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ソカイ・ソウカイ・ソレデカイ

2013年09月03日 | 雑記帳
 人気ドラマ『半沢直樹』を観ていたら、一つ面白い言葉が耳にくっついた。

 「ソカイ」 「ソカイシリョウ」


 金融庁の立ち入り検査に伴って、見られてはまずい資料を自宅などに隠すような設定だった。
 「ソカイ」ってもしかしたら「疎開」かなと思いつつ業界専門用語ということもあるかなと、一応辞典で調べてみた。

 「ソカイ」という別の漢字が思いつかなかったが、結構あるもんですね。

 租界…中国の都市名。知らなかった。
 素懐…平素の願いという意味。使ったことがない。
 疎開…ご承知のように戦争時の被害を少なくするための引っ越し。
 疎解…ときあかし、申し開きという意味。知りませんでした。
 菹醢…食べ物らしい。殺すという物騒な意味もあった。

 さて、この中にあるとすればやはり「疎開」か。

 ネット検索するとやはり「疎開資料」とある。
 確かに、銀行にとって立ち入り検査は戦争のようなものだろうから、「被害」を少なくするために移動させることを、疎開と呼ぶのは当然なのかもしれない。

 しかしその「被害」とは何かと考えれば、ここは素直に「隠蔽」といった方が素直ではないだろうか。

 いや、それは「お上」的な発想から来ているのかな。銀行にしてみれば痛くもない?腹を探られたくない、自分たちの考えを通すための一つの方法だ…という見方ができなくもない。

 まあこれは、いずれどろどろした感じなので、ドラマとして楽しめればいいことだ、と深入りしないことにしよう。
 少なくとも学校という職場だと疎開させる資料などないと断言できるわけだし…。


 そう言えば、ドラマの原作者である池井戸潤の小説を読んだとき、頻繁に出てくる「稟議(書)」という言葉が気になった。
 これは、いわば貸付に関わる銀行員の仕事の象徴と読み替えてもいい言葉だった。

 半沢流に言えば、資金を必要としている企業、会社の状況を的確に読み取り、その姿勢や情熱をバックアップする決意のようなものだから、本当に人の力がこもるものだと思う。

 一方、その裏側にはソカイとか、ナントカとか、面倒な言葉が結構くっ付いているんだろうなとも思う。
 そういう単純ではない世界だからドラマが生まれやすい、という結論になる。

 蛇足だが、「疎開」は熟語の成り立ちからいうと、そもそもは隊形の距離・間隔を「開けて通じやすくする」ことから来ているらしい。

 とすると、たぶん組織自体に滞り、偏りが日常的にあることが、疎開という意味を捻じ曲げて使っている原因となっている、そんな解釈をしてみた。