宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎運命の人岡田克也、「日米同盟毀損や石油高騰で集団的自衛権」、最高裁「沖縄密約文書不存在」確定

2014年07月14日 18時37分03秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[写真]沖縄密約文書廃棄の首謀者ともくされる、谷内正太郎・国家安全保障局長(元外務次官)、自民党の菅義偉・官房長官、安倍総裁(首相)、礒崎陽輔・総理補佐官(参議院議員、2019年改選、大分)=首相官邸ウェブサイト。左は、新自衛権発動の3要件の見直しを求める、岡田克也さん、2014年7月14日(月)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【衆議院予算委員会第186通常国会の閉会中審査 2014年7月14日(月)】

 岡田克也さんがお誕生日を迎えました。

 同じ誕生日である、あの若々しい俳優の水谷豊さんはきょうで62歳ですが、岡田さんはさらに一回り若いことになります(一回り=地球の公転一回り)。

 2014年7月1日の閣議決定以降、すでに激論となっていますが、国民の代表である国会、民主党の出番はこれが初めて。そして総理は来年の通常国会以降に法案を出すと言っているので、長い闘いのスタートです。不安な親御さん、私にお任せ下さい!

 岡田さんの質問で3つの大事な答弁が出ました。

 新自衛権発動(武力行使)の新3要件の「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき」の解釈。

 岡田さんが「日米同盟が覆される事態は新3要件にあてはまるか」と聞くと、岸田外相は「新3要件にあてはまる可能性が高い」と答弁。だったら、今の大統領はそんな人ではありませんが、次の次のアメリカ大統領が「日米同盟破棄するぞ」と脅して来たら、自衛隊を派遣しなければいけなくなるのではないでしょうか。

 「歯止め3原則にともない自衛隊を派遣して、国連安保理決議に制裁決議が出た場合は、そこから先は、憲法9条を超えて、国際法にもとづき行動することになるのではないか」との趣旨の追及に対して、横畠裕介・内閣法制局長官は「国連決議が出た場合は、憲法9条は無効になる」という趣旨の答弁をしました。

 さらに「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」について、安倍首相はたびたび、ホルムズ海峡が機雷封鎖されると、日本への石油の8割、天然ガスの2割強が入らなくなるとして、国際法上武力行使とされる「機雷除去」をする可能性に言及。岡田さんに対して、「そのときの国際情勢も政府の判断材料の一つになる」として、「原油価格の上昇など国際経済環境、価格状況による打撃は、結果として中小企業が被害を受け、多くの企業が倒産し、多くの人が失業するという状況になるので総合的に判断する」と答弁。つまり、石油が高くなって、中小企業が倒産し、失業するから、自衛隊をホルムズ海峡に派遣し、武力行使である「機雷除去」をするととらえられる珍答弁。一般傍聴席でも大きな笑いが起きました。これは、法案提出が来年になったから笑えるわけですが。

 これに先立つ、自民党の高村正彦元外相の質疑では、「前回の1997年のガイドライン(日米防衛協力の指針)改定を反映した法改正は1999年までかかった。こういった側面からも私も(年末とされる)ガイドライン再改定後の法案提出でいいと思う」としました。「今まではアメリカに任せておけば良かったが、これからもアメリカに任せておいていいのか」という問いに、岸田現外相は「国際社会におけるアメリカの地位は変化しており(低下しており)、日本は積極的平和主義、アメリカはリバランス政策をとっている」として、あっさりとアメリカの軍事力の補完のための集団的自衛権であることを認めました。

 また高村自民党副総裁が「アメリカの青年の血を流して、日本を助けることが許されるのか」と語ると、安倍総裁が「アメリカの兵士には大切な命や家族がいるんです」と語り、いったい自民党はどこの国の青年の生命を守る政党なのかと疑問を感じました。

 民主党の海江田万里代表が、日独伊三国同盟によりアメリカへの抑止力を得ようとしたところ、結果的に、アメリカとの戦争となった安全保障のディレンマについて、安倍首相が「1930年代、1940年代と現在は違うんですよ。日米同盟と日独伊三国同盟を同じにしていいんですか。野党第1党党首(ネクスト総理)として間違っていますよ。抑止力を認めないというこのは、さすが民主党だと(いう皮肉を)感じる」と大声を張り出す、許しがたい場面がありました。

 あすは参議院予算委員会。その後の国会審議は未定ですが、これから2年ぐらいかけて、議論が続きそうです。ただ、ガイドライン再改定で既定事実化してしまう可能性があるほか、かなり不安が広がっているようです。

 さて、きょうの審議にはありませんでしたが、「米艦船が火だるまになっているときに日本自衛隊が何もしなくていいのか」とアメリカ高官に安倍さんや高村さんがいわれたことが集団的自衛権行使容認へのきっかけではないかとの情報もあります。アーミテージだとすると、国務副長官は大統領に直接書簡が出せると思いますが、実際に大統領に書簡を出し、大統領が読んだ記録とメモが残っているかどうか気になるところです。日本では、進駐軍時代に、一高官の「山崎首相案」が機関決定でないことを、吉田茂与党党首と1期生田中角栄議員が見破ったという痛快事がありました。仮にアーミテージの書簡があるとすれば、アメリカは30年後公開ルールですから、あと18年後ぐらいに公開されることになります。けっこうすぐです。

 さて、私は途中で衆議院第一委員室を出て、最高裁判所に行きました。ちなみに、国会議事堂から最高裁の間には、参議院第二別館と国立国会図書館。そして唯一の民間ビルとして、三宅坂ビルがあり、ここに民主党本部が入っています。まさに、民主党本部は、公の中に位置する、私の味方という感じです。

 最高裁では、西山記者事件で、刑事ではなく、民事、行政訴訟として、沖縄密約文書の情報公開法に基づく公文書開示を国(財務省、外務省)に求めた平成24年(行ヒ)第33号事件「文書不開示決定処分取消等請求事件」の確定判決がありました。

 岡田克也外務大臣が登庁直後に国家行政組織法第12条などにもとづく大臣命令で全容が解明された沖縄密約文書。情報公開法は「施行時に各省が所有する行政文書と、施行以降に個人的メモも含めて作成した公文書(官報、白書を除く)」が対象となっています。このため、情報公開法施行直前に、外務省では、公文書が廃棄(デストロイ)されたとされ、沖縄密約だけでなく、太平洋戦争の宣戦布告の暗号電文なども廃棄されたのではないかとされます。これを指揮したのが、谷内正太郎さんとされています。そして、特定秘密保護法を審議した同じ委員会で審議・成立した日本版NSC(国家安全保障会議)事務局の初代局長となっています。 



[写真]沖縄密約文書の廃棄を命令したとされる谷内正太郎日本版NSC初代事務局長(元外務事務次官)と自民党総裁の安倍晋三首相、首相官邸ウェブサイトから。

 小法廷では、私の1列前の2席左に西山太吉記者を初めて見ました。大変迫力があり、元気そうな方でした。また、西山原告側弁護士が小保方さんの代理人で有名な弁護士で、あとは、女性弁護士と、若手男性弁護士の3人でなんとなく余裕がある感じでした。国側弁護士は1人で、やり手風ですが、とてもやつれて余裕がない風情でした。

 裁判官は、千葉裁判官、小泉裁判官、鬼丸かおる裁判官、そして民主党政権野田内閣の内閣法制局長官だった山本庸幸・裁判官(昭和48年通産省)の4人。山本さんが、黒い法服姿で、冒頭のカメラ撮影中に口を真一文字にしていて、プリティに感じました。

 判決文は「本件上告を棄却する。上告費用は原告の負担とする」だけでした。これは小法廷で開いている以上、分かり切った判決でした。逆に言えば、これにより、沖縄密約文書が廃棄されたことで不存在だ、と確定したともいえるでしょう。

 違法行為ではありませんが、政権交代なき政治のもと公文書の廃棄を許してしまいました。仮に新進党が残っていれば、山一證券破たん後の次の総選挙で政権をとれていてこのような事態を避けられたかもしれません。この事態は政権交代ある政治の導入を遅らせてしまった、おおよそ27歳以上の有権者全員の責任です。

 そして、特定秘密保護法が12月に施行されれば、NSCの文書はほとんどが特定秘密になるでしょう。

 ということは、次の次の大統領が「日米同盟を破棄すると言ってきた」として自衛隊を出しても、その公文書は特定秘密として公開されません。しかし、その30年後に、アメリカで、大統領あての国務省副長官あたりのアイディアに過ぎなかったと判明するかもしれません。

 情報とは民主政治のインフラです。来年は日航機墜落30年ですが、日本では、新しい公文書はたいして公開されないでしょう。

 子ども手当とか、普天間とか、リベラルとか、そんなことじゃなくて、政権交代ある政治は、そのために必要なんです。

 そういえば、7月14日はフランス革命記念日でもありました。

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第4次地方分権一括法で打ち止め 第2次地方分権改革 これからは「手挙げ」「提案募集方式」へ

2014年07月14日 06時06分44秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

 先の通常国会で成立した第4次地方分権一括法(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案)をもって、2006年から始まった「第2次地方分権改革」が「集大成した」と安倍首相(自民党総裁)が打ち止めを宣言したことが分かりました。2014年6月30日(月)の内閣府・地方分権改革シンポジウムで、語りました。14日付日経新聞の月曜恒例の地域総合面(33面)が報じました。

