さんは兵庫8区(尼崎市)選出の「代議士」として、国交大臣として重みある答弁をしたことがあります。

 2007年10月31日(第168臨時国会)の衆院国土交通委員会で民主党(当時)の石川知裕さんの質問に答え、「緊急地震速報をやるということについての利益は、私は非常に大きいと思います。それはやはり、私も阪神・淡路大震災を経験しましたけれども、六千四百三十四人の方が亡くなったんです。その九割までが、先ほども話がありましたけれども、わずか十五、六分の間に亡くなっているんですよ」「いろいろデメリットはあるとは思いますけれども」「だからといって、これをやめる、これを先延ばしする」「私はその方が恐ろしいというふうに思います」と答弁し、法案に賛成するよう促しました。これに対して、石川さんはとっさに「いや、別に私も反対をしているわけではありません」と答えました。石川さんの選挙区である北海道11区も海と山があり、自然環境が厳しいところです。石川さんは「冬柴大臣はいつも質問には真摯に答えてくれていた。新進党時代は、東順治さんらとともに、安全保障問題に詳しかったのが記憶に残っている」としました。5日夜当ブログの取材に答えました。

 このとき、冬柴さんは地元を良く回っている政治家だと感じました。ただ、ガソリン国会では、答弁中に、秘書官がメモを投げ入れる場面がありました。秘書官に入れ知恵される大臣はしばしば。でも後ろからメモが飛んできたのはこのときだけでした。ガソリン国会の民主党の猛攻はすごかったとはいえ、適材適所という意味では、どうだったのでしょうか。心労があったのかもしれません。

 とはいえ、冬柴さんがホントウに地元を良く回っていることを私が最後に感じたのは、2009年8月の選挙でした。このとき、私は梅田から阪急に乗って、「曽根」という駅に向かっていました。ところが乗り換えを間違えて、「塚口」という駅に行ってしまいました。あわてて先方に電話して、「先生、こちらから曽根までタクシーで行きます」「いやそこからじゃタクシー代5000円はかかるよ」と言われて、電車で引き返すことにしました。わずか十数分でしたが、塚口の駅から周りをみました。そして、ここは大阪府ではなく、話題の兵庫8区だということに気づきました。初めて見る尼崎市。駅前の下町。そして、後でグーグル・アースで復習すると、日本を代表する大企業の工場と、その工場で働いている人も住んでいるであろう庶民の街の渾然一体。まさに日本です。そして、テレビでは初めてみる選挙戦中の冬柴さんは自転車で駆け回っていました。その姿には恐れ入りました。しかし、冬柴さんは僅差で落選しました。大物落選の可能性が出てくると、初めてその選挙区が取り上げられるというテレビジャーナリズム。これはやむを得ない。しかし、一抹の空虚さを感じました。

 それはまた私にとっては新進党を失ったときに似た空虚さでした。

 なお偏見かも知れませんが、私が知っている限り、地方議員、国会議員問わず、公明党議員は比較的お若い年齢で亡くなる傾向があります。大衆とともに。チーム政党なので、中間管理職的な心労、ストレスが強いのだと推測します。冬柴さんも75歳。自転車から降りて、ゆっくりとお休み頂きたいと思います。

公明元幹事長、冬柴鉄三氏死去…自公政権で活躍 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 元国土交通相で、公明党元幹事長の冬柴鉄三(ふゆしば・てつぞう)氏が5日、兵庫県尼崎市内の病院で急性肺炎のため死去した。75歳だった。

  自宅は同市潮江1の5の1の2610。告別式の日取りは未定。
 
 冬柴氏は1960年に関西大を卒業後、弁護士を開業。86年衆院選で初当選した。93年8月、非自民連立の細川内閣で自治政務次官を務め、旧新進党の結成・解党を経て、98年1月に旧公明党系衆院議員が結成した新党平和で幹事長に就任。98年11月に再結成された公明党でも幹事長を務め、神崎武法代表(当時)と二人三脚で公明党の与党入りを実現するなど党運営に尽力し、自公政権では中心的な役割を果たした。2006年9月、安倍内閣の国交相として初入閣した。

