【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

1年前の記事ですが

2016年06月17日 18時13分13秒 | 第24回参院選(2016年7月)
 
自民党が「9月施行」の派遣法改悪法案成立を急ぐのは、民自公24年改正法の「10月施行」を阻むため

 極めて技術的なエントリー記事になります。 政府自民党が「労働者派遣法改悪法案(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部 を改正する法律案 )」(......
 

 


自衛官の定員増を自民党がはじめて公約に明記 戦争法・ガイドラインによる戦死者増みすえて

2016年06月16日 20時12分08秒 | 第24回参院選(2016年7月)

 自民党の第24回参院選の公約(第2部自民党政策BANK)に、自衛官の定員増が明記されました。

 おととし7月1日の切れ目のない安保法制の解釈改憲、きょねん4月の切れ目のない日米防衛協力のための指針いわゆるガイドライン再改定、今年3月の安保法(戦争法)により可能になった、日米共同軍事作戦による集団的自衛権行使での戦死者・戦傷者の増加が見込まれることに対応したものと観測されます。

 自民党は政権交代に成功した、平成24年2012年の第46回衆院選公約で、

 「防衛力を質、量ともに見直し、予備自衛官を含む人員と予算の強化を図るべく、民主党政権で策定された防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を見直します」

 と明記。

 政権獲得後の平成25年2013年の閣議決定文書である、中期防、中期防衛力整備計画(平成26年度から30年まで)では、

 「技量、経験、体力、士気等の様々な要素を勘案しつつ、精強性を維持・向上する」

 とうたいながらも同時に、

 「厳しい財政情勢の下で人材を効果的に活用する」

 としました。その手段としては、女性の活用、再任用、予備自衛官の活用のほかに

 「政府の一員として各種事態等に柔軟に即応できる人材を十分に確保する」

 とした苦肉に満ちた文章も挿入されました。

 今回、自民党自ら「タガ」が外れたようで、第24回参院選の公約に

 「自衛隊の人員・装備の増強など防衛力の質と量を拡充・強化し、統合機動防衛力の構築をめざします」

 とし、人員増を明記しました。

 先の国会では、厚労省政府参考人が民進党の質問に答えて、

 「先ほども申しましたような所掌事務の経緯に基づきますと、戦傷病者あるいは戦没者あるいはその遺族という者につきましては、さきの大戦の終結までのものと認識してございます」(3月23日の衆・厚労委)と答弁。今後の戦死者への弔慰金・恩給が法整備されていないことが明らかになりました。

 自民党第24回参院選公約では

 「隊員の名誉や処遇の向上にも引き続き取り組みます」

 とも書いてあり、戦死者の処遇の法制化も図る方向性になります。

 このエントリーの本文記事は以上です。 


衆法61本が閣法56本を上回ったのは憲政史上初めて 第190回通常国会の新規提出法案

2016年06月15日 14時51分41秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]民進党結党大会、2016年3月27日(日)、東京都内・品川プリンスホテル、筆者・宮崎信行撮影。

 先の通常国会で衆法(衆議院議員立法案)が61本提出され、閣法(内閣提出法案)の56本を上回ったのは、憲政史上初めてだったことが明らかになりました。特別国会・臨時国会をのぞく通常国会。

 平成28年2016年1月4日から6月1日までの第190回国会。閉会後に最大野党・民進党の山尾志桜里政調会長が15日の公約発表の記者会見で明らかにし、議会事務局が認めました。

 新規提出衆法のうち、民進党の提出(他会派との共同提出含む)は41本(前身の民主党・維新・無所属クラブ含む)。このほかの委員長起草法案がありますが、これはすべて民進党が賛同した法案です。

 これとは別に、参法は11本。このうち民進党が提出したのは事実上10本(委員長提案1本と、技術的な一本化のために自公が提出したヘイトスピーチ法案を含む)。

 大づかみに言うと、閣法が56本、いわゆる民進党対案が衆参で50本前後、超党派の委員長提出や議員連盟方式が20本前後、自公または共産党の単独提出は5本未満だったことになります。

 衆議院ウェブサイト「第190国会議員の一覧」参照。

 このエントリー記事の本文は以上です。 


1年前の記事の振り返りです

2016年06月13日 20時00分19秒 | 第24回参院選(2016年7月)
岡田克也さん、量的金融緩和を現時点で容認するも、出口マネジメントの民主党プログラム手順表を作成へ
[写真]岡田克也さん、2015年6月12日、国会内、筆者(宮崎信行)撮影。 民主党代表の岡田克也さんは、日本銀行(黒田東彦総裁)が2年2か月間続けている、異次元の量的金融緩和(現在...
 