 第1次地方分権改革は、地方分権一括法にもとづき、2000年に「国から地方へ上下関係による機関委任事務」から「国と地方が対等な関係で契約する法定委託事務」へと画期的にかわり地方分権元年となりました。

 小泉内閣の片山虎之助初代総務大臣は、「三位一体の改革」という大胆な命名の改革をしました。国庫補助金(4・7兆円)削減、地方交付税(5・1兆円)削減、税源移譲(3兆円)というかなりきつい改革で、片山虎之助・現参議院総務委員は、今でも審議中に名指しで悪口を言われています。このときは、自民党お得意のプレーで、河村建夫・文部科学大臣が「公立学校教員の給与の国、県折半を、県2、国1に改める」と表明。これに対して、ミリオンセラーを出しているような評論家が、「義務教育の水準は全国一律であるべきで絶対反対だ」との論陣を張りました。私には、国費負担が2分の1から3分の1に下がることで、著しく教員の質が下がるような県が47都道府県中にあるとは思えず、自民党お得意の論理のすりかえに引っかかった人が多かったようです。その後、文部科学省は、少子化により、一学年105万人時代になりながらも、少人数学級や非正規雇用教員の活用で、定員はけっこう確保できていますし、麻生首相、河村官房長官ら、文科族が官邸をしめるようになって、景気対策による学校耐震補強などいろいろ得しているように思えます。

 少し話はそれましたが、第1次地方分権改革では、オーナー創業者の子息であり、また、作曲家・諸井三郎さんの甥でもある、諸井虔・秩父小野田(太平洋セメント)社長がぐいぐいリードしました。第2次地方分権改革では、サラリーマン社長ですが、丹羽・伊藤忠商事社長がぐいぐい引っ張りました。

 第2次地方分権改革は、内閣府の地方分権改革推進会議と全国知事会(おもに会長は山田啓二・京都府知事=昭和52年自治省)の調整がよく、法案提出後はあまり国会でもめなかったように思います。ただ、当初民主党政権は、第1次地域主権一括法案の名前で出したのですが、自民党が衆参ねじれ後つるしてきて、地域主権という名称を法案タイトルから削除するという3党合意により、成立させてきました。この段階的な国から都道府県への権限移譲も、第1次法案から第4次法案まで、4通常国会連続で総務委で審査・可決しました。

 日経記事によると、全国知事会は今後も「農地転用やハローワークの移管を求める」としています。全国市長会は「権限委譲で生じる財政需要に見合った財源措置を確実に講じる」という、これは至極ごもっともとしかいいようがありませんが、そういう要望が6月30日のシンポジウムで出たようです。

 今後は、「提案募集方式」と「手挙げ方式」による地方分権ということになるようで、分権のかたちそのものが、自治体の力次第ということになりそうです。

 国会閉会後、地方議会が話題になっています。東京都議会ではみんなの党女性新人都議が自民党ベテラン都議からセクハラ野次。兵庫県議会では、無所属新人県議が政務活動費の不正使用と、独特のキャラクターによる号泣会見で、辞職しました。私としては、「中選挙区と二元代表制の地方議会なんてこんなもんだろ」という意識でしたが、多くの人が地方議会に興味を持って、来年4月の第18回統一地方選に向かうのは心強い感じがします。私自身は地方議会改革については、これまでも、これからも発信するつもりはありませんが、中選挙区制度の廃止、歳費の適正水準の2点がポイントになるでしょう。

 自民党と公明党の連立政権合意文書の11番目にある「道州制の導入」はあまり研究が進んでいないように思えます。地方分権改革というのは永遠に未完です。正直言って、本当に優秀な人は、地方議会を目指すべきでないと考えます。直接、衆議院、参議院に立候補すべきです。国会において地方議員の経験はまったく無駄どころか、マイナスでしかありません。地方議員としてやりたい、という人は、まずは足もとを見つめ、日々の生活を改善することから始めなければならない。今の日本には余裕がないのですが、いずれにせよ、物事を投げ出さない、粘り強い人にしかできない仕事だと考えます。


企業と自治体の女性登用促進法案、第187臨時国会提出も 政府 2020年までに指導的地位女性を3割に

2014年07月14日 05時38分56秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

 第187秋の臨時国会(2014年9・10月ごろ召集か)に、集団的自衛権行使などの安全保障再整備のための自衛隊法改正法案などが提出されないことが確定的になったため、一部の府省が法案を出そうとやる気になっているようです。暑い夏ですが、国家国民のためになる大所高所の法案を企画してほしいところです。その心意気や、よし。

 14日付読売1面トップは、「女性登用促進へ新法」。「早ければ秋の臨時国会に提出し、成立を目指す」という現場のあわただしさが伝わってくるリード(新聞記事の前文)です。

 記事によると、安倍首相が「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との数値目標を閣議決定した成長戦略に入れていることもあり、企業や自治体に、女性の登用を増やす行動計画をつくるよう求め、新法にもとづき、積極的に女性を登用した企業に対しては、政府が優先的に発注するなど便宜を図るという内容です。

 記事にはありませんが、おそらく、新法による行動計画をつくり達成した企業には、税制上の優遇措置も、今後、税制調査会に対して要望していきたいという思惑もあると考えられます。

 この法律のたてつけは、企業が育児休暇の行動計画をつくり、女性社員の7割以上が育児休暇をとり、男性社員の1人以上が育児休暇をとった企業に「くるみんマーク」を付与して、求人広告に使ったり、税制上の優遇措置がもらえる、「次世代法」(次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法)に似ているので、おそらく同じ部署が書いている法案のように思えます。

 ところで、私自身の経験として、昔の台湾国民党や、中国共産党は、政治体制からして政府より上にある公的機関ですが、明らかに女性の登用を数値目標化していると考えます。私が1993年春に自民党学生部(全国学生交流会)の一員として台湾国民党を訪問したときと、2007年に民主党第1回交流協議機構(兼)第15回長城計画の団員として中国共産党を訪問したときに似た光景を見ました。歓迎宴では、党の部長らが、中華料理店にあるあの円卓に一人ずつつき、会食し、懇談します。男性の部長らは午後5時までと同じであろう背広姿ですが、女性の部長は台湾でも、中国でも、赤いイブニングドレス姿なので、面食らったことがあります。ただ、実際に、党で執務をしている人です。ただ、内外情勢に関する話題では、やや男性の部長と比べて、女性の部長の方が、分からないという風情だったり、日本語が少し苦手なので代わりに日本の歌を歌って場を和ませたりしていました。つまり、アファーマティブ・アクション的に、女性の一定数を必ず部長にするような人事体系をしているのだろうと推測されます。その後、台湾では、反対党(台湾民進党)から女性の副総統も出ていますし、中国も副首相のうちの1人はたいてい女性です。台湾国民党と中国共産党は互いに人的交流がないはずなのに、ともに女性の部長だけ赤いイブニングドレス姿ですが、これは1回購入してしまえば、その後何度でも使えるし、男性よりも目立つから有利と考えられるでしょう。どういう文化的背景によるものかは、両国の政権政党の歓迎宴に参加した経験を持ちながらも、残念ながら現在の私は両国の内情に疎く、文化的背景への洞察力も持ち合わせないので、ちょっとよく分かりません。

 このように、一定の女性を登用する枠をつくってしまえば、女性の副総統や、副首相の人材候補や風土ができるので、とにかくつくればいいでしょう。ぜひ、この法案が秋の臨時国会に提出されることを応援したいです。 

 ◇

 きのう2014年7月13日(日)、2期務めた学者知事の任期満了不出馬による新人3人による滋賀県知事選挙で、三日月大造さんが当選しました。ガソリン値下げ隊員から国土交通副大臣になった人で、航空・鉄道事故調査委員会を運輸安全委員会に改名する法改正に、「透明性を損なう」と反対していた姿が印象的でした。集団的自衛権をめぐる自民党・公明党の暴走にストップをかけました。12日は満月でしたが、翌日夜の三日月当選で潮が変わってきた気配。さあいよいよ大反転攻勢の始まりで、離党していった人たちを後悔させましょう。

 同時にきょう2014年7月14日(月)は岡田克也さんの61歳の誕生日です。午前10時半からは予算委当番ですが、午後3時過ぎには、最高裁判所第2小法廷で、西山太吉さんらが原告となった沖縄密約文書開示請求の確定判決(敗訴の見通し)があります。まさに、岡田克也にとっても、まさに運命の日となりそうです。 


米国防長官「集団的自衛権で自衛を超えた軍事貢献」と評価、自民党と公明党、自衛隊を大義なき人殺しへ

2014年07月12日 18時35分58秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]ヘーゲル米国防長官と小野寺五典防衛大臣、国防総省ウェブサイトから。

 2014年7月11日、安倍内閣の小野寺五典防衛大臣は、米首都ワシントン近郊の国防総省(ペンタゴン)を訪れ、オバマ民主党政権のチャック・ヘーゲル国防長官から「安倍内閣は、自衛隊発足60周年である7月1日に、平和憲法を見直し、集団的自衛権を行使するという、自衛を越えたより大きな軍事貢献をすることを決意した」と語り、「歴史的決断だ」と評価しました。

 ヘーゲル国防長官と小野寺防衛大臣の共同記者会見の4分50秒過ぎから5分半ほどの発言。

 http://www.defense.gov/video/default.aspx?videoid=348999&videotag=Featured+Videos&videopage=1

