【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

大震災イヤー国会いよいよ最終週 289日間できっちり年の納めを

2011年12月04日 16時13分12秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 東日本大震災の復旧・復興に明け暮れた2011年(平成23年)の国会も今週が最終週となりました。第179回国会の会期末12月9日(金)で今年通算289日目となります。

 「震災国会」(横路孝弘・衆院議長のあいさつ)となった第177通常国会は220日間、野田佳彦新首相が所信表明した第178臨時国会が18日間、そして第3次補正と復興債・復興特区などが成立した第179臨時国会が51日間となります。

 第177通常国会の4月以降、民主党・自民党・公明党の3党協議のしくみができました。

 修正協議が仕上がっていて審議を待っているのが、

 第174国会閣法60号の「労働者派遣法改正案」です。

 現在、修正協議が進んでいるのが、

 第176国会閣法1~3号の「日本郵政改革関連法案」
 第177国会閣法74号~80号の「国家公務員給与引き下げ・人事院廃止関連法案」
 第179国会閣法1号「復興庁設置法案」

 などです。

 私にはこれらが日本未来にとって、どうしても必要な法律(案)とは思えないのです。延長してまで成立させることはない、という意味です。

 ただ、こういうのは走り続けている人たちは気付かないのですが、例えば国家公務員給与引き下げ関連法案は人事院を廃止するという内容も盛り込まれており7・8%引き下げという劇薬を断行するならば、マニフェストに入れて総選挙後の特別国会でやらないと断行できないでしょう。

 郵政関連3法案は、郵便局と郵便事業を本体に統合し、ゆうちょとかんぽの事務を一緒にできるようにし政府の持ち株比率を「100%」から「3分の1」に引き下げるものです。だから、郵政民営化のプロセスを進める法案ですが、これは第44回総選挙の民意である郵政民営プロセスを逆行させる法案だと勘違いしている有権者が多いです。勘違いしている有権者が多いのは政治家の責任でもあり、ていねいに「説得」する時間が必要です。

 復興庁に関しては他府省への勧告権限と出先機関をもつ省をつくるというもので、私に言わせれば、昔の総務庁程度のつまらない官庁にすぎない。地区においては他省を乗り越えるスーパー官庁、いわば沖縄開発庁方式でつくらないといけないでしょう。復興庁設置法が成立しないと、東北が復興しないということはありません。

 自民党幹事長の石原伸晃さんはいわゆる3点セット(復興債、復興特区、復興庁)は自民党(と公明党の)発案だから、国益に資するために、それが出来上がるまでは政府に協力すると言っています。郵政改革関連3法案が成立する国民新党は存在意義を失います。

 なので、これら各法案は、第180通常国会で修正法案を審議・採決すればいいのではないでしょうか。第4次補正が出ますので、それと当初予算審議の間にわずかに大臣の体が空きます。この時間と場所を活用する。朝9時から衆参予算委員会があるのなら、朝8時から委員会をやればいいだけの話です。予算が通過するときに本会議が必ず開かれますから、そこに上程すればいいでしょう。そうでないと、後半国会は解散含みになります。民自公の実務者はしっかりと委員会の開催日程まで責任を持ってほしい。

 一方、平成21年度決算(案)と平成22年度決算(案)については、これがあるうちは解散に臨めないと考えたい。ですから、これは年末年始に閉会中審査をして仕上げるべきです。衆院決算行政監視委員会も、参院決算委員会も突貫工事です。全般審査の後の省別審査には財務大臣の同席はいりませんから、財務大臣には予算の組み上げと税制改正に没頭してもらって、大臣を呼ぶ。

 震災によるスピードアップとインターネット審議中継による可視化で、衆参、与野党とも特定の議員に質問の機会も実務者としての苦労も集中する「正念場」となっています。議員の疲労感も大きい。官僚の疲労感も大きい。とはいえ、走り続けていく中で見えなくなる物もあるようです。衆・決算行監委で、「政権交代直後は民主党政府が自民党政権の決算を仕分けていたから良いが、今は民主党政府が民主党政府が組んだ予算を仕分けていておかしい」と指摘された蓮舫・行政刷新相はホンキで驚いたようです。これは分かりそうなもので、走り続けている人は見えなくなるものです。震災国会で、法案の修正協議で何もできなかった議員は、当選回数に関係なくいっぱいいます。そういう人も含めて、年末年始は地元を回る時間も必要ですし、その中で見えてくる物もある。

 1975年には、三木武夫内閣が国会を296日間開きました。しかしこれは波乱の予兆でした。1975年末召集の第77回通常国会は、「ロッキード事件で前後47日間におよび審議の空白と予算成立の5月へのずれ込み」で「国会史上極めて異例な常会であった」(議会制度百年史)と振り返られています。そして、三木内閣は現行憲法下で唯一、解散権を行使できずに任期満了による第34回衆院選を施行しました。結果、過半数を失いました。やはりダラダラやるのははよくありません。同じ理由で、4次補正をやるからという理由で、第180通常国会をあまりにも早い時期に召集させるのも得策ではありません。参院の問題があるとは言え、衆院では議席占有率63%の大与党なのですから、あわてずゆっくりと泰然自若で取り組むべきです。

 12月9日(金)でしっかりきっちり、年の納めをしてほしいと思います。有権者がどう判断するかは別ですが、衆参も、与野党も、2011年震災国会は「終わり良ければすべて良し」ということにしないといけません。

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