 


1年前の記事

2016年06月12日 20時30分58秒 | 第24回参院選(2016年7月)
 
労働者派遣法改正案、衆・委員会が質疑終局を宣言 連合座り込みの成果か、採決阻止
【平成27年2015年6月12日(金)衆議院厚生労働委員会】 秋の臨時国会の人事では、上川陽子さんが委員長で、おそらくソフトな強行採決をねらっていたのでしょうが、松島法相辞任により...
 

 


6月10日(金)は第2弾!岩上安身さんの「IWJ」に宮崎信行が出演し「参院選の予想と情勢分析」

2016年06月12日 10時20分30秒 | その他

[追記 12日午前10時]

IWJで、第2回が期間限定での公開中です。

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/307827

[追記おわり]


[追記10日午後4時半]

 第2弾はきょう6月10日(金)午後7時から放送です!

[追記おわり]


[追記 7日午後3時]

160606 【特番】運命の分かれ道・2016年夏の参院選を徹底予想分析スペシャル!

[追記おわり]

[追記 2016年6月6日午後9時半]

 3時間50分にわたって放送させていただきました=画像は、IWJのツイキャスのサムネイル画像をお借りしました=。

 北海道選挙区から神奈川選挙区まで。

 岩上安身さんの共著「前夜増補改訂版」をいただきました=下・写真=。



[追記終わり]

 岩上安身さん=写真・左=の「IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)」に宮崎信行=写真・右=が出演して、「この夏の参院選予想と情勢分析」について、岩上さんにインタビューしていただくことになりました。

 週明けの6月6日(月)午後2時30分から。

 放送はこちら(IWJ)と、こちら(ツイキャス)で。

 (私はモバイル端末を持っていないので、当日もし違ったら、恐縮ですが、検索などで探してください)

 6月3日付日刊IWJガイド・番組表から

[引用はじめ]
 

・6月6日(月)14:30~ 宮崎信行氏インタビュー

▼IWJ初登場!元日経新聞政治部記者で、「国会ウォッチャー」あるいは「選挙おたく」を自認する宮崎信行氏には、この夏の参院選予想と情勢分析をしていただきます。安倍総理は、消費増税の延期を表明すると同時に、衆院選の可能性を否定しました。参院選一本でいくことになるのか、はたまたどこかでどんでん返しがあるのか、いずれにせよ、天王山となるのは参院選です。全国で32ある一人区での、野党の統一候補の調整も完了しました。

 「岩上さんが制止しなければ、僕はどこまでも喋り続けるので、僕を止めてください!」と、出演をオファーした岩上さんに、早くも暴走する機関車のごとくやる気マンマンの姿勢を見せた宮崎氏。選挙の趨勢を予想する待望のインタビューです。

[引用おわり]

 どうぞよろしくお願いします!

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アベノミクス第1の矢の限界が視野に、三菱UFJ東京銀行が、仮想通貨発行、国債入札資格辞退

2016年06月11日 22時40分17秒 | 第24回参院選(2016年7月)

[写真]8日付日経新聞と10日付朝日新聞。

 今週の新聞でいくつか歴史的転換点になりかねない報道がありました。

 2016年6月8日(水)付日経新聞は、邦銀最大手の三菱UFJ東京銀行が、財務省理財局の国債入札の「プライマリーディーラー」を辞退し、今後は、一般の機関として、入札に参加すると決めたことを報じました。10日(金)付け朝日新聞は同行が仮想通貨MUFGコインを発行することを報じました。

 ただし、これらの「ボリューム感」は三菱側から示されておらず、小規模の政府・日銀への牽制の可能性もなきにしもあらずです。

 安倍晋三・自民党公明党内閣が、黒田東彦総裁を据えた日本銀行が続けてきた、アベノミクス第1の矢、異次元の金融緩和の限界を見据えた経営戦略と考えられます。

 今日時点で、マネタリーベースは、350兆円を超えており、日銀は300兆円の国債を抱えています。日本銀行が自ら日銀券を毀損する、非伝統的(人類史上初めて)金融政策は、4年目に突入。

 このため、年80兆円ペースだと、2020年に前後して、民間の国債がなくなると見込まれています。

 三菱財閥系では、江戸時代に政府から払い下げを受けて三菱重工業長崎造船所をつくり、、日本郵船が日露戦争で船を徴用(人間でいう徴兵に相当)され、「敵艦見ゆ」と打電したことは有名です。

 先の国会で、政府が仮想通貨を初めて認めて金融庁が監督することを決めた改正銀行法及び資金決済法が成立しており(未施行)、2020年に前後したアベノミクス第1の矢をめぐる想定される経済混迷を予期していることは確実です。