 国防総省公式ウェブサイトでは、アメリカ軍事報道サービスのガラモネ記者(Twitterアカウント@GaramoneDODNews が

 「日本政府は、自衛を超えたより大きな軍事的責任をとることを目的にして、平和主義者憲法を再解釈することを宣言した(the government in Tokyo announced it would reinterpret the country’s pacifist constitution to allow Japan to take on greater military responsibilities beyond self-defense)」と書きました。(http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=122655)

 安倍首相の説明とは異なっています。

 これにより、7月1日の閣議決定が、我が国自衛隊が、米国アメリカ(United States)
と一緒に「集団的自衛権」の名の下に国連(United Nations)のお墨付きで、ベトナム、イラク、アフガニスタンなどで景気対策のために大義なき人殺しをするものであることが明らかになりました。

 国会は、日本時間あさって7月14日(月)午前9時から、自民党の高村正彦与党協議会座長、公明党の北側一雄座長代理につづいて、我が党(民主党)の海江田万里ネクスト首相と岡田克也・予算委員が登場します。「平和と福祉の党」である民主党が若き自衛官諸君の無駄死にを防ぐことになります。第47回衆議院議員総選挙に向けて、国民と民主党の二人三脚がスタートします。

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7月14日に生まれて・・・衆議院予算委が集団的自衛権閉会中審査、高村、北側、万里、岡田克也さんが登場

2014年07月11日 15時15分28秒 | 岡田克也、旅の途中

 2014年7月14日は、戦後衆議院で最大の歴史的審議となりそうです。

 衆議院予算委員会(二階俊博委員長)は、14日(月)午前9時から、閉会中審査(予算実施状況の国政調査)を行うことにしました。

 午前9時開議で、集団的自衛権を行使して、アメリカの戦争に我が国自衛隊が加担することになる、7月1日の「国の存立を全うし、国民を守るための、切れ目のない安全保障法制を整備する閣議決定」 について、審査します。

 自民党からは高村正彦・与党協議会座長、公明党からは北側一雄・同座長代理が質問。

 午前10時半過ぎからは、我が党(民主党)の海江田万里ネクスト総理、午前11時半から午後1時半までは岡田克也予算委員が質問することになりました。 

 話は急に変わりますが、水谷豊さんって若いですよね。子役デビューで、あれだけ長く活躍している芸能人はまれでしょう。奥様は、私の高校の先輩ですが、立派な方ですよね。「相棒」はとてもシナリオが良くできているので、見ると社会勉強になることも長く愛される理由でしょう。


[画像]若い水谷豊さんが主演の映画「相棒 劇場版Ⅲ 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」、テレビ朝日ウェブサイトから。

 その若い水谷豊さんは、14日が誕生日で、62歳になるそうです。

 岡田克也さんも14日が誕生日ですが、その若い水谷豊さんよりも、1歳年下になります。

 14日は午後3時半開廷(傍聴希望者は午後2時50分必着)で最高裁判所で、西山太吉さんら原告の沖縄密約文書の情報公開請求の判決があります。

 まさにさまざまな運命が岡田克也さんの2014年7月14日に集まってきた感じで、日本の命運は岡田克也に全部お任せ!といった風情です。

 昨年、(民主党大統領が投下した)広島原爆の惨状を長期間取材した、オリバーストーン監督の(民主党大統領が始めた)ベトナム戦争映画「7月4日に生まれて」は、(以下、ネタバレ)集団的自衛権の行使のためのベトナム戦争が泥沼になり、傷痍軍人となって帰国したのに、白い目で見られ、ドラッグにおぼれていきながらも、自分を取り戻して、共和党大統領候補に立候補する映画です。この映画は、「ファックユー」という放送禁止用語がおそらく200回ぐらい出てくるので、テレビでは放送されませんが、同監督の「プラトーン」に次いで必見の映画です。7月4日とは、アメリカ独立記念日のことです。

 一方、7月14日はフランス革命記念日ということで、岡田さんが血の気が多いこととも関係しているかもしれませんが、海江田万里さんという相棒に忠誠をつくしながら、国のために、平和主義のために、野党で奮闘する岡田さんの8期目の忘れられない国会になるかもしれません。

  


刑事訴訟法・刑法など改正の「可視化」「司法取引」法案が第189通常国会提出へ、成立時期ずれ込みも

2014年07月10日 05時25分54秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 刑事事件の2~3%にあたる殺人など裁判員対象事件や、特捜部独自捜査事件での、取り調べの可視化・録画録音を義務付けるとともに、経済事件での司法取引や、通信傍受法の対象を拡大するなどの、刑法・刑事訴訟法・通信傍受法などの改正の答申案を法制審議会の部会が2014年7月9日まとめました。秋の法制審総会で法相に提出するはこび。刑法・刑事訴訟法・通信傍受法などの改正法案は、第189回通常国会(2015年1月召集)に提出する見通し。

 法制審の他の部会が進めている、民法債権編(債権法)の施行以来120年ぶりの大改正法案の要綱と同じく、「骨抜き」があるようです。ともに民主党政権の法相が法制審に答申し、数年かけている間に、自民党政権となって官僚、既得権益者、審議会委員、族議員らにより骨抜きされてしまった要綱となったようです。

 さらに、来年の通常国会で両方が議論されるとなると、ともに成立させるのは、至難の業となりそうです。

 ただ、第46期衆議院では、法務省提出法案が増えており、第2次安倍内閣の法案のうち、提出から成立までもっとも時間がかかっている「テロ組織への資金提供禁止法案」(183閣法30号)は、衆・法務委が1日審査しただけで、継続審査となっています。

 もともと、債権法改正は2009年に千葉法相、刑事訴訟法改正は2011年に江田法相が法制審に諮問した順になります。ともに重要法案であり、衆議院先議になる見通し。

 さらに、法務省関係で特別委員会が設けられたことはありませんし、だいいち、答弁に立つ法務大臣は一人です。内閣法制局は第2部が担当しますが、集団的自衛権を行使する自衛隊法など安保法制再整備法案も第2部の担当になります。民法改正と刑法改正を通常国会の衆議院予算通過後に審議入りしても、会期内に参議院で両方成立させるのは常識的に不可能と考えられます。性質からして、与野党など議院修正はかなり難しい法案です。法務省内の「刑事局は民事局よりも偉い」という対立が白日のもとにさらされるかもしれません。

 債権法では「会社・社長以外の連帯保証人を無効とする」、刑訴法では「全事件を可視化する」という部分は骨抜きになっており、民主党の対応が焦点になりそうです。いずれにせよ、両方のうち、少なくとも片方は、衆参選挙イヤーの2016年通常国会までもつれると思われます。衆参法務委から国政全般を巻き込んだ大政局が起こるとは思えませんが、二大政党の「姿勢」を「見る人は見ている」ということになりそうです。まさに、谷垣さんの口癖、「民、信なくんば立たず」になりそうです。

 法制審部会の答申案はまだ法務省ウェブサイトには掲載されていませんが、報道によると、次のような内容です。

 ・裁判員裁判対象事件(殺人・放火など)や検察独自捜査事件の取り調べについて、全過程を可視化するよう義務付け、機材などが整ってから開始する。

 ・企業、汚職、薬物犯罪などで容疑者・被告に不起訴処分や求刑の軽減を約束したうえで、他人の犯罪について供述させる「協議・合意制度」(司法取引)の導入。

 ・振り込め詐欺、組織的窃盗など9種類の犯罪でも通信傍受ができるように追加する。

 ・国選弁護人の対象を全事件の容疑者に拡大する。

 ・検察官が弁護士に対して「証拠一覧表」を交付する。

 ・犯人隠避、証拠隠滅、犯人威迫などの罪の法定刑を引き上げる。

 ・ストーカー、性犯罪などの被害者の氏名・住所を、証人尋問や証拠開示で被告側に明かさない制度を導入する。

 細川・羽田内閣を含めて、非自民法相はほとんど死刑を執行しておらず、戦後の死刑執行は自民党員の法相が9割5分以上になります。しかし、小川敏夫ネクスト法相(元法相、参・法務委)は谷垣法相よりも前に死刑執行命令を出した当事者経験があります。(「死刑執行を発表する小川法相記者会見要旨」はこちら)、私は刑法訴訟法第475条などによる死刑執行こそ我が国法体系を守るために必要であり、究極の政権担当能力であると考えています。

 鳩山元法相が自民党に復党したようですから、現在、二大政党以外に死刑執行経験者はいません。公明党、維新、みんなに刑法・刑訴法に関する議論をする資格はない、その党内法務部会に何の意味もない、と私には思えますが、いかがでしょうか。

 大臣の心の重荷は情報公開法が軽くします。民主党政権の千葉景子法相は、実際に死刑執行を見ました。死刑執行経験者同士の静かなバトルという、政権交代ある二大政党政治のひっそりとしながらも本格的な幕開けです。

[追記 2015年1月6日 午前9時]
昨年末に衆議院解散があり、第188回特別国会が開かれました。このため、2015年1月召集の通常国会の回次は「189回」となりました。タイトルを「189回」に修正しました。
[追記終わり]



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◎連帯保証人廃止の民法改正法案、やはり自民党巻き返しのもよう 29日の法制審「大綱」素案で骨抜きへ【追記有】