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自民党本部が衆議院事務局の土地を不法かつ無償で占有 47年間

2011年12月05日 17時42分16秒 | その他

【衆院予算委員会 「政治とカネ」集中審議 2011年12月5日(月)】

 第171通常国会(麻生内閣、追い込まれ解散)で、野党・民主党の鳩山由紀夫幹事長が施政方針演説に対する代表質問でNHK入り本会議で暴露した内容を事前に用意していた登記簿でご紹介したエントリー「◎「自民党本部は国有地、土地を返せ」と鳩山幹事長 登記簿も公開します!」は政権交代に向けて多くの反響をいただきました。

 きょうの衆院予算委員会で民主党の村越祐民さんが新しい事実を暴露しました。私は自民党本部の底地はすべて「大蔵省」(財務省理財局)だと思っていたのですが、一部分は衆議院事務局の土地だったことが分かりました。これは1964年の東京オリンピックから47年間使用していましたが、鬼塚誠・衆議院事務総長は参考人として「使用許可は出していない」と答弁しました。また財務省の田中一穂・理財局長は「この土地は普通財産ではなく行政財産だ」と答弁しました。

 これによると、池田勇人総裁(首相)の下、前尾繁三郎幹事長ないしは三木武夫幹事長の時代から、自民党が不法かつ無償で土地を占有してきたことになります。政権党時代は、衆議院の委員長が多かったので、委員長車(運転手は衆議院職員)がとまる場所が必要だったとの弁明も、自民党から出ています。

 村越さんは、独自の試算として16億円程度の過去の賃料を国庫に払ったうえで、土地を国庫に返すべきだとしました。「かつて栄華強勢を誇った政党の矜持を示すべきだ」と述べました。村越さんは自民党を「占有屋まがい」と批判しました。

 財務大臣の安住淳さんは「自民党にも問題がありますが、この問題を放置してきたとしたら、衆議院にも問題がある。(議員による)議院運営委員会だけでなく、事務方に行政財産を扱う資格があるのか」と、衆議院事務局職員を叱責しました。

 ところで、衆議院事務局は「国会前庭」と「憲政記念館」という別筆の土地を管理していますが、両方に同じ看板を出しています。「国会前庭・憲政記念館」という同じ看板です。先日、私は憲政記念館の「大正デモクラシー展」に向かったとき、ずいぶん道に迷ってしまいました。このように、衆議院事務局はちゃんと看板を出している土地も含めて、土地管理のだらしなさが目立ちます。

 「憲政記念館」は東京都千代田区永田町1丁目1番地
 「国会前庭」は 東京都千代田区永田町1丁目2番地

という別筆の土地のはずです。そこに「国会前庭・憲政記念館」という同じ看板を出していて、あまりにもずさんです。


[写真]「憲政記念館利用案内・国会前庭利用案内」と書かれた看板(筆者撮影)。これは永田町1丁目2番地。しかし、憲政記念館は実際には永田町1丁目1番地にあり、同じ看板が立っている。衆議院事務局の土地管理のずさんさがうかがえる。

 政権交代によるドブさらいで、また新しいヘドロ(情報)が出てきました。細川・羽田内閣の1年間を除いて54年間の自民党一党独裁政治を許した多くの有権者はけっして目を背けてはいけません。その代償がどれだけ大きかったか。そして、民主党国会対策委員会はきょうの村越質問の事実関係を今国会召集前には把握し、「来週辺りから大騒ぎになる」(国対幹部)と大喜びしたのに、あまり大騒ぎにならないのはなぜか。胸に手をあてて考えてみるべきです。小沢問題の放置がどれだけ大やけどになったか。情報を出す時期も下手なんですよ。自民党、衆議院事務局だけでなく民主党も大いに反省すべきです。村越さんは最初から小沢批判をしていましたから、いいです。しかし村越さんを批判したり、馬鹿にしたりしていた人たちは解散を控えた今、どんな気持ちなのでしょうか。それが政権交代ある政治の厳しさなんですよ。だから、衆議院民主党から、松沢成文さん、上田清司さん、北橋健治さん、河村たかしさん、といわゆる優秀な順に首長に転出していったのです。彼らがいて、一見「KY」な発言をしてくれたら、どれだけ与党が楽になったか。自民党長期政権の後ろ半分はハマコーのおかげです。ハマコーすらいない民主党。村越さん、これからも頑張ってください。見て見ぬふりをするか、闘うか。この2年半、小沢問題で、誰がどのとき、どういう行動をとったか、私は覚えておくことにします。

