【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

自民党本部が衆議院事務局の土地を不法かつ無償で占有 47年間

2011年12月05日 17時42分16秒 | その他

【衆院予算委員会 「政治とカネ」集中審議 2011年12月5日(月)】

 第171通常国会(麻生内閣、追い込まれ解散)で、野党・民主党の鳩山由紀夫幹事長が施政方針演説に対する代表質問でNHK入り本会議で暴露した内容を事前に用意していた登記簿でご紹介したエントリー「◎「自民党本部は国有地、土地を返せ」と鳩山幹事長 登記簿も公開します!」は政権交代に向けて多くの反響をいただきました。

 きょうの衆院予算委員会で民主党の村越祐民さんが新しい事実を暴露しました。私は自民党本部の底地はすべて「大蔵省」(財務省理財局)だと思っていたのですが、一部分は衆議院事務局の土地だったことが分かりました。これは1964年の東京オリンピックから47年間使用していましたが、鬼塚誠・衆議院事務総長は参考人として「使用許可は出していない」と答弁しました。また財務省の田中一穂・理財局長は「この土地は普通財産ではなく行政財産だ」と答弁しました。

 これによると、池田勇人総裁(首相)の下、前尾繁三郎幹事長ないしは三木武夫幹事長の時代から、自民党が不法かつ無償で土地を占有してきたことになります。政権党時代は、衆議院の委員長が多かったので、委員長車(運転手は衆議院職員)がとまる場所が必要だったとの弁明も、自民党から出ています。

 村越さんは、独自の試算として16億円程度の過去の賃料を国庫に払ったうえで、土地を国庫に返すべきだとしました。「かつて栄華強勢を誇った政党の矜持を示すべきだ」と述べました。村越さんは自民党を「占有屋まがい」と批判しました。

 財務大臣の安住淳さんは「自民党にも問題がありますが、この問題を放置してきたとしたら、衆議院にも問題がある。(議員による)議院運営委員会だけでなく、事務方に行政財産を扱う資格があるのか」と、衆議院事務局職員を叱責しました。

 ところで、衆議院事務局は「国会前庭」と「憲政記念館」という別筆の土地を管理していますが、両方に同じ看板を出しています。「国会前庭・憲政記念館」という同じ看板です。先日、私は憲政記念館の「大正デモクラシー展」に向かったとき、ずいぶん道に迷ってしまいました。このように、衆議院事務局はちゃんと看板を出している土地も含めて、土地管理のだらしなさが目立ちます。

 「憲政記念館」は東京都千代田区永田町1丁目1番地
 「国会前庭」は 東京都千代田区永田町1丁目2番地

という別筆の土地のはずです。そこに「国会前庭・憲政記念館」という同じ看板を出していて、あまりにもずさんです。


[写真]「憲政記念館利用案内・国会前庭利用案内」と書かれた看板(筆者撮影)。これは永田町1丁目2番地。しかし、憲政記念館は実際には永田町1丁目1番地にあり、同じ看板が立っている。衆議院事務局の土地管理のずさんさがうかがえる。

 政権交代によるドブさらいで、また新しいヘドロ(情報)が出てきました。細川・羽田内閣の1年間を除いて54年間の自民党一党独裁政治を許した多くの有権者はけっして目を背けてはいけません。その代償がどれだけ大きかったか。そして、民主党国会対策委員会はきょうの村越質問の事実関係を今国会召集前には把握し、「来週辺りから大騒ぎになる」(国対幹部)と大喜びしたのに、あまり大騒ぎにならないのはなぜか。胸に手をあてて考えてみるべきです。小沢問題の放置がどれだけ大やけどになったか。情報を出す時期も下手なんですよ。自民党、衆議院事務局だけでなく民主党も大いに反省すべきです。村越さんは最初から小沢批判をしていましたから、いいです。しかし村越さんを批判したり、馬鹿にしたりしていた人たちは解散を控えた今、どんな気持ちなのでしょうか。それが政権交代ある政治の厳しさなんですよ。だから、衆議院民主党から、松沢成文さん、上田清司さん、北橋健治さん、河村たかしさん、といわゆる優秀な順に首長に転出していったのです。彼らがいて、一見「KY」な発言をしてくれたら、どれだけ与党が楽になったか。自民党長期政権の後ろ半分はハマコーのおかげです。ハマコーすらいない民主党。村越さん、これからも頑張ってください。見て見ぬふりをするか、闘うか。この2年半、小沢問題で、誰がどのとき、どういう行動をとったか、私は覚えておくことにします。

 二大政党の正念場を迎えています。しっかりと国民の声を聞き、組織の足腰を鍛える。民主党に限れば、もっと日本国憲法と国家行政組織法と衆議院と参議院両院の各会派議席数を読んで、勉強する。この冬を乗り越えられるかどうか。政権交代ある二大政党デモクラシーの正念場です。
 
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