2014年07月09日 05時40分35秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 アパートを借りるときではなく、銀行からお金を借りること、つまり、新規融資に必要な「連帯保証人」を廃止する「民法(明治29年4月27日法律89号)の第3編」改正法案の策定作業で、やはり自民党・公明党から骨抜きの動きが出ているようです。

 来年の第188回通常国会(2015年1月)で債権法(民法)改正が議題になることは、すでに与野党間で認識が共有されています。

 9日付日経新聞は、「法定利率、3年ごと見直し 民法改正案固まる」の見出しで、3週間後の2014年7月29日(火)に法制審議会民法部会がまとめる「改正法律案の要綱原案」が「明らかになった」としています。

 一連の記事の中で、3面の関連記事の中に「連帯保証人制度に関しては、経営者の家族らが安易に保証人になって高額の借金を背負い、生活破綻に追い込まれる事態が頻発していた。改正原案では家族らの意思を示す公正証書の作成を義務付けるなど連帯保証人になる条件を厳しくする」「今は幅広く認めている経営者以外の保証人を、引き受ける本人の自発的な意思を確認することを条件にする」と書かれています。

 よく日経新聞には誤報が多いと言われ、その通りだと思いますが、日経新聞はステークホルダーが世論誘導するために使われることが多く、実はある程度分かっている人には、かえってそれが一つの情報になります。

 このような記事になっている以上は、29日に決まる「原案」のそのまた「原案」に、「連帯保証人は自発的な意思を確認する」というような文言が入っているとみて、間違いないでしょう。 すなわち、連帯保証人制度を温存させるという骨抜きがなされているようです。

 なお、新規創業企業への融資の受ける際に、代表取締役本人が個人として保証人になるのはある意味当たり前だし、そうでないと、十分な金額、満足いく金利を勝ち取れないでしょう。しかし、連帯保証人は高度に発展した江戸経済の「手形」という決済慣行が明治維新後も残っていることに由来する日本だけの制度、ガラパゴスです。金融消費取引においてまったく不要だし、連帯保証人をとらないと融資を実行できない金融機関は、2017年前後以降と予想される定期預金減少時代でつぶれるでしょう。

 第183通常国会の2013年6月12日(木)の参議院本会議では、法人名と代表者本人以外の連帯保証人の効力を廃する民法改正案自民党と公明党が反対しましたが、民主党などの賛成多数で可決しています。法案可決という参議院の意思を、その39日後の第23回参議院議員通常選挙で、自民党と公明党が過半数を得たから、選挙で勝ったから、の一言で、無かったことにしてよいのでしょうか。

 民主党のネクスト法相らには、不思議と銀行業界からのロビー活動はないようです。おそらく、法制審に入っている委員、学者、弁護士、法務省民事局職員、自民党政務調査会法務部会(大塚拓部会長)らが直接働きかけを受けているのでしょう。

 最近は電車内でもメガバンクの隠れ蓑である高利貸しの広告がめっきり増えています。さらに、上限金利を撤廃する金融業法改正法案が提出されるという観測もあります。

 近代国家、法治国家、民主政治の看板にかかわる事態です。

 あまり分かりませんが、自民党の山本有二さん、伊藤達也さん、柴山昌彦さんらも金融業界の意向で動いているように感じる場面がありました。

 今はまだ働きかけを受けていないでしょうが、民主党にも、金融業界のロビーイングに弱いように感じる議員がいます。維新の会幹事長に転じた小沢鋭仁さんら、不思議と、鳩山由紀夫グループ(政権交代を実現する会)に属している衆参議員が多いように感じます。その一人は、海江田万里代表です。その政治キャリアの長い期間、衆議院財務金融委員でした。海江田代表は腹をくくって、連帯保証人絶対廃止・骨抜き断固粉砕闘争の先頭に立たねばなりません。

 また、先の第186回通常国会の法務委質疑で、谷垣法相に対して、「民法債権編(債権法)抜本改正法案はあまりにも大きすぎるので、2、3本に分割してくれないか」との要望が出ています。

 それと、谷垣法相の内閣改造での続投。これはぜひ望みたいところです。

 場合によって、次期衆院選で勝負をつけてやれ、という感じもします。

 関連エントリー)2013年2月28日付 

◎「連帯保証人廃止」へ 民法改正法案、2015年国会提出へ 2009民主党マニフェスト実現へ

【追記 2017年7月21日午後2時】

 けっきょく、上記要綱を反映した法律が成立しました。
[逐次更新版]改正民法債権編(債権法)は平成29年6月2日法律44号公布、2020年6月2日午前0時までに施行

【追記終わり】


前原誠司さん「国および地方の財政再建法案」は廃案で「行革プラットホーム法案」は第187回国会へ継続

2014年07月07日 20時08分50秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]民主党ウェブサイトから。

 前原誠司ネクスト財務大臣は、2014年3月から6月にかけて民主党ほか5党をたばねて「行革プラットホーム法案(総合的な行財政改革を推進するための基盤の整備に関する法律案)」を2014年6月11日(水)に第186回国会の衆議院に提出し、6月20日に「内閣委員会で第187回国会へ継続審査」となりました。議案番号は186衆法34号

 ところが、ちょうど1年前、第183回国会会期末の2013年6月7日(金)に提出した「国と地方自治体双方の財政再建法案(国及び地方公共団体の責任ある財政運営の確保を図るための財政の健全化の推進に関する法律案) 」(183衆法33号)は、3回継続審査となりましたが、先の国会の会期末に、衆議院財務金融委員会で手続きがとられず、審議未了廃案となりました。

 国と地方自治体双方の財政再建法案をあらためて読むと、「平成26年度予算から実施する」と書いてありますが、地方自治体の地方債(合併特例債、臨時財政特例債含む)残高に加えて、国の特別会計「交付税および譲与税特別会計」の銀行からの借入金をすべて合算した数字を政府が国会に提示させる義務を盛り込むなど、これまでにない斬新なものも含まれていました。

 前原さんは、海江田ネクスト内閣でずっとネクスト財務大臣をしていますが、衆議院財金委では昨年も今年もそれぞれ別の議員が筆頭理事をつとめています。

 行革プラットホームでは、(各省版の事業仕分けである)行政事業レビュー、(地域自主戦略交付金の名前で実現した)内閣府の地方一括交付金などを盛り込んでいます。筆者個人としては絶対反対の「歳入庁」も盛り込んでいます。いわば、野党5党を民主党の法律・マニフェストに引きずり込んだ格好。

 提出に加わった野党の参議院議員は、記者会見で「行革を中心に野党再編が進むかもしれない」と語ったようです。今回の行革プラットホーム法案はいいのですが、このように会期末に超党派議連が委員長提案も含めて業界団体の意向を反映した議員立法は短い時間で成立することもありますが、野党各党の勉強会がまとめて共同提出した大型法案が成立することはまれです。

 前原さんが他党の若手を取組んだ勉強会の成果を法案として提出した労は多とするところですが、ぜひ、成立するまで関心をそらさずに、最後まで真剣に取り組んで、ダメなら総選挙で過半数をめざす。最後まで見届ける、やり遂げる。そういう責任感を、ほんのちょっとでも、持ってほしいものです。 


安倍首相、読売新聞のインタビューで、集団的自衛権など安保法制再整備「法案は一括提出」と語る【追記有】

2014年07月06日 05時15分50秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]読売新聞インタビューに答える安倍晋三首相、2014年7月5日、首相公邸内で、6日付読売新聞1面から。

 安倍首相は2014年平成26年7月5日(土)、読売新聞(=6日付掲載)のインタビューに答えました。

 集団的自衛権行使などの安全保障法制の再整備について、田中隆之・読売新聞編集局政治部長の「関連法案の一部は(第187回)臨時国会に提出するのか」との質問に答えました。

 安倍首相は「グレーゾーン(事態)から集団的自衛権にかかわるものまで、全体像を国民にお示しする必要がある。どこかから順番に、ということはない。膨大な作業になるため、少し時間がかかる可能性はある。相当大きな法改正になるので、安全保障に精通した担当閣僚を置こうと思っている」と語りました。

 閉会中の内閣改造で、「安保法制担当相」を置くとともに、第187秋の臨時国会への関連法案の提出を見送り、第188通常国会へ先送りする可能性を暗示したものと思われます。

 2014年7月1日のNSCや閣議で決定した「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障体制の整備について」では、最後に法案提出のプログラムを明記しています。

 「4 今後の国内法整備の進め方 (前略)、実際に自衛隊が活動を実施できるようにするためには、根拠となる国内法が必要となる。政府として、以上述べた基本方針の下、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の作成作業を開始することとし、十分な検討を行い、準備が整い次第、国会に提出し、国会におけるご審議をいただくこととする」とし、提出時期は明示していませんが、「準備が整い次第」と「五月雨式提出」の可能性も示唆しており、集団安全保障・国連PKO関連だけを秋に出すという観測が浮上しました。この後の首相の記者会見でも質問に答えて、安倍首相は「法改正については、これは直ちに取り組んでいく必要があると思います。今回の閣議決定において、今仰ったようにグレーゾーンにおいて、あるいは集団的自衛権において、あるいは集団安全保障において、自衛隊が活動できるようになるわけではありません。そのための法整備、先ほど申し上げましたようにスタートしていくわけでありますが、この法整備についても与党とよく、スケジュールも含めて連絡をして、緊密な連携をしていきたいとこう思っております。今の段階では、いつまでにとかいうことについては、これからスタートするところでありますから、まだ申し上げる状況ではないと思います」と語っており、やはり提出時期は明言していません。

