インターネット上の「小沢信者」のみなさんはさぞ大喜びの年越しでしょう。
年末恒例ということで、鈴木宗男前衆院議員らが新党大地を改組した「大地・真民主党」を結党するようです。国会議員は昨年の通常国会冒頭や初当選など第45期衆議院で「民主党・無所属クラブ」のメンバーだった時期が長い3衆院議員と、民主党・新緑風会だった民主党議員1人と新党日本議員1人の合計5人です。政務三役でただ一人6月2日の不信任案で造反(欠席)した内山晃さんら9人の民主党所属議員が離党届を出しました。これは小沢グループが7人、鳩山グループが2人です。2月17日の会派離脱でリーダー格を務めた渡辺浩一郎さんも加わりました。このとき、幹事長役を務めた議員や、黒幕の元小沢議員秘書は離党しませんでした。ただ、渡辺氏は6月2日の不信任案に反対しており、処分が見送られ、党務のポストを得ていました。いったんおとなしくした上で、再び党を裏切ったことで、「極限状態では一度裏切る者は二度裏切る」という政治の鉄則が証明されました。ちなみに、内山リーダーは58歳ですが、国会では当選3回生以下はおおむね「若手」と呼ばれます。民主党・新緑風会から2人の離脱者が出たことで、参議院での民主党と公明党の総数は「123議席(平田議長除く)」となりました。これにより、私が昨年7月の衆参ねじれ以降主張していた「民主党・公明党連携」は残り2議席というデッドラインまで近づいてきました。なお、群馬県連代表代行である衆院議員は小沢氏とは犬猿の仲で知られ、「内山新党」とは別の動きです。
二大政党の機関紙の新年号がそろいました。
民主党の機関紙(月2回発行)「プレス民主第271号」は、野田佳彦首相(党代表)の写真に、「希望と誇りある日本を取り戻すため思い切った政策を展開していく」。この新聞は「見出しが用言止め」という他の新聞にない画期的な編集ですが、来年もそれを踏襲するようです。
特集は「党副代表に聞く」で、北澤俊美、直嶋正行、田中慶秋各副代表らの年頭所感が載っています。
このなかで、2012年定期党大会実行委委員長(2012年1月16日)でもある北澤さんは、ことしの第177通常国会について「3・11の東日本大震災対応で何とか対面を取り繕うことができました」という歯に衣着せぬするどい分析をしています。そのうえで、「今年(2012年)の通常国会は大きな困難が予想されます。一歩間違えれば政権は完全に行き詰まるでしょう」と警鐘を鳴らしました。
そのうで、危機を打開する「北澤3策」を打ち出しました。
① 全民主党議員が与党の責任を自覚し一致団結すること。
② 通常国会開会前に綿密な計画を立てること。公務員給与など国民の理解が得やすい法案を多数を持つ衆院で通し参院に送り、反対する野党の姿を国民の前に示し、参院のあり方をも問うべきです。
③ 上に示した②の強攻策を行えば国会が全て止まる、という敗北主義から脱すること。今はまさに民主党の危機を自覚するときです。
としました。北澤3策には複数のポイントが潜んでいます。まず、党結党メンバーの長老として、若手議員に自重を呼びかけたことです。次に綿密な計画を立てるよう、党国対や全議員に計画性を求めたことです。そして、盟友である岡田克也さんが幹事長としてつくった「3党協議体制」を壊して、第46回衆院選(小選挙区)に向けて、二大政党が対立し、その姿を国民の前にさらす武闘派路線を求めました。そして、衆院で法案を通した上で、野党が多数をしめる参議院の姿を国民にさらすことで、参議院のあり方を問う、としていることです。
