友人のニータ氏が、このフリーランダーを伴侶にしてから、早いもので9年半近くの歳月が、経過した。
これまで自走できなくなるような大きなトラブルはなかったとのことで、この英国車の信頼性が意外に確かであることを、氏は身をもって我々に教示してくれた。
とはいえ。「サンルーフが錆びついて開かなくなった」「凍りついたリヤワイパーがバックギアに入れたとたんに動きだし、ワイパーブレードが千切れてしまった」等のマイナートラブルには、数回見舞われたとのこと。
ニータ氏自身は、今後もこのクルマに乗り続けたかったようなのだが・・・
このたび、このフリランに「エンジン不調による異常燃焼のため、触媒が真っ赤になる」という、深刻な症状が出てしまったそうなのだ。
これは、排ガス数値が車検を通らなくなるリスクのある、重篤な状況とのこと。
触媒を交換すれば対処できるそうなのだが、13年落ちの旧いクルマだけに、英国からの部品の調達もなかなか上手くいかず、しかも約40万円の出費を要する見込みとなったそうだ。
「触媒さえ交換すれば、まだまだ乗れるクルマです」と、主治医からは言われたそうなのだが・・・
結果として、氏は、この度「フリーランダーを降りる決断」を、下したとのことなのである。
誰にでも、別れは、必ず来る。人は、いつかは、絶対に別れなければならない。
そして、その時が、ついに、来てしまったのだ・・・
ニータ氏は、しみじみと、語ってくれた。
「フリランといえば、まるで線路を走る列車のように、どんな道でに真っ直ぐ走るクルマ!スタッドレスタイヤを購入以来一度も買い換えなかったのに、雪道でまったく滑らなかった安定性は信頼性バツグンでした!運転に関係しないトラブルは度々あったけど、運転自体は君は1000%の信頼性でした」
オールアルミ製の2.5L V6DOHCエンジンを積む、このクルマ。
そのユニットは177ps/6250rpm・24.5kgm/4000rpmのパワーとトルクを発生する。
トランスミッションは、JATCO製5速ATを搭載。
フルタイム4WD+独立懸架サスペンションで、走破性としなやかな乗り心地を、両立。
この日が最後だったので、私も運転させていただくことに。
太目の革巻ステアリングは、パワステながらも、しっかり、重い。
直進巡航にはうってつけなのだが、タウンスピードやパーキングにおいては、華奢な女性だと、難儀する可能性はある。
加えてギア比がスローなので、かく言う私も、「茂ラーメン」でのパーキングにおいて、大失敗してしまったことを、ここに明かしておこう。
とはいえ、その足回りはやはり秀逸で、凹凸のいなし感や乗り心地は、しっとりと巡洋艦のようである。
加えて、V6エンジンもスムーズに回り、5ATの変速フィールも、歯切れよくナチュラル!
乗り味にはまったくウイークポイントが見当たらない、このクルマ。
ステアリングは切れないながらも、視界はきわめて良好で、車両感覚も掴みやすい。
なお、燃費はリッター5kmくらいだそうで、そこはやはりこのクルマの「数少ないが致命的な弱点」かもしれない。
計器の意匠も、そこはかとなく、お洒落。
加えて、このフリーランダー。まだ43100kmしか走っていないのだ!
同じような年式の私のレガシィは、11万kmを突破したというのに・・・
嗚呼。なにか勿体ないが、パーツ供給に難があるとのことであれば、致し方がないのでありましょう。
そして、とうとう、お別れの瞬間が、やってきた。
氏の新しい伴侶は、フリランの向こう側にある、白いクルマである。
そのクルマについては、遠くない将来、インプレッションをお届けします。