 過去100年間の半数以上の時期にわたり、総理をつとめた自民党の人口政策の失敗による、有効求人倍率の向上(就業人口の極端な供給減少を、高齢者の需要が支える見かけ上の好況)をアベノミクスの功績とする、能天気な安倍首相。ただ、地方議会(東京都内)では、いまだに共産党議員の質疑をはなから聞かないなど、永田町における歴史の変化に気づいていない、自民党地方議員が多く、参院選において様々な不確定要素をかかえたまま、残り1カ月を切りました。

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日米地位協定の改定を直談判、岡田克也民進党代表が駐日本アメリカ大使を大使館に訪ねて

2016年06月10日 23時59分19秒 | 岡田克也、旅の途中

(このエントリーの初投稿日時は11日で、それから、10日付にバックデートしました)

[写真]岡田克也民進党代表(左から2人目)と駐日本アメリカ大使(中央)=民進党ウェブサイトから。

 民進党の岡田克也代表(ネクスト総理)は、平成28年2016年6月10日(金)、東京・麻布のアメリカ大使館に、駐日本アメリカ大使を訪ねました。

 第3次安倍晋三首相(自民党総裁兼務)が、民進党と共産党が安保法を廃止した場合、日米同盟が壊れるという詭弁を街頭演説でしていることを牽制するのが狙いと考えられます。 

 民進党ウェブサイトの岡田さんの説明によると、岡田さんは「被爆された方とオバマ大統領が抱き合う姿は長く人々の記憶に残るだろう」と語り、先月末の米大統領の広島訪問を評価。

 同時に問題となっている、沖縄での米空軍の軍属(元海兵隊員)による、女性の強姦致死・遺体遺棄事件(容疑)について、「当面の措置としていろいろあるが、もう少し実効性のある措置をしっかり取らないと同じようなことが繰り返されてしまっている。パーマネントな対応が必要ではないか」 と話しました。

 岡田さんは、「日米地位協定(昭和35年条約7号)」の改定も要求。

 これに先立ち、民進党結党を報告。

 アメリカ大使からは、女性の政治参加についての発言があったそうです。

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【岡田克也代表】社会保障財源の赤字国債を批判した自民党に「借金1000兆円つくった人に言われたくない」

2016年06月09日 18時25分05秒 | 岡田克也、旅の途中

 民進党の岡田克也代表が第190回国会の平成28年2016年5月25日(水)のQT党首討論で、消費増税先送りと、その間に赤字国債を使った社会保障の充実(年金加入期間の引き下げなど)を求めたことについて、与党・自民党が第24回参院選に向けて批判を強めています。

 自民党の塩崎厚労相

 「民進党は赤字国債を財源に社会保障の充実を行うというような、無責任なことをおっしゃっていますが、これは子どもの財布から了解なしに金を抜き取るような話でありますから、我々はしっかりと財源確保をしながら社会保障を充実させるという、3党合意とはまさにそのことで合意した、3党の枠組であったと思います。民進党、旧民主党の皆様はそれを忘れてしまったと見えます。子ども達に対して最も無責任なことをやろうとしていると私は思います」(おとといの大臣会見) と語ったことについて、

 「1000兆円も借金をつくった人に言われたくない」と自民党を批判しました。6月9日の定例記者会見=写真・筆者宮崎信行撮影=で語りました。

 岡田さんは、参院選後のアベノミクスについて、

 「今後、第2の矢の財政出動に重点が移っていくんでしょうが、公共事業を増やすだけでは古い自民党に戻っただけで借金を増やすだけです」と分析。

 そのうえで、民進党対案について、「成長と分配の両立で、人への投資、格差の是正、所得の再分配をはかる。所得、消費が安定すれば経済成長する」と語りました。

 私が、財務省理財局の新規発行国債の「最高」落札価格がマイナス金利になっていることを踏まえて、この先に8兆円程度の補正予算ならば赤字国債を発行しないでも予算が組めるのではないかと聞いてみました。8兆円の内訳は、国債利払い費の削減見通しと不用額見込み、前年度の税収の見積もりを超えた上振れです。

 岡田さんは気を付けなければならないのはその時の国債費も赤字国債だということです」と指摘しました。

 これは私も聞いた時点では勘違いしていましたが、税収と当初見積もりの新発国債の金額はまったく変わらない中で、8兆円(私の試算、前年度などの不用額・剰余金含む)が出てくるという話であり、国債発行に伴う歳入の歳出先が変わっただけの話です。だから、借金総額は減りません。

 岡田さんは「だから赤字国債の使途が変わっただけで、塩崎さんの言うことは見当違いだ」と語りました。

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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「対案は出すけど審議入りを求めない民進党」とああ言えばこう言う公明党に「あり得ない」と岡田克也代表