 しかし、4日後のインタビューで首相が「一括提出」を語ったことは、1本目の法案の提出時期を後ろ倒ししたとも考えられ、第18回統一地方選(来年4月)以降に先送りする可能性があり、2016年後半の第24回参院選・第47回衆院選の前後まで国会審議が続くこともありうる日程感となってきました。

 なお、当ブログは、3か月前に「民主党実力者、集団的自衛権で法案は秋の臨時国会に出せず越年の観測 ガイドライン改定優先との見通し」と報じていました。

首相、安保相新設へ…集団自衛権法案は一括提出(読売新聞) - goo ニュース


【追記 2014年7月6日(日)午前10時半】

 6日放送の「NHK日曜討論」の中で、司会者(島田敏男NHK解説委員)の「秋の臨時国会に1本も法案が出てこないこともあるのか」との問いに、自民党の石破茂幹事長は「それは否定しない。しかし、それはこれからの(法案執筆)作業であって、断定はしない。今は一刻を争う事態ですから、この夏休みにしっかりやります」と語りました。これに先立ち、公明党の井上義久幹事長は「法案を制定して(筆者注・「法案を閣議決定して」の明らか言い誤り)、どのような順で出していくかは、これから(自民党と)よく議論していきたい」と述べ、法案の早期提出に否定的な考えを示しました1日の閣議決定総理記者会見と5日の読売インタビューで安倍首相の発言がぶれたのは、この間に、公明党かの要請だとか、首相側の公明党への配慮があったのかもしれません。

【追記おわり】 


◎岡田訪米団がDCへ、安倍内閣「集団的自衛権」の米「本音」を前外相・元外相・NC外相が国会審議に反映

2014年07月04日 22時48分50秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像・写真]岡田克也さんの画像は、首相官邸内動画からスクリーンショット。

 民主党の岡田克也元外相、玄葉光一郎前外相、福山哲郎ネクスト外相(元外務副大臣)が「岡田訪米団」として、ワシントンを4泊5日間、訪れることが分かりました。玄葉前外相はまもなく旅立ち、現地時刻のあさって2014年7月6日(日)朝に到着。岡田さん、福山さんもその日のうちにワシントンに降り立ち、「集団的自衛権」について、アメリカ議会関係者や政府高官経験者らと会い、野党の立場からフランクに、大枠で、意見交換することになります。

 2014年7月1日(火)、自民党、公明党連立の第2次安倍内閣が憲法解釈の再整理「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障体制の整備について」を決定した後、安倍首相の実弟で、岸元首相の実孫、岸信夫外務副大臣が国務省、国防総省を訪れました。

 再来週の7月14日(月)15日(火)などに予定されている、衆議院予算委員会や、参議院の委員会での閉会中審査の場で、「アメリカの本音」を聞きだし、野党の声(国民の声)と交えて、安倍晋三首相との質疑に反映するのがねらい。

 岡田訪米団は、 政権交代時の国務次官補で、「普天間」「東アジア共同体」で話し合ったカート・キャンベルさんは朝食会で歓迎してくれ、その場に有力者も集まるようです。

 現職では、米上院共和党ナンバー2のコーニン院内総務、フォーブス下院軍事委員会海軍力等小委員長らと会談。互いに野党である共和党議員が多くなりますが、米議会日本研究グループメンバー7~8議員との懇談では、与党・民主党議員とも会います。最近できた「日本コーカス」を主宰する議員とも会う予定(議会日程で変更あり)。

 安全保障では、ジョージ・W・ブッシュ大統領(在任中にアフガニスタン戦争・イラク戦争)の安全保障担当大統領補佐官だったハドレーさんと胸襟を開いてフランクに話し合う予定。フォード政権(在任中にベトナム戦争終結=敗戦)、ブッシュ政権(在任中に湾岸戦争)で安全保障担当大統領補佐官をつとめたスコウクロフトさんとも会う方向で最終調整中になっています。ハドレーさんは次期共和党政権の高官就任が有力視されている一方、スコウクロフトさんは大御所ですので、ともに野党・政権外の経験をふまえて、大所高所での議論がありそうです。

 報道関係では、米ニューヨークに本社を置く世界的に影響力を持つ新聞のワシントン支局長と、取材というよりも、さまざまな情報交換を予定。

日本でも有名なグレン・フクシマCAP上級研究員も昼食会を開いてくれるほか、米民主党系のブルッキングス研究所の日本部長とも意見交換。

カーネギー平和財団所長、ハムレCSIS所長、駐米日本大使、アメリカ人若手有識者、在ワシントン日本人有識者、在ワシントン日本企業関係者らとも、与党時では考えらなかった1時間半以上の時間が確保されています。

 話題は集団的自衛権が中心となる見込みですが、先方からは「中国や、日中、中韓、日中韓関係について話したい」との要望があるようです。 

 なお、「ジャパン・ハンドラーズ」とされる、アーミテージさん、マイケル・グリーンさんらと会う予定は現在のところなく、食事会など限られた場で会う可能性はありますが、あいさつ程度になるものと考えられます。

 ただ、野党なので、ホワイトハウス、国務省、国防総省の現職幹部とは会わないものと思われます。 

 政府外議員による訪米としては、池田勇人自由党政調会長と宮澤喜一通訳の「池田・ロバートソン会談」に匹敵する歴史的な訪米団だった、と後世語り継がれることになるかもしれませんし、ならないかもしれません。

 集団的自衛権に対する同盟国アメリカの本音を探ることで、集団的自衛権を容認しない方向性での説得力が増すことになりそうです。

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7月1日(火)のつぶやき その2

2014年07月02日 01時02分03秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

21時15分 首相官邸前

違憲閣議決定に怒りの抗議
まだまだ続いてます。 pic.twitter.com/zjDQ10uvWL

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論点がずれているので黙っていましたが、韓国在住日本人3万人のうち(たぶん)1万人は統一教会の信者。合同結婚式で韓国人配偶者。安倍さんはたしか支援を受けていますよね。kantei.go.jp/jp/96_abe/stat… RT … @red_arrow_go 民主党員お得意の論点ずらしいただ

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質問!閣議決定文5枚目「領域国政府の同意にもとづく武力の行使を伴わない警察的な活動」は、タリバン支配下のアフガニスタンでは行使できないという理解でよろしいですか。教えてください(^O^) cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu…
RT @isozaki_yousuke

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集団的自衛権の行使容認が閣議決定されました。夜になっても、首相官邸前に集まった人が抗議活動を続けています(柏) pic.twitter.com/9GefhCxV49

国会実況 国会中継さんがリツイート | RT

ずっと気になっているのですが、弾道ミサイルが「米国に向かっている」と情報収集、分析して #集団的自衛権 行使の準備をしていたら、実は「日本に向かっていた」ら、個別的自衛権に変化するのでしょうか? まあ、法案が出てから、国会で安倍首相の答弁を聞きたいです。楽しみです。#seiji

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7月1日(火)のつぶやき その1

2014年07月02日 01時02分02秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

「◎第2次安倍自公連立内閣、集団的自衛権の行使可能な憲法解釈を閣議決定へ 自衛隊法改正案など提出へ」#kokkai #ldp #seiji blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/…

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@kAssy0121 15事例、全部精査するのは野党の現在では難しいと思いますね。与党だって難しいとは思いますよ、あくまでも「仮定」ですしね。まあ、勝負は、法案が出てからです。


人殺しの礒崎陽輔は黙ってろよ。お前の母親は泣いてるぞ! #集団的自衛権 #seiji #ldp #kokkai QT @isozaki_yousuke 総務会は、1時間40分に及ぶ大議論となりましたが、賛成大多数により野田総務会長が了承を決めました。

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話を急に逸らしましたね。ひょっとして動揺してる? #集団的自衛権 #kokkai #seiji RT @isozaki_yousuke 最高裁判所がなかなか認めてくれないでしょう。 @HSKmovies 地域代表として国会議員を選出するなら一票の格差は無視してもいいのでは?