北澤さんは参議院議員ですが、現在は会派でも院でも無役です。そのような立場から参議院からお給料をもらいながら、「参議院のあり方を問う」という大胆な提言をしています。そして長野県連代表に復帰しました。北澤さんは第45回衆院選で、長野県内全選挙区で完全勝利(小選挙区で当選のうえ、対抗馬の自民党候補を比例復活させない完全勝利)を実現しました。しかし、長野3区の羽田孜さんの世襲問題があるほか、定数是正で選挙区が1増(当然、選挙区割りが大幅に変更される)、あるいは定数是正がなくても、1区や2区の人口が多い一方、4区、5区は人口が少なく、平成の大合併で基礎自治体が2つ以上の選挙区に分かれている状況もあり、選挙状況が大きく変わる可能性があります。そもそも前回と同じ結果でも「現状維持」ですから、厳しい守備戦を迫られています。それはさておき、2012年、平成24年の国会です。これは私は北澤3策でやっていくしかない。郵政と公務員は3党協議をやってもらえるかもしれませんが、そこまで。衆議院で強行採決を繰り返し、参議院に決断を迫る。強行採決の順番で、法案の荷崩れをおこしてはいけません。徹底的に攻めて攻めて攻めまくり、解散する。それしかありません。なお、3党協議体制が限界を迎えていることは、実は創設者である岡田・最高顧問自身も認めていて、常任幹事会でもあるタイミングで、3党協議からの展開を容認すると思われます。
自民党の機関紙(週刊)の「自由民主」の第2493号は「平成24年新春 自民党はこうする」と題して、谷垣禎一・影の首相(総裁)がイチバンのポーズで演説する姿を打ち出しました。新春インタビューは、党新聞出版局長の関口昌一・参院議員。関口さんは昨年7月の参院選で、埼玉選挙区でトップ当選しましたが、谷垣さんの応援演説の際に、関口候補自ら谷垣総裁の手をにぎり上に持ち上げるシーンがテレビで報道しました。谷垣さんははにかんだ表情。関口さんは歯科医でもある現職でしたが、候補者が党幹部の手を持ち、上に持ち上げるというシーンは民主党では見かけない姿です。
さて。谷垣さんは民主党の現状について、「鳩山由紀夫、菅直人の両総理のときは、「自民党と違うことをやる」という強い意識がありました」としました。そのうえで、「今、民主党は「自民党と違うことをやる」というアイデンティティーを失い、何をしたいのか、どうしたらいいのかが分からない状況になっています。いわばアイデンティティー・クライシス(自己喪失)に陥っているといえます。これが民主党内の混乱の原因です」と語りました。
自民党に関しては「わが党が野党になった原因の一つは、長い間政権にいたことによって「与党であること」自体がアイデンティティーになっていたことです。そこで、「自民党は何をする政党なのか」をきちっとするために新綱領を作りました。それから、良い人材が集まらなければ党を再生することができないということから人材育成に力を入れました。今、都道府県連では、続々と政治学校が開校され、これまで政治に縁遠かった人たちが集まり、それと連携する形で、その卒業生が候補者公募に応募する動きが広がっています。また、わが党の強みは、それぞれの議員が地域に根差していることです。こうしたことは今後も徹底してやっていく必要があります。特に若い人たちにはさらに地域に溶け込む努力をしてもらいたい。そこで暮らす人々の喜びや悲しみを受け止められるということは、保守政治家として大変重要な要素です。そうした郷土愛の延長線上に愛国心があります」としました。
そのうえで「私から見ると、民主党の議員は国やふるさとへの愛情が薄いと言わざるを得ません」「国や国民への愛情が足らない人に政治を任せておいてはこの難局を乗り切れないという気持ちです」としました。
ところで、自由民主には、新年の名刺広告が載っています。合計84枚です。例えば掲載順に、全国不動産政治連盟、日本薬業政治連盟、日本歯科技工士連盟、日本看護連盟、全日本不動産政治連盟、全国農業者農政運動組織連盟、日本柔道整復師連盟、日本税理士政治連盟、全国建設業協会、日本退職公務員連盟、全日本トラック協会、日本自動車工業会、TKC全国政経研究会、日本酪農政治連盟、日本歯科医師連盟などが広告を出しています。ちなみにこのなかの一つは会長として、民主党政務三役のお父さんの名前もみられます。民主党の1期生議員や秘書の連中の一部には、これらの団体が自民党機関紙に名刺広告を出していることに驚きを感じる人もいるでしょう。与党になったとたんにこういった各種団体からの優しい声に気持ちよくなってしまった乞食体質の驕りが今まさに、民主党が政権を失いかねない現実に直面し、与党であれ野党であれ自らの職を失うのではないという不安におののく身から出た錆につながっているのだ、と私は感じてます。私は前々からそうなると思っていました。