2016年06月09日 18時17分22秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 民進党の岡田克也代表(ネクスト首相)は、平成28年2016年6月9日、党本部で記者会見を開きました=写真・筆者宮崎信行撮影=。国会閉会中は木曜日の午後2時(開会中は金曜日の午後3時)が定例。

 先の第190回通常国会の最後の公明党演説となった、5月31日(火)の佐藤茂樹さんの演説。

 衆議院会議録のウェブサイトから。

 佐藤さんは、

 「民進党の諸君には猛省を促したい。(略)ここで、あえて、今国会における民進党の政治姿勢に対し、申し上げておきたい。(略)軽減税率導入を決めた改正所得税法等の対案として、給付つき税額控除導入法案を提出しました。ところが、民進党は、驚くべきことに、今国会中、本日まで、議運理事会や財務金融委員会理事会で、同法案の委員会審議を求めたりすることはありませんでした(略)結局、民進党が審議を求めなかったのは給付つき税額控除に自信がない証左であり、法案提出はパフォーマンスにすぎなかったということであります。」 と語りました。

 安倍自民党と公明党の常套句、「対案を出さない民主党」批判が、先の国会の会期末には、「対案を出すけど審議入りを求めない民進党」へとすり替わったわけです。

 岡田代表はこれについて「あり得ない批判だ。民進党は法案を国会に提出しているのだから、それを尊重して審議するのは当然のことであり、最後にそういう言い方をするのは理解できない」と激しく批判しました。

 佐藤さんの演説全文は以下の通り。

衆議院会議録ウェブサイトから引用はじめ]

平成二十八年五月三十一日(火曜日)

    ―――――――――――――

  平成二十八年五月三十一日

    午後一時 本会議

    ―――――――――――――

○本日の会議に付した案件

 安倍内閣不信任決議案(岡田克也君外三名提出)

    午後三時三十二分開議

○議長(大島理森君) これより会議を開きます。

(中略)

○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 以下、四点にわたり、反対の理由を述べさせていただきます。

 第一に、安倍内閣において、我が国の経済は、民主党政権時と比較して圧倒的に前進しているということであります。

 企業の業績は大幅に改善され、その収益が着実に雇用や賃金に回っています。失業者は約六十万人減少し、失業率は三・二%と十八年ぶりの低水準で推移。有効求人倍率は一・三四倍で二十四年五カ月ぶりの高水準となっています。就業者数も三年前に比べ約百四十万人増加し、ことし三月に卒業した大学生の就職率は過去最高の九七・三%と五年連続で改善しています。政権交代前にはほとんど実施されなかったベースアップは、三年連続で多くの企業で実施され、中小企業においても、全ての地域で賃上げの割合が上昇しています。

 こうした景気回復によって、国税と地方税を合わせた税収は年々増加し、民主党政権時代に比べて、国税で十五兆円、地方税を含め二十一兆円も増加。GDPもプラス基調に転じ、八千円台まで落ち込んでいた株価も、現在は約二倍の水準に上昇しています。

 これらの取り組みが高く評価され、内閣府が今月九日に公表した社会意識に関する世論調査では、社会満足度の割合が過去最高の数値となっています。

 内閣不信任決議案ではアベノミクスの失敗などと言っていますが、これら経済指標と国民の声を完全に無視しているものであり、全く理由も根拠もない、単なるパフォーマンスにすぎないと強く申し上げるものであります。

 今後は、アベノミクスの成果を生かし、成長と分配の好循環をなし遂げ、景気回復の実感を地方へ、中小企業へ、家計へ確実に届けることが必要です。その実現に向け、政府・与党は全力で取り組んでまいります。

 第二に、安倍内閣こそが我が国の諸課題に着実に対応できるということであります。

 さきの国政選挙で再び信任を得た自公連立政権は、安定した政治基盤のもと、デフレ脱却や雇用環境の改善、東日本大震災の復興加速、外交、安全保障等の諸課題に全力で取り組み、数多くの成果を生み出してきました。

 今国会では、提出された閣法の九〇%近い五十本の成立が見込まれます。軽減税率の導入を決めた改正所得税法や障害者の生活と就労支援を充実させる改正障害者総合支援法、一人親家庭の支援を拡充する改正児童扶養手当法など、生活者の視点に立った多くの法律が成立しました。

 また、先日の二十六、二十七両日に開かれた伊勢志摩サミットでは、議長を務めた首相のリーダーシップが高く評価されるとともに、アメリカのオバマ大統領が現職の大統領として初めて被爆地広島を訪問し、核なき世界の実現に向けた歴史的な一歩を踏み出したことで、九割を超える国民から高い支持を得ています。平和と安定を求める安倍内閣への期待の声はますます強くなっているものと実感いたします。