姑息。2年後まで自公が衆参とも過半数。「ねじれ解消」を訴えた昨夏参院選の公明党マニフェストに入っていない。RT @isozaki_yousuke 私も、何度も言いますが、これから国会に法律案を提出するのですよ。なぜ、それが姑息なのですか。 @desumos わかっていらっしゃら

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内閣(閣議)が国会(議会)に優先する明治維新以来の日本の体制を手直ししたいんですよ。まあ、この話はまた後日に。RT @kAssy0121 @isozaki_yousuke そもそも閣議決定は内閣の専権じゃんと。 RT @kokkai_live: 姑息。2年後まで自公が衆参とも過半

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2013政策データバンク21頁の「自衛隊を国防軍と位置付ける憲法改正案」をねじれ無しなのになぜ出さないのですか?不思議です。RT @isozaki_yousuke だから、今から、法案を提出して、国会でしっかり議論するということが、どうして分からないのですか。私の方が、不思議

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公明党はもう終わりましたね。

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「民主党代表談話で、「閣議決定の撤回を要求」「乱暴かつ不透明」自民党と公明党を激しく批判 集団的自衛権」#kokkai goo.gl/H4TRZw

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もしも、三菱重工、川重、IHIの社長だったらさすがに笑うしかないな。RT @sasakikensho なんと!経済界の人らと!Σ(×_×;)! RT @asahi_kantei: 総理番・藤原慎一) 安倍首相は首相官邸での記者会見を終え、敷地内の公邸に入りました。経済界の人ら

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未来の自衛官。RT @red_arrow_go 民主党なんか担いでお前の母親は泣いてないのか?磯崎議員は誰を殺したんだ? RT @kokkai_live: 人殺しの礒崎陽輔は黙ってろよ。お前の母親は泣いてるぞ! #kokkai RT @isozaki_yousuke

1 件 リツイートされました

なにが戦争だよ。
なんのために平和条約決めたんだよ!
また同じあやまちを犯す気か。

結果原爆ドームとかって残した意味ないんだよな。
学べよ日本。

国会実況 国会中継さんがリツイート | RT

僕はデモの告知、わりとリツイートしてもらえる方なんだけど、100以上、リツイされるのは初めてかもしれない。しかも、広島であるデモだよ。みんな解釈改憲、集団的自衛権に危機感、相当あるんじゃないか?今日の18時、原爆ドーム前→
twitter.com/J_Tano/status/…

国会実況 国会中継さんがリツイート | RT

暴力に対して暴力で返すことを是認したんだから、今後平和の党だなんて絶対言うなよ公明党。

国会実況 国会中継さんがリツイート | RT

礒崎総理補佐官が私に会いたいと言えば会いますよ。RT @red_arrow_go まだ殺してないので礒崎議員に謝罪な RT @kokkai_live: 未来の自衛官。RT 民主党なんか担いでお前の母親は泣いてないのか?磯崎議員は誰を殺したんだ? RT 人殺しの礒崎陽輔は黙


公明党は役立たずRT @matsuo_y 暴力に対して暴力で返すことを是認したんだから、今後平和の党だなんて絶対言うなよ公明党。@kokkai_live

国会実況 国会中継さんがリツイート | RT

民主党は1日、「 #集団的自衛権 の行使を容認する #憲法 解釈変更の閣議決定に厳重に抗議する」と題する #海江田万里 代表名の談話を発表しました。 dpj.or.jp/a/104651

国会実況 国会中継さんがリツイート | RT

いや直接会う。RT @red_arrow_go 議員のアカウントに謝りな RT @kokkai_live: 礒崎総理補佐官が私に会いたいと言えば会いますよ。RT まだ殺してないので礒崎議員に謝罪な RT 未来の自衛官。RT 磯崎議員は誰を殺したんだ? RT 人殺しの礒崎陽

1 件 リツイートされました

傷痍軍人に手厚い福祉って意味なのかな?「平和と福祉の公明党」RT @marco11 そもそも「福祉は公明」ってコピーも意味不明だし何を名乗ろうと自由ですけどね RT @mon_petit_angel: 公明党は役立たずRT @matsuo_y 暴力に対して暴力で返すことを是認した

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これから出る傷痍軍人という意味でした。RT @marco11 傷痍軍人に手厚かったんですか?日身連て創価学会強いの? RT @kokkai_live: 傷痍軍人に手厚い福祉って意味なのかな?「平和と福祉の公明党」RT @marco11 そもそも「福祉は公明」ってコピーも意味不明だ

2 件 リツイートされました

まずは礒崎が国民に謝罪だ。それと、彼の大分県の支持者はどうなのかね。RT @red_arrow_go まずはアカウントに謝罪してから面会のお願いだ、大人なんだからわかるだろ? RT @kokkai_live: いや直接会う。RT @red_arrow_go 議員のアカウントに謝り


まぁ、学会員で反対してる人もいるとは思うが...

それにしても公明党は最低。クズ中のクズだ。

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◎民主党代表、「閣議決定の撤回を要求」「乱暴かつ不透明」と自民党と公明党を強く批判 集団的自衛権

2014年07月01日 21時00分40秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

(このエントリー記事の初投稿日時は2014年7月1日(火)の午後7時半で、その後、掲載順調整のため投稿時刻を変更)

[写真]民主党代表の海江田万里ネクスト首相、2014年3月24日(月)、民主党本部、筆者(宮崎信行撮影)。

 民主党の海江田万里代表(ネクスト首相)は2014年7月1日(火)午後7時、談話を発表。「閣議決定は容認できず、撤回を求めることは表明する」としました。

 「与党間の密室談合で調整したうえで閣議決定するという、乱暴かつ不透明」「立憲主義を無視した閣議決定に断固反対する」として、自民党・公明党の姿勢を強く批判しました。

 民主党は「集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許されない」との統一見解を強調しました。

 これに先立つ定例記者会見では「たたかいはこれからだ」と語り、法案提出後の国会論争での粉砕に自信をのぞかせました。

 談話全文は以下の通り。

 ◇

【談話】集団的自衛権の行使を容認する 憲法解釈変更の閣議決定に厳重に抗議する

2014年07月01日

民主党代表 海江田万里
 政府は本日、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定した。安倍総理が「結論先にありき」で人選した懇談会に諮って報告を出させ、その後は与党間の密室談合で調整したうえで閣議決定するという、乱暴かつ不透明、そして何よりも立憲主義を無視した閣議決定に断固反対する。
 民主党は「専守防衛」に徹し、他国に脅威をあたえるような軍事大国とならないとの基本理念を今後も堅持する。集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許されないと考える。
 ここに改めて、本日の閣議決定は容認できず、撤回を求めることを表明する。
以上

 ◇

 午後5時前から臨時閣議を開き、安倍首相は午後6時から記者会見しテレビ生中継されました。ただこのインターネットの時代に、午後7時20分現在首相官邸ウェブサイトには、閣議決定文が掲載されていません。

 記者会見の中で、安倍首相は「法案を作成するチームをつくり、提出の準備をする」「法整備をスタートし、与党とよくスケジュールを含めて緊密に連携してやっていきたい」と語り、秋の臨時国会(第187回国会)への提出を明言しませんでした。このため、来年の通常国会では、通例3月上旬に提出される単年度の予算歳出を伴わない抜本的改革重要法案として提出することが、ずれ込むことが考えられます。第18回統一地方選は4月26日(日)に終わるので、連休明け提出となるとその時点で当初会期末は2か月を切った状況になります。事前に延長で合意して国会を運営した場合は、与党の求心力は通例は下がるため、このままズルズルと法案作成がずれ込むこともありうる状況となってきました。

 また、閣議決定文(http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf)の最後には「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の作成作業を開始することとし、十分な検討を行い、準備ができ次第、国会に提出し、国会におけるご審議をいただくこととする」と書いてあり、提出時期の明示はおろか示唆もありません。
 


◎第2次安倍自公内閣、集団的自衛権の行使可能な憲法解釈を閣議決定 自衛隊法改正案など提出へ【追記有】

2014年07月01日 20時57分56秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

(このエントリーの初投稿日時は、2014年7月1日午前9時で、閣議決定後の夜に仕立て直し)

 国立国会図書館のデータベースに週刊金曜日6月13日号にこのブログの筆者である私、宮崎信行が書いた「民主党の岡田克也元外相が激白 外相時代、米国に集団的自衛権を求められたことは一度もない」が登録されました

 朱に交われば公明党。

 自民党と公明党が連立する第2次安倍晋三内閣は2014年7月1日(火)、集団的自衛権の行使解禁をNSC国家安全保障会議の(4大臣会合より重要な)9大臣会合で決定。続いて、臨時閣議で決定しました。

 NSCおよび閣議決定文のタイトルは、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」

 アドレスは、http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0701kaiken.html

 なお、この記事エントリーの末尾にも全文つけておきます。 


 交戦中に、同盟国アメリカの艦船を日本の自衛隊が援護したり、アメリカに向かう弾道ミサイルを日本が迎撃できるとする内容になるようです。

 これらは、すべて自衛隊法改正法案や周辺事態法改正法案などに書き込んで、国会に提出する必要があり、成立し、施行するとしても、早くても2016年夏前後になる見通し。

 ただ、法案執筆のプログラムとなるので、歴史的転換点になります。

【追記 2014年7月2日(水)午前6時】

 閣議決定文には、「自衛権発動の新3要件」が書き込まれました。

 「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使する」ことが憲法上できるとなりました。

 まず、この文章は自公協議のために分かりにくくなっています。自衛権発動はおそらく改正法案でも「国会の承認」が必要となるでしょう。この場合、私たち日本国民の有権者が、国会を通して、自衛官に「命を懸けて行ってもらう」ことになりますが、分かりにくいと、国民の少なくとも過半数のコンセンサスを得るプロセスが不透明になります。

【追記おわり】

 日本国憲法第9条には「国の交戦権はこれを認めない」との規定があります。自民党憲法改正草案でもこれは削除することになっています。

 しかし、憲法を改正しないと、朝鮮半島から出てすぐのところで、中国や北朝鮮、あるいは国に準じるテロ組織から攻撃された場合、交戦できないと考えられます。アメリカに向かう弾道ミサイル、北朝鮮のテポドンだとしても、法律を動かすためには、「アメリカに向かっている」と情報を確定する必要があり、仮にノドンで、日本列島に落ちてくればこれは、個別的自衛権での対応になります。ホルムズ海峡で機雷除去中に攻撃を受けても「交戦」できません。グレーゾーン事態とされる尖閣諸島沖のわが国領海内を中国艦船がうろうろしていても、武力で領海外に出せば国際問題になります。停戦後の国連平和維持活動PKOについても、かけつけ警護ができても1993年になくなった国連ボランティア・中田厚仁さんは守れないし、独立前ならば警察権を使えず、独立宣言後でも停戦が崩れて交戦状態になったら慌てて帰らなければなりません。