公明党の機関紙(日刊)の公明新聞第15901号は、新年号の予告を載せました。1面に「ネットワーク力こそ日本再建の力」と題する山口那津男代表の新春対談、中面には、「社会保障と税の一体改革と公明党-石井啓一政務調査会長に聞く」、「3議員新春鼎談、女性が党勢拡大の先頭に」、「楽観主義は心のエンジン=楽天家で生きる6つのコツ」とする創価大学教授のエッセイ、新春パズル、ロンドン五輪特集、三が日のテレビ番組表、「負けねど!東北“希望の春”はきっと来る!」などの特集のほか、「暮らしの現場を駆ける 次期衆院選に挑む小選挙区予定候補」などが掲載される、と予告しています。
さて、もう一度プレス民主に戻ります。24の県連の新年の抱負が載っています。その中で、民主党徳島県連は「スタッフの団結が党の強化につながる プロ集団が力をあわせて党を強く大きくする」と用言止めの見出し。そして、「県連3人、(1区の)仙谷由人事務所の6人、(2区の)高井美穂事務所4人、(3区の)仁木博文事務所4人、(参院全県区の)中谷智司事務所3人の構成で、県連と国会議員事務所スタッフの合計は20人。1997年に「旧民主党徳島」が誕生した当時に比べ、そのスタッフ数は4倍以上に増えました。「昔日の思いがするなあ」とは仙谷由人代議士がこのスタッフ連を見て漏らしたひと言。スタッフはプロの集団。ポスターからビラ、似顔絵まで一手に引き受ける宣伝担当、元保守政党の秘書を務め、保守層への浸透を図る保守担当者、集会・イベント・選挙、なんでもござれの歴戦の勇士たち。この20人が企画をたて、また走り回って党を強く、大きくしてきました。このスタッフが一堂に会して、連休を利用した1泊2日の小旅行を1年に1度計画し続けている。スローガンは「スタッフの団結こそ、党の強化」です」と書いています。たまたま、東京都連が隣りに載っていますが、都連は、被災地石巻で花火大会を連合東京の皆様とのご協力で無事開催し、子どもたちに一時でも笑顔になったもらおう、ということがうんたかんたら書いてあります。私は民主党が目指す「政治を国民の手に取り戻す」という本来の姿、目指すべき姿は、徳島県連の記事に感じました。選挙区の大きさで、一概には言えませんが、なんだかんだ言われても仙谷さんが評価されるのは、ここにあると思います。公明党や自民党ほどの組織はない。それは地方議員は、税金から給料をもらっていますから、いくら政党交付金が党本部経由で降りてきても限界があります。いますぐ地方議員を拡大できないからこそ、逆に「仕分け」ができるという発想の転換が仙谷さんにはあるでしょう。新しい組織をつくり、「昔日の感」を持つのは楽しいことです。どうせ、小沢グループは、会社に入れず、会社を興す気概もなく、ただ単に生活のために、民主党に入っているんでしょう。ところが、大企業のような組織がない。それに不満を持つのでしょうが、私はかなりいろいろな企業を見てきましたが、小沢グループが新党をつくったって、落選後、雇うような社長は一人もいませんよ。だから、新進党で、旧自民党、旧公明党にいろいろ教えてもらいながら政権交代をめざしていたら、2000年、ないしは2003年ぐらいまでには政権交代して、日本を救うことができたという私の考えは妥当だと、自分では思っています。
年末年始、まずは新進党を解党した小沢一郎さんの息の根を止める。そして脱出を認めた上で、小沢グループを根絶やしにする。
民主党支持者、自民党支持者、公明党支持者(創価学会員)の共通の敵は小沢一郎さんであることは間違いありません。
2012年、平成24年、まずは小沢一郎さんの息の根を止め、小沢グループを根絶やしにし、小沢信者を倒す。がれきの処理ですね。そして総選挙です。
ともに、日本を再生していきましょう。
小沢の息の根を止めさえすれば、まあ、なんとかなるものです。
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