 ところが、驚くべきことに、日ごろより尊敬申し上げる民進党の蓮舫代表代行も、御自身のツイッターに、安倍内閣の外交は高く高く評価しますと投稿されたそうです。これは、安倍内閣への信任ということではないですか。

 この一事をもってしても、今回の不信任決議案には理由がないことが明らかであるということを指摘するものであります。

 少子高齢化や人口減少問題など、我が国が抱える課題は深刻です。全ての人が輝き活躍できる社会を実現するためにも、国民から信頼される政策運営を進めることが不可欠です。これまで着実に政策を実現してきた自公政権、安倍内閣だからこそ、その責任を果たす使命があり、不信任には全く値しないと強く申し上げる次第であります。

 第三に、平成二十八年熊本地震、東日本大震災からの復興加速は、政府・与党が被災者に寄り添い、きめ細かな支援に総力を挙げて取り組んでいるということであります。

 熊本や大分などを襲った地震に対し、公明党として、発災直後直ちに党本部に対策本部を設置。各議員が被害現場へ直行し、政府へ二度にわたる緊急要請を行うなど、被災者に寄り添った支援に全力を挙げました。そして、公明党が主導し、震災復旧のための補正予算を早期に成立させ、被災者への義援金が差し押さえられないようにする義援金差押禁止法案を提案から約二週間というスピードで成立させました。

 一方、民進党は、補正予算を審議する際、質疑者六人のうち三人が被災地に関係のない質問を行いました。中継を見ていた被災者の気持ちをおもんぱかるとき、本当に残念でなりません。

 結局、民進党は、政局優先、被災者無視なのであります。この指摘に対し、民進党の諸君は果たして自信を持って反論できるのでしょうか。

 本年、発災から五年を迎えた東日本大震災の復興は、集中復興期間を終えて、四月から復興・創生期間の新たな五年に入りました。被災者は今なお十六万人を超え、現在被災地では、仮設住宅の空室化が進行し、入居者の孤立化が深刻になっています。次の五年は、心の復興、人間の復興への取り組みを一層強化し、どこまでも被災者に寄り添った支援を政府・与党一丸となって進めていく決意です。

 近年は、震災被害のみならず、広島市の土砂災害、茨城県常総地区の大水害、御嶽山の噴火など、大規模な自然災害が発生し続けています。想定を超えるこれらの災害にも、迅速にきめ細かく手を打ってきたのが自公政権です。平成二十八年熊本地震、東日本大震災からの復興とともに、防災・減災対策のさらなる強化が今こそ求められています。

 遅い、鈍い、心がないと言われた民主党政権時代の東日本大震災の対応を振り返れば、自公政権、安倍内閣が引き続き政権を担うことが、国民のための安全、安心な国づくりを加速させることは間違いありません。よって、内閣不信任案は断固否決するべきであると重ねて申し上げます。

 第四に、安倍内閣は、我が国の安全保障に責任を持ち、平和外交を進めていくということであります。

 昨年成立した平和安全法制は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、日米同盟の信頼性を強化し、抑止力を高め、国際社会の平和と安定に貢献することを通じて、我が国の平和と安全を一層確かなものにするものです。こうした法整備を進めることで、戦争を未然に防ぐだけでなく、平和外交が一層推進されます。

 実際に、法案成立直後、公明党の山口代表は、韓国の朴槿恵大統領や中国の習近平国家主席と会見。法案成立から約一カ月で、日中韓首脳会談がソウルの地で三年半ぶりに実現しました。

 一方、民進党は、平和安全法制に対し、今国会において領域警備法案などの対案を提出しました。ところが、民進党は、同法案について、結局最後まで積極的に審議しようという姿勢が見られませんでした。民進党は一体どのように平和な日本を構築しようとしているのでしょうか。民進党には、日本の安全保障に対し、危機感が全くないと申し上げざるを得ません。

 民進党の諸君には猛省を促したい。

 そもそも、昨年否決された内閣不信任決議案においても、安保法案は立憲主義のじゅうりんとしていたにもかかわらず、今回も同様の理由で不信任決議案を再提出するということは、公党としても見識を疑わざるを得ません。

 一部野党が戦争法案などと国民の不安をあおるレッテル張りを続けているのは、全くの見当外れと言えます。

 公明党は、今後も対話外交をさらに進め、平和の党としての役割を果たしてまいります。

 以上が、内閣不信任決議案に反対する理由であります。

 ここで、あえて、今国会における民進党の政治姿勢に対し、申し上げておきたい。

 第一に、民進党が提案する給付つき税額控除についてであります。

 本年二月、当時の民主党は、軽減税率導入を決めた改正所得税法等の対案として、給付つき税額控除導入法案を提出しました。ところが、民進党は、驚くべきことに、今国会中、本日まで、議運理事会や財務金融委員会理事会で、同法案の委員会審議を求めたりすることはありませんでした。