 日米安全保障条約第3条の「締約国は(略)武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる」。きょうは自衛隊が創設60周年、還暦だそうですが、「自衛隊の練度を挙げ、装備を備え、育て、防衛力を涵養する」私の観点から、第3条が気になります。

 まあいずれにせよ、法案が国会に出てくるのは、秋の臨時国会以降。施行は2016年夏前後以降。出てきてから、十分に吟味すべきでしょう。

 ところで、日本を独立させ、自衛隊を発足させた、吉田茂が国会で「集団的自衛権」という言葉を使ったことがあるか、調べてみました。 第7回通常国会の衆議院予算委員会で1度だけ使ったことがあります。このときの衆議院は吉田率いる民主自由党が270議席を持ち、最大野党の民主党はわずか70議席。そして、民主党は連立派20人が分離して政権に参加しました。このため、芦田均内閣などで与党を経験しながら、下野した当選2回生、31歳に出番が回ってきたようで、その質問に吉田茂は答えています。次のやりとりです。

 「総理大臣は外交の堪能者でありまして、私はしろうとでありますから、総理大臣の御意見をお教え願いたいと思うのでありますが、日本に自衛権がありと総理大臣は演説でおつしやいました。われわれも同感であります。あなたが御存じのように、国際連合憲章によると、51条に集団的自衛権ということが認められている。これは第二次世界大戦後初めて認められた言葉であります。かくのごとき集団的自衛権というものを総理大臣はお認めになりますか」

 「当局者としては、集団的自衛権の実際的な形を見た上でなければお答えができません」

 「国際連合に表明されているような、つまり連合憲章51条が示しているような集団的自衛権を認めるか、こういう意味であります」

 「これは現にこういう自衛権を認めるか認めないかと言つて、連合国政府から交渉を受けたときには、政府としては見解を発表しますが、お話のような問題に対しては、すなわち仮設の問題に対してはお答えいたしません」

 「仮設の問題とおつしやいますけれども、私は外交界の先輩に対して、国際法上の解釈を教えていただきたいと申し上げているのであります。先ほども申したように、国際連合憲章51条には集団的自衛権というものがちやんと書いてある。われわれも独立国になれば当然こういう問題の渦中に入る。従つて講和條約に専心してもつぱら御研究なさつている総理大臣のことでございますから、私は当然御研究もあるだろうし、御見解もあるだろうと思います。この集団的自衛権という問題は、日本の独立後私はおそらく一番重大な問題になつて来る問題だろう。そういうところから私はお尋ねしているのであります」

 この「集団的自衛権は、日本の独立後一番重大な問題になってくるだろう」と質疑した野党・民主党の2期生は、中曽根康弘衆議院議員です。彼はこの32年後に総理大臣になります。国会議事録でも、中曽根さんが次に「集団的自衛権」というキーワードを残すのは、首相になる32年後までブランクがあきます。

 議事録は、1950年昭和25年2月3日(金)第7回国会衆議院予算委員会、本予算審議、第7号

 そして吉田茂が語った「実際的な形」は、ベトナム戦争として現実化しました。アメリカ大統領、ジョン・ケネディによる、「ベトナムが社会主義化(赤化)すると、ドミノ倒しののようにアジア各国が赤化するという」ドミノ理論。しかし、西洋文明と違い、東洋文明とくにアジアは、統一的な宗教基盤もなく、文化も民族もモザイクであり、ベトナムが赤化しても、タイ王国が社会主義化するとはとうてい思えません。もちろん日本国、日本列島も。

 この我々アジアの民族、国民事情のパラダイムを間違えたドミノ理論は、やがて、ベトナム民主主義共和国(ベトナム社会主義共和国に改称)のホーチミン国家主席により、「インドシナ支配をしたフランス人と同じ瞳同じ肌をもつ兄弟のアメリカ人が、傀儡国家「南ベトナム共和国(1975年、地上から消滅)」を使ってベトナム全土を侵略しようとしている」として「資本主義を守る戦争」から「ベトナム民族解放および南北ベトナム統一戦争」へと画期的パラダイムチェンジをしました。さらに、南ベトナム共和国内で活動する民族解放組織について、アメリカは「北ベトナム・ホーチミンに指導された国に殉じる組織」との決定的情報をつかめず情報戦で敗北。かつてベトナム王国が衛星国支配した隣国に兵站補給路(ホーチミンルート)があることに、(おそらく)半年前後気づかず『孫子の兵法」にも失敗。アメリカ軍兵士は、「What for? 何のために?」という自問自答の中で、狂っていきました。

 このような戦争に日本が参加することになる。例えば、爆弾テロで夫を失い、子どもとともに組織に衣食住を提供され生活しながら洗脳教育と爆弾テロ訓練を受けてきた、女性の自爆テロ犯を鉄砲で殺さなければならないことになります。自衛官は、その自爆テロ女性の最期の表情を一生脳裏から離れないまま生き続けなければならず、酒でなぐさめても、忘れらず、狂って自殺するでしょう。

 集団的自衛権の行使には反対です。

 たびたび引用されるところですが、吉田茂が防衛大学校第1回卒業式で語ったとされる言葉。実際には卒業記念の冊子に寄せた言葉だそうですが、どうしても引用したくなります。至言です。

 「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。
しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。しっかり頼むよ」

[国家安全保障会議および閣議決定文全文引用はじめ]

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0701kaiken.html

国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法
制の整備について

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0701kaiken.html

平成26年7月1日
国家安全保障会議決定
閣 議 決 定


我が国は、戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家として歩んできた。専
守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則
を守るとの基本方針を堅持しつつ、国民の営々とした努力により経済大国と
して栄え、安定して豊かな国民生活を築いてきた。また、我が国は、平和国
家としての立場から、国際連合憲章を遵守しながら、国際社会や国際連合を
始めとする国際機関と連携し、それらの活動に積極的に寄与している。こう
した我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を
勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない。

一方、日本国憲法の施行から 67 年となる今日までの間に、我が国を取り
巻く安全保障環境は根本的に変容するとともに、更に変化し続け、我が国は
複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面している。国際連合憲章が理想
として掲げたいわゆる正規の「国連軍」は実現のめどが立っていないことに
加え、冷戦終結後の四半世紀だけをとっても、グローバルなパワーバランス
の変化、技術革新の急速な進展、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡
散、国際テロなどの脅威により、アジア太平洋地域において問題や緊張が生
み出されるとともに、脅威が世界のどの地域において発生しても、我が国の
安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている。さらに、近年で
は、海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びその活用を
妨げるリスクが拡散し深刻化している。もはや、どの国も一国のみで平和を
守ることはできず、国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で一
層積極的な役割を果たすことを期待している。

政府の最も重要な責務は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全う
するとともに、国民の命を守ることである。我が国を取り巻く安全保障環境
の変化に対応し、政府としての責務を果たすためには、まず、十分な体制を
もって力強い外交を推進することにより、安定しかつ見通しがつきやすい国
際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐとともに、国際法にのっとって行
動し、法の支配を重視することにより、紛争の平和的な解決を図らなければ
ならない。

さらに、我が国自身の防衛力を適切に整備、維持、運用し、同盟国である
米国との相互協力を強化するとともに、域内外のパートナーとの信頼及び協
力関係を深めることが重要である。特に、我が国の安全及びアジア太平洋地
域の平和と安定のために、日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟
の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、我が国に脅威
が及ぶことを防止することが必要不可欠である。その上で、いかなる事態に
おいても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに、国際協調
主義に基づく「積極的平和主義」の下、国際社会の平和と安定にこれまで以
上に積極的に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を
整備しなければならない。

5月 15 日に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書
が提出され、同日に安倍内閣総理大臣が記者会見で表明した基本的方向性に
基づき、これまで与党において協議を重ね、政府としても検討を進めてき
た。今般、与党協議の結果に基づき、政府として、以下の基本方針に従っ
て、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な国内法制を速やかに整
備することとする。

1 武力攻撃に至らない侵害への対処

(1)我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを考慮すれ
ば、純然たる平時でも有事でもない事態が生じやすく、これにより更に
重大な事態に至りかねないリスクを有している。こうした武力攻撃に至
らない侵害に際し、警察機関と自衛隊を含む関係機関が基本的な役割分
担を前提として、より緊密に協力し、いかなる不法行為に対しても切れ
目のない十分な対応を確保するための態勢を整備することが一層重要な
課題となっている。

(2)具体的には、こうした様々な不法行為に対処するため、警察や海上保
安庁などの関係機関が、それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して
対応するとの基本方針の下、各々の対応能力を向上させ、情報共有を含
む連携を強化し、具体的な対応要領の検討や整備を行い、命令発出手続
を迅速化するとともに、各種の演習や訓練を充実させるなど、各般の分
野における必要な取組を一層強化することとする。

(3)このうち、手続の迅速化については、離島の周辺地域等において外部
から武力攻撃に至らない侵害が発生し、近傍に警察力が存在しない場合
や警察機関が直ちに対応できない場合(武装集団の所持する武器等のた
めに対応できない場合を含む。)の対応において、治安出動や海上にお
ける警備行動を発令するための関連規定の適用関係についてあらかじめ
十分に検討し、関係機関において共通の認識を確立しておくとともに、
手続を経ている間に、不法行為による被害が拡大することがないよう、
状況に応じた早期の下令や手続の迅速化のための方策について具体的に
検討することとする。

