時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

レンヌの赤ちゃんは誰の子守歌を

2005年07月23日 | 書棚の片隅から

Les Berceuses des grands musiciens (1 livre + 1 CD audio) de Paule Du Bouchet, Johannes Brahms, Franz Schubert, Wolfgang-Amadeus Mozart, Collectif, Callimard Jeunesse Musique, France Inter, 1999 


    暑中お見舞い申し上げます。異常気象や同時多発テロで、世界は大変騒がしくなっています。今日はちょっと一休み。前回に続き、お子様向きの本の紹介をしましょう。数年前に、フランスの子どもたち(大きくなった子ども?も含む)向けの本として評判になった小さな本がありました。それがこの『大音楽家の子守歌』です。

  表紙に描かれた絵は、レンヌ美術館にあるあの「生誕」(Georges de La Tour, The New Born Child,c.1645, Musée des Beaux-Arts, Rennes)です。「世界一可愛らしい赤ちゃん」ともいわれていますが。ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの名を聞いたことがない人でも、この絵を見たことのある人は多いでしょう。私の仕事部屋の壁にも、ポスターですが、外されることなくかけられています。
  
  さて、この本には20曲の子守歌が、楽しい絵やストーリーとともに掲載されています。ブラームス、モーツァルト、シューベルト、フォーレ、ウエーバー、ショパン、グリーク、ヴォルフ、ドヴォルザークなど、大人にも大変楽しめる内容です。ところで、ラ・トゥールの「生誕」の赤ちゃんは、誰の子守歌を聴いて眠っているのでしょうか。答は、下にあります。


Flies, Bernhard (attribué á Mozart)

Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein,
Es ruhn nun Schäfchen und Vöglein,
Garten und Wiese verstummt,
Luna mit silbernem Schein
guckert zum Fenster herein,
Schlafe beim silbernen Schein,
Schlafe mein Prinzchen, schlaf ein !
Alles in Schlosse shchon liegt.
Alles in Schlummer gewiegt;
Reget kein Mäuschen sich mehr,
Keller und Küche sind leer,
Nur in der Zofe Gemach
tőnet ein schmachtendes Ach!
Was für ein Ach mag dies sein?
Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein!
Wer ist beglückter als du ?
Nichts als Vergnügen und Ruh !
Spielwerk und Zucker vollauf,
Und noch Karossen im Lauf,
Alles besorget und bereit,
Daß nur mein Prinzchen nicht schreit,
Was wird da künftig erst sein ?
Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein !
Schlaf ein, schlaf ein !


          Friedrich Willhelm Gotter


参考

作詞者 堀内敬三 作曲者 フリース

眠れ よい子よ 庭や牧場(まきば)に
鳥も羊(ひつじ)も みんな眠れば
月は窓から 銀(ぎん)の光を
そそぐ此(こ)の夜眠れ よい子よ 眠れや

家の内外(うちそと) 音(おと)は静まり
棚(たな)のねずみも みんな眠れば
奥(おく)のへやから 声のひそかに
ひびくばかりよ眠れ よい子よ 眠れや

いつも楽しい 仕合(しあわ)せな子よ
おもちゃいろいろ 甘(あま)いお菓子(かし)も
坊(ぼう)のお目覚(めざ)を みんな待つゆえ
夢に今宵(こよい)を眠れ よい子よ 眠れや

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2 コメント

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古きよき時代 (三紗)
2005-07-24 05:35:57
こんばんは。



このような本が出版されていることを知りませんでした。本屋によったら探してみますね。



レンヌは今月上旬30度を超える日が続き、外に出るのがためらわれるほどでしたが、今週は曇りぎみでホッとしています。



今日の午後は列車でサン・マロに行きました。たまたまバス路線のことを聞いたおばあさん2人が見ず知らずの私を車であちこち連れて行ってくれたのです。



第二次大戦中に爆撃されたサン・マロが真っ赤に燃えていたという話や、タラ漁船で世界をめぐっていた祖先の話などを聞かせてもらい、とても楽しい午後でした。現在ブルターニュ中世から現代までの経済事情を調べはじめているところです。
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古きよき時代 (三紗) (桑原靖夫)
2005-07-24 12:40:28
いつもお読みいただき、有り難うございます。



本業の仕事に疲れて、一休みしようと横道に入った時に思いがけない発見があります。こんな小さな本ですが、いくつか知らないこともありました。それと、現代人がともすれば失いがちな小さな感動があります。



サン・マロに行かれた由、うらやましいですね。かつて、モン・サン・ミッシェルへの旅の途上で訪れたことを思い出しました。ランスの潮汐発電所も近くでしたね。
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