 給付つき税額控除制度は、国民一人一人の所得把握が難しい、給付を受けるのに申請が必要で国民に手間をかける等、さまざまな課題が指摘されているところであり、国民生活の負担軽減のために最も現実的なのは軽減税率制度であります。

 結局、民進党が審議を求めなかったのは給付つき税額控除に自信がない証左であり、法案提出はパフォーマンスにすぎなかったということであります。

 第二に、特に終盤国会で顕著だったのは、民進党は、自身が推進したいと思っても共産党の主張にかなわない法案については成立させなかったということであります。

 例えば、フリースクールなどの多様な教育の機会を確保するとともに夜間中学への支援などを定めた教育機会確保法案について、民進党は法案の提出会派であるにもかかわらず、参議院民進は、全会一致でないものは送られても処理できないとして、共産が反対する法案は処理しない姿勢を示し、衆議院からの同法案の受け取りを事実上拒否、今国会成立は不可能になったのであります。休眠預金活用法案もしかり、政見放送に関する公職選挙法案もしかりです。

 選挙優先主義で、国民生活にとって大事な法案をないがしろにする民進党の態度については、厳しく指摘するものであります。

 また、昨日、女性の政治参画推進法案についても、超党派の議連を中心に与野党で法文案をつくり、各党の手続を残すのみであったにもかかわらず、民進党、共産党は勝手に法案を提出しました。強く抗議するとともに、政治にとって大事なことは信義であり、誠実に約束を守るか否かを有権者は厳しく見ているということを申し上げたい。

 最後になりますが、日本が抱える政治課題は山積しています。それに対する認識については、共産主義社会を目指す一部野党以外は、与党も野党も大きな認識の違いはないはずです。それでは、重要な違いは何か。その課題に対し、責任を持って実行できる能力があるかどうかです。

 政権構想や基本政策で違いが大きくばらばらの野合集団が、選挙のためだけに共闘し、国のかじをとるようなことにでもなれば、日本は再び沈没し、政治の混乱は避けられないことは火を見るよりも明らかです。

 決められない政治で混乱を招いた民主党政権時代の三年半と、その後の、責任ある政治を貫き結果を残し続けてきた自公連立政権の三年半を比較すれば、どちらが真に国民の期待に応える政権であるかは言うまでもありません。

 改めて、このたびの内閣不信任決議案に対して断固反対し、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)

(後略) 

[引用おわり]

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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アデア・ターナーさんという方が、日経新聞経済教室に寄稿

2016年06月07日 16時38分31秒 | 経済

 アデア・ターナーさんという方が、きょう、2016年6月7日付の日経新聞「経済教室」に寄稿していました。

 私は初めて知った方ですが、メリルリンチ証券などに勤めたことがある英国人61歳のようです。

 要旨は、日本銀行が現行ペース(年80兆円)で国債を買い入れて、政府の新規発行国債が年40兆円未満(今年度はそう)ならば、民間投資家が保有する国債はどんどんへる。そのうえで、日銀が「無利子永久債」としてバランスシートに計上し、GDP比10%相当(おおよそ年45兆円強に相当)の消却を承認すれば、2020年には政府(日銀を含んだ概念)の借金はゼロになるそうです。「つまり日本の財政問題は消滅するはずだ」。

 2013年4月4日に始まった異次元の金融緩和。私がこのようなことができるのではないかと気づいたのは、ずっと後ですが、しばらく前から気づいていたといえば気づいていました。

 うそかまことか。

 何より大事なのは、プライマリーバランスと、通貨・債券防衛ができる総理大臣です。



  


改正民法が公布され、直ちに施行 第190回通常国会の74制定法律が、きょうですべて公布

2016年06月07日 14時46分44秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]国会議事堂正門、2016年4月22日(金)、筆者・宮崎信行撮影。

 天皇陛下は、平成28年2016年6月7日、「改正民法」などを公布されました。これで第190回通常国会で制定した法律の公布はすべて終わりました。

 6月1日の会期末に成立した法律で、その次の閣議が、木曜日の繰り上げ閣議(参院選日程を決定)となったため、それから3営業日目のきょう、火曜日(公布は水曜日、金曜日が普通)の公布となりました。