 二大政党の正念場を迎えています。しっかりと国民の声を聞き、組織の足腰を鍛える。民主党に限れば、もっと日本国憲法と国家行政組織法と衆議院と参議院両院の各会派議席数を読んで、勉強する。この冬を乗り越えられるかどうか。政権交代ある二大政党デモクラシーの正念場です。
 
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大震災イヤー国会いよいよ最終週 289日間できっちり年の納めを

2011年12月04日 16時13分12秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 東日本大震災の復旧・復興に明け暮れた2011年(平成23年)の国会も今週が最終週となりました。第179回国会の会期末12月9日(金)で今年通算289日目となります。

 「震災国会」(横路孝弘・衆院議長のあいさつ)となった第177通常国会は220日間、野田佳彦新首相が所信表明した第178臨時国会が18日間、そして第3次補正と復興債・復興特区などが成立した第179臨時国会が51日間となります。

 第177通常国会の4月以降、民主党・自民党・公明党の3党協議のしくみができました。

 修正協議が仕上がっていて審議を待っているのが、

 第174国会閣法60号の「労働者派遣法改正案」です。

 現在、修正協議が進んでいるのが、

 第176国会閣法1~3号の「日本郵政改革関連法案」
 第177国会閣法74号~80号の「国家公務員給与引き下げ・人事院廃止関連法案」
 第179国会閣法1号「復興庁設置法案」

 などです。

 私にはこれらが日本未来にとって、どうしても必要な法律(案)とは思えないのです。延長してまで成立させることはない、という意味です。

 ただ、こういうのは走り続けている人たちは気付かないのですが、例えば国家公務員給与引き下げ関連法案は人事院を廃止するという内容も盛り込まれており7・8%引き下げという劇薬を断行するならば、マニフェストに入れて総選挙後の特別国会でやらないと断行できないでしょう。

 郵政関連3法案は、郵便局と郵便事業を本体に統合し、ゆうちょとかんぽの事務を一緒にできるようにし政府の持ち株比率を「100%」から「3分の1」に引き下げるものです。だから、郵政民営化のプロセスを進める法案ですが、これは第44回総選挙の民意である郵政民営プロセスを逆行させる法案だと勘違いしている有権者が多いです。勘違いしている有権者が多いのは政治家の責任でもあり、ていねいに「説得」する時間が必要です。

 復興庁に関しては他府省への勧告権限と出先機関をもつ省をつくるというもので、私に言わせれば、昔の総務庁程度のつまらない官庁にすぎない。地区においては他省を乗り越えるスーパー官庁、いわば沖縄開発庁方式でつくらないといけないでしょう。復興庁設置法が成立しないと、東北が復興しないということはありません。

 自民党幹事長の石原伸晃さんはいわゆる3点セット(復興債、復興特区、復興庁)は自民党(と公明党の)発案だから、国益に資するために、それが出来上がるまでは政府に協力すると言っています。郵政改革関連3法案が成立する国民新党は存在意義を失います。

 なので、これら各法案は、第180通常国会で修正法案を審議・採決すればいいのではないでしょうか。第4次補正が出ますので、それと当初予算審議の間にわずかに大臣の体が空きます。この時間と場所を活用する。朝9時から衆参予算委員会があるのなら、朝8時から委員会をやればいいだけの話です。予算が通過するときに本会議が必ず開かれますから、そこに上程すればいいでしょう。そうでないと、後半国会は解散含みになります。民自公の実務者はしっかりと委員会の開催日程まで責任を持ってほしい。

