すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

幸せな奴の恋語ゼミ

2013年09月25日 | 読書
 ダラリ読書、もう一つだけ。

 『恋する日本語』(小山薫堂  幻冬舎文庫)


 連休読書のためのネット購入、紹介も見ずに著者名に惹かれて買ったのだが…。勝手なイメージで「日本語に恋するということだね。言語について楽しく深いことを書いているのでは…」などと予想。「楽しさ」はあるにはあるがこれはまさに「恋に関する日本語」という内容。35の「恋する言葉」が書かれている。


 と言ってもふだんお目にかかれない言葉がずらり。知っていたのはわずかだ。冒頭の【あえか】にしても、知っている日本人は何%か。自分の古典音痴は棚上げしても1%以上はいないだろう。その意味「はかなげなさま」を表すショートストーリーが添えられ、シャレた装丁で仕上げている。若い女性にうけそうだ。


 女性でない、若くもない自分には縁遠い中身だが、ああなるほどね、とじいんと沁み入る言葉もある。【気宇】きう・心のひろさ、【忘れ種】わすれぐさ・心配や心の憂さをはらうもの、そして【相生】あいおい・夫婦で一緒に長生きすること。古い言葉を知ることは、生きることそのものに思えてくるから不思議だ。


 「つがい」という言葉は知っていたが【番い】と書くことにびっくり。「番」自体がペアを表わす意味となっている。確かに「入れ替わってする役目」からの派生は考えられる。調べたら「結びの一番」という用例があって、ああそうかと思う。この「番」とはつがいのことだ。組み合わせなので、番組も番付も。


 表紙裏にある著者紹介に目を丸くする。著者自身が書いたのか。「趣味を仕事にして『サプライズ&ハピネス』を追求」とある。こんな幸せな奴がいるのか。いやそういえば、彼は究極のポジティブシィンキングを実行する人だ。書いてしまえばなんとなく痛快。言いきってしまうのはいい手である。見習えない(笑)