(4)さらに、我が国の防衛に資する活動に現に従事する米軍部隊に対して
攻撃が発生し、それが状況によっては武力攻撃にまで拡大していくよう
な事態においても、自衛隊と米軍が緊密に連携して切れ目のない対応を
することが、我が国の安全の確保にとっても重要である。自衛隊と米軍
部隊が連携して行う平素からの各種活動に際して、米軍部隊に対して武
力攻撃に至らない侵害が発生した場合を想定し、自衛隊法第 95 条によ
る武器等防護のための「武器の使用」の考え方を参考にしつつ、自衛隊
と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含む。)に現に従事
している米軍部隊の武器等であれば、米国の要請又は同意があることを
前提に、当該武器等を防護するための自衛隊法第 95 条によるものと同
様の極めて受動的かつ限定的な必要最小限の「武器の使用」を自衛隊が
行うことができるよう、法整備をすることとする。

2 国際社会の平和と安定への一層の貢献

(1)いわゆる後方支援と「武力の行使との一体化」

ア いわゆる後方支援と言われる支援活動それ自体は、「武力の行使」に
当たらない活動である。例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際
社会が国際連合安全保障理事会決議に基づいて一致団結して対応するよ
うなときに、我が国が当該決議に基づき正当な「武力の行使」を行う他
国軍隊に対してこうした支援活動を行うことが必要な場合がある。一
方、憲法第9条との関係で、我が国による支援活動については、他国の
「武力の行使と一体化」することにより、我が国自身が憲法の下で認め
られない「武力の行使」を行ったとの法的評価を受けることがないよ
う、これまでの法律においては、活動の地域を「後方地域」や、いわゆ
る「非戦闘地域」に限定するなどの法律上の枠組みを設定し、「武力の
行使との一体化」の問題が生じないようにしてきた。

イ こうした法律上の枠組みの下でも、自衛隊は、各種の支援活動を着実
に積み重ね、我が国に対する期待と信頼は高まっている。安全保障環境
が更に大きく変化する中で、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」
の立場から、国際社会の平和と安定のために、自衛隊が幅広い支援活動
で十分に役割を果たすことができるようにすることが必要である。ま
た、このような活動をこれまで以上に支障なくできるようにすること
は、我が国の平和及び安全の確保の観点からも極めて重要である。

ウ 政府としては、いわゆる「武力の行使との一体化」論それ自体は前提
とした上で、その議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでの自衛隊の活
動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案して、従来の
「後方地域」あるいはいわゆる「非戦闘地域」といった自衛隊が活動す
る範囲をおよそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切る枠組みでは
なく、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所で実施す
る補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の「武力の
行使と一体化」するものではないという認識を基本とした以下の考え方
に立って、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動す
る他国軍隊に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法
整備を進めることとする。

(ア)我が国の支援対象となる他国軍隊が「現に戦闘行為を行っている現
場」では、支援活動は実施しない。

(イ)仮に、状況変化により、我が国が支援活動を実施している場所が
「現に戦闘行為を行っている現場」となる場合には、直ちにそこで実
施している支援活動を休止又は中断する。

(2)国際的な平和協力活動に伴う武器使用

ア 我が国は、これまで必要な法整備を行い、過去 20 年以上にわたり、
国際的な平和協力活動を実施してきた。その中で、いわゆる「駆け付け
警護」に伴う武器使用や「任務遂行のための武器使用」については、こ
れを「国家又は国家に準ずる組織」に対して行った場合には、憲法第9
条が禁ずる「武力の行使」に該当するおそれがあることから、国際的な
平和協力活動に従事する自衛官の武器使用権限はいわゆる自己保存型と
武器等防護に限定してきた。

イ 我が国としては、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場か
ら、国際社会の平和と安定のために一層取り組んでいく必要があり、そ
のために、国際連合平和維持活動(PKO)などの国際的な平和協力活
動に十分かつ積極的に参加できることが重要である。また、自国領域内
に所在する外国人の保護は、国際法上、当該領域国の義務であるが、多
くの日本人が海外で活躍し、テロなどの緊急事態に巻き込まれる可能性
がある中で、当該領域国の受入れ同意がある場合には、武器使用を伴う
在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある。

ウ 以上を踏まえ、我が国として、「国家又は国家に準ずる組織」が敵対
するものとして登場しないことを確保した上で、国際連合平和維持活動
などの「武力の行使」を伴わない国際的な平和協力活動におけるいわゆ
る「駆け付け警護」に伴う武器使用及び「任務遂行のための武器使用」
のほか、領域国の同意に基づく邦人救出などの「武力の行使」を伴わな
い警察的な活動ができるよう、以下の考え方を基本として、法整備を進
めることとする。

(ア)国際連合平和維持活動等については、PKO参加5原則の枠組みの
下で、「当該活動が行われる地域の属する国の同意」及び「紛争当事
者の当該活動が行われることについての同意」が必要とされており、
受入れ同意をしている紛争当事者以外の「国家に準ずる組織」が敵対
するものとして登場することは基本的にないと考えられる。このこと
は、過去 20 年以上にわたる我が国の国際連合平和維持活動等の経験
からも裏付けられる。近年の国際連合平和維持活動において重要な任
務と位置付けられている住民保護などの治安の維持を任務とする場合
を含め、任務の遂行に際して、自己保存及び武器等防護を超える武器
使用が見込まれる場合には、特に、その活動の性格上、紛争当事者の
受入れ同意が安定的に維持されていることが必要である。

(イ)自衛隊の部隊が、領域国政府の同意に基づき、当該領域国における
邦人救出などの「武力の行使」を伴わない警察的な活動を行う場合に
は、領域国政府の同意が及ぶ範囲、すなわち、その領域において権力
が維持されている範囲で活動することは当然であり、これは、その範
囲においては「国家に準ずる組織」は存在していないということを意
味する。

(ウ)受入れ同意が安定的に維持されているかや領域国政府の同意が及ぶ
範囲等については、国家安全保障会議における審議等に基づき、内閣
として判断する。

(エ)なお、これらの活動における武器使用については、警察比例の原則
に類似した厳格な比例原則が働くという内在的制約がある。

3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置

(1)我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し、いかなる事態におい
ても国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、これまでの憲法解釈
のままでは必ずしも十分な対応ができないおそれがあることから、いか
なる解釈が適切か検討してきた。その際、政府の憲法解釈には論理的整
合性と法的安定性が求められる。したがって、従来の政府見解における
憲法第9条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを
守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある。

(2)憲法第9条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」
を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している「国民の平
和的生存権」や憲法第 13 条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民
の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏ま
えて考えると、憲法第9条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、そ
の存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは
到底解されない。一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃に
よって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという
急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得
ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度
の「武力の行使」は許容される。これが、憲法第9条の下で例外的に許
容される「武力の行使」について、従来から政府が一貫して表明してき
た見解の根幹、いわば基本的な論理であり、昭和 47 年 10 月 14 日に参
議院決算委員会に対し政府から提出された資料「集団的自衛権と憲法と
の関係」に明確に示されているところである。
この基本的な論理は、憲法第9条の下では今後とも維持されなければ
ならない。

(3)これまで政府は、この基本的な論理の下、「武力の行使」が許容され
るのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてき
た。しかし、冒頭で述べたように、パワーバランスの変化や技術革新の
急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保
障環境が根本的に変容し、変化し続けている状況を踏まえれば、今後他
国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様
等によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。
我が国としては、紛争が生じた場合にはこれを平和的に解決するため
に最大限の外交努力を尽くすとともに、これまでの憲法解釈に基づいて
整備されてきた既存の国内法令による対応や当該憲法解釈の枠内で可能
な法整備などあらゆる必要な対応を採ることは当然であるが、それでも
なお我が国の存立を全うし、国民を守るために万全を期す必要がある。
こうした問題意識の下に、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討
した結果、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国
と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国
の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆
される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を
全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度
の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛
のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断する
に至った。

(4)我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然
であるが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある。
憲法上許容される上記の「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権
が根拠となる場合がある。この「武力の行使」には、他国に対する武力
攻撃が発生した場合を契機とするものが含まれるが、憲法上は、あくま
でも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛
するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものであ
る。

(5)また、憲法上「武力の行使」が許容されるとしても、それが国民の命
と平和な暮らしを守るためのものである以上、民主的統制の確保が求め
られることは当然である。政府としては、我が国ではなく他国に対して
武力攻撃が発生した場合に、憲法上許容される「武力の行使」を行うた
めに自衛隊に出動を命ずるに際しては、現行法令に規定する防衛出動に
関する手続と同様、原則として事前に国会の承認を求めることを法案に
明記することとする。

4 今後の国内法整備の進め方

これらの活動を自衛隊が実施するに当たっては、国家安全保障会議におけ
る審議等に基づき、内閣として決定を行うこととする。こうした手続を含め
て、実際に自衛隊が活動を実施できるようにするためには、根拠となる国内
法が必要となる。政府として、以上述べた基本方針の下、国民の命と平和な
暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法
案の作成作業を開始することとし、十分な検討を行い、準備ができ次第、国
会に提出し、国会における御審議を頂くこととする。

(以 上)

[全文引用終わり]