[写真]沖縄密約文書廃棄の首謀者ともくされる、谷内正太郎・国家安全保障局長(元外務次官)、自民党の菅義偉・官房長官、安倍総裁(首相)、礒崎陽輔・総理補佐官(参議院議員、2019年改選、大分)=首相官邸ウェブサイト。左は、新自衛権発動の3要件の見直しを求める、岡田克也さん、2014年7月14日(月)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
【衆議院予算委員会第186通常国会の閉会中審査 2014年7月14日(月)】
岡田克也さんがお誕生日を迎えました。
同じ誕生日である、あの若々しい俳優の水谷豊さんはきょうで62歳ですが、岡田さんはさらに一回り若いことになります(一回り=地球の公転一回り)。
2014年7月1日の閣議決定以降、すでに激論となっていますが、国民の代表である国会、民主党の出番はこれが初めて。そして総理は来年の通常国会以降に法案を出すと言っているので、長い闘いのスタートです。不安な親御さん、私にお任せ下さい!
岡田さんの質問で3つの大事な答弁が出ました。
新自衛権発動(武力行使)の新3要件の「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき」の解釈。
岡田さんが「日米同盟が覆される事態は新3要件にあてはまるか」と聞くと、岸田外相は「新3要件にあてはまる可能性が高い」と答弁。だったら、今の大統領はそんな人ではありませんが、次の次のアメリカ大統領が「日米同盟破棄するぞ」と脅して来たら、自衛隊を派遣しなければいけなくなるのではないでしょうか。
「歯止め3原則にともない自衛隊を派遣して、国連安保理決議に制裁決議が出た場合は、そこから先は、憲法9条を超えて、国際法にもとづき行動することになるのではないか」との趣旨の追及に対して、横畠裕介・内閣法制局長官は「国連決議が出た場合は、憲法9条は無効になる」という趣旨の答弁をしました。
さらに「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」について、安倍首相はたびたび、ホルムズ海峡が機雷封鎖されると、日本への石油の8割、天然ガスの2割強が入らなくなるとして、国際法上武力行使とされる「機雷除去」をする可能性に言及。岡田さんに対して、「そのときの国際情勢も政府の判断材料の一つになる」として、「原油価格の上昇など国際経済環境、価格状況による打撃は、結果として中小企業が被害を受け、多くの企業が倒産し、多くの人が失業するという状況になるので総合的に判断する」と答弁。つまり、石油が高くなって、中小企業が倒産し、失業するから、自衛隊をホルムズ海峡に派遣し、武力行使である「機雷除去」をするととらえられる珍答弁。一般傍聴席でも大きな笑いが起きました。これは、法案提出が来年になったから笑えるわけですが。
これに先立つ、自民党の高村正彦元外相の質疑では、「前回の1997年のガイドライン(日米防衛協力の指針)改定を反映した法改正は1999年までかかった。こういった側面からも私も(年末とされる)ガイドライン再改定後の法案提出でいいと思う」としました。「今まではアメリカに任せておけば良かったが、これからもアメリカに任せておいていいのか」という問いに、岸田現外相は「国際社会におけるアメリカの地位は変化しており(低下しており)、日本は積極的平和主義、アメリカはリバランス政策をとっている」として、あっさりとアメリカの軍事力の補完のための集団的自衛権であることを認めました。
また高村自民党副総裁が「アメリカの青年の血を流して、日本を助けることが許されるのか」と語ると、安倍総裁が「アメリカの兵士には大切な命や家族がいるんです」と語り、いったい自民党はどこの国の青年の生命を守る政党なのかと疑問を感じました。
民主党の海江田万里代表が、日独伊三国同盟によりアメリカへの抑止力を得ようとしたところ、結果的に、アメリカとの戦争となった安全保障のディレンマについて、安倍首相が「1930年代、1940年代と現在は違うんですよ。日米同盟と日独伊三国同盟を同じにしていいんですか。野党第1党党首(ネクスト総理)として間違っていますよ。抑止力を認めないというこのは、さすが民主党だと(いう皮肉を)感じる」と大声を張り出す、許しがたい場面がありました。
あすは参議院予算委員会。その後の国会審議は未定ですが、これから2年ぐらいかけて、議論が続きそうです。ただ、ガイドライン再改定で既定事実化してしまう可能性があるほか、かなり不安が広がっているようです。
