私がクルマのカタログを集め始めたのは、小学校4年生の頃からである。
当時最も好きだったクルマが、日産の「オースター」。
思いあまって文集の表紙にしてしまったほど好きだった。
そのカタログは、「表紙が外れて行方不明」ではあるが、とりあえず現存していた。
これは美香保プールでの水泳学習の帰りに、当時の「日産チェリー札幌」に立ち寄って入手したものである。
表紙は、切って透明の下敷きの間に挟んで学校に持って行って、そのまま失くしてしまったのだ。
今考えると、なんともったいないことを・・・
これは、「マルチクーペ」と呼ばれた3ドアハッチバック。
グレードは「1600CS-E・L」。
このCピラーの傾斜と、テールランプのデザインに、私は参ってしまっていたのだ。
今や希少な1.6リッターエンジンのFR車である。
インパネのスポーティーさに、またシビれた。
6連メーターに本革巻ステアリング。
木目調パネルも、一見では、そうフェイクっぽく見えないのが、またイイ。
平織りクロス貼りのハイバックシート。
オースターのデビュー当初モデルのシート地はビニールレザーだったが不評だったらしく、1年後の小改良でこの生地に変更されたのだ。
「マルチクーペ」の最大の特色が、このハッチゲートである。
この6通りの使い勝手が、なにか新しい生活を予感させてくれた。
当時、こういうクルマが少なかったですからね。
カローラ/スプリンターのリフトバックや、アコードも3ドアハッチだったが、当時の私の観点から見ると、このオースターのようにカッコよくなかった。
そして4ドアセダン。
それは「ブルーバード510の再来」といわれたほどの、ボクシーでクリーンなラインのクルマだった。
茶色基調のインテリアは、デザインはマルチクーペとほぼ同じにもかかわらず、随分とオジンくさく見える。
こちらは廉価版の「1600DX」。一目で廉価版と分るのが、なんだか素晴らしい。
53年排ガス規制をクリアーするために日産が開発したのが、この「2プラグZエンジン」である。
1気筒あたり2個のプラグなので、4気筒のこのエンジンには8つのプラグが使用されていたのだ。
これ、日産は、いつ止めたんでしょうね・・・
燃費は「10モード」で、14.0km/L。「60km/h定地走行テスト値」は22.0km/Lだったという。
当時、「60km/h定地走行テスト値÷2が実用燃費」と言われていたので、実用燃費は11.0km/Lくらいと推測される。
全長4260mmで全幅1600mm。
33年前のクルマは、小さかった。
ちなみに現代のカローラのそれは、4410mm/1695mmである。
ランプ類の断線や排気温異常・半ドア等が一目で確認できるという、「セイフティーモニター」。
ターボエンジンでもないのに「ブースト計」が付いているのが微笑ましい。
これは、今でいうところの「エコゲージ」のような役割を果たすものらしい。
「カセットステレオ」や「水晶発振式時計」、そして「電動式リモコンミラー」の意匠が、流れた月日をしみじみと感じさせる。
当時はスポーティーグレードにしか装着されていなかったアイテムが、この「スチールラジアルタイヤ」である。
今では「クロスプライ」とか「バイアス」のタイヤを履いているクルマを探す方がずっと困難だが・・・
「南の風、晴れ」というキャッチコピーがぴったりのこのクルマ。
サイドビューから、このマルチクーペは「サッシュレスドア」であることが確認できる。
この一冊から私は「カタログ小僧」となり、30年を越えることとなる私のカタログ収集の旅が始まったのだ・・・
↑このCMソングを歌うのは、おそらくは、柳ジョージ氏!