 一方、平成21年度決算(案)と平成22年度決算(案)については、これがあるうちは解散に臨めないと考えたい。ですから、これは年末年始に閉会中審査をして仕上げるべきです。衆院決算行政監視委員会も、参院決算委員会も突貫工事です。全般審査の後の省別審査には財務大臣の同席はいりませんから、財務大臣には予算の組み上げと税制改正に没頭してもらって、大臣を呼ぶ。

 震災によるスピードアップとインターネット審議中継による可視化で、衆参、与野党とも特定の議員に質問の機会も実務者としての苦労も集中する「正念場」となっています。議員の疲労感も大きい。官僚の疲労感も大きい。とはいえ、走り続けていく中で見えなくなる物もあるようです。衆・決算行監委で、「政権交代直後は民主党政府が自民党政権の決算を仕分けていたから良いが、今は民主党政府が民主党政府が組んだ予算を仕分けていておかしい」と指摘された蓮舫・行政刷新相はホンキで驚いたようです。これは分かりそうなもので、走り続けている人は見えなくなるものです。震災国会で、法案の修正協議で何もできなかった議員は、当選回数に関係なくいっぱいいます。そういう人も含めて、年末年始は地元を回る時間も必要ですし、その中で見えてくる物もある。

 1975年には、三木武夫内閣が国会を296日間開きました。しかしこれは波乱の予兆でした。1975年末召集の第77回通常国会は、「ロッキード事件で前後47日間におよび審議の空白と予算成立の5月へのずれ込み」で「国会史上極めて異例な常会であった」(議会制度百年史)と振り返られています。そして、三木内閣は現行憲法下で唯一、解散権を行使できずに任期満了による第34回衆院選を施行しました。結果、過半数を失いました。やはりダラダラやるのははよくありません。同じ理由で、4次補正をやるからという理由で、第180通常国会をあまりにも早い時期に召集させるのも得策ではありません。参院の問題があるとは言え、衆院では議席占有率63%の大与党なのですから、あわてずゆっくりと泰然自若で取り組むべきです。

 12月9日(金)でしっかりきっちり、年の納めをしてほしいと思います。有権者がどう判断するかは別ですが、衆参も、与野党も、2011年震災国会は「終わり良ければすべて良し」ということにしないといけません。

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3つのエントリーに切り分けました お知らせ

2011年12月01日 17時16分00秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

この記事は2011年12月1日に投稿しましたが、2016年6月27日時点でも反響が多いです。

そのため、3つの内容を1つのエントリーにまとめていたのを、内容にそって、3つのエントリーに切り分けました。

内容ごとに次のアドレスをクリックして、お読みください。

平成23年度第3次「復興」補正予算関連法案のうち5法が成立、遅れた法案と合わせて成立へ

ガソリンプール(ガソプー)発言疑惑を笑い飛ばして否定 安住淳財務大臣

竹谷とし子公認会計士「明許繰越」「基金」で国の単式簿記で率直な疑問連発に安住淳財務大臣もエール

 


4次補正編成を指示 野田首相、安住財務相に 第180通常国会召集は1月中旬か

2011年12月01日 12時28分04秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

(このエントリーの初投稿日時は2011年12月1日午後12時)

 野田佳彦首相は2011年12月1日(木)、首相官邸に安住淳財務大臣を呼び、平成23年度(2011年度)第4次補正予算(案)の編成を指示しました。12月中旬の閣議決定をめざします。

