『イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む』
宮本常一、2002、『イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む』、平凡社ライブラリー
イザベラ・バードは明治初年ごろの旅行家で、本書の材料となった『日本奥地紀行』だけではなく、世界各地を旅し何冊もの紀行文を残している。『日本奥地紀行』で描かれるのは明治11年に横浜に上陸した後、通訳の「伊藤」とともに馬でめぐった東北と北海道の有様である。物見高い日本人に取り囲まれ、障子ふすまに穴を開けられてのぞかれ、また、蚤しらみになやまされ、かといって、日本人の礼儀正しさや安全な旅が描かれる。
本書はジャーナリスト佐野眞一の言うところの旅する民俗学者の宮本常一が日本観光文化研究所において後進の指導のために行った講演の口述をもとに編集されたもののようである。宮本は講演の中でバードが書き残した短い言葉をとりあげて、当時の日本人の生活を描こうとする。旅人の宮本がバードの紀行に仮託して明治の日本を旅してみせると言う趣向となっている。
明治11年は1878年なので、たかだか130年ほど前。3-4世代前の祖先の時代なのだが、まったく異なる日本の姿に驚かされる。宮本が日本全国をくまなく歩きはじめたのは昭和14年(1939)、アチックミュージアムを主宰する渋沢敬三に薦められてからなので、バードの旅から60年ほどしか立っていない。また、宮本の講演がバードの旅からほぼ100年後である。こうした時間差を考えながら読んで見ると大変興味深いだろう。
宮本常一データベース:http://www.towatown.jp/database/index.asp
イザベラ・バードは明治初年ごろの旅行家で、本書の材料となった『日本奥地紀行』だけではなく、世界各地を旅し何冊もの紀行文を残している。『日本奥地紀行』で描かれるのは明治11年に横浜に上陸した後、通訳の「伊藤」とともに馬でめぐった東北と北海道の有様である。物見高い日本人に取り囲まれ、障子ふすまに穴を開けられてのぞかれ、また、蚤しらみになやまされ、かといって、日本人の礼儀正しさや安全な旅が描かれる。
本書はジャーナリスト佐野眞一の言うところの旅する民俗学者の宮本常一が日本観光文化研究所において後進の指導のために行った講演の口述をもとに編集されたもののようである。宮本は講演の中でバードが書き残した短い言葉をとりあげて、当時の日本人の生活を描こうとする。旅人の宮本がバードの紀行に仮託して明治の日本を旅してみせると言う趣向となっている。
明治11年は1878年なので、たかだか130年ほど前。3-4世代前の祖先の時代なのだが、まったく異なる日本の姿に驚かされる。宮本が日本全国をくまなく歩きはじめたのは昭和14年(1939)、アチックミュージアムを主宰する渋沢敬三に薦められてからなので、バードの旅から60年ほどしか立っていない。また、宮本の講演がバードの旅からほぼ100年後である。こうした時間差を考えながら読んで見ると大変興味深いだろう。
宮本常一データベース:http://www.towatown.jp/database/index.asp
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