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抱返りですれ違い

2013年10月30日 | 雑記帳
 振替休業日があったので、三年ぶりに県内有数の紅葉の見どころである抱返り渓谷へ。ウィークデーであっても多少混雑するだろうと予想し、早めに出かけたが、案の定すでに観光バスは十台ほど並んでいた。紅葉情報通りに見頃を迎えているし、天気もまずまず。つり橋を渡って川沿いに眺める山は趣きがある。


 ここの魅力は、多くの人が語るように川の水の色。エメラルドグリーンに近く、ややブルー系も入っている。木々は混生林なので色は強く感じられないが、まさに「日本の色」と称していいほどの落ち着いた艶やかさを感じる。三年前もそう思いながら撮った。今年は天気もその折より良くてシャッターを押しまくった。


 今回は紅葉の他にもう一つ、苔に目がいった。先月、小川洋子のあの小説を読んだせいもあるかもしれない。茸狩りに近くへ出掛けたときも、妙に気になったりした。今回面白いなあと思ったのは、遊歩道の木製柵の頭を覆う苔。最初の到達点から徐々に広がりをみせていく。魅力的な造形だ。それも撮ってみた。

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 すれ違うのに困るほどの道幅ではないが、行き交う人の声はよく聞こえる。印象として観光バスで来ている半数は、中国人か韓国人である。田沢湖や角館も込みでツアーをしているのか。全国的に著名な観光地ではよくあった風景が今やローカルなこの地も対象になる。喜ぶべき時代になった。でも結局すれ違うのみだ。


 この抱返り渓谷の名前の由来は「地形が非常に急峻で狭隘なために、人がすれ違うときに、互いを抱き合って振り返ったことに因む」とされている。整備されずに狭い道幅だったら,隣国の方々とも抱き合えるかもしれない,などとくだらない考えも浮かぶ。もっともそんな観光地ならバスは来ないのだろうけど。