 歳出の増額総額は2・5兆円規模。円高対策(1ドル=77円前後で推移)、タイの洪水被害対策、法律が成立した被災地の二重ローン軽減策、生活保護費の上ブレ分を盛り込むものとみられます。いわゆる「追加経済対策」です。これに先立ち、野田首相は前日に、12月1日午後5時半から記者会見することを発表しました。国債整理資金特別会計は国債の想定利回りを年利2%としていますが、ことしは世界的な欧州債務などの先行き不透明感からリスク回避の動きがあり、日本国債の運用利回りが1%前後と低水準になっており、年間130兆円の新規発行・借り換え債の利息支払いが大幅に余っていることから、この2011年度予算内のお金を使って、やりくりする方針とみられます。

 私は4次補正に反対です。なぜかというと、それにより通常国会の召集が1週間~2週間前倒しになるからです。例えば、2005年の第162通常国会召集日は小泉内閣が1月21日と遅い時期に設定し、8月8日に解散し、9月11日の第44回衆院選で歴史的大勝をしました。一方、第171通常国会では麻生内閣が2009年1月5日の異例の早い時期に召集を設定し、任期満了まで2ヶ月とせまった7月21日まで追い込まれ解散し、8月30日の第45回衆院選で大敗を喫しました。

 新聞は4次以上の補正は、昭和22年度(1947年)の第15次補正以来としています。もちろん東日本大震災「3・11」を受けてスタートした平成23年度が昭和22年度に匹敵する特別な年であることに異論はありません。ただ、昭和22年度は、第1回特別国会で片山内閣が第1次補正予算(案)から第11次補正までしています。そして、第2回通常国会で第12次補正から第14次補正まで手がけました。が、片山内閣は総辞職し、芦田内閣になって最後の第15次補正をしています。ちなみに片山哲さんが昭和22年4月25日の第23回衆院選の全国遊説を終えて、東京駅に着くと、待ちかまえた新聞記者から「どうやら第一党になりそうです」と伝えられ、片山さんが「しまった」と言い、政権を担う準備ができていないことを露呈したという伝え話があります。

 できればやらない方がいい。でも総理が決めたら、やるしかないでしょう。過去に追加経済対策の補正をやって、与党の支持率が下がったということはおそらくないでしょう。心理的な側面もあり、追加経済対策の補正が成立すると、目に見えて、繁華街などは人が出ます。

 とにもかくにも、ひとつひとつ、乗り越えていくしかありません。年末年始。民主党にしろ自民党にしろ、選挙が不安な人は、予算編成も税制改正も先輩に任せて、早めに帰った方がよさそうです。

 民主党大会は北澤俊美実行委員長のもと、2012年1月16日(月)に開催し、党規約と代表選挙規程を改定します。自民党大会は1月22日(日)。第4次補正予算案の提出を総理が明言しているので、おそらくこの民主党大会と自民党大会の間の期間に第180通常国会が召集される可能性が高いのではないかと予想しています。第180通常国会では、消費増税準備法案と平成24年度の特例公債法案の審議や採決をめぐって解散・総選挙含みの展開になるのは確実です。自民党はすでに230以上の選挙区で公認・推薦候補が準備済みのようです。民主党は積み残しの行財政改革について法案化したうえで抜き打ち解散というシナリオも否定できないません。私たち有権者もそろそろ、第46回総選挙の小選挙区・比例代表等票先の決定や他の有権者への働きかけの情報収集・整理に取りかかる時期を迎えています。

asahi.com(朝日新聞社):4次補正予算編成、首相が指示 総額2兆円超 - 政治

 野田佳彦首相は1日午前、首相官邸で安住淳財務相と会談し、今年度第4次補正予算案の編成を指示した。総額2兆円超で、円高対策や被災地の二重ローン対策などを盛り込み、来年の通常国会の冒頭に提出する。

 安住氏が会談後、明らかにした。補正予算の編成が4次にわたるのは1947年度以来。首相は「12月中旬までに閣議決定できるよう組んでほしい」と指示した。

 4次補正ではこのほか、タイの洪水対策を支援し、自治体向けに交付税を追加する。安住氏はまた、環太平洋経済連携協定(TPP)の参加をにらみ、国内農業の競争力強化策を盛り込む意向も示した。

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