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あんこを語るあんこ

2013年10月23日 | 雑記帳
 漢字で書くと「餡こを語る兄こ」となる。餡こについて秋田弁で兄・若い男が語るという、なかなかウイットに富んだコピーだ。といっても自分は長男でも若くもないのではったりなのだが…。雑誌「ブルータス」の特集がまた私をとらえた。「あんこ好き」。方言だと勘違いされそうだが、当然「餡こ好き」である。


 先週はボランティアで来校した読み聞かせの方々を前に、饅頭について一席ぶった私だった。いわゆる左党に分類される自分だが、言ってみれば両党つかいなのか、ワッハッハである。しかし子供の頃はそうではなかった。亡き祖母の羊羹がきっかけとなった。あの甘さに心が動きだしたのは、職についた頃だった。


 雑誌で「あん国大統領」を自称する糸井重里は、こう書く。「笑う食べ物としてのあんこがあります。(略)あんこを食べている時は、口の中で祭りが行われているんです。」なんと適切な比喩だろう。あずきを煮て、練って、あんこを作り出す作業にはどこか神々しいものを感じる…って言い過ぎだろうと思いつつ。


 取り上げられている餡菓子の種類は多く、しかも東京に住んでない者にとっては、遠い存在の品ばかり。それでもなんとなく想像できる味覚、いつか口にしたい願いがわき上がってくる特集である。しかし、糸井大統領のこの一言は重い。「作る側と食べる側の間に、あんこの菓子の密度の共同幻想がないとダメだ


 となると、羊羹、饅頭、おはぎ、どら焼き…という種類以上に、その物を一定の頻度で口にしていることが大きな条件となる。そうすると手間をかけずに手に入る範囲のものとなるだろう。自分が共同幻想を持てる餡菓子はどの程度あるだろう。数えてみたら…ある、結構ある。超有名菓子からローカルなものまで。


 超有名なのは東京T屋の羊羹、銀座K屋のあんパン、伊勢のA福(こんな書き方もあり)あたり。個人的には仙台T総本店の黒砂糖饅頭が大好きだ。県内では、M伝の饅頭、K屋の花見団子、そして完全ローカルのS饅頭となろうか。これらだと、どのように口をつけるか食前の心構えができる。それが共同幻想だ。


 この特集で驚いたのは「酒とあんこ」だ。四種類の有名菓子とアルコール飲料のコラボである。両党つかいと宣言したが、一度に攻められるのは自信がない。飲食への興味が、もはや教職への興味を上回っている(笑)自分が、それに挑戦できなくてどうする!手始めはあんパンとビールか。甘苦く夜は更けていくか