 このうち、民法親族編の女性の再婚禁止期間を180日間から100日間に短縮する改正法律は、平成28年6月7日法律71号として公布され、既に施行されました。

 JOCの国会への報告を義務とする議員立法、「改正東京オリパラ特措法」(平成28年6月7日法律69号)も公布され、直ちに施行しました。

 NPOの財務などの規制を強める、「特定非営利活動促進法」(平成28年6月7日法律70号)はきょうから起算して1年以内の政令で定める日に施行。

 「改正都市再生特別措置法」(平成28年6月7日法律72号)は3か月以内に施行。

 「国外犯罪処罰者弔慰金支給法」(平成28年6月7日法律73号)は、6か月以内の政令で定める日に施行で、支給の対象は、その施行日以降に発生した犯罪に限られます。

 「真珠振興法」(平成28年6月7日法律74号)は直ちに施行されました。

 ◇

 法律の公布については、国会開会中は立て込んでいる時期ですと、このブログに書いていないものもあります。制定法律74本をあらためてみると、財政措置などの特別措置法を単純に延長するだけの議員立法は今国会は2本のみでした。これは西暦の下一桁が「6」だから少ないのかもしれません。

 

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改正刑事訴訟法は平成28年6月3日公布へ、 司法試験の反映は平成30年以降か

2016年06月03日 23時59分40秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

(このエントリーの初投稿日時は、2016年5月31日午前7時で、6月3日付で再投稿)

 第190回国会で成立した「改正刑事訴訟法(刑事訴訟法を改正する法律)」は、平成28年6月3日に公布されることになりました。

 法律は「公布の日から起算して3年以内の政令で定める日」に施行します。

 気になる司法試験への反映日ですが、法務省ウェブサイトによると、

Q26 試験の近い時期に法令の改正があった場合,出題は,どの時点の法令に基づいてなされるのですか?
A   法令の改正があった場合も,原則として,試験日に施行されている法令に基づいて出題されます

 となっています。施行日は、平成30年4月1日以降となると予想されますので、新しい法律が司法試験の論文式試験の問題文の条文に引用されるのは、平成30年2018年ないし平成31年2019年に行われる司法試験からになりそうです。

 ご自身でご確認いただきたいと存じます。

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改正刑事訴訟法、ヘイトスピーチ法(有田・小川法)、生産性向上税制法など17法律公布

2016年06月03日 14時39分39秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 天皇陛下は、平成28年2016年6月3日(金)、改正刑事訴訟法など17法律を公布なさいました。

 国会で成立した次の閣議で決定し、それから3営業日後の官報に告示されることで、法律は公布されます。公布は、国立印刷局が印刷した官報が、47都道府県にある官報販売所に到着した時点で公布されたとみなすことになっています。

 後々まで大事な法律が公布されました。法律番号順ではなく、重要順に行きますと、

 「改正刑事訴訟法」(平成28年6月3日法律54号)は司法取引を初めて導入します。

 「ヘイトスピーチ規制法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)」が公布され、直ちに施行されました。参院野党が主導した今年唯一の制定法律。有田・小川法と呼んでもいいのではないでしょうか。 会期末をにらんだかけひきもあるため、1日で17法律公布ということになってしまうのですが、それがあるから、この法律もできたということになります。

 「フィンテックとビットコインを推進する改正銀行法及び改正資金決済法」(平成28年6月3日法律62号は、ビットコインなどコンピューター上のチェーンブロックを使った貨幣を、貨幣と初めて認定し、金融庁が監督することになりました。日本銀行券が異次元の金融緩和をする経済発展史において歴史的な出来事になるのかもしれません。

 「改正特定商取引法」(平成28年6月3日法律60号)と「改正消費者契約法」(平成28年6月3日法律61号)。とくに特商法は初の大規模改正になりました。あまり話題にならないのですが、消費者庁はていねいな仕事で頑張っていると思います。

 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(平成28年6月3日法律58号)は、改正法ですがタイトルが新しくなりました。公布の日から起算して3か月以内の政令で定める日に施行されるため、生産性向上設備投資促進税制は、遅くとも9月2日までに施行します。

 「改正FIT・再生可能エネルギー買い取り特別措置法」(平成28年6月3日法律59号)は、太陽光発電を入札するに法律。菅直人内閣退陣の引き換えに成立した法律は、大きな効果を上げたうえで、消費者のために価格を中庸にする新しい歴史的段階に入ります。

 「改正酒税法」(平成28年6月3日法律57号)は、財務大臣が酒のディスカウント販売について適正な基準を定めて規制することができるようになります。

 「改正宅建業法(改正宅地建物取引業法)」(平成28年6月3日法律56号)で、重要事項説明書でインスペクションをしたかどうかを盛り込まなければならないことになります。