さて、きょうの審議にはありませんでしたが、「米艦船が火だるまになっているときに日本自衛隊が何もしなくていいのか」とアメリカ高官に安倍さんや高村さんがいわれたことが集団的自衛権行使容認へのきっかけではないかとの情報もあります。アーミテージだとすると、国務副長官は大統領に直接書簡が出せると思いますが、実際に大統領に書簡を出し、大統領が読んだ記録とメモが残っているかどうか気になるところです。日本では、進駐軍時代に、一高官の「山崎首相案」が機関決定でないことを、吉田茂与党党首と1期生田中角栄議員が見破ったという痛快事がありました。仮にアーミテージの書簡があるとすれば、アメリカは30年後公開ルールですから、あと18年後ぐらいに公開されることになります。けっこうすぐです。
さて、私は途中で衆議院第一委員室を出て、最高裁判所に行きました。ちなみに、国会議事堂から最高裁の間には、参議院第二別館と国立国会図書館。そして唯一の民間ビルとして、三宅坂ビルがあり、ここに民主党本部が入っています。まさに、民主党本部は、公の中に位置する、私の味方という感じです。
最高裁では、西山記者事件で、刑事ではなく、民事、行政訴訟として、沖縄密約文書の情報公開法に基づく公文書開示を国(財務省、外務省)に求めた平成24年(行ヒ)第33号事件「文書不開示決定処分取消等請求事件」の確定判決がありました。
岡田克也外務大臣が登庁直後に国家行政組織法第12条などにもとづく大臣命令で全容が解明された沖縄密約文書。情報公開法は「施行時に各省が所有する行政文書と、施行以降に個人的メモも含めて作成した公文書(官報、白書を除く)」が対象となっています。このため、情報公開法施行直前に、外務省では、公文書が廃棄(デストロイ)されたとされ、沖縄密約だけでなく、太平洋戦争の宣戦布告の暗号電文なども廃棄されたのではないかとされます。これを指揮したのが、谷内正太郎さんとされています。そして、特定秘密保護法を審議した同じ委員会で審議・成立した日本版NSC(国家安全保障会議)事務局の初代局長となっています。
[写真]沖縄密約文書の廃棄を命令したとされる谷内正太郎日本版NSC初代事務局長(元外務事務次官)と自民党総裁の安倍晋三首相、首相官邸ウェブサイトから。
小法廷では、私の1列前の2席左に西山太吉記者を初めて見ました。大変迫力があり、元気そうな方でした。また、西山原告側弁護士が小保方さんの代理人で有名な弁護士で、あとは、女性弁護士と、若手男性弁護士の3人でなんとなく余裕がある感じでした。国側弁護士は1人で、やり手風ですが、とてもやつれて余裕がない風情でした。
裁判官は、千葉裁判官、小泉裁判官、鬼丸かおる裁判官、そして民主党政権野田内閣の内閣法制局長官だった山本庸幸・裁判官(昭和48年通産省)の4人。山本さんが、黒い法服姿で、冒頭のカメラ撮影中に口を真一文字にしていて、プリティに感じました。
判決文は「本件上告を棄却する。上告費用は原告の負担とする」だけでした。これは小法廷で開いている以上、分かり切った判決でした。逆に言えば、これにより、沖縄密約文書が廃棄されたことで不存在だ、と確定したともいえるでしょう。
違法行為ではありませんが、政権交代なき政治のもと公文書の廃棄を許してしまいました。仮に新進党が残っていれば、山一證券破たん後の次の総選挙で政権をとれていてこのような事態を避けられたかもしれません。この事態は政権交代ある政治の導入を遅らせてしまった、おおよそ27歳以上の有権者全員の責任です。
そして、特定秘密保護法が12月に施行されれば、NSCの文書はほとんどが特定秘密になるでしょう。
ということは、次の次の大統領が「日米同盟を破棄すると言ってきた」として自衛隊を出しても、その公文書は特定秘密として公開されません。しかし、その30年後に、アメリカで、大統領あての国務省副長官あたりのアイディアに過ぎなかったと判明するかもしれません。
情報とは民主政治のインフラです。来年は日航機墜落30年ですが、日本では、新しい公文書はたいして公開されないでしょう。
子ども手当とか、普天間とか、リベラルとか、そんなことじゃなくて、政権交代ある政治は、そのために必要なんです。
そういえば、7月14日はフランス革命記念日でもありました。
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