獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

薄幸なる5ドア車たち(24) ダイハツ・アプローズ

2010年06月03日 | カタログ倉庫

   
 長らくご愛顧いただいていた「薄幸なる5ドア車」シリーズも、今回が最終回。
 トリを飾るのは、「ダイハツ・アプローズ」。
 その登場は、日本車のヴィンテージ・イヤーと呼ばれた1989年。
 「ユーノス・ロードスター」「レガシィ」「セルシオ」「スカイラインGT-R」等が登場したあの年である。

   
 「これが、次のセダンです」「喝采という名のアプローズ」・・・
 5ドア車が不人気車の代名詞だったこの時代に、あえて5ドアセダンをリリースしたダイハツの英断には、個人的には喝采を送りたい。

   
 横一線に伸びた、けれんみなくシンプルなグリル。

   
 ガーニッシュ等を廃し、つるんと鉄板の面で造型されたリヤエンド。

   
 機能的に配されたインパネ。
 ピアノタッチの空調コントロールは、運転席からも扱いやすそうな造型でよろしい。

   
 ざっくりとした表皮のシートは、色彩感も含め欧州調である。

   
 1.6リッター16バルブエンジンは、120psを発揮。

   
 ステアリングコラムから生えたワイパースイッチの横に設置された、「オートドライブ」機能!
 現代流に言えば、「クルーズコントロール」ですネ。

   
 このクルマのハイライトは、やはり3ボックススタイルでありながらも、「スーパーリッド」と呼ばれるハッチゲートを持っていたことである。

   
 まさにそれは、ワゴンライクなユーティリティ!

   
 リヤシートは、シングルフォールディングでも、ダブルフォールディングでも、荷物の形状に合わせて畳むことができる。

   
 ラインナップは4WDモデルを含み4種。
 トランスミッションは全てのモデルに5MTが標準で、FFモデルは4ATも選択可能だった。

   
 カラーは、渋めの5色。

   
 全長4260mm・全幅1660mmという小ぶりなサイズは、日本の交通インフラにはジャスト・サイズである。
 ただし全高は1375mm(4WD車は1390mm)と、若干低めだった。

   
 シンプルかつクリーンなラインを持つ、意欲作のこのアプローズだったが、バブル真っ只中のこの時代にあって、あまりにも清楚すぎて、やや無国籍な印象が強かったというのも、私の偽らざる感想である。
 そしてそんな時、例の事件が発生してしまう。
 そう、あの有名な「燃えるクルマ騒動」だ。
 そんなこともあって、もともと多くはなかったアプローズの販売台数は、追い討ちをかけるようにシュリンクしていった。


   
 そして登場後8年を経た1997年に、アプローズはビッグマイナーチェンジを敢行する。

   
 それは、独立型のメッキグリルや、ランプ周りのメッキ加工・・・

   
 ナンバープレートの周りにもメッキガーニッシュが・・・メッキ的、いや、末期的症状である。

   
 インパネ一面には一目でフェイクとわかる木目が貼られ、

   
 シート生地も、当時のトヨタのマークⅡ風のモケット地へと宗旨替え。

   
 ここで地味に追加された機能が、「リヤシートリクライニング」。後席の住人が寛げるようにという配慮だったのだろうか・・・

   
 ここで4WDモデルは消滅し、トランスミッションも4ATのみと、戦線は縮小された。

   
 アクセサリー・カタログを見て、私の悲しみは、さらに増幅する。

   
 「品と格」・・・「ゴールドエンブレム」や「メッキミラーカバー」などは、登場時にはシンプル&ピュアだったこのクルマの路線とは、正反対の成金アイテムだ。

   
 「最高級カーペットマット」は、なんと7万5600円!


 国産車の多くの場合。登場当初クリーンなラインだったにもかかわらず売れなかったクルマは、マイナーチェンジで大抵ゴテゴテになってしまい、見るも無残になってしまう。
 「老婆の厚化粧」と揶揄されたフローリアン。そして欧州調の丸みを帯びたラインを持って登場しながら、カクカクのペキペキなフロントマスクに変遷してしまったT11オースタースタンザ・・・
 最近は目に余る「改悪マイチェン」はあまり見かけなくなったが、「エリシオン」あたりは、いかがなものかと思われる。

 ああ、アプローズよ。
 どっちにしても売れなかったのだから、せめて貴方は、清楚な少女のイメージのままでフェイドアウトして、キレイな思い出になってほしかった・・・合掌。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャロ君写真館 ’08.12.1~’10.11.28

チャロ君写真館 ’10.12.18~’11.12.24

チャロ君写真館 ’12.01.01~’12.12.24

チャロ君写真館 ’13.01.01~’13.12.29

チャロ君写真館 ’14.01.01~’14.12.27

チャロ君写真館 ’15.01.01~’15.12.27

Waterlogueチャロ君

チャロ君写真館 ’16.01.01~’16.06.25

チャロ君写真館 ’16.07.29~’16.12.28

チャロ君写真館 ’17.01.01~’17.12.21

チャロ君写真館 2018

チャロ君写真館 ’19.01.01~’19.09.07

チャロ君写真館 ’19.09.22~’19.12.31

チャロ君写真館 ’20.01.01~’20.04.27

チャロ君写真館 ’20.05.01~’20.08.26

チャロ君写真館 ’20.09.02~’20.12.31

チャロ君写真館 ’21.01.02~’21.07.21

チャロ君写真館 ’21.09.02~’21.12.31

チャロ君写真館 ’22.01.01~’22.04.30