 「改正特区法」(平成28年6月3日法律55号)は、白タクや企業の農地保有が解禁されます。

 「改正法テラス総合法律支援法」(平成28年6月3日法律53号)は、法テラスについて、抜本的な見直しとしては初めての改正で、先行した東北に加えて全国的に災害にあった人の法律相談が無料になります。

 「平成28年熊本地震災害義援金差し押さえ禁止法」(平成28年6月3日法律67号)は直ちに施行しました。

 「改正児童福祉法」(平成28年6月3日法律63号)は、抜本的な改正ですが、厚労省内部の専門家会議の議論の過程とは異なっている部分がありますので、専門の方はご確認いただきたいと存じます。

 「改正障害者総合支援法」(平成28年6月3日法律65号)は、タイトルの中に「児童福祉法」の文字がありますが、上記とは別の法律で、介護保険との障害者支援サービスの併用など網羅的な改正がされました。

 「発達障害者支援法」(平成28年6月3日法律64号)は、自閉症児などと自治体の連係を盛り込みました。

 「改正確定拠出年金法」(平成28年6月3日法律66号)は、日本版401kに関する改正です。

 「改正裁判所職員定員法」(平成28年6月3日法律52号)は、毎年制定されている法律です。

 なお、来週火曜日に6法律公布され、先の第190回国会の制定法律は74本になります。

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第4次産業革命のための競争力強化法案、2017年通常国会以降に提出へ IT業界大幅再編か

2016年06月02日 20時40分23秒 | 第194回臨時国会(国難突破冒頭解散2017年9月)

 第4次産業革命を後押しするための、IT業界の企業再編・合併を促進する法案が、平成29年2017年1月召集の通常国会に提出する方針となりました。

 第3次安倍内閣が、6月2日(木)の臨時閣議で決定した「日本再興戦略2016」の中に、「② スピード感あるビジネスの新陳代謝の促進」 が盛り込まれ、「本年中を目途に結論を出し、次期通常国会を含め、早期の関連法案の提出も視野に、必要な措置を講ずる」と明記されました。

 イギリスの蒸気機関の発明により、ピーター・パンを除くすべての大人が、時計台ビッグベン(修理中)がにらみつける街で、大資本と時間の奴隷になった第1次産業革命、アメリカのエジソンさんが先願主義で得た特許のうち電子投票機を除く多くの特許が製品化された第2次産業革命、ビル・ゲイツさんらのIT、ドットコムバブルの第3次産業革命に次ぐ。

 日本再興戦略2016は「今後の生産性革命を主導する最大の鍵は、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能、ロボット・センサーの技術的ブレークスルーを活用する「第4次産業革命」である」と設定。

 そのうえで、

(1)スピード感あるビジネスの新陳代謝の促進
 「第4次産業革命を見据えた新陳代謝の促進・事業再編の円滑化等・ビジネスモデルの移り変わりのスピードが劇的に拡大する中、イノベーションを生み出す研究開発、グローバル競争で勝つための有形・無形資産等への戦略的な投資、経営戦略に基づく先を見据えたスピード感のある事業再編等を加速するために必要な施策について検討を進め、制度的対応の必要性を含め、本年中を目途に結論を出し、次期通常国会を含め、早期の関連法案の提出も視野に、必要な措置を講ずる」。

(2)第4次産業革命等を勝ち抜く知財・標準化戦略の推進
 「情報の集積・加工・発信の容易化・低コスト化、著作物を含む情報の利用の一層の多様化、人工知能による創作事例の出現等、著作権をはじめとした知的財産(以下「知財」という。)の保護の在り方をめぐって制度上の新たな課題が顕在化してきている。こうした課題を分析した上で、第4次産業革命に対応した次世代知財システムの在り方に関し、著作権法における柔軟性のある権利制限規定等について、次期通常国会を含めた早期の法改正に向けて、その効果と影響を含め具体的検討を進めるとともに、必要な措置を講じる」。

 このうち(2)の動きについて、当ブログはすでに先月10日に、(

AI、3Dプリンター、ビッグデータの著作権の制限と保護、法案検討へ 知的財産推進計画2016

) 

 として報じました。

 (1)の事業再編ですが、これは、2013年秋の臨時国会で成立した産業競争力強化法(関連エントリー

第185臨時国会提出の産業競争力強化法案、企業合併で「新陳代謝」 大いに支持したい【追記あり】

) 

 と同じ立てつけの法案になるとみられます。

 すなわち、産業競争力強化法のように三菱電機と日立の火力発電機製造部門の統合会社の設立や、サントリーによる外資のジンビームの1・6兆円買収などの第2弾として、IoT、ビッグデータ、人工知能の業界で統合、合併、買収を促し、政策減税で底上げすることで、1人当たりの生産性を高めるのが狙いだと考えられます。

 ぜひ、実現してほしいものです。

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