尾車氏と共に、日産から発売された小型クロスオーバーカー「ジューク」を見に行ってきた。試乗させていただいたのは、15RX(FF・CVT 税込車両本体価格180万8100円)だった。
ヘッドライト周りのデザインが特徴的である。ちなみに、メインのライトは下方にある丸型のもので、上方の三角形ものはウインカー&スモールライトなのだそうだ。
自発光式のメーターパネルは近年の流行だが、視認性&質感は良好。
空調コントロールのロジックもわかりやすく、この点は大いに好印象。
だが、ボディカラーによっては赤色になってしまう「センターコンソールフィニッシャー」については、若干の「やりすぎ感」が否めない。
走らせると、ロードノイズやエンジン音等は結構耳につき、現代の基準からすると決して静かなクルマではないが、声を荒げて怒りたくなるほどうるさいワケでもない。加速も軽快で、ステアリングもそこそこシャープ。走らせて気持ちのいいクルマだ。
そして大いなる美点は、ボンネットの稜線にまで及ぶスモールライトの張り出しが、コーナーポールのごとく運転席から確認できて、前進方向の車両感覚が摑みやすいことだ。
また、助手席側のサイドミラーにちょろっとはみ出したベロのようなものは、いわゆる「サイドアンダーミラー」である。これは、ボンネットの稜線にまでスモールライトが食い込んでいるために、いわゆる「キノコミラー」を装着できなかったがための緊急措置なのかもしれないが、「キノコミラー」はクルマ全体のデザインを壊してしまうものだと私は考えているので、むしろ歓迎したい。カタログ上の10・15モード燃費が19.0km/Lというのも、これまた素晴らしい。
この角度から見ると、なにかボルボのC30を彷彿とさせるデザインの、このジューク。後席のスペースは必要十分だが、決して広くはない。特に、ヘッドルームはタイトで、その点は同社の「スカイライン・クロスオーバー」と共通するものがある。
・・・だがしかし、正直なところ、全体にデザインが未消化でビジーな印象が否めない。昔トヨタに「ヴェロッサ」というクルマがあったが、あのイメージがかぶる。
トヨタのラッシュは、このクルマより一回り小さい上に、リヤシートはこのクルマより広いし、雪道に必須の4WDも選べる。何よりも重量配分に優れたエンジン縦置きでFRベースの硬派なクルマで、しかもMTが選択可能。私だったら、これよりは素直に本格派SUVのラッシュを選ぶ。御免。